どうも、空衣です。FtMでパンセクシュアルです。

突然ですが、皆様健康診断はうけましたでしょうか?
企業では労働安全衛生法第66条により、年に1回の健康診断をすることが義務づけられています。特に新年度を迎える4月・5月は健康診断シーズンといわれています。今回は、FtMである私が健康診断に行ってきた話をします。

FtMトランスジェンダーが健康診断をするにあたり心配する理由

おそらく多くのトランスジェンダーの人にとって若干の不安があるのが、毎年の健康診断ではないでしょうか。

男女どちらで健康診断を受けるべき?

まず健康診断を受けるにあたって気になることは、男女で基準値の異なる項目がある場合、性別違和の治療をしているトランスジェンダーの人は、男性と女性のどちらとして測定すればいいのかわからないということです。
しかし自己申告(カミングアウト)しない場合は、戸籍性別にしたがって判断されるようです。

とはいえ男性ホルモン投与を継続していて、日常の大半を男性として過ごしているFtMであれば、男性基準で測っても問題ないと思います。かくいう私も男性の基準で見たときになにか異常のある項目はありませんでした。
ちなみに企業の健康診断で女性として受けたことはないので、その場合はどういう結果になったのかわかりません。

健康診断のせいで周囲にバレないか心配

性別違和の治療はしていないが、普段男性として過ごしているという人の場合、だからといって女性側にカウントされると周囲に「実は女だったの!?」「あなたはトランスジェンダー?」と必然的にバレてしまう可能性があります。

また性別違和の治療をしていて、周囲にトランスジェンダーだと知られずに普段生活している(=埋没している)人であっても、戸籍変更をしていないトランスジェンダーの人は、なんの配慮もないと「現在の戸籍性別=女性」で判断されてしまうかもしれません。

上記のケースを防ぐには、事前に管理者(会社の社長や、健康診断の管理をしている人)にだけ事情を説明しておくと良いでしょう。戸籍性別ではなく、普段の生活に合わせて男性として健康診断を受けた方がいいこともありますので、そのように手配してもらうということです。

FtMの健康診断:去年は胸オペ前に受けました

ここからは、私の実体験をお話しします。

胸オペ前でも問題はなかった

前回の健康診断は、胸オペをする前に行ってきました。社長にだけ説明してあったのですが、「性別欄:男性」という扱いでスムーズにいきました。

実は健康診断のタイミング的に胸オペの直前か直後か選べたのですが、手術後の胸の状態や体調が予測できないまま、健康診断に行くのは気が進みませんでした。そのため、乳腺摘出をしないままの健康体で行った方がトラブルが少ないだろうと考え、胸オペ前に男性として健康診断を受けました。SRS(性別適合手術)も受けていないため戸籍上は女性でした。
X線検査(レントゲン検査)をするときに胸を出す必要がありましたが、一瞬のことなので気になりませんでした。

ホルモン注射の副作用はやや気になる

健康診断の結果としては、血液検査の結果が少し気になるということでした(再検査の結果は、とくに問題なくて良かったです)。

これは、トランスジェンダーがホルモン注射をする副作用としてよく挙げられます。肝機能障害、多血症、血栓症などはホルモン注射前に知っておくべき副作用であり、ジェンダークリニックではホルモン注射を始める前に「こうした副作用もあるが、本当に治療をしていいのか?」という同意を求められるほどです。

参考:男性ホルモン治療しているFTMのための血液検査結果の見方、ヘモグロビン、ヘマトクリットの場合(自由が丘MCクリニック)

男性ホルモン治療しているFTMのための血液検査結果の見方、ヘモグロビン、ヘマトクリットの場合

FtMの健康診断:今年は胸オペ後に受けました

体型に変化はあった

胸オペで乳腺がなくなり、その後も鍛えていたので身体全体が引き締まりました。筋肉量は増えた一方で、体重は減っていました。胸にそれほど重さがあったわけでもないのに、胸オペから1ヶ月後くらいの期間で体重3kgは減ったのは驚きでした。

あとコロナ禍でタブレット端末に触れる時間が増えたので、視力は落ちていました…。

過去に乳腺摘出があったか答えた

血液検査を受けるときは「過去に以下のような手術をしたことがありますか?」という質問項目がありました。私は胸オペをしていたので、乳腺摘出・乳房切除術(たしか並列されていたように記憶しています)の文字を指差して、受けたことがあると伝えました。
声を出して音読すると他の人になんの手術をしたのか知られる可能性があったので、指差して回答しただけです。
その回答によって血液検査の対応が変わるといったことはありませんでした。

FtMは婦人科を無視していいのか問題

館内マップを見ると、女性ゾーンには婦人科がありました。
私は子宮卵巣があるため一応婦人科の検査も受けた方がいいのでは?と気になりましたが、一方で問題なく男性ゾーンで健康診断が済んでいるにもかかわらずわざわざカミングアウトして受ける必然性を感じずうやむやになったままになりました。

健康診断ではありませんが、以前婦人科検診の話がまわってきた際も、似たようなことがありました。案内が手元に届いたので「受けた方がいいのだろう」と思って婦人科に連絡をしたら、こちらがFtMであるという配慮からか、結局受けなくていいと言われたことがあります。他のFtM当事者の話を見聞きする限り、トランスジェンダーに対する明確な対応は決まっておらず、各病院によってちがうようです。

身体に機能が備わっている以上、FtMがたとえば子宮頸がんになるというパターンもあり得ます。「FtMなのだから受けなくていい」と断られない限りは、健康のために素直に受けておいた方がいいかと思います。

以上、FtMトランスジェンダーが健康診断を受けた話でした!

チェック → FtM(トランスジェンダー男性)の「リアル」を伝える、16記事まとめ

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◎この記事を書いた人・・・空衣
1996年、神奈川県生まれ。居住地にこだわりがなく女子寮にいたこともありますが、現在は男性の境遇で生活しています。カレー好きで、世界一辛いカレーを完食したことも。

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