ネパールは、2023年11月に、国内で初めての同性婚を法的に認めるという歴史的な一歩を踏み出しました。この画期的な出来事は、長年にわたるLGBTQ+コミュニティの闘争と希望の結晶であり、世界中の同性愛者の権利に対する新たな光を投げかけています。

ネパールのこの進展は、アジア全体、さらには世界中の同性愛者の権利のための闘争において、重要なマイルストーンとなりました。この記事では、ネパールでの同性婚の合法化がどのように実現されたのか、その背景、影響、そして今後の展望について深く掘り下げていきます。

参考記事:Nepal finally registers first same-sex marriage for LGBTQ+ couple

初めに
IRISでは、あらゆるマイノリティが暮らしやすくなることを目指すという意味から「LGBTs」と表記していますが、今回は一般的な「LGBTQ+」について解説するため、表記が混在しております。

LGBTお部屋探し

ネパールの歴史的な一歩:初の同性婚の登録

ネパールは、その長い歴史の中で、多くの文化的および社会的変革を経験してきました。しかし、2023年11月の出来事は、この国にとって特に画期的なものでした。ネパールで初めて、同性カップルの結婚が法的に認められ、公式に登録されたのです。この歴史的瞬間は、LGBTQ+コミュニティにとって長年の夢の実現を意味し、世界中の人々に感動を与えました。

この画期的な出来事は、ネパール最高裁判所が4ヶ月前に下した画期的な判決の後に起こりました。この判決は、国の民法が結婚を男性と女性の間のものと定義しているにもかかわらず、同性婚を法的に登録することを可能にしました。この件は、国内の多くのLGBTQ+カップルに希望を与え、彼らの権利を認める重要な一歩となりました。

しかし、実際に同性婚を登録することは依然として困難でした。多くのカップルが法的な障壁に直面し、そのプロセスは複雑で時間がかかるものでした。それでも、シュレンドラ・パンデイとマヤ・グルンという一組のカップルが、この挑戦に立ち向かいました。彼らは、地方裁判所や高等裁判所による二度の拒否を経験した後、ついにネパールで初めての同性婚を登録することに成功しました。

人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」によると、パンデイはシスジェンダーの男性で、グルンはトランスジェンダーの女性ですが、ネパールでは法的に男性として認識されているため、彼らの結婚は同性婚に該当します。このカップルは、2023年11月30日水曜日に、首都カトマンズの西に位置するドルジェ村の村役場で、ネパールで初めて公式に同性婚の地位を受け取りました。

この出来事は、ネパールのLGBTQ+権利活動家であり、ゲイである元国会議員のスニル・バブ・パントによっても祝福されました。彼は、ネパールの内務省がこの週に同性婚を登録するための変更を行ったことを明らかにしました。パントは、「23年間の闘争の後、この歴史的な成果を得て、ついにシュレンドラ・パンデイとマヤ・グルンが地方行政事務所で結婚を登録できた」と述べ、この歴史的な結婚登録に立ち会いました。

法的障壁の克服:シュレンドラ・パンデイとマヤ・グルンの愛の物語

シュレンドラ・パンデイとマヤ・グルンの物語は、愛と決意の象徴です。彼らの関係は、2015年に始まりました。それは、一目惚れから始まった恋でした。しかし、彼らの愛は、ただのロマンスにとどまらず、ネパールの社会的および法的な枠組みに挑戦する旅となりました。

彼らの関係は、特に家族の承認を得ることに苦労しました。異なる文化的背景と社会的期待を乗り越え、2人は互いの家族からの理解と支持を得るために時間をかけました。このプロセスは、彼らの絆をさらに強固なものにし、彼らの関係を深める重要な要素となりました。

2017年、パンデイとグルンは、ヒンドゥー教の伝統に従い、友人や家族が見守る中、寺院で結婚式を挙げました。しかし、この時点では、彼らの結婚はネパールの法律によって公式には認められていませんでした。結婚式は、彼らの愛の公的な宣言であり、彼らの関係をさらに公式化するための第一歩でした。

結婚式の後、パンデイとグルンは夫婦としての生活を始め、彼らのペットの犬、スルと共に暮らしました。しかし、彼らの関係が法的に認められるまでの道のりは険しいものでした。彼らは、結婚を登録するために地方裁判所と高等裁判所に申請しましたが、2度とも拒否されました。これらの挫折にもかかわらず、彼らは諦めず、最終的にはネパールで初めての同性婚を登録することに成功しました。

この成功は、単に法的な文書に署名すること以上の意味を持っています。それは、愛があらゆる障壁を乗り越えることができるという証明であり、ネパールのLGBTQ+コミュニティにとって大きな勝利でした。パンデイとグルンの物語は、愛と持続性の力を示し、多くの人々にインスピレーションを与えるものです。LGBTお部屋探し

ネパールのLGBTQ+コミュニティの反応と影響

シュレンドラ・パンデイとマヤ・グルンの結婚登録は、ネパールのLGBTQ+コミュニティにとって、非常に関心の高いニュースになりました。そして、この歴史的な出来事は、長年の闘争と希望の象徴となり、多くの人々に感動と勇気を与えました。

ネパールのLGBTQ+コミュニティは、このニュースを熱狂的に祝福しました。多くの人々が、ソーシャルメディアや公の場で、このカップルの勇気と決意を称賛し、彼らの成功を自分たちの勝利として受け止めました。この出来事は、ネパールにおける同性愛者の権利の進展を示すものであり、多くの人々に新たな希望を与えました。

また、この結婚登録は、ネパールの社会におけるLGBTQ+の存在と権利をより広く認識させるきっかけとなりました。これまで、多くのLGBTQ+の人々は、社会的な偏見や法的な制約により、自分たちのアイデンティティを隠すことを余儀なくされていました。しかし、パンデイとグルンの成功は、彼らに自分たちのアイデンティティを誇りに思い、公に表現する勇気を与えました。

この出来事は、ネパールのLGBTQ+コミュニティにとって、彼らの権利と存在が社会に認められる重要な一歩となりました。同性愛者の権利のために長年闘ってきた活動家たちは、この成功を通じて、彼らの努力が報われたことを感じました。また、これは、ネパールの社会全体に対して、多様性と包摂の重要性を再認識させる機会となりました。

アジアにおける同性婚の進展

ネパールが同性婚を認めたことで、アジアで2番目に同性婚を合法化した国となりました。最初にこの歩みを示したのは台湾で、2019年に同性婚を合法化しました。台湾の決定は、アジア全体におけるLGBTQ+の権利のための重要な勝利であり、他の国々に対しても大きな影響を与えました。

ネパールのこの進展は、アジアの他の国々における同性婚の合法化の可能性を示しています。例えば、タイは現在、同性婚を合法化するための法案を検討中であり、近い将来、アジアで3番目に同性婚を合法化する国になる可能性があります。タイの内閣は、この法案を支持し、それが議会で討議されることを承認しました。

これらの動きは、アジアにおける社会的および文化的な変化の一部であり、地域全体におけるLGBTQ+の権利の進展を示しています。伝統的に保守的な社会観を持つアジアの国々において、同性婚の合法化は、社会の多様性と包摂性を受け入れる方向への重要な一歩です。

ネパールと台湾の例は、アジア全体におけるLGBTQ+の権利のための闘争に新たな希望をもたらしています。これらの国々の進展は、他のアジア諸国に対しても影響を与え、同性愛者の権利のための更なる進展を促す可能性があります。アジアにおける同性婚の合法化の波は、地域全体の社会的および法的な枠組みにおいて、重要な変化をもたらすことが期待されています。

関連記事: