LGBTとはレズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)の頭文字をとった総称で、主に性的少数者を示す言葉として使われています。
しかし性的少数者にはレズビアンやゲイ、バイセクシャルやトランスジェンダーとはまた違ったセクシュアリティを持つ方々も多いため、QやSが付け加えられたり多様化が進んでいます。
基本的には『LGBTもLGBTQもLGBTsも性的少数者(セクシュアルマイノリティ)を示す言葉』で間違いありません。
初めに |
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この記事ではわかりやすさを重視し、便宜的に「男性」「女性」という表現を使っている部分があります。IRISでは男女二元論にとらわれず多様な性の形を受け入れ、様々な社会的マイノリティを記すためにLGBTsという表現を用いていますが、用語の説明のために意図的にLGBTと表記しています。 |
LGBTとは
LGBTとは、Lesbian(レズビアン)、Gay(ゲイ)、Bisexual(バイセクシュアル)、Trance Gender(トランスジェンダー)の頭文字を組み合わせた言葉で、この4文字だけでセクシュアリティ全体を包括する意味を持っています。
しかし、セクシュアルマイノリティはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーだけではありません。その為、最近ではLGBTにsを加えてLGBTsと表現したり、より広く包括するような表現をすることも増えてきました。
LGBTを理解するには心と体と性的指向と社会的性別をそれぞれ別物と考える必要がある
世の中の多くの方は、自分の心と体の性別が一致していて、違和感なく生まれ持った性を全うし、異性を好きになるのがセットかもしれません。しかしLGBTは少しだけ違います。
レズビアンの場合
レズビアンの場合は下記の通りになります。
心の性別 | 女性 |
---|---|
体の性別 | — |
性的指向 | 女性 |
社会的性別 | — |
レズビアンの女性の方は『女性として女性に惹かれる人』のことを言います。心の性別が男性だから女性を好きになるわけではありません。
ゲイの場合
ゲイの場合は下記の通りになります。
心の性別 | 男性 |
---|---|
体の性別 | — |
性的指向 | 男性 |
社会的性別 | — |
『男性として男性に惹かれる人』のことを指します。
よくTVなどでゲイがオネエ系として紹介されていますが、ゲイだからオネエというわけではありません。
多くのゲイはオネエではありませんし、男性が好きということ以外はストレートの男性と同じように生きている方が殆どです。
バイセクシュアルの場合
バイセクシュアルの場合は下記の通りになります。
心の性別 | — |
---|---|
体の性別 | — |
性的指向 | 男性も女性も |
社会的性別 | — |
『異性である女性も同性である男性にも惹かれる方がバイセクシュアル』となります。
トランスジェンダーの場合
トランスジェンダーの場合は下記のようになります。(例:生まれ持った性別は男性の方)
心の性別 | 女性 |
---|---|
体の性別 | 男性 |
性的指向 | — |
社会的性別 | — |
トランスジェンダーは心と身体の性別が異なる方です。社会的性別は、心の性別に合わせている方もいれば、身体的な性別に合わしている方もいます。
トランスジェンダーと性同一性障害(GID)は別物
まれにトランスジェンダーと性同一性障害が混同されてしまうのですが、この2つは別です。
- 特に医療を求めているわけではない → トランスジェンダー
- 医療を求めて診断をしてもらう → 性同一性障害(Gender Identity Disorder通称GID)と診断されることがある
トランスジェンダーの方が『心と体の性別を近づけようとして医療を求めたときに診断名としてつくことがあるのが性同一性障害(GID)』です。
診断名と言うと病気のように感じられてしまうかもしれませんが、今は性同一性障害は精神疾患から外されて障害や病気の扱いではなくなりました。
それに伴い、
- アメリカ精神医学会 → 性別違和
- WHO → 性別不合
という診断名に変わっています。
しかし『現在の日本では性同一性障害の別の言い方が確立されていないため、診断名は性同一性障害になることが多い』ようです。
トランスジェンダーのレズビアンやゲイ、バイセクシャルもいる
少し難しくなるのがトランスジェンダーの同性愛者や両性愛者、またはそれ以外の方々がいるということです。
例えばFtM(女性から男性になった方)のゲイのパターンですね。
女性の体を持って生まれ、男性が好きなのだから、異性愛者になるのではないかと思うかもしれませんが、それは違います。
彼らは生まれつき男性の心を持っており『男性として男性が好きなのでトランスジェンダーのゲイ』となるわけです。
チェック → 「トランスジェンダーでゲイやレズビアンである」とはどのような状態?
