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本記事では、同性愛とは何か当事者の実体験を含めながら解説していきます。
初めに |
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IRISでは、あらゆるマイノリティが暮らしやすくなることを目指すという意味から「LGBTs」と表記していますが、今回は一般的な「LGBT」について解説するため、表記が混在しております。 |
同性愛とは?
同性愛とは、男性同士や女性同士の性愛関係や性的指向を意味します。同性愛の性質を持っている方のことを同性愛者と言い、英語ではHomosexual(ホモセクシュアル)と表現します。
日本においては、ゲイとレズビアンが同性愛の性質を持つセクシュアリティであり、同性愛者となります。同性愛者と異性愛者の違いは、同性に惹かれるか、異性に惹かれるかの違いになります。
同性愛はかつて多くの国や地域で違法または異端視されていましたが、1990年に世界保健機関(WHO)は同性愛を疾病及び関連保健問題の国際統計分類(ICD)から削除し、病気とみなす見解を改めました。これにより、同性愛に対する社会的な認識に大きな変化が生まれました。
ゲイ(男性同性愛者)
ゲイとは、男性として男性に恋愛感情や性的魅力を感じることがあるセクシュアリティです。よく、ゲイの男性は心の性別が女性だから男性に惹かれると考えられる方がいるのですが、ゲイの男性は、心の性別も男性であり、男性として男性に魅力を感じられています。心の性別が女性だから、男性に惹かれるわけではありません。
身体的男性で、心の性別が男性以外で男性を好きになるのは、ゲイとはまた違ったセクシュアリティやジェンダーになります。例えば、身体的に生まれ持った性別が男性であり、心の性別が女性の場合には、トランスジェンダーになり、ゲイとはまた異なる存在になります。
「ゲイ」という単語の英語における文献での初出は、オックスフォード英語辞典によると1935年です。ヴィクトリア朝のイギリスでは、売春婦や男娼が「Gay(ゲイ)」と呼ばれていました。これはゲイの男性が「Gaily(ゲイリー)」、つまり派手や華やかに着飾っていたことに由来します。この使い方が発展し、男性の同性愛者を指す言葉としてゲイが使われるようになりました。
レズビアン(女性同性愛者)
男性として男性に恋愛感情や性的魅力を感じるゲイに対し、女性として女性に恋愛感情や性的魅力を感じるのがレズビアンとなります。レズビアンもゲイ同様に、心の性別が男性だから女性を好きになっているわけではなく、女性として女性に魅力を感じています。
「レズ」という言葉の語源はギリシアのレスボス島に由来しています。この島には古代ギリシア時代に詩人サッポーが住んでいました。サッポーは少女の教育を担当する宗教的女性結社の指導者であり、アプロディタ女神への讃歌や官能的な恋愛の詩を数多く作成しました。サッポーの詩は恋愛詩の閨秀詩人として古代において著名で、特に女性へ宛てた恋愛詩が男性へのものよりも多かったため、その名が同性愛者を指す言葉として用いられるようになりました。
日本では「レズ」という略語がよく用いられますが、レズという表現には、侮蔑的なニュアンスが含まれているため、最近では、ビアンと表現することが多くなってきました。ビアンという言葉はフランス語の「Bien(ビアン)」から来ており「素敵」という意味があります。
同性愛の定義
アメリカ心理学会とアメリカ精神医学会によれば、同性愛は性的指向の一形態であり、先天的なものとされています。同性愛は、同性に対して性的、愛情的、またはロマンチックな魅力を感じる持続的なパターンを指し、性的行動に限定されるものではありません。
同性愛にはパートナーシップにおける共有の目標や価値観、相互支援、持続的な関係努力、非セクシャルな物理的な愛情表現も含まれます。
同性愛感情の有無
同性愛感情を持っている、または持っていたことがある人を「同性愛者」と定義する考え方があります。同性愛に抑圧的な国や文化では、同性愛感情を隠す傾向があります。そのため、実際には同性愛者の割合は一定であるが、公にする人の割合が異なるだけなのではないかという考え方があります。
確実なこととして、同性愛者が人口の100%または0%を占める文化は存在しないとされています。欧米の2006年の匿名調査では、20%の人が同性愛感情を経験したことがあると報告していますが、自らを「同性愛者」と認識している人は少ないとの結果が出ています。(参考:McConaghy et al., 2006)
同性愛感情の素因
心理学者のジームクント・フロイトの見解では、人間の性的指向は生まれつき特定の対象に固定されているわけではなく、発達過程で様々な経験を通じて異性愛や同性愛へと向かうと考えられています。フロイトはこの理論を基に、どの文化でも抑圧がなければ多くの人が同性愛的経験を持つ可能性が高いとも指摘しています。
