性的指向や性自認に関する悩みを一人で抱えていませんか?LGBT電話相談窓口は、LGBTs当事者やその家族、友人が匿名で安心して相談できる重要な支援窓口です。現在、全国の自治体や民間団体において、専門的な知識を持つ相談員がLGBTs当事者の多様な悩みに電話で対応しています。

本記事では、24時間対応の電話相談窓口から地域別の専門窓口まで、LGBT電話相談窓口の利用方法から相談内容、最新情報まで詳しく解説します。どこに電話相談したらよいか分からない方も、プライバシーを守りながら安心して相談できる電話窓口が必ず見つかるはずです。

LGBT電話相談窓口とは

LGBT電話相談窓口とは、LGBTs当事者が直面する様々な困難や悩みに対して、電話を通じて専門的な知識と理解を持つ相談員が対応する専門機関のことです。性的指向や性自認に関する相談は、一般的な電話相談窓口では十分な理解が得られない場合があるため、LGBTsに特化した電話相談窓口の重要性が高まっています。

LGBT電話相談窓口では、アイデンティティに関する根本的な悩みから、人間関係、法的手続き、医療、就職・転職まで、幅広い相談に電話で対応しています。電話相談の最大の特徴は、匿名性が保たれ、相談者のペースに合わせた丁寧な対応が受けられることです。

LGBT電話相談窓口を利用するメリット

LGBT電話相談窓口には、対面相談にはない多くのメリットがあります。

完全匿名での相談が可能

電話相談では、名前や住所を名乗る必要がありません。セクシュアリティを周囲に知られたくない方や、まだ自分自身のアイデンティティについて確信が持てない方でも、安心して相談することができます。匿名性が保たれることで、より本音で話すことができ、効果的な相談が可能になります。

24時間いつでも利用可能な窓口

よりそいホットラインのセクシュアルマイノリティ専門ラインは、24時間365日電話相談を受け付けています。深夜や早朝でも、つらい気持ちになった時にすぐに相談することができます。特に、思い悩んで眠れない夜や、突然不安になった時に、すぐに専門の相談員と話せることは大きな安心感につながります。

自宅など慣れた環境から相談可能

電話相談は、自宅や個室など、自分が安心できる環境から利用できます。相談窓口まで足を運ぶ必要がないため、交通費や移動時間を気にすることなく、リラックスした状態で相談することができます。また、顔を見せる必要がないため、表情を気にせずに話すことができます。

無料で利用できる窓口が多数

多くのLGBT電話相談窓口は無料で利用できます。フリーダイヤルを設置している窓口も多く、通話料を気にせずに相談することができます。経済的な負担を感じることなく、必要な時に何度でも相談できる環境が整っています。

24時間対応のLGBT電話相談窓口

緊急性の高い悩みや、夜間に不安になった時でも安心して利用できる24時間対応のLGBT電話相談窓口をご紹介します。

電話相談窓口名 電話番号 運営団体・特徴
よりそいホットラインセクシュアルマイノリティ専用ライン 0120-279-338(ガイダンスの4を選択) 一般社会法人社会的包摂サポートセンター(24時間365日対応)

よりそいホットラインは、LGBT電話相談窓口の中でも最も利用しやすい窓口の一つです。電話をかけると音声ガイダンスが流れるので、「4」を押すことでセクシュアルマイノリティ専門の相談員につながります。

深夜や早朝でも、つらい気持ちになった時にすぐに相談できる貴重な電話相談窓口です。

電話相談窓口の種類と特徴

LGBT電話相談窓口は運営主体によって大きく5つの種類に分かれており、各電話相談窓口がそれぞれ異なる特徴と専門性を持っています。

自治体運営の電話相談窓口

自治体運営のLGBT電話相談窓口とは、全国の都道府県や市区町村が運営する公的な電話相談窓口のことです。

東京都の「Tokyo LGBT相談」では、専門相談員による電話相談を火曜日・金曜日の18時から22時まで実施しており、LINEでの相談も受け付けています。大阪市人権啓発・相談センターでは、毎月第2・4金曜日を強化相談日として設定し、プライバシーに十分配慮した電話対応を行っています。

