【当事者監修】全性愛パンセクシュアルとは?バイセクシュアルとの違いは何?

どうも、空衣です。FtMで、パンセクシュアルです。
本記事ではパンセクシュアルというセクシュアリティについて当事者の視点から個人的なエピソードを交えて解説させていただきます。
パンセクシュアルについて知りたい方、参考にしてみてください。
パンセクシュアルとは
パンセクシュアル(全性愛)とは「相手のセクシュアリティに関わらず、すべての人を好きになる」というセクシュアリティです。
すべての人を好きになるセクシュアリティなので、男女関係なく好きになることがあり、Xジェンダーなどのセクシュアリティに対しても恋愛感情が向くことがあります。
パンセクシュアルのパンとは、ギリシャ語で全てを意味する言葉で、文字通り全ての人を好きになるセクシュアリティです。
好きになる気持ちに性的感情が伴わない場合は、パンロマンティックと言われています。
パンセクシュアルってこんな感じ
皆さんは人と関わるとき、相手の“出身地”を重視するでしょうか?あるいは、“誕生日”や“血液型”などに置き換えていただいても構いません。
それらは相手を構成する要素の一つであり、もしかしたらそれが人の大部分を形作っているかもしれませんが、それが全てではありません。
パンセクシュアルである私にとっては、性にまつわる要素が同様なのです。「特徴として目につくことはあるけれど、好きになる際に性別は気にしない」という感じです。
私がパンセクシュアルだと自覚するまで
パンセクシュアルだと受け止めるまで時間がかかった
しかし知識として「パンセクシュアル」と聞いても自身がそうであるかどうか、自覚するまでには時間がかかりました。
本当にセクシュアリティ関わらず、身体や性自認やジェンダー表現を問わずに、誰でも恋愛や性愛の対象になるだろうか?と自問自答する期間があったからです。
トランスジェンダーの私がパンセクシュアルに辿り着くまで
話がややこしくなってしまいますが、私はFtM(トランスジェンダー男性)です。
学生時代おおむね「女子」として過ごしてきました。その時は男子が異性、女子が同性という認識だったため、異性愛規範に則って「自分は男子を好きにならなければならないのだろう」という空気がありました。
実際、男子は恋愛対象だったので、そうした異性愛前提の話題に溶け込みながら生活していたと思います。
むしろ、女子も恋愛・性愛対象だったにも関わらず、そちらには目を瞑っていました。“同性”を好きになっている、そういうことがある、という知識が当時なかったので、存在しないものとして自己完結していたわけです。
ところが「LGBTs」という概念に出会ってから、私はバイセクシュアルだったのだと気づきました。男子も女子も恋愛・性愛対象だったことに思い当たったからです。
さらに用語を知っていき、バイセクシュアル(両性愛)というよりは、もっと範囲にこだわらずパンセクシュアル(全性愛)だと自認するに至りました。その頃性別が男女の二つに限らないと知ったことが影響しています。
チェック →なぜバイセクシュアルからパンセクシュアル自認になったの?違いは?
やがて私は自らが「トランスジェンダー」でもあると気づきました。私自身が性別にまつわる身体的特徴を変えていくことになり、もはや相手の身体的特徴や性自認に関しても気にしなくなりました。
もしかしたら自分を許容する過程で、相手に対しても恋愛・性愛にまつわる制限がなくなっていったのかもしれません。
パンセクシュアルとバイセクシュアルの違い
混合されがちなバイセクシュアルの場合は、男性と女性という二つの性別に惹きつけられるセクシュアリティを指します。
パンセクシュアルの場合はもっと広く、Xジェンダーや、男女二つの性別に限らない人をも対象に含みます。
誰かに惹かれる際に性別は問わない、というスタンスのパンセクシュアルの人も多いようです。
チェック → パンセクシュアルとバイセクシュアルは同じ説とは本当なのか?当事者が違いについて解説
パンセクシュアルとポリセクシュアルの違い
パンセクシュアルはポリセクシュアルというセクシュアリティとも混合されてしまうことがあります。
ポリセクシュアルは複数性愛とも言われ、トランスジェンダーやXジェンダーなど、複数のセクシュアリティを好きになることがあるセクシュアリティです。
好きになるのにセクシュアリティは関係無いといったパンセクシュアルに対し、ポリセクシュアルは好きになるセクシュアリティや好きにならないセクシュアリティがあるといった点で違いがあります。
誰かを好きになる場合に相手のセクシュアリティを考えてしまう場合にはポリセクシュアルの可能性もあるでしょう。
パンセクシュアルの診断方法
悪魔で参考程度に・・・ですが、自分のセクシュアリティはネット上の診断ツールなどを使って調べることができます。
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無料で使うことができるツールなので、自分のセクシュアリティにお悩みの方は使ってみると答えにたどり着けるかもしれません。
パンセクシュアルの私が思うこと
私はこれまで男性、女性(シス女性もトランス女性も)、Xジェンダーの人を好きになることがありました。
けれども未だに同性婚が認められなかったり、トランスジェンダーへの偏見があったりすると、好きになる相手次第ではかなり直球の差別にあうことがあります。
色々な相手との関係性があり得るからこそ、セクシュアリティによって起きている差別は早くなくなってほしいです。
空衣
1996年、神奈川県生まれ。居住地にこだわりがなく女子寮にいたこともありますが、現在は男性の境遇で生活しています。カレー好きで、世界一辛いカレーを完食したことも。