この定義に基づくと、「同性愛者」と「異性愛者」というカテゴリーは厳密には背反的ではなく、多くの人が「両性愛者」と見なすことも可能です。狭義での「同性愛者」、つまり生物学的に同性以外に恋愛感情を持ち得ない人は実際には少数であるとされています。現代の研究においては、人口の10パーセントを超えるとする報告は一般的ではなくなっています。
同性間の性行為を経験した人
同性同士での性的行為の有無によって同性愛者であるか区別するという考え方もあります。ただし、日本語の「同性愛」という言葉は「愛」を含んでおり、愛情や感情に焦点を当てるべきであるため、この考え方には言語的な問題が存在します。さらに、異性愛者は性行為の経験の有無にかかわらずそう呼ばれるのに対して、同性愛者の定義を性行為に限定するのは非対称的であり、この考えが多数派の視点を反映している可能性があります。
同性愛を性行為の有無で定義する方法は、その明確さから科学的に優れた尺度だと考える人もいます。しかし、このアプローチには問題があります。
- 同性間の性行為は、分野や制度的に強く規制されることも多く、感情という内面的なものに比べて、文化や制度が影響しやすい
- 同性間の性行為に及ぶに必要とされるパートナーは、人口密度の低い地域では全く見つけられない可能性がある
そのため、同性愛の生物学的な側面を検討する上では、この定義は役に立たないと考える人もいます。同性同士での性行為は、必ずしも同性愛感情に基づくものではなく、限定的な状況から発生することがあります。例えば、制度的な圧力、売春、性的暴行、または異性との接触機会が限られている環境(刑務所や寄宿舎など)で行われることがあります。
これらのケースは「機会的同性愛」と呼ばれ、統計上のデータに歪みを生じさせる要因となることが指摘されています。この理由から、同性愛を性行為の有無で定義する方法には限界があるとされるのです。
同性に対して性欲を感じる人
同性に対して性欲を感じる人というのは、同性に性欲のみを感じる人で恋愛感情は持たない人のことです。多くの場合、同性愛者の場合は「同性愛には含めない」と考え、異性愛者から見ると「同性愛の一種」と考える人が多いようです。
見解によれば、同性に性欲を感じることは、必ずしも恋愛感情を伴うわけではなく、生理的な反応として性的魅力に反応しているに過ぎないとされます。したがって、これをもって実質的な同性愛とはみなさないという意見があります。異性愛者が異性のグラビアに対して恋愛感情を抱かないのと同様に、性的魅力の対象を見たときの生理的反応と考えることができます。
異性愛者の視点では、同性愛者の人々は同性に対して性的な感情を抱いていると捉えることから、同性に性欲のみを感じる人を同性愛の一形態とみなす場合が多いです。この考えは、同性愛者は常に何らかの形で同性を感情的、性的な対象として意識しているという固定観念に基づいています。
日本の同性愛
日本における同性愛の歴史
同性愛という言葉を聞くようになったのはつい最近のようですが、日本における同性愛の歴史は古代まで遡ることが可能です。
明治時代より前の日本では、同性愛を制限する法律は存在せず、寺院などでは男色がほぼ公然と行われていたことが伝えられます。寺院では女人禁制の掟があったため、女性との性交渉は禁じられていましたが、同性間の性交渉については特に禁じる掟はなく、このような環境が同性を性的対象と見なす機会を増やしていたとされます。
1872年の明治初期には、西欧キリスト教社会の影響を受け、同性愛行為の中で肛門性交(鶏姦)だけが違法とされましたが、1880年に制定された旧刑法ではこの規定は盛り込まれず、撤廃されました。日本は性的マイノリティ男性の迫害や逮捕の歴史が少なく、政府による明確な差別もほとんど見られなかったとされます。一方で、性的マイノリティ女性に関する歴史的資料は少なく、家父長制的な社会背景による抑圧の可能性が指摘されています。
詳細な日本の同性愛の歴史は『日本における同性愛の歴史を分かりやすく解説!』をご覧ください。
日本社会における同性愛の受容と課題
日本における同性愛に対する国民の見方は、年々肯定的に変化しています。電通総研の調査によると、2005年には同性愛を認める人が40%であり、その後10年ごとに10%ずつ増加しています。さらに、ピュー・リサーチ・センターの2013年の調査では、同性愛を認める回答が全体で54%に達しました。特に若年層では支持が高く、18歳から30歳未満で83%、30歳以上50歳未満で71%が同性愛を肯定しており、50歳未満の層では約8割が支持しています。
