どうもこんにちは!LGBTsフレンドリーな不動産会社IRISのしょうへいです。

先日、IRISと大和ハウス工業の共催で『LGBT × 住まい』をテーマにしたトークディスカッションが行われました。

コロナ禍の為、メンバーは抑えての開催となりましたが、IRISからはCEOの須藤あきひろが参加し、大和ハウス工業からは東京本店統括マンション事業部東日本開発事業部 事業部長の走内悦子様とご担当の堀川歩様にご参加いただきました。不動産業界とLGBTについて深くリアルな情報交換ができ、有意義なディスカッションとなりました。

本記事では大和ハウス工業でのトークディスカッションの内容や、レポーターとして私が感じたことをメインに紹介させて頂きます。

不動産の現場で起きた、LGBTs差別とも言えるような出来事

トークディスカッションでは、初めに不動産の現場で実際に起きた、LGBTs差別とも言える事例の紹介から始まりました。
これはIRISが実際に経験したことであり、須藤から以下の内容が紹介されました。

  • ゲイカップルは気持ち悪いと言われ、管理会社に電話を一方的に切られたこと
  • ゲイカップルでの内見の際に、管理会社から内見を中止させられてしまったこと

前者は今年(2020年)に起きた出来事であり、管理会社の担当から「ゲイカップルは気持ち悪い」と言われ、一方的に電話を切られてしまったという内容で、後者は、担当者やオーナーの持つ偏見から、内見中にストップをかけられてしまった、というとてもショッキングな事例でした。

同席していた走内様、堀川様も、この話を聞いたときには眉間にシワを寄せ、強く深刻な表情で頷いていたのがとても印象的でした。

チェック → ゲイカップルは気持ち悪いと言われた日

LGBTsで賃貸のお部屋探しするとき起きる問題

次に、LGBTsの方々で実際お部屋探しをするとき、どのような問題が生じるのかディスカッションが行われました。

「同性愛の方、トランスジェンダーの方でも大きな違いがあると思われるが。」と堀川様が切り出します。

IRISの事例から「同性同士の場合は連帯保証人や不動産会社に対するカミングアウトの問題や、そもそも契約を断られてしまうという問題が生じる」(須藤)と説明があり、「トランスジェンダーの方では性別欄を記入することへのためらいや、身分証を提出し、見た目とのギャップがあることなどが大きな心理的障壁となる」(須藤)ことが語られました。

同性カップルは友達同士のルームシェアという扱いになる

同棲するための賃貸物件を探している時、度々目に入るのが二人入居可物件ですが、同性パートナーの場合は男女のパートナーと異なり、断られてしまうこともあるという問題も提起されました。

同性同士入居の場合、婚姻関係にある夫婦と異なり、法的な権利や義務が自動的に認められるものではないので、パートナーというよりも友達同士でのルームシェア扱いとなってしまうことがあるようです。
また生計を同一にしていると見なされず、収入を合わせて審査されない状況もしばしば生じてしまうため、同棲に向いているような広々としたお部屋を借りることが難しいというパターンも多く起こり得ます。

物件購入でのローンの問題も

大和ハウスLGBTs多様性

物件の購入においても収入合算してローンを組むことができる物件が限られている現在、それでも少しずつ対応が広がってきていると、走内様からお話がありました。

「不動産購入について、様々な形で多様化を見せている今では、立地や間取りなどにとどまらず、ローン完済までの35年間ずっと住宅に住み続けるというニーズが減ってきていて、ライフスタイルの変化にも柔軟に対応できる物件などが好まれるようになってきた。」(走内様)
「都市銀行を例に挙げると、みずほ銀行なども、パートナーシップの公正証書があれば、住宅ローンを組むことが(同性パートナーでも)可能になっている。また、ネット銀行や地方銀行も対応が進んできている。」(走内様)と続け、須藤も「行政も含め、対応は大きく前進しつつある。」と同意しました。

最近はパートナーシップ制度の拡大に伴い、実際にパートナーシップ制度を利用している同性パートナーも増えてきているので、2人で住むことができるような家を購入したいと考えている方も増えているのではないかと思います。

今後は、同性カップル2人で物件を購入することが、より容易になることが期待できそうだと、お話を聞いて感じました。

LGBTs当事者に十分配慮した接客が重要

堀川様から「では不動産会社はどのような対応をすることが重要と言えそうですか。」と質問がありました。

これに対して、須藤は「仕事を行う上で不必要な質問をしない、腫物を触るような特別扱いをしないと同時に、アウティングに対して配慮することも重要。」と回答しました。

自身の物件探しの体験から「パートナーと大和ハウス様にご相談に伺い、関係性を『カップル』と伝えたときに、『そうですか。』とだけ言われ、深く聞くこともなく流して本題に移っていった。この対応が自分としては嬉しかった。」と”普通の対応”が、当事者には救いとなる事例を挙げ、まずは相手を不快にしない対応の重要性を訴えていました。
さらに「アウティング(第三者によって、自分が望まない形でカミングアウトがされてしまうこと)を避けるための配慮は必要である。」(須藤)と指摘しました。

堀川様が続けて「走内さんが不動産取引においてLGBTのお客様へ向けて重要と考えていることは何ですか。」と質問。
走内様はこれに「住まいというお客様の人生において大事なステージを提供するものであるから、すべてのお客様のニーズを気にしていくということを最も大事にしている。」と回答。大和ハウスのお客様に対する向き合い方を象徴するコメントだと感じました。

LGBTsと住まいについてより深く知ることができた1日だった

大和ハウスLGBT

私が今回、最初大和ハウスに行くと聞いたとき、大手の企業活動という枠組みで学ぶ場だと考えていましたが、そこで働く方の思いの丈を知ることができ、とても有意義なイベントであったと思いました。
当事者のリアルがなかなか発信されにくい状況の中、不動産業界のプロフェッショナルがLGBTsについてどう考えているのかを間近で聞き、とても勉強にもなりました。

また日本の不動産業界に大きな影響力を持つ大和ハウスが、LGBTに対してとても前向きに取り組んでくれていることも、当事者として素直に嬉しかったです。
今はLGBTsがパートナーと同棲しづらい、物件を購入しづらい現実が少なからずありますが、思っているよりも早く改善されていくかもしれません。