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ポリアモリーについて解説!浮気やオープンリレーションシップとの違いは?

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日本では、モノガミーと呼ばれる一夫一婦制が一般的とされています。しかし、恋愛や結婚に関する考え方は必ずしもそうであるとは限りません。あまり「ポリアモリー」という言葉は浸透していませんが、実は同時に複数人と恋愛関係を構築する恋愛スタイルも存在します。最近ではさまざまなあり方がテレビで取り上げられるようになり、そのなかでポリアモリーをカミングアウトした芸能人もみられます。

以前と比べると寛容になってきたとはいえ「ポリアモリーは浮気性と同じなのでは?」「オープンリレーションシップとどう違うの?」といった疑問をもつ人も少なくありません。みなさんが気になるそんな疑問を解消すべく、今回はポリアモリーの意味や特徴、リアルな話を紹介します。

ポリアモリーとは?

ポリアモリー(Polyamory)は、ギリシア語で「複数」を意味する“Poly”と、ラテン語で「愛」を意味する“Amor”を合わせた造語です。ポリアモリーについて初めて学術的に取り上げた著書『ポリアモリー 複数の愛を生きる』によると、ポリアモリーのことを「自分と親密な関係にある全ての人に交際状況をオープンにし、合意のうえで関係をもつこと」を条件とし「感情的にも身体的にも深く関わり合う、持続的な関係」だと特徴づけています。また、ポリアモリーを実践する人たちのことを「ポリアモリスト」といいます。

ポリアモリーの考え方は、100年以上も前から存在していたとされていますが、1990年代にアメリカの非営利団体「ラヴィング・モア」が言葉を使い始めたことで、世の中に浸透したといわれています。最近では、日本でもネットやテレビでも取り上げられる機会が増えたため、さらに認知の幅が広がることが考えられます。

ポリアモリーの割合

日本では一夫一婦制、つまり「モノガミー(Monogamy)」の考え方が一般的とされていますが、海外に目を向けると、モノガミーではない「ノンモノガミー」が法律的に認められている国も存在します。

明確にはポリアモリーと異なりますが、ノンモノガミーの一種と定義される一夫多妻制を取る国は、アフリカ大陸で多くみられます。その要因としてイスラム教の信仰が大きく関わっていると推測されます。元をたどると、宗教戦争の時代、残された未亡人や孤児を救うために一夫多妻制が取り入れられたとされ、今でも慣わしとして続いているそうです。

ポリアモリーを実践するうえで大切なこと

しばしばポリアモリーは「所有しない愛」と捉えられ、排他性にこだわらない点が特徴として挙げられます。つまり、複数人のパートナーとの間で優位性は存在せず、すべての関係性において誠実に向き合うあり方を実践しているのです。これは、多くのポリアモリストが口を揃えて言うことでもあり、なかには「お互いを信頼しているからこそ、束縛する必要性がない」と考える当事者もいます。

デボラ・アナポールの著書『ポリアモリー―恋愛革命』によると、ポリアモリーの倫理を以下の6つに分けています。

  1. 意思決定は合意の上で
  2. 正直であれ
  3. 相手をおもいやる
  4. 本気でかかわる
  5. 誠実であれ
  6. 個性を尊重する

隠し事や嘘をつかないことは大前提に、それぞれのパートナーがよい関係を構築するために、ルールや条件を決めたり、密なコミュニケーションを心がけたりなど、工夫していることがわかります。

ポリアモリーのフラッグ

 

ポリアモリーを象徴する旗は、1995年にアメリカのアーティストJim Evansによってデザインされました。パートナーとの間にある誠実さを表す「ブルー」、愛・情熱の「レッド」、社会的に抑圧されたポリアモリストの連帯を示す「ブラック」の3色から構成され、中心には「π(パイ)」のマークが設置されています。これはポリアモリーの“P”にちなんでおり、「ゴールド」カラーは肉体的な魅力だけでなく、感情的なつながりを表しています。

ポリアモリーと浮気の違い

「ポリアモリー」という言葉を聞くと、浮気と混合して捉えてしまう人もいますが、まったくの異なるあり方であることを覚えておきましょう。たしかに浮気は、自分のパートナー以外の人と性的な関係をもったり、恋愛関係に発展したりする場合もあり、違いがわからない人もいるかもしれません。なかには浮気を正当化するためにポリアモリーをだしに使う人もいることから、誤った認識が広まっていることが考えられます。

ですが、先述したように、ポリアモリーはすべてのパートナーが合意のうえで関係を結んでいます。そして、それぞれのパートナーに愛情を注いでいます。つまり、関係性をパートナーに隠したり、それぞれのパートナーとの間に順位が存在したりする浮気とは異なるのです。