自治体運営の電話相談窓口は、無料で利用でき、相談内容の秘密が厳守される点が特徴です。公的機関が運営しているため、安心して電話相談することができ、必要に応じて他の行政サービスとの連携も可能です。

NPO・民間団体の電話相談窓口

NPO・民間団体のLGBT電話相談窓口とは、認定NPO法人虹色ダイバーシティや一般社団法人社会的包摂サポートセンターなど、LGBTs支援を専門とする団体が運営する電話相談窓口のことです。

よりそいホットラインのセクシュアルマイノリティ専門ラインは、24時間フリーダイヤルで電話相談を受け付けており、ガイダンスで「4」を押すことで専門ラインにつながります。NPO法人QWRCでは毎月第1月曜日にLGBTの電話相談を実施し、長年の経験に基づいた的確なアドバイスを電話で提供しています。

民間団体の電話相談窓口の特徴は、LGBTs支援に特化した専門性の高さと、当事者に寄り添った柔軟な電話対応です。行政では対応が難しい細やかなニーズにも応えることができ、継続的な電話サポートを受けることが可能です。

法律専門の電話相談窓口

法律専門のLGBT電話相談窓口とは、LGBTs当事者が抱える法的な問題に特化した電話相談窓口として、各地の弁護士会が専門電話相談を実施する窓口のことです。

東京弁護士会では毎月第2・4木曜日の17時から19時まで「セクシュアルマイノリティ電話法律相談」を実施し、名前や住所を名乗らずに無料で電話相談できます。同性パートナーとの養子縁組や相続問題、戸籍上の性別変更手続き、職場でのSOGIハラスメントへの対応など、法的な専門知識が必要な相談に電話で対応しています。

千葉県弁護士会のLGBTs専門電話相談では初回30分無料で面談相談が可能で、家族や友人からの電話相談も受け付けています。法的な問題は複雑で専門的な知識が必要なため、プロの弁護士に電話相談することで適切な解決策を見つけることができます。

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全国のLGBT電話相談窓口一覧

全国に設置されているLGBT電話相談窓口を地域別にまとめました。各電話相談窓口の連絡先、受付時間、運営団体を正確に記載していますので、お住まいの地域や利用しやすい電話相談窓口を見つけてください。

全国対応のLGBT電話相談窓口

相談窓口名 電話番号・連絡先 受付時間 運営団体
よりそいホットライン セクシュアルマイノリティ専門ライン 0120-279-338(ガイダンス「4」を選択) 24時間365日 一般社団法人社会的包摂サポートセンター
NPO法人アカー(OCCUR)統合ヘルプ・ライン・サービス 03-3380-2269 火曜日・水曜日・木曜日 20:00~22:00(祝日を除く) NPO法人アカー(OCCUR)
AGP(Association for Gay Psychiatrists) 050-5539-0246 毎週火曜日 20:00~22:00 AGP(医師・心理士・看護師・ソーシャルワーカー・教員による団体)

北海道・東北地方のLGBT電話相談窓口

相談窓口名 電話番号・連絡先 受付時間 運営団体
札幌市 LGBTほっとライン 011-728-2216 木曜日 16:00~20:00 札幌市市民文化局男女共同参画課
札幌弁護士会 にじいろ法律相談 080-6090-2216 毎月第4金曜日 11:30~13:30 札幌弁護士会
函館市 セクシュアルマイノリティ相談 0138-21-3181 平日 9:00~17:00 函館市
岩手県男女共同参画センター LGBT相談 019-601-6891 火曜日・金曜日 16:00~19:00(祝日を除く) 岩手県男女共同参画センター
みやぎ男女共同参画相談室 LGBT(性的マイノリティ)相談 022-211-2570 毎月第2・4火曜日 12:00~16:00 みやぎ男女共同参画相談室

