5月10日、東京都が「パートナーシップ宣誓制度」を11月1日から運用開始する方針であることが複数のメディアで報じられました。
今回は東京都のパートナーシップ宣誓制度について現時点で分かっていることをまとめました。
参考:東京都、パートナー制度案を策定 11月運用開始へ – 日本経済新聞
そもそも東京都の「パートナーシップ宣誓制度」とは何なのか
東京都の「パートナーシップ宣誓制度」は、同性カップルのうち双方もしくは一方が性的マイノリティであり、互いを人生のパートナーとして、人権を尊重し、継続的に協力し合うことを約束した2人を対象とするもので、都民向けサービス事業について、受理証明書を保有する方が活用できることを目指すものです。
東京都が制度を開始するより前から、渋谷区・世田谷区などの16区等で同性パートナーシップに関する制度が導入されていました。
今回開始される「パートナーシップ宣誓制度」によって、すでにこれらの自治体で証明書を取得しているカップルについても、東京都への届け出は可能とされています。
「パートナーシップ宣誓制度」の開始はいつから?
10月中下旬に届け出の受け付けを開始し、11月1日からの運用開始を目指しているようです。
現時点では方針ですので、実際には前後する可能性はありますが、ようやく実際に開始する期日が示されたことは大きな前進と言えそうです。
「パートナーシップ宣誓制度」の適用条件は?
以下の条件をすべて満たす必要があります。
○ 双方が成年に達していること。
○ 双方に配偶者(事実婚を含む。)がいないこと、かつ、双方以外の者とパートナーシップ関係にないこと。
○ 直系血族、三親等内の傍系血族又は直系姻族の関係にないこと。
(パートナー同士で養子縁組をしている場合を除く。)
また、東京都は「パートナーシップ宣誓制度」について、2月に施行の方針を公表してからパブリックコメント(意見公募)を実施していました。
素案の時点では都内在住・在勤・在学者であることが対象の要件となっていましたが、
新しく発表された制度の案では、住居探しをする段階から証明書を活用できるよう、届け出から3カ月以内に都内転入を予定している人も対象に加えました。
そのため、地方から上京する予定の方についても対象とすることができ、LGBTsフレンドリーな不動産会社である当社IRISもこの制度を積極的に活用し、お客様の入居を進めていきたいと考えています。
さらに、国籍も日本国籍に限らない方針のため、外国籍と日本籍の方のカップルでも利用することができる見込みです。
「パートナーシップ宣誓制度」の利用可能な範囲は?
「パートナーシップ宣誓制度」を活用することで東京都は証明書を発行します。
そして、都営住宅の入居や都立病院の入院患者への面会などの際に活用することを検討しているようです。
詳細が決まり次第追加の発表があるようですが、そのほかにも、民間サービスについても夫婦向けのサービスや福利厚生制度の対象とするよう働きかける方針とのことです。
「パートナーシップ宣誓制度」の手続き方法は?
手続きについては原則オンラインで実施するようです。
パートナー関係にある二人が、原則、オンラインで必要書類等(戸籍抄本や住民票の写しなど)を届け出ると、東京都が提出内容に不備がないか確認します。
そのうえで問題がなければ、原則10日以内に受理証明書をオンライン発行するという流れです。
※ 希望に応じて、「通称名」や「子の名前」の補記も可能とのことです。
変更届や再発行も所定の手続きにより可能となる方向性で検討されており、生きた制度となることが期待できますね。
「パートナーシップ宣誓制度」の費用は?
現時点では無料とする方針のようです。
パブリックコメントでも「受理証明書の発行手数料はかかりません。なお、届出時に必要な戸籍抄本等の発行手数料は御自身で負担いただくようお願いいたします。」と書かれています。
寄せられたパブリックコメントについて
総数5,811件も寄せられたパブリックコメントについて、個人的に気になったものを抜粋してみました。
参考:「東京都パートナーシップ宣誓制度」素案についての意見募集結果
●意見
・形だけの制度導入ではなく、真に生活の中の不便や差別が少しでも解消される一歩となると良い。
そのために都をはじめとしたサービス提供者側への制度周知もきちんと実施してほしい。●東京都の回答
・制度運用開始以降も、制度の周知や受理証明書の活用先の拡大、多様な性に関する都民の理解推進に向けた啓発等に取り組んでまいります。
是非ともそうしていただきたいなと思いました。
我々民間事業者も、制度に対して前向きな会社とそうでない会社で大きく対応が分かれることからも、積極的に理解促進をしていただきたいですね。
●意見
・性的マイノリティの方々に対しての社会の理解は進んでおり、現行法や行政の対応等により当事者の人権は十分に保障されていると感じる。本制度の導入によるメリットが無いし、必要性も感じられない。●東京都の回答
・社会における多様な性への理解は進んでいる一方、性的マイノリティの方々はパートナーシップ関係に係る生活上の困りごとがあるとの声を伺っています。都は、制度導入により、これらの困りごとの軽減につながると考えています。なお、都が令和3年度に実施した「性自認及び性的指向に関する調査」においては、約7割の方が性的マイノリティの方々に関する施策として、パートナーシップ制度を必要と回答しています。
当事者からも非当事者からもこういったご意見が出ることがあります。
人権の範囲をどう捉えるかという問題ではありますが、現時点で必要な法的制度が充足していて、誰も疑問に思っていないならこのような議論すら生まれないので、なぜ必要なのか耳を傾ける姿勢を持つことが大事かと思います。
●意見
・制度の対象者である性的マイノリティに「性自認」を含むことについて懸念を感じる。性自認の定義が曖昧で、女性専用スペースでの犯罪が増加するなど社会が混乱する懸念があり、性自認を含まない同性間のパートナーシップ又は性的マイノリティに限定しないパートナーシップ制度とすべき。●東京都の回答
・人権尊重条例において、性自認とは「自己の性別についての認識のこと」と定義しております。
・本制度は、双方又は一方が性的マイノリティであるお二人から、パートナーシップ関係にあることの宣誓・届出をいただき、届出を受理したことを証明するもので、お二人がパートナー同士で生活していく上での不便の軽減などを目的としており、個々人の性自認や性的指向を証明するものではございません。
・一方で、性自認に関しては、当事者の方々が望む性別で取り扱われないことによりストレスや苦痛を感じられる等、社会生活の様々な場面で人権に関わる問題に直面している現状があります。
都は引き続き、様々な現場において、それぞれの実態と施策目的を踏まえながら、どのような配慮や工夫が可能であるかについて、個別具体的に検討してまいります。
・なお、犯罪行為については上記とは別の問題であり、容認されるものではございません。
東京都の回答が非常にまっとうなので、追加で補足することはあまり無いように感じますが、犯罪の問題と性自認を混合して問題提起することは、根底に当事者に対する理解不足があるのではないかとひしひしと感じました。
同性パートナーの同棲には明るい兆しか?
IRISとしても今回の決定は非常に大きな影響があります。
また実際に活用された事例なども随時ご紹介させていただけたらと思います。
お部屋探しの際は是非IRISにお問い合わせください。