どうもこんにちは。LGBTs当事者によるLGBTsフレンドリーな不動産会社IRISのしょうへいです。LGBTsの引越しの悩みや不動産の悩みなどはIRISにご相談ください。

さて、IRISにはXジェンダーに関する記事がいくつかありますが、Xジェンダー当事者がXジェンダーについて総合的に解説している記事がありませんでした。ということで、本記事ではXジェンダー当事者の私が、Xジェンダーについて詳細に解説していこうかと思います。

Xジェンダーについて詳しく知りたい方、参考にしてみてください。

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Xジェンダーとは?

Xジェンダーとは、自身の性別(性自認)を無性、中性、両性、入れ替わる性などと認識している性です。自分の性別を男性、女性以外の第三の性と認識していると考えると分かりやすいかもしれません。

私は、身体的性別は男性ですが幼い頃から男性の自覚が無く、かといって女性だという気持ちも無かったので、Xジェンダーの無性であると自己認識しています。

このXジェンダーというセクシュアリティは、日本限定の概念であり、海外ではXジェンダーという言葉は通じません。その代わり、ノンバイナリーなど近しい意味を持つジェンダーが存在しています。

身体的に男性でXジェンダーの人をMtX、身体的に女性でXジェンダーの人をFtXと表現したりすることもあります。しかし、これだけだと無性なのか中性なのかといった詳細が分からないため、Xジェンダー当事者はXジェンダー無性などと表現することが多いように思います。

Xジェンダーとトランスジェンダーの違い

トランスジェンダーとは、体と心の性別が一致していない方、全体を示す言葉であり、身体的性別と、心の性別が一致していないXジェンダーもトランスジェンダーの一部として考えられています。

日本においてのトランスジェンダーとは、主に生まれ持った身体的性別が男性であり、心の性別が女性のMtF(トランスジェンダー女性)や、生まれ持った身体的性別が女性で、心の性別は男性のFtM(トランスジェンダー男性)を示す言葉として使われることが多いかと思います。

Xジェンダーは、心の性別が無性や、中性など第三の性的要素を持つのに比べ、トランスジェンダーの場合は、男女の概念の中で完結しています。例えば、Xジェンダーも心と体が一致しないことがある性ですから、体に違和感を感じることがあります。

しかし、Xジェンダーの場合は性適合手術を受けたりといったところまでする方は非常に極少数であると認識しています。自分を含め、何人かXジェンダーを知っていますが、性適合手術を受けた方は知りません。

何をきっかけにXジェンダーであることを自覚するのか?

私の場合は、本当に幼い頃から自分自身に性別の概念がありませんでした。私は、身体的性別が男性として生まれてきているので、よく「男の子なんだから泣かない!」「男の子なんだから強くなりなさい!」と言われて育ってきました。

でも、そういった言葉をかけられる度に「別に男の子に生まれてきたかったわけじゃないのに」「なんでそんなに男らしくしなきゃいけないの?」と、思った記憶があります。そして幼稚園に入学し、集団生活すると、明らかに自分が異質な存在であると気づきました。

幼稚園くらいの幼い頃でも、すでに男の子は男の子らしい雰囲気がありますし、女の子は女の子らしい雰囲気がある。対して、私はどうでしょう。男の子の中にも馴染めずに、かといって女の子の中にも馴染めなくて、生まれて初めてイジメを受けるようになりました。

そういった違和感はずっと続き、思春期に入ります。思春期になると性ホルモンの分泌が増えるので、男子は男の体へ、女子は女の体へ変化していきます。この時が尋常じゃなく辛い時期でした。

私は、女性になりたかったわけではないですし、逆に男性的になりたいわけでもなかったんですよね。男の体にも成長し切っていないような中途半端な体でいたかったのです。だから、声代わりが起きることなどが凄く心配で、毎日ストレスが半端じゃない状態でした。

勿論、当時はXジェンダーといった言葉は聞いたことがなかったので、Xジェンダーであることは自覚できませんでした。しかし、20歳になった頃にXジェンダーという言葉を知り「まさしくこれだ」と思い、Xジェンダーを自覚しました。Xジェンダーという言葉を知った時には、凄く救われた感覚がありました。

Xジェンダーはどんなことに悩んでいるのか?