関東地方のLGBT電話相談窓口

相談窓口名 電話番号・連絡先 受付時間 運営団体
東京都 Tokyo LGBT相談 専門電話相談 050-3647-1448 火曜日・金曜日 18:00~22:00(祝日・年末年始を除く) 東京都総務局人権部
東京都 Tokyo LGBT相談 専門LINE相談 LINE公式アカウント:「LGBT相談@東京」 月曜日・水曜日・木曜日 18:00~22:00 東京都総務局人権部
足立区 あだちLGBT相談窓口 03-3880-5222 要予約(1回50分) 足立区男女参画プラザ
世田谷区 性的マイノリティの方の電話相談 03-6805-5875 第1木曜日 18:00~21:00、第2土曜日 18:00~21:00、第3木曜日 13:30~16:30 世田谷区
渋谷区 性的少数者のためのにじいろ電話相談 03-3463-3802 毎月第3火曜日 16:00~20:00(奇数月のみ) 渋谷区
東京弁護士会 セクシュアルマイノリティ電話法律相談 03-3581-5515 第2・4木曜日 17:00~19:00(祝祭日の場合は翌金曜日) 東京弁護士会
東京三弁護士会多摩支部 レインボー相談 042-548-7790 第1・3金曜日 13:00~16:00(祝祭日の場合は翌金曜日) 東京三弁護士会多摩支部
千葉県弁護士会 LGBTs専門相談 043-306-9873 平日 10:00~16:00(11:30~13:00を除く) 千葉県弁護士会
NPO法人SHIP にじいろキャビンほっとライン 045-548-3980 木曜日 19:00~21:00 NPO法人SHIP(神奈川県横浜市)
茨城県 性的マイノリティに関する相談室 029-301-8641 平日 9:00~17:00 茨城県保健福祉部福祉指導課人権施策推進室
水戸市 専門相談員による性的マイノリティに関する相談 029-226-4166 要予約 水戸市
栃木県 とちぎにじいろダイヤル 028-665-8323 平日 9:00~17:00 栃木県
群馬県前橋市 まちのほけんしつ 027-220-5786 平日 8:30~17:15 前橋市
埼玉県鴻巣市 性的マイノリティに関する悩み事相談 048-541-1321 平日 8:30~17:15 鴻巣市

中部・北陸地方のLGBT電話相談窓口

相談窓口名 電話番号・連絡先 受付時間 運営団体
新潟市 性的マイノリティ(LGBT)電話相談 025-226-1061 平日 8:30~17:30 新潟市
静岡市女性会館アイセル にじいろ相談 054-248-7330 要予約 静岡市女性会館アイセル
豊橋市 LGBT等性的少数者の面接相談窓口 0532-51-2188 10:00~20:00(要予約) 豊橋市役所市民協働推進課
特定非営利活動法人PROUD LIFE LINE相談:毎週月曜日 要確認 特定非営利活動法人PROUD LIFE(名古屋)

関西地方のLGBT電話相談窓口

相談窓口名 電話番号・連絡先 受付時間 運営団体
大阪市人権啓発・相談センター 06-6532-7830 月~金 9:00~20:30、日・祝 9:00~17:00(強化相談日:第2・4金曜日) 大阪市人権啓発・相談センター
大阪弁護士会 LGBTsのための電話相談 06-6364-1248 要確認 大阪弁護士会
亀岡市 LGBTQ+相談窓口 0771-25-5075 奇数月1回開催(要予約) 亀岡市人権啓発課男女共同参画推進係
宝塚市 セクシュアルマイノリティ電話相談 0797-77-9100 水曜日 15:00~18:00(祝日・年末年始を除く) 宝塚市人権男女共同参画課
NPO法人QWRC(クォーク) 06-6585-0751 毎月第1月曜日 NPO法人QWRC(大阪市)

