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同性パートナーシップ制度とはどんな制度?

LGBTs

こんにちは!LGBTs当事者による、LGBTsフレンドリーな不動産会社IRISのヨシヒロです。

2015年11月渋谷区と世田谷区で日本初の同性パートナーシップ制度が始まってからまもなく6年が経過します。
同性パートナーシップ制度という言葉を聞いたことはあるけど、詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。
今の記事では同性パートナーシップ制度とはどんな制度なのか解説していきます。

同性パートナーシップ制度とはどんな制度?

同性パートナーシップ制度とは、婚姻関係を結べない戸籍上同性のカップルに対して、結婚と同等の関係であることを地方自治体が認め、証明書を交付する制度です。

結婚と大きく違うのは、同性パートナーシップ制度には法的な効力がないことです。
同性パートナーシップ制度を利用しても、法的に配偶者(家族)にはなれません。
また同性パートナーシップ制度は地方自治体の制度に過ぎないため、他の自治体へ引っ越す場合には証明書を返却する必要があります。

同性パートナーシップ制度の名称について

実は制度の名前は1つに定められているわけではありません。
「同性パートナーシップ証明制度」という名称からはじまり、「パートナーシップ制度」、「同性パートナー制度」、「パートナーシップ宣誓制度」など自治体によって呼び方は様々です。
さらに、2者だけではなく、子どもを含めて家族であることを地方自治体が証明してくれる「ファミリーシップ(宣誓)制度」を導入する自治体もでてきました。

制度名に「同性」を付けた方がよいのかは判断が難しい面があります。
LGBTsの人の中には、男女のどちらかに割り切ることが難しい場合もありますし、男女間での事実婚(内縁関係)の人でも利用できる制度になっている場合もあります。

LGBTsについて詳しくは下記の記事をご覧ください。
チェック → 「LGBT」ってなんと読む?多彩な「LGBTs」を解説

そんな中、あらゆるSOGIEでも全て認めるという制度も登場しています。
「パートナーシップ・ファミリーシップ制度」を運用する明石市の説明を引用します。

いわゆる同性カップルや事実婚カップルだけでなく、性自認が男女に二分されない方、Xジェンダー、ジェンダークィア、ノンバイナリーなど、またパンセクシュアル、アセクシュアルなど、どんな性別、どんなSOGIEの方もご利用いただけます。

LGBTsに対する配慮が素晴らしい制度だと思います。
明石市のように同性間に限っていない場合もありますが、この記事では「同性パートナーシップ制度」という名称を使わせていただきます。

同性パートナーシップ制度のメリット

同性パートナーシップ制度を利用した場合のメリットは下記の通りです。

  • 公営住宅に2人で入居できるようになる
  • 民間の保険、金融、通信などの家族向けサービスが利用できるようになる
  • 病院で家族と同等の扱いをしてもらえることが期待される

順番に解説していきます。

・公営住宅に2人で入居できるようになる
通常、同性カップルは法的には家族と認められないため入居できないところを、パートナーシップの証明書があれば公営住宅に入居できるようになります。
証明書によって一般的な家族と同様に扱ってもらえるのは公平で嬉しいことです。

LGBTsが部屋を探すことの大変さは、下記の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
チェック → LGBTsと不動産の『今』が分かるLGBTsと不動産に関する記事のまとめ

チェック → 部屋探しに苦労したゲイカップルに聞く、不動産業界のリアル【LGBTが生きやすい社会への第一歩】

・民間の保険、金融、通信などの家族向けサービスが利用できるようになる
一部の携帯電話会社では、同性パートナーシップの証明書があれば、同性パートナーを家族として扱ってもらえる家族割引が使用できます。
また一部の銀行では、住宅ローンでの配偶者に同性パートナーを指定することができるようになったり、生命保険の受け取り人に、同性パートナーを指定することができるようになります。(保険会社により同性パートナーシップ証明書が必須ではない場合もあります)

・病院で家族と同等の扱いをしてもらえることが期待される
もし意識不明などで緊急入院などになった場合、患者の意思確認がとれないため一般的には親族以外の人間に医療に関する意思確認は行われません。
しかし、証明書があれば家族と同様に、患者本人に代わって手術に同意することなどが可能になったり、付き添えるようになることが期待されます。

