自分のセクシュアリティについて悩んでいる人はいますか。自分のセクシュアリティがわからないことは珍しくなく、同時にセクシュアリティを知ることは複雑なことかもしれません。現状、結婚や恋愛が男女間のものであることが期待されている異性愛規範な社会で、自分が同性愛者なのか、LGBTに当てはまるのかを知ることは容易ではないのです。

ですが、セクシュアリティを知ることは、新しい人と出会ったり、パートナーとの関係性や自分の好きなことにも大きな影響を与えます。そこで本記事では、自分のセクシュアリティを知るための手がかりとなる方法を紹介します。

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さまざまなセクシュアリティ

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字からなる「LGBT」という言葉を聞いたことはありますか。好きになる性や自認する性、表現する性など、世の中にはさまざまなセクシュアリティを自認している人がいます。

最近では、LGBTだけでなく「LGBTQ」「LGBTQ+」「LGBTs」「クィア」など、さまざまなセクシュアリティを包括する表現も浸透しています。

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セクシュアリティとは

セクシュアリティとは
自分のアイデンティティの一部であるセクシュアリティ。セクシュアリティとは、身体的な性別、性的指向、性自認など、性のあり方を包括して表す言葉です。そして、恋愛・性的な感情である「性的指向」のみを示す場合もあります。ここでは、性的指向としてのセクシュアリティについて、「感情」「見た目」「性」の3つの観点から分析します。

1.感情

相手と過ごした時間が忘れられなかったり、話した時の感覚が似ていたり、感情的に相手に惹かれる場合があります。友人や家族にも起こりうる感情ですが、それとは異なるような特別な感情を抱くことも。

2.見た目

服装、振る舞い、髪型など、見た目で惹かれる人もいます。相手と話している時の仕草、相手の香り、服の着こなし方など、視覚的な魅力のことをいいます。

3.性

誰かと親密になりたいという性的な感情や魅力です。具体的に何に惹かれているかわからなくても、相手に近づいたり、肌の感覚を感じたりしたいと思うことがあります。

恋愛感情を抱かないアロマンティックや、性的な感情を抱かないアセクシュアルを自認する人がいるように、これらに当てはまらない恋愛のあり方も存在します。と同時に、多くの恋愛関係において、これら3つの観点はお互いに作用していることもあります。セクシュアリティと人との関係性は多様であり、個人によって自由に定義できるのです。

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LGBT

LGBTとは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーの略で、性的指向や性自認を表す言葉として使われています。

レズビアン

レズビアン(Lesbian)は「女性同性愛者」と直訳されます。自認する性が女性で女性に恋愛・性的な感情を抱くセクシュアリティのことです。

ゲイ

ゲイ(Gay)は「男性同性愛者」と直訳されます。自認する性が男性で男性に恋愛・性的な感情を抱くセクシュアリティのことです。

バイセクシュアル

バイセクシュアル(Bisexual)は「両性愛者」と直訳されます。一般的には男女の2性に恋愛・性的な感情を抱くセクシュアリティとされていますが、個人によって定義は異なります。「自分の性別とそれ以外の性に惹かれる」「過去に男女の2性に惹かれたことがある」など、当事者の中でも捉え方はさまざまです。

トランスジェンダー

トランスジェンダー(Transgender)とは、生まれた時に割り当てられた性別と自認する性が異なる人のことをいいます。出生時に割り当てられた性別が男性で女性を自認している「MtF(Male to Female)」や出生時に割り当てられた性別が女性で男性を自認している「FtM(Female to Male)」、出生時に割り当てられた性別が女性で、男女に当てはまらないXジェンダーを自認している「FtX」のように表現できます。

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その他のセクシュアルマイノリティ

LGBT以外のセクシュアリティもみていきましょう。

Xジェンダー

Xジェンダーとは、男性にも女性にも当てはまらない性のあり方です。また、Xジェンダーは日本固有の呼び方であり、英語には同義とされる言葉は存在しません。一般的にXジェンダーは、中性、無性、両性、不定性の4つに分けられます。

  • 中性:男性、女性の真ん中に位置する
  • 無性:男性でもなく女性でもない
  • 両性:男性であり女性である
  • 不定性:その時々によって性別が変わる

パンセクシュアル

パンセクシュアル(Pansexual)とは「全性愛」と直訳されます。性別関係なく、人に恋愛・性的な感情を抱くセクシュアリティのことです。

ノンセクシュアル

ノンセクシュアル(Nonsexual)とは「無性愛」と直訳されます。他者に対して性的な感情を抱かないセクシュアリティのことです。

アセクシュアル

アセクシュアル(Asexual)とは、他者に対して性的な感情を(ほとんど)抱かないセクシュアリティのことです。

アロマンティック

アロマンティック(Aromantic)とは、他者に対して恋愛感情を(ほとんど)抱かないセクシュアリティのことです。

デミセクシュアル

デミセクシュアル(Demisexual)とは、他者に対して強い絆やつながりを持った時にのみ、稀に性的な感情を抱くセクシュアリティのことです。

デミロマンティック

デミロマンティック(Demiromantic)とは、他者に対して強い絆やつながりを持った時にのみ、稀に恋愛感情を抱くセクシュアリティのことです。

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セクシュアリティを知る方法

自分のセクシュアリティを知るのに、正しい方法はありません。ですが、自分のことを知り、さまざまな性のあり方を知ることで、ヒントを見つけることはできるかもしれません。現状、日本はセクシュアルマイノリティが安心して過ごせる環境とは程遠いですが、セクシュアリティや自分のあり方というのは、他人が決められることではありません。自分の気持ちを一番にして考えてみましょう。ここでは、セクシュアリティを知るためのヒントとなるような方法を4つ紹介します。