中国・四国地方のLGBT電話相談窓口

相談窓口名 電話番号・連絡先 受付時間 運営団体
香川県 性的マイノリティ相談 087-832-3222 要確認 香川県

九州・沖縄地方のLGBT電話相談窓口

相談窓口名 電話番号・連絡先 受付時間 運営団体
沖縄県浦添市 性的マイノリティ相談 070-5491-3228(専用ダイヤル) 要確認 浦添市

LGBT電話相談を利用する際の具体的な流れ

初めてLGBT電話相談窓口を利用する方のために、電話をかけてから相談が終わるまでの具体的な流れを詳しく説明します。

電話をかける前の準備

LGBT電話相談窓口に電話をかける前に、簡単な準備をしておくと、より効果的な電話相談ができます。

話したい内容を整理する:完璧にまとめる必要はありませんが、「最近悩んでいること」「相談したいこと」「どんなアドバイスが欲しいか」を大まかに考えておくと、電話相談がスムーズに進みます。

静かな環境を確保する:家族や同居人に聞かれたくない場合は、一人になれる時間や場所を選んで電話をかけましょう。車の中や個室など、プライバシーが確保できる場所がおすすめです。

メモの準備:電話相談で教えてもらった情報や連絡先をメモできるよう、筆記用具を用意しておきましょう。

電話相談の実際の流れ

1. 電話をかける:LGBT電話相談窓口の番号にダイヤルします。よりそいホットラインの場合は、音声ガイダンスで「4」を押してください。

2. 相談員との挨拶:相談員が電話に出ると、「お疲れさまです」「こんにちは」などの挨拶があります。名前を名乗る必要はありません。

3. 相談内容を話す:「どのようなことでお困りですか?」と聞かれるので、悩んでいることを自分のペースで話してください。途中で言葉に詰まっても大丈夫です。

4. 相談員からのアドバイス:相談員があなたの話を聞いて、適切なアドバイスや情報提供をしてくれます。分からないことがあれば遠慮なく質問してください。

5. 電話相談の終了:「他に何かありますか?」と確認があります。特になければお礼を言って電話を切って構いません。

電話相談時のポイント

正直に話すことが大切:相談員は守秘義務を守り、あなたを批判することはありません。思っていることを正直に話すことで、より適切なアドバイスを受けることができます。

分からないことは遠慮なく質問:専門用語や制度について分からないことがあれば、遠慮なく「教えてください」と言いましょう。相談員は分かりやすく説明してくれます。

無理に結論を出さなくても大丈夫:一度の電話相談ですべてを解決する必要はありません。また電話をかけることもできますし、他の窓口を紹介してもらうこともできます。

LGBT電話相談でよくある相談内容

LGBT電話相談窓口では、LGBTs当事者が日常生活で直面する幅広い悩みや困りごとに電話で対応しています。電話相談内容に応じて、適切な専門機関や支援制度への紹介も行われます。

しています。相談内容に応じて、適切な専門機関や支援制度への紹介も行われます。

アイデンティティに関する相談

自分の性的指向や性自認について確信が持てない、家族や友人にカミングアウトすべきか悩んでいる、自分がLGBTsなのかどうか分からないといった、アイデンティティに関する根本的な悩みに対して、相談員が丁寧に話を聞き、当事者の気持ちに寄り添いながらサポートします。

クエスチョニングの方も含めて、セクシュアリティが明確でない状態での相談も歓迎されています。相談員は当事者のペースに合わせて話を進めるため、無理に結論を急ぐ必要はありません。

人間関係の悩み

職場や学校での人間関係、家族との関係性、恋愛関係における悩みなど、LGBTs当事者特有の人間関係の問題について相談できます。

同性パートナーとの関係構築や維持、職場でのSOGIハラスメントへの対処、家族への説明方法など、具体的なアドバイスを受けることができます。相談員は多くの事例を知っているため、状況に応じた実践的なアドバイスを提供できます。

法的手続きに関する相談

性別変更手続き、同性パートナーとの法的関係、相続や財産分与、養子縁組など、法的な知識が必要な相談については、弁護士会が実施する専門相談窓口で詳しいアドバイスを受けることができます。

