どうもこんにちは!ゲイでノンセクシュアルでXジェンダーのしょうへいです。度々「ゲイやレズビアン、トランスジェンダーって病気じゃないの?」「治せないの?」と言われることがあります。

確かに僕自身も昔、男性としての性を受けて産まれたのに、男性としての自認が無いことや男性を好きになってしまったことに「病気なんじゃないかな」と思うことがありました。

しかし、現在はセクシュアリティ的な部分も自分の一部として受け止められていますし、世界的に見てもLGBTは病気ではないと認知され始めているのが現状だと思います。

本記事ではLGBTが病気と言われていた歴史と今について、そしてLGBTになる原因についても解説していきます。

初めに
IRISではLGBTにも、その他のマイノリティにも親切な企業でありたいという気持ちからLGBTsフレンドリーを掲げていますが、本記事はLGBTに関する内容の為、LGBTsではなくLGBTという言葉を使用していきます。

LGBTは病気ではないけど、昔は病気のような扱いだった

LGBTが病気か病気でないかは、時代やその文化圏の情勢によって異なることがあります。

以前はWHO(世界保健機関)でも、同性愛は国際疾病分類と制定されていましたが、1990年の5月に同性愛が除外されることになりました。

また2018年6月には、性同一性障害が精神疾患から除外され、性の健康に関連する状態という分類の性別不合に変更されております。

※ただし、”病気ではない”ものの、身体治療を望む方が正しく医療を受けられる必要があるため、医療的なケアの範疇から除外されたわけではありません。

これにより同性愛も、トランスジェンダーも、かつて性同一性障害と言われていた状態も、国際的に見て病気という括りではなくなりました。

チェック → 【解説】性同一性障害から性別違和に呼び方が変わることについて

【歴史】何でLGBTは病気という扱いだったの?

実は同性愛は遠い昔、普通に受け入れられていた

西洋史的観点で、実は紀元前~1世紀くらいまでは、同性愛はローマを中心に自然と受け入れられていました。

紀元前27年には初の同性婚記録もあり、218年にはローマ皇帝のヘリオガバルス帝が同性婚を行い、ローマ市民が祝う中、豪華な儀式が行われたそうです。

(参考:
http://penelope.uchicago.edu/Thayer/E/Roman/Texts/Historia_Augusta/Elagabalus/1*.html#10

キリスト教が広まると共に、同性愛者にとって厳しい時代に

しかし342年頃になると、キリスト教が広まるにつれ、同性愛に否定的な空気が流れ始めました。そして同性婚を禁止する最初の法令が、キリスト教の皇帝コスタンテイゥス2世とコンスタンス1世により定められました。

さらに時は進み『529年、キリスト教徒の皇帝ユスティニアヌス1世は、同性愛者を「飢饉、地震、疫病」のような諸問題の原因として扱い追害』を行っています。

この辺りから同性愛や同性同士の性行為は、異常で重大な罪という認識が拡大し、同性愛者にとっては厳しい時代となっていきます。
(参考:
http://www.scielo.org.za/scielo.php?script=sci_arttext&pid=S1996-20962014000200006

アメリカ精神医学会により同性愛は精神障害へ

『1952年にアメリカ精神医学会が発行した精神障害の分類と診断の手引き(DSM)において、同性愛者は精神障害』と定められました。

さらにその後、旧東ドイツの医師が「母親が妊娠中にストレスを受け、男児に男性ホルモンが十分に届かないと、男性としての脳が未発達の状態で生まれて、男性同性愛者になる」という説を発表しています。

この2つのことが大きく影響したのか、同性愛者は病気であるというイメージが次第に強まっていきました。

LGBTが病気ではなくなるまで

LGBTの運動は徐々に活発化していき、理解が深まる中で、社会からのLGBTに対する見方も変わっていきます。

特に大きかったのが『1974年に発行された精神障害の分類と診断の手引き(DSM)で、同性愛が精神疾患として治療する必要がない』と除外されたことでしょう。

その後、『WHO(世界保健機関)でも1990年に同性愛を治療対象から除外』し、晴れて同性愛は病気の括りではなくなりました。
参考:
https://news.yahoo.co.jp/byline/matsuokasoshi/20200517-00178861

『日本においても、2002年には同性愛カップルが新たな家族形態の1つとして教科書検定で容認』しています。

そして『2018年6月、性同一性障害も精神疾患から除外され性別不合』となることになりました。しかし、トランスジェンダーが心の性と体の性を近づけようと治療を求む場合、現代の日本では性同一性障害と診断名がつくことが多いようです。

LGBT以外のセクシュアルマイノリティは?

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー以外のセクシュアルマイノリティに関しては、病気と位置付ける資料などは見つかりませんでした。

また僕自身、かつて自身の性に悩んでいて、病院でXジェンダーを打ち明けたことがあるのですが、Xジェンダーは治療のガイドラインにないと言われたことがあります。

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー以外のセクシュアルマイノリティは今も昔も病気としては扱われていないと思われます。

LGBTは治療できるの?