日本では同性婚は現行法で認められておらず、G8国の中で同性婚が認められていないのは、ロシアと日本だけです。そのため、日本は、LGBTに関する法整備が遅れているとされます。しかし、渋谷区や世田谷区などの一部地方自治体では、2015年から同性パートナーシップ証明書を発行するなどしています。また、企業レベルでは、同性パートナーを保険の受取人に指定できるなど、LGBTを支援する動きが見られます。
自治体や病院の方針により、パートナーシップ制度により回避することができる場合もありますが、同性パートナーが入院した際に、配偶者としての法的な認知がないために、安否情報や治療内容の説明を受けることができず、面会も制限されることもあります。実際、私のパートナーが2週間ほど入院したのですが、関係性の証明ができないため、面会することができませんでした。また、夫婦であれば臓器移植が可能ですが、同性パートナーの場合は、夫婦同等の関係になることができないため、パートナーが臓器移植が必要な場合でも、ドナーに名乗り出ることができません。夫婦同等の関係になれないというのは、非常に苦しい問題です。
世界と同性愛
世界と同性愛の歴史
古代ギリシャでは男色(少年愛)が一般的な文化の一部として存在していました。特にアテナイでは、同性愛が公然と行われ、プラトンの著作においても頻繁に取り上げられています。例えば、『プロタゴラス』や『饗宴』、『パイドロス』などの作品で、男性間の恋愛が描かれています。また、テーバイの精鋭部隊「神聖隊」は、男性の恋人同士で構成されるという特徴があり、その強固な絆が隊の強さに寄与していたとされています。
1969年6月28日未明、ニューヨーク市のグリニッジ・ヴィレッジにあるゲイバー「ストーンウォール・イン」で警察の手入れが発生し、これが原因で数千人が参加する「ストーンウォールの反乱」と呼ばれる暴動が起こりました。この事件は、世界中でLGBTの権利を求める動きを加速させる契機となり、翌年にはこの出来事を記念して最初のプライド・パレードが行われました。1989年にはデンマークで世界初の登録パートナーシップ法が成立し、10月1日に施行されました。
1990年5月17日、世界保健機関(WHO)は、同性愛を疾病とする国際統計分類(ICD)から除外し、同性愛を病気ではないと公式に宣言しました。2001年4月1日、オランダで世界初の同性結婚法が施行され、異性間の結婚と完全に同等の法的承認を同性カップルに提供しました。
アイスランドのヨハンナ・シグルザルドッティルは2009年2月1日に首相に就任し、レズビアンであることを明かした世界初の国家首脳となりました。2010年6月27日には同性のパートナーと結婚し、同性結婚をした最初の国家首脳となりました。2019年5月17日、台湾が初めてアジアで法的に同性婚を認めました。
より詳細な世界の同性愛の歴史は『世界の同性愛の歴史のまとめ』をご覧ください。
世界の同性愛と法や政治に関して
世界では、同性愛が合法な国もあれば違法な国もあります。合法地域には同性結婚を認めている地域(スペイン、オランダ、カナダなど)と、パートナーシップ制度を認めている国(ドイツやオーストラリアなど)が含まれます。一方、違法でないものの、同性カップルを社会制度上認めていない地域もあります。例えば日本では法的なパートナーシップ制度はないものの、養子縁組を通じて一定の法的保護を受けることが可能です。
南アフリカ共和国は、1996年に新憲法を制定し、アパルトヘイトの禁止とともに、性的指向に基づく差別も禁止しました。これにより、同性愛者と異性愛者に対する差別が法的に禁じられることとなりました。
一方で、サウジアラビアをはじめとする多くのイスラム国では、同性愛は違法であり、重罪と見なされることが多いです。これには死刑が適用されることもありますが、世俗主義を採るイスラム国家、例えばトルコやインドネシアでは、同性愛が合法です。
2008年12月に国際連合総会で採択された「性的指向と性自認に基づく差別の撤廃と人権保護の促進を求める」声明は、LGBTに対する国際的な支持を象徴する重要な出来事でした。この声明に賛同した国は66ヶ国あり、その中でアジアから賛同したのは日本のみでした。これは、アジア地域において性的少数者の権利が十分に認識されていない現状を反映しています。
また、アメリカ合衆国が初めはこの声明に賛同しなかったことは注目されますが、オバマ政権に移行後、方針が転換し賛同するようになりました。これはアメリカの国内政策が大統領の政権や政策によって大きく変わる可能性があることを示しており、同時にLGBTの権利に対する国際的な姿勢がどのように進化していくかの一例と言えるでしょう。
インドにおける同性愛の法的地位は、歴史的に複雑な変遷を遂げています。イギリス領インド帝国時代に制定された刑法377条は、同性間の性行為を「不自然な犯罪」と定義し、終身刑を含む重い罰を課していました。この法律は、長い間インドのLGBTにとって大きな抑圧となっていました。
