日本国内での性的マイノリティの権利向上を目指す動きが、近年、さらに加速しています。特に「パートナーシップ宣誓制度」の導入は、多くのカップルにとって、その関係を公的に認められる大きな一歩となっています。

今回は、東京都と山梨県におけるこの制度の取り組みと、実際に制度を利用したカップルの声を中心に、その現状と意義を探ってみたいと思います。

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東京都のパートナーシップ宣誓制度、1年の軌跡

東京都が導入した「パートナーシップ宣誓制度」が始まってから、早いもので1年が経過しました。この1年間で、多くのカップルがこの制度を利用し、10月16日までの時点で951組のカップルがパートナーシップ証明書を受け取っています。この数字は、多くのカップルが公的に自らの関係を認められることの重要性を感じていることを示しています。

都の担当者からは、この制度が多くの方々に利用されていることに対して、大変な喜びを感じているとの声が挙がっています。特に、24時間365日申請を受け付けている点が、多くの方々にとって利用しやすい環境を提供していると考えられます。

また、「東京都にパートナーシップ制度を求める会」の発起人である松中権さんからは、都の制度には多くの特長があるとの評価を受けています。オンラインでの申請が可能であること、また在住者だけでなく、その他の方々も申請の対象としている点などが挙げられます。首都・東京がこのような制度を導入したことは、他の地域にも大きな影響を与えていると言えるでしょう。

しかし、一方で、都と各区市町村の提供する住民サービスには違いがあり、都の制度が存在することで、一部の区市町村が制度導入に消極的になるのではないかという懸念も存在します。この点については、今後の動向を注視する必要があると考えられます。

さらに、東京都はこの1年を記念して、都庁を華やかなレインボーカラーでライトアップしました。また、新宿駅西口から都庁に続く中央通りには、「自分らしく」をテーマにしたメッセージのフラッグが掲げられる予定です。このような取り組みを通じて、都は多様性を受け入れる姿勢を強く打ち出しています。

実際のカップルからの声

東京都のパートナーシップ宣誓制度の導入から1年、多くのカップルがこの制度を利用してきました。その中でも、特に注目されるのは、1年前の導入初日に宣誓を行った一般社団法人「こどまっぷ」の代表理事、長村さと子さんとそのパートナー、茂田まみこさんのカップルです。

お二人は、以前に住んでいた足立区で、パートナーシップ宣誓の第1号として注目を浴びました。その後も、足立レインボー映画祭の主催など、多岐にわたる活動を展開してきました。さらに、2年前には精子提供を受けてお子さんが誕生し、現在は子育ての日々を送っています。

区役所で出産に関する手続きを行う際、区のパートナーシップ・ファミリーシップ制度の証明カードがあったことで、お二人の関係が迅速に理解され、手続きもスムーズに進められたといいます。この経験を通じて、長村さんは「いざというときに証明のカードを出せること、そして相手が理解してくれることは非常に重要」と語り、パートナーシップ・ファミリーシップ証明を「お守りのようなもの」と形容しています。

このような実際の体験を通じて、パートナーシップ宣誓制度の意義やその重要性がより一層深まることとなりました。多くのカップルが公的に自らの関係を認められることの価値を実感しているのです。

山梨県、新たな取り組みをスタート

山梨県も「パートナーシップ宣誓制度」の導入に踏み切りました。この新たな制度がスタートした11月1日、甲府市に住む30代の戸籍上女性のカップルが、山梨県で初めての宣誓を行いました。このカップルは、10年以上の長い付き合いを経て、ようやく公的に自らの関係を認められる日を迎えることができました。

彼女たちは、この制度の導入により、性的マイノリティのカップルが公的に認められることの意義や、社会における居場所の確立についての思いを語っています。特に、「行政が私たちに対して居場所があると伝えることの意味がある」との言葉は、多くの人々にとって心に響くものでしょう。

山梨県での宣誓を行ったカップルは、公営住宅への入居や、病院での家族としての面会など、さまざまな公共サービスを受けることが可能となります。これは、カップルが社会の一員として平等にサービスを受けられることを意味しています。

また、山梨県内では、甲州市や韮崎市で既に同様の制度が導入されており、県はさらに16の市町村と連携協定を結んでいます。これにより、県内で宣誓を行ったカップルが、自らの住む市町村で公営住宅への入居などの行政サービスを受けられるようになるとのことです。山梨県は、今後もこの制度の拡大を目指して取り組んでいく予定です。

まとめ

「パートナーシップ宣誓制度」の導入は、性的マイノリティのカップルが公的に自らの関係を認められることの重要性を示しています。東京都の1年の取り組みや、山梨県での新たなスタート、そして実際のカップルの生の声を通じて、この制度の意義や今後の展望が見えてきました。

多様性を受け入れ、一人一人が自分らしく生きることを支える社会の実現に向けて、これからも注目していきたいと思います。

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