まだLGBTが病気として認識されていた頃、同性愛者を異性愛者に変える治療として転向療法(コンバージョン・セラピー)というのが実際に行われていたそうです。そして現在も半強制的に行われることがあるそうです。

「同性愛は精神疾患ではないので、治療によって矯正できるようなものではないが、アルコール依存症の様ないきすぎた欲求である為、治療によって矯正することができる」というのが転向療法を支持する人たちの主張です。主に宗教的な動機に基づいて行われることが多いそうです。

実際に転向療法でゲイやレズビアンといったセクシュアリティが変わるのかというと、効果のほどはよく分かっておらず、中には少数、非常に効果があったと言った人がいたようですが半数以上は効果が無かったと述べられています。

逆にメンタルに望まぬ悪影響が出た人は多く、不安や鬱といった症状を発症し、自殺や自傷を試みる確率も高くなることが示されました。
参考:
https://web.archive.org/web/20210716061034/https://www.ozanne.foundation/faith-sexuality-survey-2018/

転向療法のやり方

日本には転向療法のやり方が詳しく書かれている記事はありませんでしたが、海外のサイトを検索すると、どのようなことが行われているのか分かるものがありました。

『50年前に大学の心理学部で数ヶ月の電気ショック治療を受けた男性同性愛者が謝罪を要求しているという記事』です。
参考:
https://www.bbc.com/news/education-55263392

その記事の話では、男性の写真を見せられて、すぐに次の写真に行かないと強烈な電気ショックを浴びせられるという内容でした。当時の転向療法では同性愛者の欲求を、痛みや不快な感情と関連づけることで、同性に対して欲求を抱くことを回避しようとしていたそうです。

そして全てのセッションが終わると、女性とロマンティックな関係を始めるように彼に勧めたそうです。しかし効果は現れず、40年以上の極度の心理的外相とストレス障害に悩まされる結果になったそうです。昔も今も転向療法で同性愛を異性愛へ変えることは基本的には叶っていません。

実はLGBTは自然界においても不自然なことではない

同性愛を判断する遺伝子はない

何十年にも渡りLGBTは生まれつきであるかどうかが議論され続け、仮想では「同性愛遺伝子」とよばれる、同性愛者の人にみられる遺伝子が存在するともいわれてきました。

しかし、2019年米ハーヴァード大学とマサチューセッツ工科大学(MIT)が『Science』に掲載した研究結果によると、同性愛遺伝子は存在しないことが明らかになりました。事前アンケートで「同性と性的行為をしたことがある」と答えた50万人の遺伝子データを使い、ゲノムワイド関連解析という手法で研究が行われたそうです。

性的マイノリティー(LGBTQ)の権利擁護団体GLAADは「同性愛者であることが生まれつきであるか、何かしらの影響によるものか、ゼロか100かで語られるものではない」と述べ、遺伝子が同性愛を判断する材料ではないことを強調。今回の結果では、ゲノムワイド関連解で個人の行動を判断することは難しく、言い換えると同性愛者であるかどうかを決定づける遺伝子は存在しないことが明らかとなりました。

まだまだ消えないLGBTへの差別

先述した研究結果では、同性愛が自然であることがさらに根拠づけられましたが、いまだにLGBTが不自然なものとして認識している人もいるようです。

今年7月には、自民党の衆議院が参加していた会合で、LGBTに関する差別的な内容を盛り込んだ冊子が配られていたことが明らかとなりました。そこには「同性愛は先天的なものではなく後天的な精神の障害、または依存症」と、LGBTの存在を否定するような内容が書かれていました。

ネット上では批判の声が上がると同時に、自民党本部前で抗議活動が行われるなど、LGBTが当たり前に存在することを伝えるための動きがみられました。

LGBTになる原因は?

LGBTという言葉には多くのセクシュアルマイノリティが含まれている為、一括にしてLGBTになる原因をお伝えすることはできません。また現代の医学や科学の力を持ってしても、LGBTになる原因は分からないそうです。

本記事では、2022年現在有力とされている遺伝子説を解説していきます。

遺伝子の関係で同性愛者が生まれる

まず1つ目が遺伝子の関係で同性愛者が生まれるという説です。遺伝子には様々な情報があり、その情報をどのように活性化するか、不活性化するかはエピマーク(epimarks)という物質が操作するとされています。
参考:
Homosexuality as a Consequence of Epigenetically Canalized Sexual Development

エピマークは胎児期に作られ、性別や生殖器の発達に大きく関わっています。胎児が女の子の場合、母親から分泌される男性ホルモンから遺伝子を守り、女の子の男児化を防ぎます。そして恋愛対象の性別を決めるのもエピマークと言われています。

このエピマークは、それぞれの世代毎に新しく生成されるものですが、稀に両親から引き継がれてしまうことがあるそうです。例えば母親から、男の子にエピマークが遺伝すると、男性を好きになる情報が遺伝するので、男性が好きな男性になる可能性が高くなるというわけです。

【まとめ】LGBTって病気じゃないの?

LGBTは2022年5月現在、世界的に見ても日本に限定して見ても、病気という解釈は一般的ではありません。また治療も望まない限り必要ないかと思われます。

時々不安になったり他人に「病気なんじゃないの?」と言われて傷つくこともあるかもしれませんが、病気ではないですし不安になる必要はありません。みんなと同じである必要はないのです。

以上で本記事を終わりとさせていただきます。最後までお読みいただき、ありがとうございました。