日本全国で、同性カップルの公的認知を目指す「パートナーシップ宣誓制度」の導入や改善の動きが活発化しています。北海道の幕別町から九州の長崎県まで、多くの自治体がこの制度の導入や運用に向けた取り組みを進めており、それぞれの地域での取り組みや挑戦が注目されています。
この記事では、各地の動向や取り組み、そして当事者や市民の声を紹介していきます。
初めに |
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当社IRISでは、多様な性の形を受け入れ、様々な社会的マイノリティを記すためにLGBTsという表現を用いていますが、参考元がLGBTQを使用している為、本記事でもLGBTQと表記しています。 |
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北海道幕別町、同性パートナーシップ証明制度の導入を計画
北海道の幕別町が、同性カップルのパートナーシップを公的に認める制度、同性パートナーシップ証明制度の導入を予定していることが明らかになりました。飯田晴義町長が町議会で「来年度中に制度運用開始を予定している」との回答を行いました。
この動きは、北海道新聞が実施したアンケートの結果とも関連しています。アンケートは、道内全179市町村長を対象に、同性パートナーシップ証明制度導入についての意向を問うものでした。その結果、十勝管内では6自治体が「導入予定、または検討中」と回答。特に幕別町は、制度導入の背景として「多様性を認め合い、ひとりひとりが社会の対等な構成員として参画し、活躍できる地域社会にするため」との理由を挙げました。
新潟県、同性パートナーシップ証明制度に向けた取り組み
新潟県内では、新潟市が2020年に先駆けて同性パートナーシップ証明制度を導入しました。しかし、県全体としての導入はまだ実現していません。一方、近隣の富山県や長野県、群馬県などはすでに制度を導入しており、山形県も導入に前向きな構えを見せています。
新潟県は、性的マイノリティに対する理解度や制度の必要性を探るため、県民意識調査を実施。この調査の結果を基に、制度の導入の是非や具体的な施策を検討中です。
新潟市を拠点とするLGBTQ当事者団体「LGBTQここラテにいがた」の代表、あやかさんは、新潟県内での情報の流通や当事者の集まる場所の少なさを指摘。多くの当事者が孤独感を感じ、他県へ移住するケースもあると語っています。制度の導入については、自治体との連携や周知活動の方法に不安があるものの、県レベルでの導入が最も望ましいとの意見を示しています。
福井県、同性パートナーシップに向けた新しい展開
福井県内では、同性カップルの権利を認知し、サポートする動きが広がりを見せています。特に、敦賀市と小浜市が近い将来、同性パートナーシップ証明制度の導入を計画していることが注目されています。
これらの市では、制度導入に向けた準備や市民への情報提供が進められており、多様な家族形態を受け入れる地域社会の形成を目指しています。また、県内の他の市町でも、同様の制度導入を検討する声が上がっており、福井県全体での動きとして期待されています。
福井県は、これまでの伝統や文化を大切にしつつ、新しい時代のニーズに応えるための取り組みを進めていることが伺えます。今後の展開が注目される中、多くの市民からは、制度の早期導入を望む声が多く聞かれています。
富山県、同性カップルの権利保護への新たなステップ
富山県は、今年3月に「パートナーシップ宣誓制度」を正式に導入し、同性カップルの権利をさらに保護する方向へと進んでいます。この制度は、同性カップルの社会的な認知を促進し、彼らの権利を守るためのものです。
さらに、富山県は茨城県と連携協定を締結。この協定により、両県間での転居時の手続きが大幅に簡略化されることとなりました。これにより、同性カップルが住む場所を選ぶ際の制約が少なくなり、より自由に生活を選択できるようになることが期待されています。
富山県の関連部署は、この制度をより多くの人々に利用してもらうための環境整備を進めており、「制度の利用を促進し、連携をさらに拡大していく」との意向を示しています。
栃木県、パートナーシップ宣誓制度の普及と啓発への取り組み
栃木県では「パートナーシップ宣誓制度」の導入から1年が経過しましたが、他の先行する県に比べて、制度の認知度がまだ低いという課題が浮き彫りになっています。この背景を受け、県はさまざまな啓発活動を展開しています。
