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みなさんは、「サピオロマンティック」や「サピオセクシュアル」というセクシュアリティがあることをご存じでしょうか?
LGBTで代表されているレズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランンスジェンダーが近年世間的に認知される様になりましたが、より細かく詳細に分類されたセクシュアリティの中には聞き慣れないものもたくさんあります。
この記事ではサピオロマンティック、サピオセクシュアル、それぞれの特徴や違いについて解説していきたいと思います。
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サピオロマンティックとは?
サピオロマンティックとは、知性に「恋愛的な魅力」を感じるセクシュアリティです。
ここで言う知性や賢さというのは、単に学歴のことではありません。「有名大学出身で学力が高いから」、「弁護士や医師など誰もが知性を感じる職業だから」といったステータス的な知性ではなく、知的な会話を好んだり、面白い言葉の言い回しをしたり、はたまた素敵な文章や絵を書けたり、所作や言動に知性を感じられる人もいるでしょう。身体的な魅力やジェンダーなどに関わらず、知性に恋愛感情を抱きます。
もちろん結果的に、好きになった人の学力が高いという場合も十分にありますが、何を知性と感じるかは人によって違うため、同じサピオロマンティック・サピオセクシュアルの中でも定義が違うことがあります。
サピオセクシュアルとは?
サピオセクシュアルとは、知性に「性的な魅力」を感じるセクシュアリティです。
サピオ(Sapio)とは、ラテン語で「味わう」という意味が直訳になりますが、そこから派生して「分別がある」、「賢明である」という様な意味を含む言葉です。
よって、サピオロマンティックやサピオセクシュアルは、賢さや知性を愛するセクシュアリティとされるようになりました。
サピオロマンティックとサピオセクシュアルの違い
ここでは、恋愛的指向と性的指向を分けて考える必要があります。どんな人に恋愛的魅力を感じるか、どんな人に性的魅力を感じるか、もしくは人に対して恋愛的な感情は抱くが性的感情は抱かない、もしくはその両方の感情を他人に対して抱かないという方もいます。
その上で、サピオロマンティックとサピオセクシュアルの違いは、両者とも知性に魅力を感じる点では同じです。前者はそこに恋愛的魅力を感じ、後者は性的魅力を感じるという違いがあります。
一般的には、恋愛的指向と性的指向は同一のものとして語られる傾向がありますが、それが一致するかどうかは人ぞれぞれになります。自分に魅力を感じている相手だからといって性的な行為を望んでいる人ばかりではないということを認識する必要があります。
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サピオロマンティックの具体的な特徴
ここでは、自分がサピオロマンティックなのかどうか気になっているという方に向けていくつか具体的な特徴を紹介していきます。自分もそうかもと思っている方は参考にしてみて下さい。
個人的に、セクシュアリティについては他人からラベリングされるものではなく、自分のことを知るためのもの、知ってもらう為のものだと思って使うという意識でいるといいかと思います。
1.知的な会話に魅力を感じる
知的な会話に興奮を覚える場合はサピオロマンティックの傾向があります。例えば、美術館に一緒に行った時に、展示品に対して様々な雑学を持っていることなどが挙げられます。
その雑学が自分が興味がない分野であった場合でも、知的であるかどうかが重要なので、「知識が豊富」、「分析力がある」「筋の通った考察をしている」などという点に惹かれる場合は、サピオロマンティックの可能性があります。
2.自身の知的能力には関係しない
サピオロマンティックだからといって、自身も知性に溢れているかはまた別の話になります。自分に知識がなくても、相手の知性に惹きつけられるのがサピオロマンティックの恋愛的指向です。
