昔と比べると、LGBTQという言葉は浸透しつつあります。「L」であるレズビアン(女性同性愛者)の存在は認知されているものの、「B」であるバイセクシュアルと混合していたり、当事者がどのように暮らし、どのような悩みに直面しているかは知られていません。
そこで本記事では、言葉の意味や日本における歴史、現状を、レズビアン当事者である筆者が解説します。
初めに |
---|
IRISでは、あらゆるマイノリティが暮らしやすくなることを目指すという意味から「LGBTs」と表記していますが、今回は一般的な「LGBT、LGBTQ、LGBTQ+」について解説するため、表記が混在しております。 |
レズビアンの基本的な理解
LGBTQとは?
LGBTQは、レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)、クィア/クエスチョニング(Queer/Questioning)の頭文字を取った言葉です。
- レズビアン:女性同性愛者
- ゲイ:男性同性愛者
- バイセクシュアル:両性愛者
- トランスジェンダー:生まれた時に割り当てられた性別と、自身で認識する性が一致しない人
- クィア:LGBTQを総称する言葉
- クエスチョニング:自身のセクシュアリティが定まっていない人
レズビアンの位置づけ
レズビアンは、LGBTQの中の「L」に該当します。性的指向が女性で、性自認も女性、つまり特別な感情を抱く相手が女性である女性のことを指します。
しかし、レズビアンの定義やカテゴリは1つではありません。その多様性を理解することは、レズビアンやLGBTQ全体への理解を深める上で欠かせない要素となります。
レズビアンの多様なあり方
セクシュアルマイノリティとしてのレズビアンは、その存在だけでなく、その中にもさまざまなカテゴリやタイプが存在します。例えば、ボーイッシュなレズビアンやフェミニンなレズビアン、中性的なレズビアンなどです。
自分のセクシュアリティは自分がありたいようにいられるものであるべきであり、周りが「あの人はレズビアンだ」「いや、そうではない」などと、見た目などで判断するものではありません。
「レズビアン=ボーイッシュ」というイメージを持つ人もいるかもしれませんが、それだけではないのです。そのため、多様なセクシュアリティのあり方があるということを知ることが大切です。
【関連記事】
レズビアンの定義と特徴
身体の性と性自認
レズビアンは、身体の性が女性で、性自認も女性である人々を指します。しかし、性自認とは、自分自身がどの性別として自己認識しているかを指すもので、必ずしも身体の性と一致するとは限りません。レズビアンの中には、トランスジェンダーの女性も含まれることがあります。
性的指向の役割
レズビアンは、性的指向が女性に向かっていることを特徴とします。これは、恋愛感情や性的魅力を女性に対して感じることを意味します。
しかし、性的指向は非常に個人的なものであり、一人一人が感じる感情や魅力は異なります。
【関連記事】
レズビアンのカテゴリとその意味
フェム・ボイの違い
「フェム」とは、女性らしい外見や振る舞いを持つレズビアンを指します。一方、「ボイ」は、少し男性的な外見や振る舞いを持つレズビアンを指す言葉です。これらのカテゴリは、外見や振る舞いのスタイルに基づいています。
これらの言葉はあくまで数多くの性表現におけるカテゴリーであり、フェムもしくはボイのどちらかである必要はありません。もし自身の性表現に悩んでいる人がいれば、自分がしっくりくるあり方を見つけるまで、さまざまな表現を試してみてください。
ネコ・タチとは
「ネコ」とは、恋愛や性的な関係において受け身の役割を持つレズビアンを指します。対照的に、「タチ」は、主導的な役割を持つレズビアンを指す言葉です。これらのカテゴリは、恋愛や性的な関係の中での役割に基づいています。
リバとは
「リバ」とは、恋愛や性的な関係において、タチとネコの役割を交互に持つことができるレズビアンを指します。このカテゴリは、柔軟性や多様性を持つレズビアンを示しています。
日本のレズビアンの歴史
日本におけるレズビアンの歴史は浅いといわれています。1982年に日本でレズビアンのミニコミ誌『レズビアン通信』の発行が始まり、1984年にはスライド『日本のレズビアンたち』を作るグループ「れ組のごまめ」が結成されました。
さらに、1987年には日本初のレズビアン事務所「れ組スタジオ・東京」が開設され、1988年には初めて掛札悠子がマスコミにレズビアンであることをカミングアウトしました。また、1992年には日本で初めてのレズビアン・ゲイの情報ガイド『ゲイの贈り物』が発売され、2001年には日本で初めて「東京レズビアン・ゲイ・パレード」が行われました。
なぜ「レズビアンの歴史」が浅いのかという問いに対して、考えられる1つ目の理由は、歴史の中で軽視される「女性」「同性愛者」の存在です。特に「女性」の歴史、「性的マイノリティ」の歴史は、「家の中」のこと、「性」のことと見なされ、プライベートな領域の事柄として、歴史として残されにくいとされています。しかし、近年ではLGBTQに対する理解や認識が広がりつつあり、より多くの人々がその歴史を知る機会が増えてきているといえるでしょう。
レズビアンだと気づくきっかけ
人によって自身のセクシュアリティの感じ方は異なるため、「こうしたから私はレズビアンだ」という決定的な要因はありません。しかし、自分自身と対峙する中で「もしかしたらそうなのかも……?」と思うようになる場合もあります。
自分がレズビアンであることでしっくりくるか。レズビアンコミュニティにいることで安心できるか。さまざまな感じ方をする人もいるかもしれません。セクシュアリティに悩んでいる人は、以下の点を参考にしてみてください。
LGBT診断の役割
近年、LGBT診断というものがSNSなどで話題となっています。これは、自分の性的指向や性自認を診断するためのツールとして利用されることが多いです。
多くの人々がこの診断を通じて、自分の性的指向や性自認についての理解を深めるきっかけとしています。
【関連記事】
恋愛感情との関連性
多くのレズビアンは、初めて同性に対して恋愛感情を抱いたときに、自分の性的指向に気づくことがあります。特定の人物に対する強い感情や魅力を感じることで、自分がレズビアンであることを認識することが多いです。
【関連記事】
レズビアンと社会
カミングアウトの意義
カミングアウトとは、自分の性的指向や性自認を他者に公然と明かす行為を指します。レズビアンの中には、自分の性的指向を公にすることで、自分自身を受け入れ、他者との関係を深めることを目指す人々がいます。
しかし、カミングアウトは容易なことではなく、多くの勇気や決断が必要です。
社会的認識とのギャップ
レズビアンやLGBTQ全体の社会的認識は、時代や文化によって大きく変わってきました。過去には、レズビアンは病気や変わり者として扱われることもありました。
しかし、現代では、多くの国や地域でLGBTQの権利が保護され、レズビアンとしての生き方がより受け入れられるようになってきました。
【まとめ】レズビアン(女性同性愛者)とは?意味やバイとの違いを当事者が解説
レズビアンやLGBTQ全体の理解は、私たちがより包括的で開かれた社会を築くための第一歩となります。レズビアンの多様性や個性を尊重し、受け入れることで、私たち一人一人が自分自身を愛し、他者との関係を深めることができるでしょう。
この記事を通じて、レズビアンやLGBTQに対する理解や共感を深める手助けとなれば幸いです。