日本各地でLGBTQに対する理解と支援の動きが加速しています。北海道の室蘭市から鳥取県、そして大分市まで、多くの自治体がパートナーシップ宣誓制度の導入や改善を進めており、これにより多様な家族の形や愛の形が公的に認められるようになってきました。
この記事では、最近の各地の取り組みや動向を詳しく紹介します。
初めに |
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当社IRISでは、多様な性の形を受け入れ、様々な社会的マイノリティを記すためにLGBTsという表現を用いていますが、参考元がLGBTQを使用している為、本記事でもLGBTQと表記しています。 |
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北海道室蘭市:パートナーシップ制度の検討開始
北海道の室蘭市が、同性のカップルを公的に認知する「パートナーシップ宣誓制度」の導入を目指して動き出しました。8日に市役所で開催された「パートナーシップ制度検討委員会」の第1回会合では、この新しい制度の詳細や、他の地域での導入事例を基に、どのような形で室蘭市が制度を取り入れるかについての議論が行われました。
市は、来年4月の正式な導入を視野に入れており、今後の議論の進展が注目されます。
福島県伊達市:パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度の導入
福島県の伊達市は、新たな取り組みとして「伊達市パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」の開始を発表しました。この制度の導入は、来年1月4日からとされており、福島県内では初の試みとなります。以前からこの制度の検討が進められていたものの、14日の市議会で正式に制度の開始時期が明らかにされました。
この新制度により、宣誓を行ったカップルは、公営住宅の入居や保育園・幼稚園の入園、税関係の証明書の申請など、様々な行政サービスを利用することが可能となります。伊達市は、市の男女共同参画審議会の意見を基に、制度の詳細を年内にまとめ、公開する予定です。また、伊達市が掲げる「多様な価値を尊重する社会の実現」を目指すプランの一環として、この制度が導入されることとなりました。
福島県のLGBTQ施策の背景
福島県は、LGBTQに対する施策の取り組みにおいて、先進的な動きを見せています。一見、保守的な地域と受け取られがちな福島県ですが、2017年には全国の都道府県として初めて、性的マイノリティに対する理解を深める具体的な取り組みを盛り込んだ男女共同参画基本計画を策定しました。
この取り組みの背後には、ジェンダー・セクシュアリティ研究者であり、当事者でもある福島大の前川直哉准教授の影響が大きいとされています。前川准教授は「ダイバーシティふくしま」の共同代表としても活動しており、地域の自治体へのアドヴォカシーを続けてきました。また、11月4日には「第4回ふくしまレインボーマーチ」の開催も予定されており、福島県内でのLGBTQに対する理解と支援の動きが盛り上がっています。
京都市:選択的夫婦別姓と同性婚の法制化を求める動き
京都市では、選択的夫婦別姓と同性婚の法制化を求める声が高まっています。9月6日には、市民団体や関連組織が西脇隆俊府知事に対して、国への要望書を提出しました。この要望書は、新たに結成された一般社団法人「あすには」や「結婚の自由をすべての人に」訴訟関西原告の坂田麻智さんや坂田テレサさんによって手渡されました。
最近の調査によれば、選択的夫婦別姓に「賛成」する30代以下の人々は7割を超え、同性婚の法制化に「賛成」する人々は75%に上るとされています。これを背景に、「あすには」は2025年までに選択的夫婦別姓の法制化を含むジェンダー平等社会の実現を目指して活動を展開しています。
井田奈穂代表は、日本のジェンダー平等が遅れている背景や現状の問題点を指摘し、「選択的夫婦別姓と同性婚の法制化は、ジェンダー平等社会への第一歩」との考えを強調しました。また、坂田麻智さんは、「法制化によって幸せな人が増えるだけ」と述べ、夫婦別姓と同性婚の早期実現を訴えました。
開催も予定されており、福島県内でのLGBTQに対する理解と支援の動きが盛り上がっています。
鳥取県:「とっとり安心ファミリーシップ制度」の導入
鳥取県は、新しい「とっとり安心ファミリーシップ制度」の導入を発表しました。この制度は10月1日から開始され、宣誓したカップルが親や子の氏名も証明書に記載できる特徴を持っています。都道府県レベルでのファミリーシップ制度の導入は、鳥取県が初となります。
平井伸治知事は、カップルが直接県庁に出向いて宣誓することの難しさを以前から指摘していました。この新制度では、カップルは「宣誓」の代わりに電子申請や郵送での「届出」を選択できるようになります。さらに制度を利用したカップルは、県立病院での病状説明や県営住宅への入居など、多くの行政サービスを受けられるようになります。
鳥取県は、市町村との連携を強化し、地域全体でのサービス提供を目指しています。現在、19の市町村のうち17がこの制度との連携を承諾しており、その中の5つの市町村は10月1日からサービスを開始する予定です。
大分市:パートナーシップ宣誓制度の運用開始
大分市は、新たな「パートナーシップ宣誓制度」の運用を開始しました。この月から制度が始まり、14日には大分市在住の男性カップルが宣誓を行い、県内での制度の初めての利用者となりました。
この制度の導入は、多様な家族の形や愛の形を認知し、それぞれのカップルが公的に認められることの重要性を示すものです。大分市の取り組みは、他の自治体にとっても参考となるでしょう。
自治労連のジェンダー平等宣言:LGBTQへの差別解消の取り組み
全国自治体労働組合連合会(自治労連)は、ジェンダー平等に関する新たな宣言を発表しました。この宣言では、LGBTQに対する差別を解消するための具体的な取り組みが明示されています。
自治労連は、全国の自治体労働者を代表する組織として、ジェンダー平等の実現を目指しています。新たな宣言は、その取り組みの一環として、LGBTQの権利を保護し、差別をなくすための方針を示しています。具体的には、職場での差別やハラスメントを防ぐための教育や啓発活動を強化すること、LGBTQの権利を尊重するための制度や施策の導入を推進することなどが挙げられています。
この宣言は、自治労連がLGBTQの権利を重視し、その実現に向けて積極的に取り組む姿勢を示すものとして、多くの関心を集めています。
まとめ
日本全国でのLGBTQに対する取り組みは、日々進化し続けています。多くの自治体がパートナーシップ宣誓制度の導入や改善を進める中、それぞれの地域が独自の特色やニーズに応じた施策を展開しています。
福島県の男女共同参画基本計画や鳥取県のファミリーシップ制度など、各地での取り組みは多様性を尊重し、差別をなくす方向へと進んでいます。
今後も、全国の自治体や関連組織の取り組みを通じて、より多くの人々が自分らしく生きることができる社会の実現に向けた動きが期待されます。
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