9月より岐阜県で、パートナーシップ制度が始まります。また、地方の各地でもパートナーシップ制度が拡大されています。
本記事では、岐阜県とその他の各地のパートナーシップ制度についてまとめていきます。
岐阜県、9月よりパートナーシップ宣誓制度を開始
岐阜県は、9月1日から「パートナーシップ宣誓制度」を導入することを発表しました。この制度の導入により、性的マイノリティや事実婚のカップルが、公的な証明として「宣誓書受領証」を受け取ることができるようになります。
古田肇知事は24日の定例記者会見で、この制度の導入について「お互いを尊重し合う社会を築くための重要なステップ」と位置づけました。さらに、「今回の制度は、全国的にも広範な対象を取り扱うものとなっており、どのようなサービスが提供されるかが鍵となる」と述べました。
この制度の特徴として、成人の性的マイノリティや事実婚のカップルで、少なくとも一方が岐阜県内に居住している場合、利用が可能となっています。また、受領証を提示することで、行政サービスを家族として受け取ることができるようになります。具体的には、公営住宅への入居や、一部の医療機関での手術や治療方針への同意が可能となります。
さらに、民間サービスの一部でも、この受領証を活用することで、携帯電話料金の家族割引や生命保険の受取りなどが可能となる見込みです。
制度の利用を希望する場合、宣誓を希望する日の1週間前までに県人権施策推進課への予約が必要となります。また、宣誓はオンラインでも行うことができるとのこと。
岐阜県在住の当事者、VENさんは、この制度の導入について「非常に喜ばしいニュース」とコメントし、性的マイノリティのカップルだけでなく、事実婚のカップルも対象となる点や、受領証に同一生計の未成年の子の氏名を記載できる点を特に評価しています。
京都府向日市、パートナーシップ宣誓第1号カップルの宣誓書交付式を開催
京都府向日市では、2021年10月に「パートナーシップ宣誓制度」を導入しました。そして、この度、市役所でその制度を利用した第1号となるカップルの宣誓書受領証の交付式が行われました。
この特別な日に、安田市長は「多様な考え方や生き方を社会全体で認め合うことが大切だと感じています。この制度の導入後、初めての宣誓をしていただいたカップルに、心からのお祝いの言葉をお伝えしたいです」と、温かい言葉を述べました。
向日市の取り組みは、多様性を尊重する社会の実現に向けた一歩として、多くの市民からも高く評価されています。
山形県、パートナーシップ制度の導入に向けて動き始める
山形県が「パートナーシップ制度」の導入に向けての動きを本格化させていることが分かりました。21日には、地元団体との間で初の意見交換会が開催され、制度導入についての議論が交わされました。この意見交換会には、「やまがたにパートナーシップ制度を求める会」(山形市)や「虹をかける会」(酒田市)などの団体が参加。山形県は制度導入について、前向きに検討中との立場を明らかにしています。
和歌山県、岸本知事が「パートナーシップ宣誓制度」の導入に前向きな姿勢を示す
和歌山県の岸本周平知事は、最近の定例記者会見で「パートナーシップ宣誓制度」の導入について、前向きに考慮しているとの意向を明らかにしました。岸本知事は、過去の2月の県議会答弁でも「すべての県民の人権を保護し、それぞれが幸福を追求できる環境を作る必要がある」との考えを示していました。
この背景には、和歌山県橋本市が10月から「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」を拡大し、事実婚のカップルも制度の対象に含める動きがあることが影響しているとみられます。岸本知事は、この動きに対して「他の市町村の取り組みを後押しするための宣誓制度の発表」と位置づけ、今後も関係者との協議を進める方針を示しました。
さらに、岸本知事は、憲法第13条に定められた基本的人権の尊重について「最も重要なのは、幸福追求の権利である」と強調。この制度だけでなく、障害者差別解消条例の制定や部落差別解消推進条例の強化など、基本的人権を守るためのさまざまな取り組みにも意欲を示しています。
山口県のパートナーシップ制度導入の動向
山口県における同性パートナーシップ証明制度の導入に関しては、自治体ごとの対応に明確な差が見られると、山口新聞が報じています。
2021年に宇部市が県内で先駆けて同制度を導入したものの、それに続く自治体は現在まで現れていません。しかし、県庁所在地である山口市が来年4月の導入を目指して準備を進めているとのこと。県庁所在地での制度導入により、周辺の市町村への影響や波及効果が期待されています。
このような動きを受け、多くの市民や関係者からは、山口県全体での制度導入やその普及を望む声が高まっていると言われています。
鳥取県、10月からの制度導入に際し匿名性を重視