その為、「自分と同じレベルの知的な会話がしたい」と感じる人は、その人の知性に惹かれていることには該当しないかもしれません。
3.洞察力のある人に魅力を感じる
洞察力とは、「物事の本質を見抜く力」のことです。表面的な部分を含め、さらにそこから「見えていない部分」まで見抜いていく力と言ってもいいでしょう。
知的な人は物事の知識が豊富な傾向がありますが、人の気持ちを見抜くのも得意な場合が多いです。
周囲の人が気づいていない段階で、人のちょっとした変化を感じ、「何か嫌なことがあった?」など、人の気持ちを見抜ける人に好意を感じる人は、サピオロマンティックの傾向があります。
ポイントは、「その人が他人の気持ちを見抜けているかどうか」のため、自分の気持ちを察してくれたから好意を持つのではなく、洞察力を発揮している対象は問いません。
4.感情のコントロールが上手い人に強く惹かれる
知性を知る1つの指標として「IQ」があります。それと似ているけど異なる指標として「EQ(感情指数)」があります。この2つに相関があると言われています。
EQとは、自分や相手の感情を正確に把握し、状況に応じて自分の感情をコントロールし、より良い方向に表現する力です。
具体的例としては、
- 自分自身をモチベートし、挫折しても粘り強く努力できる力
- 突発的な感情をコントロールし、目の前にある快楽を抑制できる力
- 気分をうまく整え、感情の乱れに思考力や集中力が阻害されない力
- 他者の感情に寄り添え、ポジティブな感情を維持できる力
つまり、EQが高い人は自分の今の感情の状態を認識しコンロトールできるため、自分や周囲にとって適切な感情や行動を創出でき、結果として対人関係もうまくいくと言えます。
IQと感情コントロール能力のEQは結びついており、IQが高い人ほど、感情のコントロールが上手な傾向にあります。そのため、感情のコントロールが上手な人に惹かれる場合は、サピオロマンティックの傾向があります。
5.学歴・資格をひけらかす人に興味が持てない
サピオロマンティックの人が魅力を感じるのはあくまで、「地頭の良さ」や「深い知識」のため、学歴が高かろうが資格を多く持っていようが、そこが重要ではない場合もあります。
もちろん、学歴などはIQ との関連がありますが、自分の経歴をひけらかす人は逆にコンプレックスを感じている様に見られますし、上述した人の気持ちの本質を見抜くという点について、自身の学歴や資格を持って他者との優位性を感じている人に興味を持てない人はサピオロマンティックの傾向があります。
6.哲学を持たない人には興味がない
哲学とは物事や人生の在り方を探究する学問です。簡単に言えば、自分の行動理念や物事の本質を見極める力があるかどうかということです。
自身の哲学を持つ人には考える癖があり、哲学を持たない人は物事についてあまり深く思考しません。もちろん、行動指針や物事について誰しも少なくとも考えていたり独自のルールがありますが、その深さや広さが自分の思っている範囲を超えてくる人に魅力を感じるということだと思います。
サピオロマンティックの人は、哲学を持たない人に興味がなく、哲学に富み物事について深く考える人に惹かれる傾向があります。
サピオロマンティックの性格的な特徴
ここまでは、自分自身がサピオロマンティックなのかという疑問に対して、サピオロマンティックの人が魅力を感じる対象の具体例をあげてきましたが、ここからはより深く理解していくために、客観的にみたサピオロマンティックの性格的な特徴を紹介してきます。
1.探究心が強い
知的な人が初めから深い知識を持っていた訳ではなく、その探究心の強さから日常の小さなことに興味を持ち、深く思考したり調べたりすることで、それらの知識を身に付けたり、自分自身の行動指針を見出してきたのでしょう。
身の回りのことを深く追求することを怠りません。
2.人と違うポイントが気になる
例えば多くの人が「おいしい食べ物の話」や「共通の趣味の話」など、私生活で話題になるポイントについて話したり、情報交換をします。彼らにとって流行っている情報を共有する事で、お互いの価値を高めているとします。
対してサピオロマンティックの人は、例えば「人はなぜ生きるのだろう」のような壮大な話題から、「居酒屋のお通しは必要か」「飛行機が飛ぶ仕組みはどうなっているんだろう」の様な些細な話題が挙げられます。