パートナーシップ制度の利用方法や必要書類についても相談可能です。法的な手続きは複雑な場合が多いため、専門家のサポートを受けることで安心して進めることができます。

医療に関する相談

ホルモン治療や性適合手術に関する情報提供、LGBTsフレンドリーな医療機関の紹介、メンタルヘルスケアの相談など、医療に関連する相談にも対応しています。

HIV/AIDS相談やセクシュアルヘルスに関する相談を専門とする窓口もあります。医療に関する不安や疑問がある場合は、専門知識を持つ相談員に相談することで適切な情報を得ることができます。

就職・転職に関する相談

LGBTsフレンドリーな企業の情報提供、履歴書の性別欄の扱い、面接での対応方法、職場でのカミングアウトのタイミングなど、就職・転職活動に関する具体的なアドバイスを受けることができます。

キャリア形成についての悩みや、職場での困りごとについても相談できます。就職・転職は人生の重要な決断であるため、専門的なサポートを受けることで自分らしいキャリアを築くことができます。

関連記事:レズビアンの仕事にまつわる悩みと職探しの悩み

相談窓口の利用方法

LGBT相談窓口を利用する際の具体的な方法と注意点について詳しく説明します。初めて利用する方でも安心して相談できるよう、準備から相談後のフォローまでを解説します。

電話相談の利用方法

電話相談は最も一般的な相談方法で、匿名での相談が可能です。多くの窓口では無料通話が可能で、相談者の名前や住所を名乗る必要はありません。

相談前に話したい内容を整理しておくと、限られた時間内で効果的な相談ができます。よりそいホットラインでは24時間対応しており、ガイダンスで「4」を押すことでセクシュアルマイノリティ専門ラインにつながります。東京都のTokyo LGBT相談では火曜日・金曜日の18時から22時まで専門相談員が対応しています。

電話相談の特徴は、自宅など慣れ親しんだ環境から気軽に利用できることです。顔を見せる必要がないため、プライバシーを重視する方にとって利用しやすい方法といえます。

LINE・チャット相談の利用方法

若い世代を中心に利用が増えているLINE相談は、電話での会話に抵抗がある方におすすめです。Tokyo LGBT相談では、LINE公式アカウント「LGBT相談@東京」で月曜日・水曜日・木曜日の18時から22時まで相談を受け付けています。

チャット形式での相談は時間をかけて文章を整理できるため、複雑な悩みを伝えやすいというメリットがあります。文字でのやりとりのため、相談内容を後から見返すことも可能で、アドバイスを振り返りながら行動に移すことができます。

面接相談の利用方法

対面での相談を希望する場合は、事前予約が必要な場合がほとんどです。足立区のあだちLGBT相談窓口では1回50分の面接相談を実施しており、相談者の都合に合わせて予約を取ることができます。

面接相談では相談員と直接顔を合わせて話ができるため、より深い相談が可能です。プライバシーが確保された相談室で行われ、相談内容の秘密は厳守されます。非言語的なコミュニケーションも含めた総合的な支援を受けることができます。

オンライン相談の利用方法

新型コロナウイルス感染症の影響で、Skypeやzoomを利用したオンライン相談を導入する窓口が増えています。カウンセリングルームP・M・Rでは来室以外にSkypeでの相談も可能で、遠方にお住まいの方でも利用できます。

オンライン相談では、自宅など慣れ親しんだ環境から相談できるため、リラックスして話すことができます。交通費や移動時間を気にする必要がなく、地理的な制約を受けずに専門的な相談を受けることができます。

相談時の注意点とプライバシー保護

すべてのLGBT相談窓口では、相談者のプライバシー保護を最優先に考えています。相談内容は厳格に秘密が守られ、相談者の同意なしに第三者に情報が提供されることはありません。

相談員は専門的な研修を受けており、LGBTsに関する正しい知識と理解を持っています。相談時には相談者のペースに合わせて話を進め、無理にカミングアウトを促すようなことはありません。安心して自分のペースで相談を進めることができます。

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企業におけるLGBT相談窓口の設置と運営

2020年6月に施行されたパワーハラスメント防止法により、企業には職場におけるSOGIハラスメント(性的指向・性自認に関するハラスメント)を防止するための相談窓口設置が義務付けられました。これを受けて、多くの企業がLGBTs当事者向けの専門相談窓口を設置しています。