2008年に国連が性的指向に基づく差別の非違法化を全世界に推奨した後、インド国内でも同性愛の合法化に向けた議論が進みました。そして2009年には、デリー高等裁判所が、成人間の同意に基づく同性間の性行為を犯罪行為から除外することを決定しました。
しかし、この判決は2013年にインド最高裁判所によって覆され、同性愛行為の犯罪化が再び確認されました。これには国内外から大きな批判が寄せられました。最終的に、2018年にインド最高裁判所は再びこの問題を審理し、刑法377条の該当部分を無効とする判決を下し、同性間の性行為を犯罪ではないとする最終判決を言い渡しました。これにより、インドでは法的に同性間の性行為が合法化されました。
日本では、1872年(明治5年)に「鶏姦律条例」が、続いて1873年(明治6年)には「改定律例」が制定され、これにより男性同士の肛門性交(鶏姦)が犯罪とされ、懲役刑が適用されることとなりました。しかし、1880年(明治13年)に新たに制定された旧刑法(1882年1月1日施行)では、これらの規定は削除されました。以降、日本の法律の下では同性愛が犯罪とされることはありません。しかし、同性結婚については法的な認識がされておらず、G7諸国(フランス、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本、イタリア、カナダ)の中で同性結婚やシビル・ユニオンが法制化されていないのは日本だけです。
2013年、ロシアでは同性結婚が法的に認められておらず、同性愛が異性愛に比べて劣るとされています。この年の6月30日には、ウラジーミル・プーチン大統領が同性愛に関する宣伝行為を罰する法律に署名しました。この法律は、同性愛と異性愛の関係が「社会的に同等」であるとする「誤った理解」を未成年者に広めた者に対して、最大で5000ルーブル(約1万5000円)の罰金を課す内容となっています。この規制は外国人にも適用され、罰金の支払いだけでなく、身柄の拘束や国外退去も含まれる可能性があります。
同性愛と宗教について
同性愛に対する宗教的な見解は、地域や宗派によって異なりますが、一般的には日本のように比較的寛容な文化とは異なり、欧米の多くの伝統的文化では否定的に捉えられています。
特にアブラハムの宗教に属するいくつかの宗派では、同性愛は禁じられています。この欧米における否定的な見方は、多くの場合、宗教的倫理に基づいています。
キリスト教
キリスト教の中で、保守的な宗派はしばしば、新約聖書の一部の節を引用して同性愛を罪と見なしています。特に中世から近代にかけてのヨーロッパでは、この観点から同性愛者に対する迫害が行われ、多くが処刑されました。
しかし、現代では同性愛を自然な存在と捉え、同性間の関係を認める宗派も存在します。2020年、カトリック教会の教皇フランシスコは同性カップルのパートナーシップを支持する発言をし、注目されました。
イスラム教
イスラム教の中には、『クルアーン』に基づき同性愛に否定的な立場を取る信者もいます。特に、『クルアーン』の一部の節では預言者ルートが男性に性的な感情を持つ人々を非難しています。
そのため、イスラム国家の中には同性愛を法的に罰するものもあり、中には死刑を適用する厳しい国も存在します。
ただし、文化的な差異により、同性愛が許容された時代や地域も古代イスラームにはあり、芸術や文学にその名残を見ることができます。現代には、同性愛差別に反対するムスリムも増えており、支援団体もできてきました。
仏教
仏教では、『正法念処経』に記された多苦悩処という地獄が、同性愛者が落ちるとされる場所として言及されています。ここは不倫やその他の性的行為に関連する地獄と並べて設定されているもので、迦才の『浄土論』や源信の『往生要集』においても言及があります。
ヒンドゥー教
ヒンドゥー教においては、性の二元性を超えた神格、例えばアイヤッパンやアルダーナリシュヴァラが存在するものの、地上での同性愛に対しては一般的に否定的な立場がとられています。特に『マヌ法典』などの古典的法典では、同性愛行為に対して罰金やカーストからの追放といった厳しい罰が規定されています。
神道
神道は教祖や教典が存在しない日本の宗教で、特定の戒律がないため同性愛をタブーとしていません。神道においては、禁止されている行為は基本的には存在せず、同性愛を罪とする文化的な根拠は薄いです。
また、神道における「神」の解釈は宗派や教義によって異なり、一貫性を持たないため、何が真実であるかは信者の解釈による部分が大きいとされています。
まとめ
本記事では同性愛について広く解説させていただきました。『日本の同性愛の歴史』と『世界の同性愛の歴史』を読むとより深く同性愛について理解できると思います。
ぜひ読んでみてください。とても長い記事となりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。