LGBTの割合は10人に1人程度
いくつかのデータを見ていくと日本のLGBTの割合は人口の10%前後というのが分かります。つまり10人に1人くらいがLGBTというわけです。
この10人に1人という割合は、佐藤さんや鈴木さんといった名字の方と同じくらいの割合となります。
データ元 | LGBTの確率 | LGBTの割合 | データの年 |
---|---|---|---|
電通ダイバーシティ・ラボ | 8.9% | 11人に1人 | 2020年 |
株式会社LGBT総合研究所 | 10% | 10人に1人 | 2019年 |
日本労働組合総連合会 | 8.0% | 13人に1人 | 2016年 |
名古屋市総務局総合調整部男女平等参画推進室 | 1.6% | 100人に1人 | 2018年 |
「働き方と暮らしの多様性と共生」研究チーム(協力:大阪市) | 3.3% | 33人に1人 | 2019年 |
8.2% | 13人に1人 |
働き方と暮らしの多様性と共生の3.3%は、「ゲイ」「レズビアン」「バイセクシュアル」「トランスジェンダー」「アセクシュアル」の合計割合です。
8.2%はセクシュアリティなどを「決めたくない」「決めていない」の回答を合わせた数値となります。
世界のLGBTの割合
欧米でのLGBTの割合は下記のようになっています。
国・地域 | LGBTの確率 | LGBTの割合 | データの年 |
---|---|---|---|
アメリカ(Gallup社調査) | 7.1% | 14人に1人 | 2021年 |
ヨーロッパ(Dalia社調査) | 5.9% | 16人に1人 | 2016年 |
10% | |||
スペイン | 6.9% | 15人に1人 | 2016年 |
イギリス | 6.5% | 15人に1人 | 2016年 |
ドイツ | 7.4% | 13人に1人 | 2016年 |
ヨーロッパのDalia社調査の5,9%は、「レズビアン」「ゲイ」「バイセクシュアル」「トランスジェンダー」だと自認するかに「はい」と答えた人の割合です。
10%は「完全に異性愛」「ほとんど異性愛、ときどき同性愛」「おなじくらいに異性愛と同性愛」「ほとんど同性愛、ときどき異性愛」「完全に同性愛」「無性愛」「言いたくない」のうち、完全に異性愛意外の答えを書いた人の割合となります。
アメリカを調査したGallup社の報告によると、アメリカのLGBTの割合は増えており、Z世代(1997年〜2003年生まれ)では、21%にもなっているそうです。
チェック → 【2022年4月最新】10人に1人!?LGBTの割合徹底解説【日本と世界】
LGBTQの『Q』はいったい何なのか?
LGBTQのQには2つの意味があります。1つ目がQuestioning(クエスチョニング)で2つ目がQueer(クィア)です。
この2つの意味を持つQがLGBTの次の文字に入ることでより多様性を認めた言葉になりました。
Questioning(クエスチョニング)とはセクシュアリティが定まっていないセクシュアリティ
Questioningとは大まかに言えば『定まっていない(定めていない)セクシュアリティ』のことです。
- 自分の心と体の性別について悩んでいる(答えが出せない)
- 実は同性(両性)が好きなのではないかと思っているが、まだ答えは出せずにいる(出さないようにしている)
上記のような場合は『セクシュアリティが定まっていないということでクエスチョニングが近い立場』と言えそうです。
セクシュアリティはとても複雑でレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーに分類するのが難しい、または決められない場合があります。
そういったときに当てはまるのがクエスチョニングとなります。
Queer(クィア)は性的少数者の総称
QueerはLGBTと同じセクシュアルマイノリティの総称となります。LGBTという言葉をQueerと置き換えても間違いはありません。
元々Queerは『変態』『変わり者』と言った意味を持つ言葉で、主に男性同性愛者を差別する言葉でした。
しかし20世期終盤になると状況は一変します。
差別されていた男性同性愛者自身が自らQueerを掲げるようになり、それに伴いセクシュアルマイノリティの権利運動などが大きく拡大しました。
その流れの中で『Queerはセクシュアルマイノリティの合言葉になり、ゲイだけでなくレズビアンやバイセクシュアル、トランスジェンダーそれ以外のセクシュアリティも含めて結束を強くする言葉に変容』します。
LGBTというとレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字をとってできた言葉なので、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーだけのものに聞こえてしまいますが、
Queerの要素を付け加えることでLGBTがその他のセクシュアリティも含んだ言葉であることが分かるようになります。
LGBTsやLGBT+も基本的にはセクシュアルマイノリティの総称
近頃LGBTに『s』や『+』がつくのもQが付いた理由に似ています。
セクシュアルマイノリティはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー以外にもあるのですが全て付け加えていくと円周率のように長大になってしまいます。
そのためLGBTに『s』や『+』を付けることでLGBTという言葉がその他のセクシュアリティのものでもあるということを分かりやすくしているのです。
チェック → LGBTQプラスの『Qプラス』とは何のこと?当事者が分かりやすく解説します♪
レズビアン、ゲイ、バイセクシュアリティ、トランスジェンダー以外のセクシュアルマイノリティ
ここまで『その他のセクシュアリティ』といったニュアンスが何度か登場してきたと思います。
レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー以外にどのようなセクシュアリティがあるのかも解説していきます。
Xジェンダー
Xジェンダーというのは『未知のXを示すように、自分の心の性別がX(未知)のセクシュアリティ』を言います。
具体的には以下のようなケースに当たります。
- 無性:男性でも女性でもない
- 中性:男性と女性の中間的な性、もしくは中性そのもの
- 両性:男性でもあり女性でもある
- 不定:時と場合によって男性であったり女性であったり、それ以外であったり変わる性自認
僕自身もXジェンダーで無性ですが、男性も女性も異性とは異なる、自分とはまた別の性別と感じます。
XジェンダーとQuestioning(クエスチョニング)は別物!
