レズビアン・セクマイの超大型イベント「PIAMYフェス2024」が7月14日(日)に開催され、IRISも参加しました。会場では、交流会や相談ブース、写真展など、当事者に向けたさまざまなコンテンツが見られました。
その中で、IRISはセクマイライフスタイル相談ブースとトークショーに参加。ライフスタイル相談ブースでは、実際に来場者の「住まい」に関する悩みや疑問をお伺いし、専門家の立場からアドバイスをしました。
トークショーでは「LGBT不動産ってどうなの?利用者との赤裸々トーク」と題したテーマで、IRISのCOO・石野と利用者が対談。本記事では、そんなコンテンツが盛りだくさんのPIAMYフェス2024の様子をお届けします。
PIAMYフェス2024
PIAMYフェス2024は、レズビアン・セクマイ向け共感型SNSアプリ「PIAMY」が開催したイベントです。LGBTQ+当事者が新宿二丁目だけでなく、昼間にも日常的な出会いがあるべきとの想いから開催されたとのこと。お酒なしでも当事者同士がつながれる場所は珍しいのではないでしょうか。
イベントでは、PIAMYの趣旨となる「共感」による出会いを提供。恋愛だけでなく、友人、趣味仲間、コミュニティなど、多種多様な出会いがあったようです。そのため、レズビアンだけでなく、アセクシュアル、アロマンティック、カップルさんなど、さまざまなセクシュアリティの方たちが参加していました。
当事者同士が出会えるコンテンツとして、「交流オフ会ブース」がありました。会場中央には4つに仕切られたルームがあり、それぞれ異なるテーマが用意されています。来場者は気になるテーマのルームに入室し、参加者同士で交流が計れるといったシステムです。
ほかにも、セクマイライフスタイル相談ブース、トークショー、写真展、アパレルブランドBOYSHEによるポップアップなど、さまざまな企画がありました。さらに、イベント後には来場者とみんなで新宿二丁目に行く「新宿二丁目ツアー」も実施。集合場所には会場から溢れるほどの人が集まるほどの大盛況ぶりでした。
参考:PIAMY「600人が来場!レズビアン・セクマイの超大型イベント『PIAMYフェス2024』をレポート」
IRISによるセクマイライフスタイル相談
当日はイベント参加者向けに、IRISも住宅相談ブースを開設。
住宅購入を検討されている方や、賃貸での同棲を検討されている方に対して、物件選定や住宅ローンの申し込みに必要な書類、必要な準備や手続きなど、幅広い相談を当事者でもあり不動産のプロでもある立場から回答しました。
ブースには、合計20組を超える参加者の方にご来訪いただき、現状の悩みなどを赤裸々にお聞かせくださいました。
これから同棲を始められる新社会人のカップル様、現在シェアハウスを運営されていて LGBTsフレンドリーな物件に転換したいと考えているオーナー様、来年上京してくる彼女のために同棲する物件を探したいとお考えの方、都内で同性カップル向けのペアローンを利用して中古マンションを購入したいと考えている方など、本当に様々なご相談をいただきました。
IRISは累計数千組を超えるお客様にご案内してまいりましたが、これから住まいを探すときに抱かれる不安というのは、どのお客様にも共通する点だと思います。
本当はこういった不安を持つことなく、ワクワクしながら住宅を探していける社会が実現することが重要であると考えていますが、現時点では完全には難しいという側面もあります。
今後もIRISは、住まい探しに悩む当事者の方々をサポートし続けていくことが重要であるし、我々の使命であるとも切に思ったイベントでした。
LGBTs不動産ってどうなの?利用者との赤裸々トーク
トークショーでは、IRISのCOO・石野と利用者の雨谷さんが対談。「LGBT不動産ってどうなの?利用者との赤裸々トーク」というテーマで、みなさんの住まいに関する疑問を話しました。そのトーク内容を一部掲載します。
①LGBTs向け不動産はなぜ必要?
石野:LGBTs向け不動産が必要な理由は、圧倒的に借りにくいという現状があるからです。例えば、2人入居可能の物件に関していうと、異性間カップルの場合10件中10件が審査をしてくれる場合が大半です。ですが、同性カップルになると過去のIRIS内部データではありますが、10件中7件程度で断られる現状があります。
断られる理由はいくつかあります。1つは、そもそも同性カップルについてわからないといった心理的な理由です。ほかにも、2人が法的な婚姻関係であれば、権利義務が承継されるのですが、現状、同性カップルはそれができないために断られることがあります。
ただ、パートナーシップ制度を活用して2人の関係性を証明できるのであれば、問題なく審査まで進められる場合もあります。ただ、一から交渉をしなければならない点が大変なところではあります。
②LGBTs不動産を使うと選択肢が狭くなるのでは?
石野:実際は増えるといえます。一般的な不動産会社に2人の関係性を明らかにして相談するのはストレスになりますし、それを乗り越えたとしても配慮してくれるかは、担当者の裁量によります。
SUUMOで調べると、2人入居可とする物件は都内で30万件ほど。ルームシェア可とする物件は都内で4万件ほどしかありません。つまり約7倍選択肢が狭くなるということです。この7倍の差を埋めるのは、私たちがLGBTsフレンドリーな不動産会社ということを表現し、きちんと相手に理解を求めたうえで進めていくことが大事な鍵となります。
③LGBTs不動産を使うと特別料金はかかる?
石野:全くかかりません。法令で定められた仲介手数料の条件をもとに請求させていただいておりまして、それで大きく利益を確保したいというわけでもありません。IRISは当事者で構成された会社なので、想いの部分が強いのです。
私自身も当事者として差がある状態を解消したいという想いで会社をやっているので、当然料金に関しても他の会社と同じようにやらせていただいております。
④IRISを利用した決め手は?
雨谷:最初はSUUMOで気になる物件を見つけ、内見にも行っていました。その時はパートナーとの関係性を明らかにしていなかったのですが、その後オープンに伝えようと思い「実は私たちはカップルなんですけど」と担当者に伝えました。そしたら「オーナーさんに断られると思いますよ」と言われてしまい、結局掛け合ってもくれなかったんですね。
ただ、場所も良くて住みたいという気持ちがあったので、同じ物件を違う不動産で探そうと思い、友達などに相談してIRISさんに辿り着きました。
⑤IRISを利用してよかった点は?
雨谷:2つあります。1つ目は、当事者の方が対応してくださることで、安心感があるという点です。私たちは友達関係というより、パートナーとして同棲したいと思っていたので、安心して関係性を伝えることができました。その後の暮らしをどうしたいか、といったところまで具体的にヒアリングもしてもらえて、「この人から契約したい」と思えました。
2つ目は、アウティングの配慮をしていただいた点です。当時、連帯保証人がパートナーであることを親には伝えていなくて、管理会社から親に連絡があった時にアウティングの危険性に晒されることがありました。その際、IRISさんが配慮してうまく対応してくださいました。
石野:保証会社を利用していても、緊急連絡先を設定する必要があります。ですが、緊急連絡先に対してご契約者の情報を伝える場合があるため、その際に2人の関係性が伝わってしまうことがあります。
雨谷:そういったところも、ある意味任せておけば大丈夫だろうという安心感がありました。
まとめ
今回のPIAMYフェス2024の参加を通して、改めてLGBTs当事者が安心して過ごせる居場所が必要であることを感じました。私たちIRISは「住まい」の側面から、みなさんをサポートしていきますので、ぜひご相談ください。