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東京のゲイタウンといえば新宿二丁目ですが、実は東京には新宿二丁目以外にもゲイタウンが存在します。本記事では、東京のゲイタウンをゲイの視点から解説していきます。
日本のゲイタウンの歴史
江戸時代中期、日本では少年を対象とした男色の文化が栄え、陰間茶屋や色若衆と呼ばれる少年たちが現れました。これらの施設は、現代の売り専バーに近い形態のゲイバーとして機能しており、特に江戸、京、大坂の各地に集中していました。この時代の重要な文献として、平賀源内による『男色細見』があり、これは陰間茶屋や発展場の案内書とされています。
日本が近代に入ると、この文化は一時的に衰退しましたが、大正時代には再び男色の文化が盛り返し、上野の森などで男娼が集まる様子が見られました。この時代には、浅草公園などが男色の世界の中心として知られ、多くのゲイが集まる場所となりました。
終戦直後、上野公園や大阪の阿倍野区旭町などが同性愛者の集まる場所として知られ、「男娼の森」と呼ばれることもありました。東京では、日比谷公園や信濃町駅近くの権田原などもゲイの出会いの場として有名でした。
終戦直後のゲイバーは、新橋の「やなぎ」を始めとして、各繁華街に点在していました。初期の有名な店には、銀座の「ブランスウィック」や上野の「市蝶」、新宿の「夜曲」などがありました。1961年頃から、ゲイバーが集まるエリアは上野、池袋、新宿などに分散し始め、新宿では1950年代から要町や花園街界隈にゲイバーが集まっていました。
1960年代半ばからは、東京の新宿二丁目と大阪の堂山がゲイタウンとして特に注目を集めるようになりました。
ゲイが教える東京のゲイタウン
1.新宿二丁目
日本で最も有名なゲイタウンではないでしょうか。新宿二丁目には約450軒ほどのゲイバーがあるとされ、その他にはクラブや、ゲイグッズを扱うショップ、同性同士でも利用可能なホテルなどがあります。また、ビアンバーなども存在しています。新宿二丁目は世界的に見ても巨大なゲイタウンとして知られています。
最近は観光地化が進み、ゲイだけでなくレズビアンや、ストレートの方、海外からも非常に多く訪れるようになりました。反面、遊びにくいと感じるゲイも多くなったようで、二丁目以外のゲイバーなどに流れている方も多いようです。ゲイの客層は20代〜30代くらいがメインに感じます。
2.上野
上野も有名なゲイタウンです。新宿二丁目ほどではないですが、以前より多くのゲイバーがあります。客層は高めですが、最近は新しくゲイバーも増え始め、30代くらいの若い層も多く訪れるようになりました。
二丁目同様に、ゲイグッズのお店や、DVD販売店、同性同士でも入れるホテルなどが多くあり、ゲイ視点で見て遊びやすいエリアかと思います。
実は、ゲイタウンとして注目され始めたのは新宿二丁目よりも昔で、戦前の一時期に上野公園に男娼がたむろしていたことが知られています。また、1970年代初頭には、同性愛資料や風俗雑誌などにも上野が男娼やゲイが集まる街として取り上げられています。
3.新橋
新橋は最近、勢いのあるゲイタウンです。以前から、30代のゲイタウン(リーマン系ゲイの聖地)として有名でしたが、新宿二丁目の観光地化に伴い、二丁目よりも新橋でお酒を楽しむ30代のゲイが増えた印象を受けます。
筆者も度々新橋のゲイバーに行きますが、観光客で賑わう二丁目よりも落ち着いてお酒を楽しめるような感覚がするので好きです。1998年のBadiのイエローページには、新橋のゲイバーは15点しかなかったそうですが、2024年現在はGclickには50店舗ほどのゲイバーが登録されています。
4.浅草
浅草も、新宿二丁目や上野と並んで昔から有名なゲイタウンです。新宿二丁目が20代〜30代に人気なら、浅草は中高年くらいから人気のあるゲイタウンとなります。2013年のGclickの情報によると、浅草にはゲイバーが67店、ゲイ関係のお店はトータルで80店ほどがあるとされています。
1926年に発表された江戸川乱歩の作品「一寸法師」では、深夜の浅草公園に集まるゲイの姿が描かれています。戦後の1950年代には「博多屋」と「玉辰」というゲイバーが存在し、特に「玉辰」は中年層が多く訪れる居酒屋のような雰囲気を持っていました。ここでは、ボーイや他の客と遊ぶことができ、2階には休憩用の部屋があり、利用時にはマスターとの暗黙の了解に基づく別料金が課せられていました。
5.池袋
池袋は、西口と東口にゲイバーが分布しており、かつては東京都内で新宿二丁目、上野・浅草に次ぐ、第3のゲイエリアとして知られていました。1963年に出版された三島由紀夫の「肉体の学校」には、池袋の「ヒアンシンス」というゲイバーが登場しましたが、映画化されたこの作品のモデルとなった店が実際に存在したかは不明です。また、1961年には西口の世界館映画館前に「ノエル」というホストバーが開業しました。
池袋には他にも歴史ある施設が存在し、1958年に開店した「西武園」(後の西武苑、2000年前後に閉店)や、東池袋の日勝地下映画館がゲイの集まる場所として知られていました。1973年には発展場「陣屋(JIN-YA)」がオープンし、浅草・上野・新宿の「大番会館」や浅草の「24会館」とともに古くから続く歴史を持っています。「エルドラド」というゲイバーも知られており、1990年代には「クラブハウス」といったビデオボックスやゲイショップ「BIG GYM」池袋店がオープンしました。
2013年時点で、池袋西口には東京芸術劇場周辺や北西エリアなどに19店、東口には明治通り北側の歓楽街を中心に13店のゲイ関連店舗があり、合計で35店が存在します。これにはゲイバー21店、ショップ系3店などが含まれます。かつては野郎系ビデオメーカー「Bプロダクト」のオフィスも存在していました。このように池袋は多様なゲイカルチャーを有するエリアとして、長い間重要な役割を果たしてきました。
【まとめ】ゲイが教える東京に存在する5つのゲイタウン
本記事では東京のゲイタウンを紹介させていただきました。二丁目の項目でも書いた通り、二丁目の観光地化に伴って、上野や新橋などのゲイバーがとても賑やかになりつつあります。二丁目も楽しいけど、他のところも行ってみたいという方は、是非、他のゲイタウンにも行ってみてください。
なお、二丁目以外のゲイタウンのゲイ関係のお店は基本的にゲイonlyとなっています。ゲイ以外で、ゲイバーを楽しみたい方は、やはり二丁目が一番楽しみやすいかと思います。