企業内相談窓口設置の法的背景

労働施策総合推進法の改正により、事業主には職場におけるパワーハラスメントを防止するための措置義務が課せられました。この中には性的指向・性自認に関する侮辱的な言動も含まれており、企業は相談窓口の設置、相談に対する適切な対応、再発防止措置などを講じる必要があります。

厚生労働省の「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」では、SOGIハラスメントも職場のハラスメントとして明確に位置づけられています。

社内相談窓口の設置方法

企業が社内にLGBT相談窓口を設置する場合、まず相談担当者に対する専門研修を実施し、守秘義務の遵守を徹底させることが重要です。相談窓口の設置については、社内の掲示板やイントラネット、社員向けメールなどを通じて全社員に周知する必要があります。

相談方法については、直接面談だけでなく、匿名での電話相談やフリーメールによる相談受付も検討すべきです。特にLGBTs当事者にとって、社内の人に対してセクシュアリティを明かすことは大きな心理的負担となる場合があるため、匿名性を確保した相談システムの構築が重要です。

外部委託による相談窓口運営

社内にLGBTsに関する専門知識を持つ人材がいない場合や、より中立的な立場からの相談対応を求める場合は、外部の専門機関に相談業務を委託する方法があります。

アウト・ジャパンでは企業向けのLGBT相談窓口サービスを提供しており、専用のメールアドレスを設置して専門相談員が対応しています。株式会社Nijiリクルーティングでも同様のサービスを提供し、LGBTs当事者だけでなく、LGBTs当事者から相談を受けた非当事者からの相談にも対応しています。

企業の取り組み事例

第一生命では全従業員に対してLGBT研修を実施し、専門の相談窓口を設けて個人相談に応じる体制を整えています。また、社員にアライシールを配布し、社内でのレインボーフラッグ掲示を行うことで、LGBTsフレンドリーな職場環境の創出に努めています。

ユニリーバ・ジャパンでは「ユニリーバ・プライド・ジャパン」というLGBT支援プログラムを開始し、社内相談窓口での相談受付、当事者を含めたアライコミュニティの設置、同性パートナーを持つ社員に対する福利厚生の適用を実施しています。

みずほファイナンシャルグループでは、人事・福利厚生制度において同性パートナーを配偶者と同等に扱い、社員向け相談窓口の設置、社内研修によるLGBTの理解浸透を図っています。

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家族・友人・支援者向けの相談サポート

LGBT相談窓口は当事者だけでなく、LGBTs当事者の家族、友人、職場の同僚、教育関係者など、支援者からの相談も積極的に受け付けています。周囲の人々の理解とサポートが、当事者にとって大きな支えとなります。

家族からの相談

子どもや兄弟姉妹がLGBTsであることを知った家族からの相談が増えています。よりそいホットラインのセクシュアルマイノリティ専門ラインでは、親御様をはじめとする家族からの相談も受け付けており、24時間いつでも相談することができます。

家族からの相談では、当事者との関係性をどのように築いていけばよいか、どのようなサポートが必要か、家族として気をつけるべき点などについてアドバイスを受けることができます。相談員は家族の気持ちにも寄り添いながら、当事者と家族双方にとって良い関係性を築くためのサポートを提供します。

職場の同僚・上司からの相談

職場でLGBTs当事者からカミングアウトを受けた同僚や上司からの相談も多く寄せられています。足立区のあだちLGBT相談窓口では「職場の部下からカミングアウトを受けたが、どんな配慮をしたら良いか分からない」といった相談に専門相談員が対応しています。

適切な配慮の方法、プライバシーの保護、職場環境の改善方法など、具体的なアドバイスを受けることができます。職場でのLGBTs支援は、当事者が安心して働き続けるために非常に重要な要素となります。

教育関係者からの相談

学校現場でLGBTs当事者の児童・生徒と接する教職員からの相談も重要な支援の一環です。児童・生徒の性的指向や性自認に関する悩みにどのように対応すべきか、保護者との連携方法、学校全体での取り組み方法

参考記事