1日から15日までの期間、県庁昭和館を性の多様性を象徴するレインボーカラーでライトアップする取り組みが行われました。このライトアップは、通行人の注目を集め、多くの人々がその美しい光景に見入っていました。
また、県はこれまでの研修会をさらに拡大。従来は県職員や医療・福祉関係者を対象としていましたが、今後は企業経営者や従業員も対象に含める方針です。この研修では、「多様性を組織の力に変えるための方法」をテーマに、動画を通じて講義が行われる予定です。
さらに、県内の事業所への啓発ポスターの掲示を促進し、制度の理解を深めるとともに、宣誓したカップルに対する民間サービスの拡充も視野に入れています。
香川県、同性カップルの公的認知を目指す新政策
香川県が、同性カップルの関係を公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」の導入方針を明らかにしました。これは、県内での性の多様性を尊重し、全ての市民が平等に生活を営むための重要なステップとなります。
香川県内では、すでに高松市が制度を導入しており、他の市町でも導入を検討している動きが見られます。県としての方針発表は、これらの市町の動きを後押しするものとなるでしょう。
香川県知事は、この制度導入について「多様な価値観を受け入れ、誰もが自分らしく生きることができる社会を築くための一環」とのコメントを発表。県民の理解と協力を求める姿勢を示しています。
広島県府中市、同性カップルの公的認知への新たな一歩
広島県府中市が、同性カップルの関係を公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」を導入することが決定しました。この制度は、同性カップルの権利を保護し、彼らの生活をサポートするためのものです。
府中市のこの取り組みは、市民の多様性を尊重し、誰もが平等に生活できる社会を目指すものとして、多くの市民から支持を受けています。制度の導入により、同性カップルは様々なサービスやサポートを受けられるようになると期待されています。
府中市は、制度の導入にあたり、市民への情報提供や啓発活動を強化。市民一人ひとりが制度の意義や利用方法を理解できるよう、努力を続けています。
九州地方、同性パートナーシップに対する新しい風
九州地方においても、同性カップルの公的認知を目指す動きが活発化しています。特に、長崎県では「パートナーシップ宣誓制度」の導入を検討中であり、多くの市民からの期待が寄せられています。
一方、熊本市はすでに制度を導入しており、現行の制度をさらに改善するための検討が進められています。市民からのフィードバックを基に、より使いやすく、実用的な制度としての再構築が目指されています。
九州地方全体として、性の多様性を尊重する文化の醸成と、それを支える制度の整備が進んでいることが伺えます。地域の特色やニーズを踏まえた取り組みが、今後のさらなる展開の鍵となることでしょう。
まとめ
日本各地での「パートナーシップ宣誓制度」の導入や改善の動きは、性の多様性を認知し、それを公的にサポートする社会の進歩を示しています。各自治体の取り組みや市民の声からは、制度の導入や運用に対する期待とともに、さらなる理解や啓発の必要性が伺えます。
今後も、この制度を通じて多様性を尊重する文化の醸成と、それを支える制度の整備が進むことが期待されます。
参考記事:
- 【同性パートナーシップ証明制度】北海道幕別町、福井県敦賀市・小浜市、広島県府中市、香川県が導入へ
- 虹色に輝く県庁昭和館 性の多様性への理解深めて 15日までライトアップ(下野新聞)
- 「パートナーシップ宣誓制度」引っ越し時の手続きの簡略化(NHK)
- 転居後も「宣誓」容認 富山県と茨城県 パートナーシップ協定(中日新聞)
- 【独自】香川県がパートナーシップ宣誓制度導入へ 県単位では四国初 当事者団体の要望など受け方針固める(KSB瀬戸内海放送)
- 長崎市のパートナー制度 県内初導入から4年 各地で取り組み広がるも、残るLGBT法への懸念(長崎新聞)
- 大西熊本市長 性的マイノリティーのカップルを対象にした宣誓制度 改善する考え(熊本テレビ)
- 『性的マイノリティ』の “パートナーシップ宣誓制度” の改善を検討 熊本市(熊本放送)
- 「独身証明書の提出義務付けは差別」パートナーシップ宣誓制度の申請手続き見直し検討(熊本県民テレビ)