Xジェンダーの悩みはトランスジェンダーの悩みと似ていると思います。やはり身体的性別と、心の性別にギャップがあるので、そう言ったところで同じような問題が発生することがあります。

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男性、女性の役割が持てない

私は身体的に男性ですし、現在は外見的にもしっかり男性なので、社会生活をする上では男性性を求められることが多いです。Xジェンダーという言葉はまだそこまで知られていないですし、外見的に男性なので、男性として扱われます。

しかし!

幼い頃から男性としての自覚無く育ってきてしまったので、全くと言って良いほど、社会生活する上で男性としての立ち振る舞いができないのです。だから、男性としての役割を期待されても、ちゃんと役割を果たせないですし、男性として期待されても何一つ上手くできないことが多いです。どちらかと言えば、女性としての役割を担う方が得意かもしれません。

トイレ問題

私は、Xジェンダーの無性なので自分に性別の概念が無く、男性も女性も自分とは別の性だと感じます。シンプルに言えば、男性も女性も異性に感じます。ただ、その異性に感じるという感覚は、女性が男性に感じる感覚に近いように思います。

そのため、男子トイレに入ると、女性が男子トイレに入っているような感覚がして、本当に場違い感を感じるというか、大きなストレスになります。多くの男性は立ち小便器で用を足すと思うのですが、よく使用できるなと思ってしまいます。私は恥ずかしくて使えませんし、本当に無理です。

なので、絶対個室を使うようにしているのですが、東京などの都市部だと、コンビニも中々トイレが開放されてないですし、男子トイレはそもそも個室が少ないし、男性が個室に入る場合は大体、時間がかかる用の場合が多いので待ちも多くて大変な思いをしています。

同時に銭湯とかも無理ですね。よく誘われるのですが、やはり外見的には男性でも、精神的な性別が男性ではないので、男湯に女性が女性とバレないように入っているような感覚になってしまって、凄く精神的に緊張して疲れてしまいます。プールなどの着替えも地獄です。

外見的には男性なので、何一つ問題ないし、堂々としていれば良いのですが……できないんですよね。

服装問題

服装問題は学生時代らか非常に大きな問題でした。最近はランドセルも色々な色を選べるようになったみたいですが、私が小学生の頃は、男子は黒、女子は赤でした。なので、やっぱり、男性の自認がないのに、男性であることを強要されているみたいで辛かったですね。

中学になると、男子は学ランで、体操着も男子と女子では色違いだったので毎日が非常に苦痛でした。やっぱりこのような性別を明確に分けるものは、自分自身を否定されているようで非常にキツいです。同様にスーツとかもそうですね。

学生時代に男女別の服装で精神的にキツい思いをしたので、スーツを着るような仕事には絶対に就かないと決めて生きてきました、これでかなり仕事の幅は狭くなったように思います。面接でスーツを着るのも嫌だと思いました。

あと髪型問題ですね。高校が私立だったので、男子は短髪しか認められずに、私もバッサリと髪を切ることになりました。数日、泣いた記憶があります。やはり、男性としてのアイデンティティがないのに、男性であることを強要されているみたいで辛かったです。自分の存在なんて無いんだと思いました。LGBTお部屋探し

Xジェンダーは中性的なのか?

