香港の最高裁判所が同性関係の法的承認を政府に命じるという歴史的な判決を下しました。この判決は、長年にわたるLGBTQ+の権利を求める闘争の中での大きな前進となります。

アジア全体での同性婚の法的認知はまだ限定的であり、香港のこの最新の動きは、地域全体におけるLGBTQ+の権利の進展と認識の変化を示唆するものとして、国際的にも多くの注目を集めています。

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初めに

当社IRISでは、多様な性の形を受け入れ、様々な社会的マイノリティを記すためにLGBTsという表現を用いていますが、本記事では参考サイトがLGBTQ+を使用している為、LGBTQ+と表記しております。

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香港最高裁、同性関係の法的承認を命令

香港の最高裁判所、香港終審法院は、同性関係を法的に承認するよう香港政府に命令しました。この歴史的な判決は、同性婚を直接的に認めるものではありませんが、同性カップルの関係を法的に認識する「代替的な枠組み」の提供を求めるものとなっています。

判決の中で、最高裁はLGBTQ+のカップルが「劣等な階級の人々としての感覚を払拭するための正当性の感覚」を持つ必要があると述べました。この判決は、同性カップルの関係が「承認に値しない」という認識を変えるための重要な一歩となります。

香港政府は、この判決を受けて、2年以内に同性関係の法的承認のための制度を実施するよう命じられました。しかし、海外で行われた同性婚の完全な承認や平等性に関する訴えは、一致して却下されました。

この判決は、香港の最高裁が同性婚について初めて直接的に判断したものとなります。香港での同性愛は1991年に非犯罪化され、以降、LGBTQ+の権利の向上や同性カップルの権利のための法的挑戦が続いてきました。

この歴史的な判決は、香港のLGBTQ+コミュニティにとって、平等な権利と承認を求める長い戦いの中での大きな前進となるでしょう。

岑子杰さんの5年間の法的闘争

岑子杰さんは、香港の民主活動家として知られるだけでなく、同性婚の権利を求める闘争の中心的な存在でもあります。岑子杰さんは10年前にニューヨークで結婚し、その結婚を香港でも法的に認められるよう求めてきました。

2018年、岑子杰さんは香港の「特別行政区」としての地位を考慮し、海外での同性婚の承認を求める司法審査を申し立てました。岑子杰さんの主張は、現行の禁止措置が彼の平等権を侵害し、したがって違憲であるというものでした。

しかし、2020年の9月と2022年の8月に、下級裁判所は彼の訴えを却下しました。それにもかかわらず、岑子杰さんは諦めず、その後、最高裁への上訴の許可を得ることができました。

岑子杰さんの闘争は、香港における同性婚の法的地位やLGBTQ+の権利に対する認識を変えるための重要なステップとなっています。

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コミュニティからの反応

香港最高裁の判決は、LGBTQ+コミュニティ内外でさまざまな反応を呼び起こしました。

香港結婚平等の法的アドバイザーであるAzan Marwah氏は、この判決を「完全な勝利」とは評価しないものの、LGBTQ+コミュニティにとって「大きな前進」とみなしています。Azan Marwah氏は、判決がコミュニティ全体の勝利であり、実際の変化をもたらす可能性があると述べました。さらに、政府にとっての最も簡単な方法は、他の国々の法律を模倣して、実質的に同性婚を提供することだと彼は指摘しています。

一方、香港結婚平等のキャンペーンマネージャー、Esther Leung氏は、この判決が同性カップルに対する適切な尊重と保護を求める明確な勝利であると評価しています。しかし、Esther Leung氏は、判決が「結婚における完全な包含」という実際の問題には及ばないとも付け加えています。

これらの反応は、香港のLGBTQ+コミュニティとその支持者が、今後の法的進展と社会的変化に大きな期待を寄せていることを示しています。

アジアにおける同性婚の現状

アジアの国々の中で、同性婚の法的認知はまだ限られた地域でしか進んでいません。

台湾はアジアで最初に同性婚を合法化した国として知られています。2019年に法律が施行され、多くの同性カップルが結婚の自由を喜びました。台湾の決定は、アジア全体でのLGBTQ+の権利向上のための重要な一歩として受け止められました。

ネパールも、同性婚を合法とする動きが進行中であり、近い将来に法的認知が実現する可能性が高まっています。

一方、インドの最高裁判所は現在、同性婚を許可するかどうかを検討中です。この討論は、インド全体のLGBTQ+コミュニティの権利と承認に関する大きく影響するでしょう。

さらに、韓国の議会では、同性婚を承認する法案が最近導入されました。これは、同性カップルの権利に関する法的挑戦の結果としての動きです。

しかし、多くのアジアの国々では、同性婚やLGBTQ+の権利に関する法的認知や社会的受容はまだ遠いと言えます。ですが、各国での動きや討論は、アジア全体でのLGBTQ+の権利向上のための希望の兆しとなっています。

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人権弁護士、Wong Hiu-chong氏のコメント

香港最高裁の同性関係の法的承認に関する判決について、人権弁護士のWong Hiu-chong氏もコメントを寄せました。

Wong Hiu-chong氏は、この判決を「LGBT権利の保護に向けた重要な一歩」と評価しています。しかし、Wong Hiu-chong氏は変化が実現するまでの2年という期間について懸念を示しており、それが長すぎると感じています。Wong Hiu-chong氏は、政府に対して、この「寛大な時間枠」を遵守し、先延ばしにしないようにとの期待を込めてコメントしています。

Wong Hiu-chong氏の意見は、多くのLGBTQ+コミュニティのメンバーや支持者が感じている緊急性と期待を反映していると言えるでしょう。

まとめ

香港の最高裁判所は、同性関係の法的承認を政府に命じましたが、完全な結婚の平等性には至りませんでした。この判決は、民主活動家である岑子杰さんの5年間の法的闘争の結果として下されました。

香港のLGBTQ+コミュニティや支持者からは、この判決を歓迎する声やさらなる進展を求める声が上がっています。アジア全体では、同性婚の法的認知はまだ限定的であり、各国での動きや討論が続いています。人権弁護士のWong Hiu-chong氏は、判決を歓迎しつつも、変化が実現するまでの期間が長いとの懸念を示しています。

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