稀にQuestioning(クエスチョニング)とXジェンダーが同じものと見られることがあるのですが別物です。
『Questioningは自分のセクシュアリティに疑問を抱いていたり迷っている状態なのに対し、Xジェンダーは自分のセクシュアリティを自覚』しています。
例えば自分の性別が分からないといった場合はQuestioningが近くなりますし、性別がないと自覚している場合はXジェンダーが近くなります。
チェック → Xジェンダー当事者が教えるXジェンダーってこんな感じ
クロスドレッサー
クロスドレッサーというのは『体の性別に対して、心の性別も一致している状態で異なる性の振る舞いをするセクシュアリティ』をいいます。
具体的には、身体的にも精神的にも男性で女性的な格好をする女装家の方々などがクロスドレッサーに当てはまるかと思います。
Aセクシュアル(アセクシュアル / エイセクシュアル)
Aセクシュアルというのは、他人に対して性的欲求も恋愛感情も抱かないというセクシュアリティです。
『意図的に性的な関係や恋愛を避けているのではなく、根本的に他人に対する性的欲求や恋愛感情を持ち合わせていないのがAセクシュアル』になります。
元々は恋愛感情はあって性的欲求が伴わない人をAセクシュアルといいましたが、後にノンセクシュアルというセクシュアリティが出てきたことで現在のAセクシュアルの定義となりました。
ノンセクシュアル
ノンセクシュアルというのは『恋愛感情はあるけれども、他人に対して性的欲求はないというセクシュアリティ』です。
人のことを恋愛感情的に好きになることはありますが、恋愛感情に性的欲求が伴いません。
僕自身もXジェンダーでありノンセクシュアルなのですが、定義通り人のことを恋愛感情的に好きになることはあるものの性的に欲求が伴うことはありません。
『性的なことが好きや嫌いなどではなく、興味が湧かなければ他人に対してセクシーだと感じることもない』のです。
チェック → ノンセクシュアルのゲイってこんな感じ!ノンセクの苦悩をお話していきます!