ポイントは、「話題に思考が入るか」「議論の余地があるか」です。情報交換のような既にある情報のやりとりよりも、ディベートができる話題に注目を集めるのがサピオロマンティックです。
3.恋愛対象の外見的要素にあまり興味がない
恋愛や人間関係において、ルックスは重要ですよね。ルックスの良い人は他の人より注目を集めます。多くの人はルックスに関心があります。
サピオロマンティックの人ももちろん人のルックスは重要ですが、それ以上に「知的である」「論理的思考が可能」という事を重視します。恋愛対象である人の外見要素にあまり興味がないと言っても過言ではありません。
人を評価する時にルックスで判断せず、知的かどうかだけで付き合う相手を選ぶのがサピオロマンティックの人の特徴です。
サピオロマンティックの割合
サピオロマンティックは、知性に恋愛的魅力を感じるセクシュアリティです。
では、その割合は全体でみるとどの程度なのでしょうか。西オーストラリア大学のジル・ジニャック博士が成人383人を対象に、恋人や配偶者に求める特性と様々な知能レベルの人たちにどれくらい魅力を感じるかを調査した研究を発表しています。
研究では、被験者のサピオロマンティック傾向を推定する質問が行われ、サピオロマンティックは18〜35歳のグループで1〜8%と診断されました。しかし、この研究では、IQ 100未満の被験者は不参加という制限があり、実際のサピオロマンティックの人口割合とは異なる可能性があります。
また、サピオロマンティックには女性が多いという説もあります。
その根拠として「知的な男性は経済的に裕福になる傾向があり、子育てを円滑に行う為の重要なポイントとして女性は本能的に知的な男性を選んでいる」という説を挙げています。
しかしその根拠自体が、異性同士が惹かれ合うことを前提としていることや、男性が働き女性は子育てを行うという、割り当てられた性別役割分業に基づいていることから、多様性を踏まえていない研究結果であるとして注意が必要という声もあります。
個人的には、知的な人が経済的に裕福になり、生活に有利になるから本能的にそういう人を求めているからであるという結論に至るのは、ここまで述べてきたサピオロマンティックが魅力を感じる知的さが、世間的なステータスとして学力や職業のことを指していないという特徴とは異なっていると思わざるを得ません。
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サピオロマンティックの性的指向
サピオロマンティックを公言している人としてよく挙げられるのが、ブルーノ・マーズのヒットソングなどを手掛けたことで知られている、シンガー兼プロデューサーのマーク・ロンソンです。
彼は、とあるテレビ番組に出演した際に「サピオセクシャル」であることをカミングアウトしました。しかしその後、ヘテロセクシャル(異性愛者)という性的指向におけるマジョリティに属している自分が、社会的に追いやられてきた歴史を持つ性的マイノリティに属しているような発言をして、誤解や不快を感じさせてしまったとして謝罪をしたことが話題になりました。
カミングアウトしたことに対して、どんな反響があったのかはわかりませんが、実際にサピオロマンティックでもあり、レズビアンやゲイなど性的マイノリティである人もいることを考えると、自分の性的指向を公言したことに対して謝罪するというのは、不自由さを感じてしまいますね。
昔に比べるとよりライトにセクシュアリティについて語れるようになったことで、自分以外の性的指向を知る機会が増えると共に、好くも悪くもこう言ったセクシュアリティ間での認識の違いなどによる論争も増えるのかなと思いました。
まとめ
知性に魅力を感じるサピオロマンティックについてご紹介してきましたが、皆さんは当てはまる部分はありましたか?
私も、男女問わず自分にない考えを持っている人、小さなことをそういう物だからとやり過ごすのではなく、自分なりにしっかり解釈しているような人に惹かれやすいので、共感できる所が多かったです。
誰もが、こういった分類する用語も使わなくてもお互いを尊重して理解し合える社会になったらいいなと思います。