自分について知る

まず、自分の抱いている感情を知ることが大切です。つまり、セクシュアリティに関して疑問を抱いている現実を受け止めることです。しっくりくるセクシュアリティを見つけるには時間がかかるかもしれません。そのため、ゆっくりと自分と向き合い、焦る必要がないことを覚えておきましょう。

さらに、セクシュアリティは流動的であり、その時々で変化する可能性があります。悩んでいる間にも変わっていくことはありますが、それに対して驚く必要はありません。

どの性に惹かれるかを考える

次に、自分がどの性に惹かれているかを考えましょう。そのために、まずは自問自答してみてください。

  • 特別な感情を寄せる人にはどのような性の人が多いか
  • 一緒にいて苦ではない人はどのような人か
  • ある特定の性別に惹かれるのか、もしくは限定的ではないのか
  • 恋人となる人の性別を気にするか
  • 人に恋愛・性的な感情を抱いたことはあるか

また、さまざまなセクシュアリティについて知ることもおすすめします。それぞれのセクシュアリティについて詳しく知り、最も共感できるものを見つけることで、自分の性のあり方の傾向や特性について気づくことができるかもしれません。

人と会う

セクシュアルマイノリティのコミュニティにいる人と出会うことも1つの方法です。そこでセクシュアリティに対する自分の悩みや考えを話してみてください。もしかしたら、同じ境遇の人と出会い、ヒントが得られるかもしれません。

また、さまざまな人と出会う中で、自分のセクシュアリティを見つけようとする必要はありません。むしろ、その時の経験だけで「私はこの子のことが好きだったから、レズビアンだ」とラベリングすることは危険です。のちに、そのセクシュアリティが自分に合っていないことを知ると、混乱してしまう可能性があるからです。

診断『anone,』を参考にする

セクシュアリティ分析ツール『anone,』を利用することもおすすめします。『anone,』では、質問に答えることにより、2,000通りのセクシュアリティの組み合わせの中から、自分に近いパターンを分析できます。「こころの性」「恋愛的思考」「性的指向」「表現したい性」の4つの観点から詳細に分析が行われるため、この分析結果をもとに自分の性のあり方を考える人も多くいます。

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セクシュアリティに関するよくある質問

セクシュアリティに関するよくある質問
ここでは、セクシュアリティに関するよくある質問に答えていきます。

そもそもセクシュアリティを決める必要はあるの?

セクシュアリティを決める必要はありません。たしかに、ラベリングする言葉が見つかることで安心したり、同じような経験を持つ人に出会いやすくなったりします。

一方で、あえてセクシュアリティを決めない人もいます。さまざまな理由が考えられますが、例えば、自分のあり方を決めることで、自分らしさが失われてしまうという意見もあります。個人によって、自分をどのように表現したいかは異なるため、必ずしもセクシュアリティを決めなければいけないというわけではないのです。

すぐにセクシュアリティを決めなければならない?

すぐに行動する必要はありません。今抱えている感情がどういうものなのか、まずは時間をかけて自分と向き合うことが大切となります。また、さまざまなセクシュアリティを知るために、Youtubeや映画を観たり、本を読んだりすることもおすすめです。あらゆる情報や経験と触れ合うことで、新たな視点が得られ、セクシュアリティを見つけるヒントになるかもしれません。

LGBTであることは異常?

かつてはセクシュアルマイノリティは精神疾患とされていましたが、WHO(世界保健機関)はLGBTを「異常」「倒錯」「精神疾患」とみなさないことを示し、治療の対象から除外しました。とはいえ、いまだにLGBTに対する差別や偏見は存在します。社会的にも十分に受け入れられているとはいえず、多くの当事者がうつ病や不安症などの精神疾患にかかりやすいという現状もあります。まずは、さまざまな人が存在することを認識し、否定しない社会が求められるのです。

他人が自分のセクシュアリティを決められる?

セクシュアリティはその人の内面を表すため、他人が自分以外のセクシュアリティを決めることはできません。服装や振る舞い、言葉遣いなどの表面的な側面から、相手のセクシュアリティを判断する人もいますが、これはステレオタイプに過ぎません。性的指向と性表現は全く異なるものであり、第三者が判断することで、本人を傷つける可能性もあるのです。

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まとめ

セクシュアリティは人それぞれであり、単純に見つけられるものでもありません。1つの性に惹かれる人、性別関係なく相手の個性に惹かれる人など、性のあり方は千差万別なのです。まだまだセクシュアルマイノリティが受け入れられる社会とはいえませんが、自分をどのように表現すれば心地よいかが一番大切です。時間をかけてゆっくり自分と向き合いましょう。