デミセクシュアル
デミセクシュアルというのは『強い信頼関係や絆がある人にのみ、性的欲求を抱くセクシュアリティ』です。
デミロマンティック
デミロマンティックというのは『強い信頼関係や絆がある人にしか恋愛感情を抱かないセクシュアリティ』のことをいいます。
リスロマンティック
リスロマンティックというのは『自分は他の人に対して恋愛感情を抱くものの、自分が恋愛感情を向けられるのは好まないセクシュアリティ』をいいます。
パンセクシュアル
パンセクシュアルというのは『全性愛とも言われ、すべての人を恋愛対象とするセクシュアリティ』となります。
まれにバイセクシュアル(両性愛)と混同されてしまうのですが、バイセクシュアルとパンセクシュアルは異なるセクシュアリティなのでしっかり理解していきましょう。
- バイセクシュアル:男性も女性も恋愛対象とするセクシュアリティ
- パンセクシュアル:男性も女性もトランスジェンダーもXジェンダーもすべてのセクシュアリティを恋愛対象とするセクシュアリティ
バイセクシュアルは男性も女性も恋愛対象とするセクシュアリティなのに対して、パンセクシュアルは相手の性別を問いません。
『男性でも女性でもXジェンダーでもトランスジェンダーでも、好きになった相手が好きといったセクシュアリティ』なのです。
チェック → パンセク当事者が教える、パンセクシュアルってこんな感じ
日本でのLGBTに関する課題や問題
現在の日本では、LGBTに関する課題や問題が様々な分野でまだまだ多く残っています。
どの様な課題や問題が残っているのか、どのような現状があるのか紹介していきます。
同性カップルが家を借りづらい問題
『同性同士のカップル、特にゲイカップルだとお部屋を探すのが難しい』と言われることがあります。
なぜ同性カップル同士だとお部屋探しが難しいのかと言うと、下記のような理由があるためです。
- 見ず知らずの不動産会社の方に2人の関係性をカミングアウトするのがそもそも難しい
- 家主の考えで同性同士には家を貸さないように決めているため
僕自身もかつて同性のパートナーと家を探していたとき、困難さを感じることがありました。
最近は『当IRISを含むLGBTsフレンドリーな不動産や、パートナーシップ制度の普及で緩和されつつありますが、まだまだ難しい状況』に変わりません。
チェック → 当事者だからこそわかる痛みを胸に、IRISが不動産業界を変える!
同性婚に関する問題
『現在の日本では同性婚に関する法整備などが整わず依然として同性婚は叶わない状態』となっています。
同性婚ができない先進国はG8の中でロシアと日本くらいであり、他の先進国と比べて遅れているのは明確です。
「日本にはパートナーシップ制度があるじゃん!」という意見もあるかもしれませんが『パートナーシップ制度は各自治体内のみで効力を発揮するも』のです。
法的な力は一切ありません。
そのため『万が一パートナーが事故や病気などで他界してしまっても、残されたパートナーは遺族年金なども受け取ることができない』のです。
同性カップルも法的に守られるように、何かしらの対策が欲しいところですね。
チェック → パートナーシップ制度がある自治体一覧と活用方法
学校や教育の問題
最近は大学や専門を中心に多様性が認められるようになってきましたが、小学校中学校高校あたりはまだまだ対応が遅れています。
- 男女ごとに大きく異なる制服の問題
- 基本的に男子トイレと女子トイレしかない問題
- 体育の授業や部活動が男女で分けられてしまう
- 修学旅行などで他の生徒と入浴しなければならないことがある
- 校則によって髪型が男女ごとにルールがある
- LGBTに関する授業がほとんど行われていない
僕自身も学生時代の頃は、トイレに行くのがすごく辛くて、学校にいる間は水分を摂らないようにしていたり、トイレにどうしても行きたい場合は、授業を抜け出して行くなどしていました。
また修学旅行や宿泊学習もみんなとお風呂に入らなければいけないと分かっていたので欠席していました。今考えても本当に辛かったです。
厚生労働省が公開している資料(http://www.health-issue.jp/kyouintyousa201511.pdf)によるとLGBTの数は20人に1人(クラスに1人いるくらい)ですが、
- 同性愛について学んだことがあると答えた人は7.5%
- 性同一性障害について学んだことがあると答えた人は8.1%
と、LGBTについて学んだことがある人はかなり少ない状態であることが分かります。
先生たち自身は授業で取り扱う必要があると半数以上の方が答えており、それでも尚、『なかなかLGBTを授業で取り扱えない背景にはLGBTについて授業をできる先生が少ない』ことなどが考えられます。
しかし最近では『ReBit』など、先生たち向けにLGBTについて講義を行う団体も登場しました。
小中高校生の時期は自分自身の自我や自尊心を育む上で大切な時期なので、学校でのLGBTへの理解が深まると良いですね。
仕事の問題
仕事の面でも問題は山積みです。
- 服装(スーツ)に関する問題
- 福利厚生に関する問題
- アウティングによって仕事を追われてしまう
- LGBTであることをネタにされてしまう(セクハラ)
よく挙げられるのはスーツの問題ですね。
企業によっては男性はスーツ出勤が義務付けられており、女性だけがカジュアルな格好が許されるところがあります。