関連記事「浮気だと誤解されやすいポリアモリーについて

ポリアモリーとオープンリレーションシップの違い

ポリアモリーは浮気だけでなく、オープンリレーションシップと同じ意味合いとして使われることもあります。両者は合意に基づくノンモノガミーを実践し、似た特性をもちますが、いくつかの違いが存在します。

オープンリレーションシップとは、恋愛や結婚などの関係性をもちながら、ほかにも関係をもつあり方のことをいいます。あくまでも本命のパートナーが存在し、そのパートナーが他人と関係をもつことを承諾しているという大前提があります。つまり、すべてのパートナーを平等に愛し親密な関係をもつポリアモリーとは異なり、オープンリレーションシップはそれ以上の深い関係になることはありません。

ポリアモリーの種類

さまざまなポリアモリストが存在し、個々の関係性によって向き合い方は異なります。『ポリアモリー 複数の愛を生きる』では、ポリアモリーによくみられ代表的な愛の形を以下のように分類しています。

オープン・マリッジ

オープン・マリッジ(Open Marriage)とは、日本語で「開かれた結婚」と直訳され、結婚しているカップルが関係性を維持しながら、外で性的な関係をもつことを合意しているあり方をいいます。

オープン・リレーションシップ

オープン・リレーションシップ(Open relationship)は、カップルが合意のうえでほかの人と性愛関係を結ぶことをいいます。

グループ・マリッジ

グループ・マリッジ(Group marriage)とは、3人以上で結婚あるいはそれに似た関係で暮らすあり方のこと。精神的・肉体的なつながりだけでなく、お互いに経済的な側面を支援したり、子どもの面倒をみたり、さまざまな結婚の取り決めが存在します。

ポリフィデルティ

ポリフィデルティ(Polyfidelity)とは、3人以上のパートナーが1つのグループとして交際する恋愛で、性的な関係をグループの中だけに限定するあり方をいいます。

トライアド

トライアド(Triad)とは、3人のパートナーと交際するあり方のことをいいます。つまり、全員が自分以外の2人とも関係を結ぶことになります。関係性が三角形のように描けることから、トライアドとよばれています。

ヴィー

ヴィー(Vee)とは、関係のなかにいる1人の人物が、ほかの2人と交際するあり方のことをいいます。アルファベット“V”のように、中心となる1人から両側にそれぞれの関係性があるイメージです。

クワッド

クワッド(Quad)とは、4人のパートナーと交際するあり方のことをいいます。グループのなかにいるすべての人がパートナー関係にあるトライアドとは異なり、クワッドは関係を結ぶ場合とそうでない場合があります。

ポリアモリーに関するよくある質問

ネットや本でポリアモリーについて知ろうとしても、当事者に聞かなければわからないリアルな話もあります。しかし「聞いたら失礼になるのでは?」と聞けず、結局わからないままになってしまうことも。そこで、ここではポリアモリーに関するよくある疑問を解明したいと思います。

嫉妬しないの?

「パートナーがほかの人と性的な関係をもつことは嫉妬しないの?」という疑問をよく耳にします。ポリアモリーを実践する人は嫉妬しないと思う人は多いかもしれませんが、多くの当事者が嫉妬心と向き合っているのが事実です。嫉妬は、嬉しさ、悲しさ、怒りなど、ほかの感情と同じように人間に備わり、自然と生じるものでもあります。

このような感情を自分でコントロールすることは難しいですが、感情の元となる原因を追求することはできます。パートナーに不安を感じた場合、多くのポリアモリストは話し合ったり、解決策を導こうとしたりします。このような地道な作業を積み重ねるうちに、徐々に嫉妬心が軽減されるといいます。

また、自分の考えや価値観を客観視することも重要です。必ずしもパートナーと同じことを考えているわけではないので、行動も異なります。ほかのパートナーと性的な関係をもつことはいいが、恋愛感情が芽生えたら嫉妬する人、逆に性的な関係をもつことに嫉妬する人など、さまざまな感じ方が存在します。嫉妬する境界線を捉えることで、よりよい関係性を構築することにつながるのではないでしょうか。

ただ性的な関係を求めているだけ?

大多数ではないかもしれませんが、ポリアモリストのなかには性的な関係を望まない人も存在するようです。ほかの恋愛スタイルと比べて、ポリアモリーは開放的であり、複数人のパートナーと性的な関係を結ぶことも考えられます。しかし、ほとんどの当事者が性的な関係の有無より、精神的なつながりを重視しているのです。

ポリアモリストのなかには、3人以上のパートナーからなる家族がいたり、お互いに離れて暮らしながらも精神的・肉体的なつながりを保っている人もいます。さまざまな生活や関係性のあり方があるなかで、誰もが親密さを重要視している点は間違いありません。

さらに、性的な行為に興味のない人が精神的なつながりを望んでポリアモリーになるケースもあるそうです。アセクシュアルを自認するポリアモリストも、ほかの当事者と同じように尊重されているのです。

長期的な関係を築くことが苦手?