Xジェンダーは大まかに言えば第三の性なので、中性的な人達とイメージする人がいます。実際、中性的なXジェンダーは多いと思います。特に、中性や両性を自認しているXジェンダーは、その通り、中性的または両性的な方が多いでしょう。

では無性の場合はどうでしょうか。無性というのは自身に対して性別の概念がありません。そのため、表現の幅は非常に広くなります。以前、無性のXジェンダーの方とお話しする機会があって、その方は胸を大きく開けた服装をしていて、非常に女性的な服装をしていました。

対して私は、今は男性的な格好をするのが好きなので、第三者的には非常に女性的な女性と、男性的な男性に見えたはずです。Xジェンダーだから、必ずしも中性的というわけではないです。寧ろ、無性のXジェンダーは、生まれ持った性別を活かすような格好をすることも少なくはないのかもしれません。

ちなみに私は、身体的に男性だから男性の格好をしているわけではなく、自分が似合う服装を楽しんだ結果こうなりました。ちなみに今でも、明確に男女を分けるようなもの。例えば、スーツなどの着用は非常に抵抗があります。感覚的には女性がボーイッシュな格好を楽しむのに似ているのかもしれません。男性だから男性的な格好をしているという感覚ではないです。

Xジェンダーの恋愛

Xジェンダーの恋愛模様は人それぞれだと思います。私は、男性も女性もどちらも異性に感じ、精神的には女性も男性もどちらも好きになることができます。しかし、体の関係まで考えると、男性に限定されます。

ゲイというセクシュアリティは、男性として男性を好きになるセクシュアリティなので、男性として男性を好きになっているわけではない私は、ゲイの定義には当てはまらないのかもしれないですが、外見上は男性で、男性を精神的にも身体的にも好きになるので、一応、ゲイと言っています。

ちなみに今まで付き合った人には何度かXジェンダーであることを言ったりもしましたが、全員「何言ってるの?」みたいな反応でした。そりゃ、外見的には男性なので、そういう反応になりますよね。中性的な要素も外見的にはありませんから。

必ずしも、性自認が男性の方が、女性を好きになるわけではないように、Xジェンダーだから相手も中性的な人を好きになるとか、そう言ったものはないように思います。

体の関係においては、流動性(定期的に性自認が男女で入れ替わる)の人は、男性の日は男性として体の関係を楽しみたい、女性の日は女性として体の関係を楽しみたいなどあるそうです。

Xジェンダーの原因

Xジェンダーは日本特有のセクシュアリティであり、医学的に認められているようなものでもありません。原因などは分かっていないですし、多分、調べている人もごく少数だと思われます。

私の感覚では、私がXジェンダーになった原因は幼少期にあると思っています。というのも、幼少期に「男らしくしなさい」「男の子なんだから」といった言葉をたくさん投げかけられた結果、自分の男性性に違和感を感じて、男性としての自信を失い、自覚ができなくなったのかなと思うことがあるからです。ただし、これは私の感覚なので、もしかしたら見当違いかもしれないですし、あくまで参考程度にしてください。

Xジェンダーからセクシュアリティが変わることはあるのか

セクシュアリティは流動的というように、Xジェンダーから別のセクシュアリティに変わることもあると思います。実際、Xジェンダーで定期的に男性と女性の性自認が入れ替わる人が、女性として生きることを決めて女性ホルモンの投与を始めた方がいます。

かくいう私自身も、20歳頃は男性的になりたい自分と女性的になりたい自分で揺らいでいました。あくまで性自認は無性でしたが、外見的にそういう時期もありました。そして、今では無性と男性の性自認で揺らぐことがあります。もう少し男性の方に揺れてくれたら、Xジェンダー無性ではなく、男性であるとしっかり自認できそうな気がしています。多分、男性としての自信がついてきたことで、男性として生きたいと思うようになってきたのだと思います。

ただし、これは私だけの感覚の可能性もあるので参考程度にしてください。全てのXジェンダーがそうというわけではないと思います。

まとめ

本記事では、当事者の視点からXジェンダーについて解説させていただきました。Xジェンダーは、まだまだ認知されていないセクシュアリティなので、これから少しずつ認知されていって、少しでもXジェンダーが生きやすい世界になったらと思っています。

以上、最後まで読んでくださりありがとうございました。