『自分自身の性に違和感を感じている場合はこの様に性差をハッキリと区別するようなことは避けたいと思うことも多いため、スーツを着る仕事には就くことができない』という方もいます。
福利厚生やアウティングの問題も大きい
企業のホームページ等を見ると福利厚生に関する記述がある場合がありますが、果たして適応範囲はどのあたりまでなのか不明確な点もあります。
例えば家族手当です。
『家族手当は配偶者が居る従業員に対して給料とは別にお金を支給するというものですが、同性のパートナーにも適応される企業はまだまだ少ないのが現実』です。
その他にもアウティング(勝手に自分のセクシュアリティを暴露)されて、仕事を辞めざるを得なくなったり、LGBTであることをネタにされて弄られたりするという話もよく聞きます。
最近では日本マイクロソフト、JAL、NTTデータ株式会社などLGBTフレンドリーな企業も少しずつ増えてきました。
チェック → 福利厚生がLGBTsにも適用される大手企業のまとめ
世界のLGBTの課題
日本だけではなく、世界のLGBT事情についても触れていきます。(参考:JobRainbow)
イスラム教圏
マレーシアやインドネシアなどの、イスラム教圏の国では宗教上、文化上の理由によりLGBTへの対応はまだまだ進んでいないところがほとんどとなっています。
▶インドネシアのアチェ州
インドネシアのアチェ州では、イスラム教に基づいたシャリア刑法というものが適応されています。シャリア刑法では、飲酒に関する規定と一緒に、同性間の性行為が禁止されています。
その為、アチェ州ではLGBTは処罰対象という懸念があります。またトランスジェンダーに対しても厳しく、MtF(トランス女性)が、男性らしさを強制されることも許されてしまいます。
▶パキスタン
2018年5月にパキスタンで採用されたトランスジェンダー法では、男性・女性だけではない第三の性を認め、教育や医療、雇用においてLGBTを差別することを禁止としています。
ヨーロッパ
ヨーロッパは世界で最も早く同性婚を認めたオランダがあり、首相がカミングアウトをしたベルギーがあるように、LGBTに寛容な地域となっています。そして、次の世代でもこのようなLGBTに寛容な環境が続くように、先を見据えた改善が続けられています。
▶イギリス
イギリスでは2018年11月に、LGBTの子供達へのいじめを早期に確認し適切な対応を取るための教員向け研修や、LGBTの子供達を仲間はずれにしないことを目指した教材を提供する行動計画が策定されました。国からは総額で260万ポンド(約3億8000万円)の補助金が付与されるそうです。
▶スペイン(マドリード)
スペインのマドリードでは2017年に、異性や同性のカップルが手を繋いでいるシルエットを採用した信号機が導入され話題になりました。これは同年に開催されたワールド・プライドというイベントに先立って設立されたもので、その数は300機におよんだそうです。
アジア
アジアは台湾を筆頭に少しずつですが、LGBTが過ごしやすい環境作りが進んでいます。
▶台湾
台湾では2017年に司法院大法官会議(憲法裁判所)が、同性婚を認めないことを違憲とする判断を示し、2年以内の法整備が促されました。
しかし、テレビCMなどを通じて「同性間での性行為はHIVを助長する」といった間違った情報が広められるなど、法整備は難航しておりましたが、2019年5月24日に台湾で同性婚が認められるようになりました。
▶インド
インドには昔から男女のどちらでもない、第三の性という区分がありましたが同性間の性行為は犯罪とされていました。(正確には生殖に繋がらない性行為)
しかし、2018年の9月、同性間の性行為を違法とする法律を違法として、無効化をしました。
▶アメリカ
アメリカは、LGBTに寛容なイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。しかし実はまだ、LGBT擁護派と反対派の壁が厚いうえに、最近ではLGBTに人種間の軋轢が重なって新たな問題となっています。
アトランタにあるゲイバーでは、有色人種の入場を禁止するかのようなポスターが掲示されているようです。現地に住むトランスジェンダーの女性は「多くのイベントで(自分が有色人種なので)自分が歓迎されていない」と感じるそうです。
LGBTの現状や理解するための基礎知識などを詳しく解説のまとめ
LGBTやLGBTs、LGBTQはそれぞれ性的少数者(セクシュアルマイノリティ)の総称です。
セクシュアルマイノリティは、
- 身体的な性別
- 心の性別
- 好きになる相手の性別
上記3点が異なる場合があり、それぞれ別物と考えましょう。
男性同性愛者だからといって心の性別が女性というわけではありませんし、女性になりたいというわけでもありません。
また現在の日本は先進国の中でもLGBTへの対応は遅れていると言わざるを得ません。G8で同性婚が実現できていないのは2020年6月現在日本とロシアくらいです。
同性婚の他にも学校でのLGBTへの対応や、職場での偏見やアウティングなど、たくさんの問題が残っているのが現状です。しかし中々制度改正や対応が進んでいません。
『LGBTもそうでない方も、お互いを認め合って社会を築いていく必要』がありますね。
以上で本記事を終わりとさせていただきます。