ポリアモリーであるかどうかにかかわらず、お別れするカップルはいます。関係性がうまくいかなくなったとしても、それが長期的な関係を築けないからだとは限らないのです。お互いの将来のため、価値観の違い、一時的に距離を置くためなど、それぞれ違う理由があります。それをポリアモリーであることと直接結びつけることは難しいといえるでしょう。

性感染症にかかっている人が多い?

ポリアモリストだけでなく、誰もがいつどこで感染症のリスクを伴うかはわかりません。ポリアモリストのなかには、パートナーと月に1回の検査を受けることを決めていたり、新しく関係をもつ人とは性交渉の前に感染症の有無を確認したり、安全な性交渉を行うための工夫をしている人もいるそうです。

関連記事「浮気とどう違うの?複数人を同時に愛する『ポリアモリー』とは

もしポリアモリーだと思ったら?

この記事を読んでいる人のなかでは、自分がポリアモリーであるかもしれないと悩んでいることもあるかもしれません。確信していても自認することで、今までの生活が変わってしまうことも考えられますし、なかなか勇気のいることです。最初の一歩を踏み出すために、できることを一緒に考えていきましょう。

関係性において何を望んでいるのか

先述したとおり、ポリアモリーにもさまざまな種類が存在します。そこで、自分が関係を構築させるうえで何を望んでいるかを知ることが大事です。すべてのパートナーと暮らしを共にしたいのか、パートナーの関係性をどこまで知りたいのか、距離を置いて生活したいのかなど、できるだけ明確にしましょう。自分に正直になることで、パートナーに嘘なく向き合えるのです。

変化を受け入れる準備はできているのか

もしかしたらポリアモリーを実践することで、自分に合わないと感じることもあるかもしれません。ポリアモリーを自認してから、ほかのあり方を実践することもできます。誰もが流動的であり、いつ恋愛スタイルが変わってもおかしくないのです。自分を信じて、その変化を受け入れられるか。その部分を現実として捉えられることが重要となります。

ポリアモリーをカミングアウトしている芸能人

影響力のある有名人が自らのセクシュアリティを公言することは、社会をよりよい方向に変えるための大きな一歩でもあります。LGBTQと比べると、ポリアモリーをカミングアウトしている人は少ないですが、さまざまな性のあり方が広まっている社会で、今後徐々に増えていくことが期待できます。ここからは、ポリアモリーを公にしている芸能人を紹介します。

きのコ

文筆家、編集者として活動するきのコさんは、日本でポリアモリーを第一線で発信している人物です。インタビュー「ポリアモリーのきのコさん『自分は浮気性で“病気”だと思っていた』」では、過去に自身のことを浮気性だと思ったこともあったと述べています。自己否定や葛藤の期間を経て、2018年に正しいポリアモリーの情報を広めるべく、自身の経験を踏まえた著書『わたし恋人が2人います。』を出版しました。ネット上でも、当事者としての考えや詳細な経験が綴られたブログも開設されているので、ぜひチェックしてみてください。

西山家

西山家は、一夫二妻の9人家族として知られています。過去のインタビュー「ポリアモリー 複数パートナーとの合意ある恋愛」によると、夫である書道家の嘉克さんは、現在の妻・ゆかりさんと結婚。その後、当時事務所で働いていた裕子さんのことも好きになり、ゆかりさんに相談したと述べています。誰かが不幸になったらやめることを条件に、3人での生活を送り始めたそうです。

叶姉妹

叶恭子と叶美香からなるユニット・叶姉妹は、セレブタレントとして知られていますが、最近は自身のブログでポリアモリーについて言及しています。「『ポリアモリー』という愛のかたち」では、ポリアモリーが浮気や不倫、二股ではないことを前提とし、2人のもつポリシーや考えを述べています。ポリアモリストとしての悩みを抱える読者のコメントに対しても回答しているため、よりリアルな体験談や生活を知ることができます。

まとめ

「ポリアモリー=不誠実」のようなイメージをもつ人もいるかもしれませんが、当事者はパートナー関係を誠実に継続させるため、それぞれのパートナーと向き合っているのです。そこにいるすべての人が合意であることが大前提であり、密なコミュニケーションが重視されています。日本ではあまり馴染みのない恋愛スタイルですが「ポリーラウンジ」とよばれる交流会が開催されたりと、当事者やポリフレンドリーな人たちと出会う機会も存在します。オフラインでの交流に抵抗のある人は、Youtubeや記事などで調べてみてください。

この記事を書いたのは

Honoka Yamasaki

ライター、ダンサー、purple millennium運営。 Instagram:@honoka_yamasaki

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