鳥取県は、今年の10月から「同性パートナーシップ証明制度」の導入を予定しています。しかし、導入にあたり、当事者や有識者からの意見や指摘を受け、制度の運用方法に一定の変更を加えることを決定しました。特に申請方法に関して、電子申請や郵送を可能とすることで、匿名性を高める方針を打ち出しました。
全国の自治体で同性パートナーシップ証明制度の導入が進む中、多くの自治体では窓口での宣誓や登録が必須とされています。しかし、鳥取県が7月と8月に開催した研究会では、公的な証明書の必要性を訴える声がある一方で、「地方での申請には匿名性が求められる」との意見も多く寄せられました。
このような背景を受け、鳥取県は地域の特性や当事者の声を尊重し、より利用しやすい制度を目指すことを決定しました。今後は、この証明書を活用して、さまざまな行政サービスを受けられるよう、各市町村との連携を強化していく方針です。
平井伸治知事は、記者会見の中で「地方では匿名性を確保するのが難しいのが現状だと感じています。しかし、各地域の特性に応じた方法があるべきだと考えています。性の多様性を尊重し、全ての人が安心して生活できる社会を目指して、制度を適切に運用していきたい」との意向を示しました。
香川県高松市、パートナーシップ制度を家族まで拡大
香川県高松市は、新たな取り組みとして「パートナーシップ宣誓制度」を一歩進め、「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」として9月よりスタートすることを発表しました。この新制度は、当事者だけでなく、子どもや親、さらには3親等の親族までを対象としています。
この拡大により、市営住宅の申し込みや一部の行政サービスを、法律上の家族と同じ条件で利用することが可能となります。これについて、大西秀人高松市長は、「市民の声に応える形での制度拡大を進めてきた。しかし、法律に関する事項には一定の制約があるため、国の方針や取り組みを待つ必要がある」との考えを示しました。
高松市のこの新しい取り組みは、多様な家族の形を認め、支援する方向性を示すものとして、多くの市民からの期待が寄せられています。
長崎県大村市、パートナーシップ制度を拡大して導入へ
長崎県大村市は、性的マイノリティや事実婚のカップルを支援する「パートナーシップ宣誓制度」をさらに進化させ、新たに「パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度」として10月11日から導入することを決定しました。これにより、長崎県内での導入は長崎市に次いで2例目となります。
市議会全員協議会での説明によれば、新制度を利用することで、市営住宅の申し込みや保育所の入所申込み、さらには母子健康手帳の交付など、一連の行政サービスを法律上の家族と同等の条件で受けることが可能となります。
髙取和也総務部長は、「この制度は、市民の多様性を尊重し、それぞれの生き方を支援するもの。性的マイノリティへの理解がさらに進むことを期待している」とのコメントを発表しました。
大村市の新しい取り組みは、多様な家族の形を認知し、それを支える方向へと進めるものとして、市民からの高い期待が寄せられています。
福島県の男女共同参画審議会、性的マイノリティカップルの家族関係証明制度について議論が過熱
福島県の男女共同参画審議会が23日に開催され、その中で性的マイノリティカップルの家族関係を公式に認める制度の導入に関する議論が行われました。制度の導入を求める委員と、県側が「具体的な検討は行っていない」との立場を示す担当者との間で、議論は熱を帯びました。
北海道北見市と高知市、パートナーシップ制度の連携に向けた調整進行中
北海道北見市と高知市が、それぞれのパートナーシップ制度の連携を模索していることが明らかとなりました。しかし、制度の詳細や要件における違いが調整の難しさを生んでいるようです。
北見市は、昨年4月に「パートナーシップ宣誓制度」を導入し、他の道内6市との連携を進めています。一方、高知市は2021年2月に「パートナーシップ登録制度」を導入。この制度は、北見市の制度とは異なる要件を持っています。
辻直孝北見市長は、高知市との連携に意欲を示しており、「当事者の負担軽減を目指し、手続きの簡素化などについて協議したい」との意向を示しています。しかし、高知市の担当者は「制度内容が大きく違うため、どの程度の調整が可能かは未知数」との見解を示しています。
日本大学大学院の鈴木秀洋教授(行政法)は、このような自治体間の連携の試みについて「新しい取り組み」として評価。さらに、姉妹都市間での連携について「双方の住民の利益を向上させるため、積極的に取り組むべき」との意見を述べています。
まとめ
日本各地の自治体が積極的にパートナーシップ制度の導入や拡大を進めています。岐阜県や鳥取県、高松市や長崎県大村市など、多くの地域で新しい取り組みが始まっており、これにより性的マイノリティカップルや事実婚のカップルが公的に認められる動きが広がっています。
各地でのこれらの取り組みは、多様な家族の形を尊重し、より住みやすい環境を整える方向に進められており、今後もその動きが全国に広がることが期待されています。