上記以外にも、一部の大手企業では同性パートナーを家族と同様に扱えるよう社内体制を整える事例もあります。

同性パートナーシップ制度の実施方法

同性パートナーシップ制度は、2015年11月東京都の渋谷区と世田谷区の2区から始まりました。
実は自治体によって同性パートナーシップ制度の実施方法には違いがあり、大きく分けて2つのタイプにわかれます。
1つは「条例」によって同性パートナーシップ制度を実施する方法で、渋谷区型、渋谷モデルと呼ばれます。
もう1つは「要綱」によって同性パートナーシップ制度を実施する方法で、世田谷区型、世田谷モデルと呼ばれます。
それぞれ解説します。

渋谷区パートナーシップ証明

条例の正式名称は「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」。
利用条件は、2人が近親者ではなく、申請者以外の配偶者やパートナーがおらず、20歳以上で2人とも渋谷区に住んで住民登録のあること。

必要書類

  • 2種類の公正証書(合意契約・任意後見契約)
  • 印鑑登録証明書
  • 戸籍謄本
  • 住民票
  • 身分証明証

特に大変なのが公正証書の作成で、公証役場に最低2回訪問する必要があります。
公正証書の作成費用は2種類で計6万円以上かかりますが、渋谷区では助成金がでるようになりました。

公証役場以外にも、区役所に申請時、受け取り時の2回訪問する必要があり、証明書の取得には全体として数週間かかります。

世田谷区の同性パートナーシップ宣誓

利用条件はほぼ渋谷区と同じです。
申請費用は無料で、必要書類は身分証明書と戸籍抄本だけです。
とてもハードルが低いです。
全国的にはハードルの低い世田谷モデルを採用する自治体が多数となっています。

同性パートナーシップ制度の運用方法は自治体によってさまざま

同性パートナーシップ制度を利用できる条件も、自治体によって異なっています。
2人とも同一の自治体に住んでいなければ認められない自治体もあれば、2人のうちどちらか1人さえ該当する自治体に住んでいれば認められる自治体もあります。

また同性パートナーシップ制度を実施する自治体の単位も区、市、町単位がメインとなりますが、茨城、群馬、三重、大阪、佐賀は府県単位で実施しています。
現在では東京都、岐阜県でも都、県単位での導入が検討されています。
同性パートナーシップ制度が実施されている自治体、導入が検討されている自治体の一覧はこちらをご参照ください。
同性パートナーシップ・ネット

結婚と比較した同性パートナーシップ制度のデメリット

同性パートナーシップ制度は地方自治体の制度の1つにすぎないため、法的効力がありません。
そのため、

  • 法的に家族になれないため、家族扱いしてもらえない
  • パートナーは相続権がないため遺言状がなければ財産を相続できない、相続税の優遇措置がない
  • パートナーの扶養に入れず、配偶者控除が受けられない
  • パートナーが出産した子供を一緒に育てても親権を持てない
  • パートナーが外国籍の場合、在留資格が与えられない
  • パートナーに先立たれた際に遺族給付金が支給されない

といったように、婚姻関係にある夫婦に比べて保障や権利には雲泥の差があります。
実際に起きてしまった、法的な保障がないことによる同性パートナーの悲惨な事例をご紹介します。
・40年以上連れ添ったパートナーの葬儀に参列させてもらえず、亡くなったパートナーの親族に財産を奪われてしまった事例(参照:PRIDE JAPAN

・同性パートナーを殺害されてしまった人が、遺族給付金を支給してもらえない事例(参照:毎日新聞

パートナーシップ制度ができたのだから、同性婚まで目指さなくて良いのではないかという意見もあります。
しかし、日本の同性パートナーシップ制度は法的な効力がありません。
結婚の平等(同性婚)が実現されない限り、こうした悲劇は今後も起き続けてしまいます。
一般的な夫婦に比べて、LGBTsカップルは平等な権利が与えられていないのが現状です。

なぜ日本では同性間で結婚できない?

