どうも、空衣です。FtM(トランスジェンダー男性)でパンセクシュアルです。

今回は、社会的に女性から男性の境遇になった私が、初めて男性専用スペースを利用するようになったときのエピソードをご紹介します。

FtMが初めてメンズの洋服売り場に行った日

これは、私が初めてメンズのボクサーパンツを買った時のことです。
トランスジェンダーとして医学的治療をする前に、まずは服装から、と考える人は多いのではないでしょうか。しかしFtMがメンズファッションをしたいと思っても、うまくいかないことがあります。

まず、ファッションは思った以上に男女で分けられているということです。家族と過ごしていた頃は、必然的に女性用エリアで買い物するよう幅が狭められていました。そのため男性用エリアへ行くという発想自体ありませんでした。FtM・トランス男性向けの情報をネットで検索するようになり、男性ものの服を着ようと覚悟してからも、男性用の売り場には行きづらかったです。

女性とみなされていたときは、自分用にボクサーパンツを買いに行ったにも関わらず「彼氏さん用ですか?」と接客されたことがあります。ずいぶんと気持ちが沈みました。私の場合は男性ホルモン投与と筋トレで、外見が男性として判断されるようになり、不自由なく男性用エリアで買い物できるようになりました。今は気にすることなく男性向け下着売り場に行って、自分のために選べるので幸せです。

FtMが初めてメンズの眉毛サロンへ行った日

男性的な外見とは?と考えたときに、私の場合は「眉毛」が思い浮かびました。顔のパーツの中で、濃くて凛々しいと男性的に見える、と感じていたのです。

声変わりして男性とみなされ始めた初期に、さっそく男性向けの眉毛サロンを予約しました。使用し始めたばかりの通称名(トランスジェンダーの人が戸籍名を改名する前に一定期間呼ばれたい名前を用いることがあります)で予約したので、名前も外見も振る舞いも慣れていなくて終始緊張していました。

しかも担当者は年の近い20代女性でした。つい先月くらいまでは「同性」として扱われていたような相手が、今となっては「異性」です。“男らしくない”とバレるのでは、とヒヤヒヤしていました。
そのお姉さんとの会話のなかで、「普段乳液を使用している」と告げたら、「(男性なのに)乳液を使っているなんて珍しいですね!」と驚かれて、私はそのことに驚きました。男性は乳液を使うことが珍しいという認識が、当時の私の中にはありませんでした。

FtMが初めてメンズ美容院へ行った日

眉毛を整えた後は、髪型も男性専用のところで切ってもらいたいと思い、メンズ美容院へ行ってきました。
「最初女の子かと思ったよー」と男性の美容師さんに言われましたが、そう言われるということはその時点で「男に見えている」という意味なので、緊張感は薄れてきていました。

私は男性基準での「長め」位の髪型が好きなので、男性らしい骨格が目立つほど短く切ってもらうことは滅多にありません。しかしFtMだと髪を切る際に自身の骨格を気にする人もいるので、FtM当事者の美容師に切ってもらう、というのも1つの手だと思います。

FtMが初めて男子トイレを利用した日

生活全般が男性的に移ってきたところで、トイレも男性用に変えます。不確かですが私の場合は、初めて男子トイレに入ったのは通っていた大学構内の人どおりの少ないトイレだったと思います。
(学校や職場に通っているトランスジェンダーの人の場合は、以前からの知り合いと鉢合わせると相手が混乱するので、注意が必要です。また閉じられたコミュニティでは、なかば強制的にカミングアウトが求められる場合もあります。)

あとは女性としてバイトをしていた現場では引き続き女子トイレを使用していましたが、それ以外では男子トイレを使うように使い分けていました。男子トイレを使い始めた頃は、小便器がずらっと並んでいて、化粧スペースがない空間に違和感があって戸惑っていました。ちなみにその時点では、男性ホルモン注射の影響で生理はストップしていました。

関連記事【FtMが語る】トランスジェンダーのトイレ利用は、現状こんな感じ。

FtMが初めてホテルの宿泊に男性としてチェックインした日

おおむね男性として生活するようになると、なにかの会員登録も(戸籍が必須でない場合は)性別欄は「男」に丸していました。ホテルの予約サイトの設定もそうです。

男性としてホテルにチェックインするのは、ワクワクとドキドキがありました。身分証の提示は案外求められません。たとえばGoToキャンペーンや各都道府県のキャンペーンなど適用する場合は、顔写真付き身分証を提出するよう言われるかもしれませんが、それ以外では性別を重視さることはありませんでした。

男性として宿泊することに、これといって変化があるわけではないのですが、施設によってはお部屋に男性向けの髭剃りが準備されていたり、大きなサイズの館内着が用意されていたりします。

男女で分かれる公衆浴場に入りづらい身体の時期は、個室で入浴できる施設を選ぶようにしていましたが、今では大浴場のある場合、男性用浴場に案内されたりするのが嬉しいです。

以上、FtMが初めて男性専用スペースへ行った日の話でした。

チェック → FtM(トランスジェンダー男性)の「リアル」を伝える記事のまとめ

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◎この記事を書いた人・・・空衣
1996年、神奈川県生まれ。居住地にこだわりがなく女子寮にいたこともありますが、現在は男性の境遇で生活しています。カレー好きで、世界一辛いカレーを完食したことも。

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