そもそもなぜ日本では同性間で結婚できないのでしょうか。
日本国憲法第24条1項に「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し」と記述され、同性間の婚姻は想定されていない、というのが同性婚ができない根拠とされています。
しかし、同性婚は想定されていないだけで、禁じるような記述はありません。
同性婚ができない現状は、法の下の平等に反しているとも言えます。

海外の同性間の婚姻事情

海外の同性カップルに対する環境を調べてみます。
世界では、29の国と地域で同性間で結婚することができます。
また、イタリアのように同性婚は認めないものの、結婚と同等の権利を与えるという方法を取っている国もあります。
G7先進7カ国で同性婚ができない、もしくはLGBTsカップルを法的に保障していないのは日本だけです。

日本で同性パートナーと法的に家族になるには

LGBTsカップルを法律で認めてくれない日本でも、法的に家族になる方法があります。
「養子縁組」です。
ドラマ「きのう何食べた?」の中でも、遺産相続のために養子縁組を選択する同性カップルが登場しました。
しかし、たとえ養子縁組ができたとしても、パートナーとは法的には親子関係になってしまいます。
また、養子縁組は、本来のパートナーとの関係性とは異なるため、抵抗感を持つ方も多いと思います。

日本で同性婚はできないものの、確実に変わりつつある

これまで日本で法的保護の対象にされてこなかったLGBTs。
ここ数年、日本においてもLGBTやSOGI(E)といった言葉がさかんに使われるようになり、性的マイノリティを認めようとする社会的機運も少しずつ高まってきています。
LGBTsをメインに扱ったドラマも登場し、「おっさんずラブ」、「きのう何食べた?」などは大ヒットしました。
また、同性パートナーシップ制度によって、結婚の平等に関して世論の注目を集めることにもつながりました。
しかし、現状では、同性パートナーシップ制度を利用しても法的な効力はなにもありません。
現実問題として、ドラマに登場する「春田と牧」あるいは「シロさんとケンジ」は決して家族と同様の権利や保障を手にして暮らせるわけではないのです。

以前から結婚の平等(同性婚)に関する裁判は複数おこなわれており、2021年3月に札幌地裁が示した「同性婚を認めないのは違憲」という判決は大々的に報道されました。
また、2021年10月現在行われている第49回衆議院選挙でも、夫婦別姓と並んで同性婚に対する立候補者の考えが注目されるようになっています。

同性婚に向けて

2015年に運用が始まった同性パートナーシップ制度は、法的効力がないため結婚には遠く及ばないものの、法の下の平等に向けた大きな一歩です。
2021年10月の最新データでは、同性パートナーシップ制度を導入している自治体数は110、人口カバー率は41.1%、交付件数は2277組にものぼっています。(参照:NIJI BRIDGE
自治体数、交付件数ともにここ数年で急激に伸びてきています。
LGBTsカップルの存在が、こうして全国の自治体に認められて増えていくことは、結婚の平等に向けた重要な流れだと思います。

LGBTs当事者であっても、同性婚の実現に向けて何かしたいけど、何をしていいか分からないという方も多いかと思います。
ここでは結婚の平等を目指すための活動や関連団体、関連情報などをご紹介させてもらいます。

LGBTsカップルに法的な保障がない現状を変えるにはどうすれば良いかを考える一助になれば幸いです。

【まとめ】同性パートナーシップ制度とは

この記事をまとめさせてもらいます。

  • 同性パートナーシップ制度とは、地方自治体が申請した同性カップルに、結婚と同等な関係であることを証明してくれる制度
  • 同性パートナーシップ制度を利用するメリットは公営住宅に住める等があるが、法的効力がない点で結婚と大きく違う
  • 制度の運用方法は大きく渋谷区型、世田谷区型の2モデルがあり、全体としては手軽な世田谷区型が主流
  • 同性パートナーシップ証明制度は、同一の自治体に2人で同棲する必要のある場合もあれば、1人だけ住んでいれば良い自治体もある
  • 最新データでは2277組に同性パートナーシップ証明制度が交付されていて、急速に伸びている

ここまで読んでいただきどうもありがとうございました。
日本でも、1日も早くLGBTsカップルに結婚と同等の権利や保障が与えられ、生きやすくなることを願っています。

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◎この記事を書いた人・・・ヨシヒロ
2021年よりライターデビュー。エスニック料理好き。より良い記事が書けるよう精進中!

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