近年は、テレビや映画館での作品の鑑賞よりも、動画配信サイトでの視聴がメインになっているという人も多いのではないでしょうか。動画配信サイトにも多数の種類があり、それぞれの良さがあります。

もちろん、純粋に作品を楽しみたいと考えている人はもちろんですが、それ以外にも新しい知識を得たり、知らない世界を知るために勉強として利用したいと考えている人も多いのではないでしょうか。

Huluには、LGBTsに関する作品が多数配信されています。今回は、2022年にみたい、HuluでのLGBTs作品についてご紹介します。

「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」(2014)

マーベルシリーズの「ドクター・ストレンジ」などで知られるベネディクト・カンバーバッチ主演の映画で、実話を元にした作品になっています。

「ドクター・ストレンジ」のイメージが強い人にとっては、本作のカンバーバッチのお芝居に驚くかもしれませんが、非常に演技力の高い俳優さんで、映画の世界にぐんぐん引き込まれます。

本作は、アラン・チューリングという実在した人物の物語です。第二次世界大戦中にイギリスでエニグマ暗号の解読に取り組んだ天才的な数学者である一方、同性愛者であったアランが当時の社会のなかで理解されず苦しみ、最終的には自分自身で人生を終えてしまうという人生が描かれています。

ドイツ軍からの超難解な暗号をゲーム感覚で解いてしまう様子には観ていて驚かされるばかりですが、やはりここでお伝えしたいのは、同性愛者であったという一面についてです。

当時、同性愛は罪に問われる対象であり、実際にアラン・チューリングも逮捕されています。逮捕後は、服役するか、ホルモン剤を投与して性衝動を抑制するかの2通りしかありませんでした。現代においても、治療といった名目のうえでホルモン剤の投与=化学的去勢を行っている国はいくつかあり、そうした事実を知る上でも重要な作品です。

また、アランが同性愛者であると気付きながら妻として振る舞ったジョージ・クラークの存在も見どころのひとつです。

「イヴ・サンローラン」(2014)

今現在においては、“YSL”とも表記されるイヴサンローランを知らない人は少ないのではないでしょうか。化粧品からコスメ、バッグ、洋服にいたるまでハイブランドのひとつとして今高い人気を得ています。

イヴ・サンローランとはブランド創業者の名前ですが、このひとが同性愛者であったことを知っている人はどれくらいいるでしょうか。そんな知られざる人生が描かれているのが本作です。また、イヴ・サンローランに関する映画はドキュメンタリーなども合わせていくつかありますが、非常に見やすく、いち作品として楽しむことができます。
ゲイであることを公表する人が少なかった時代に、ブランドを創業するにあたって欠かせないパートナーを見つけ、波乱万丈の人生を歩んでいく様子は見ものです。きらびやかな洋服や、美しい女性が登場する場面も多いので、ファッションやコスメが好きな方にもおすすめの作品です。

ハイブランドを創業した先人にはこんな人もいたんだと新しい学びを得ることができるはずです。

「パレードへようこそ」(2014)

実在する団体「LGSM (レズビアンズ・アンド・ゲイズ・サポート・ザ・マイナーズ=炭鉱夫支援同性愛者の会)」が、1984年から85年にかけてイギリス、サッチャー政権下で行った炭鉱労働者への金銭支援について物語にした作品です。

今よりもさらに理解の乏しかったセクシュアルマイノリティの人たちが、炭鉱夫への支援をする過程で、差別の目を向けられてしまい、支援を喜ばない人がいるといった現実も描かれています。根拠のない理由で避けられる人たちを見るのは胸が痛みますが、それでも負けなかったLGSMの人々の力強さに元気づけられます。

ミュージカル作品のように音楽で溢れているのも本作の魅力のひとつです。時代の影響や一人ひとりのアイデンティティを超えていて、観ていて明るい気持ちになれます。

かつてこうした事実があったことを学べる作品であると同時に、疲れているとき、落ち込んでどうしても力が出ず、元気になれないときに前向きになれるパワーをくれる作品です。

「ゲイケーション」

映画「JUNO(ジュノ)」や「インセプション」で知られる俳優のエレン・ペイジさんを追ったドキュメンタリー作品になります。

前提としてお話しておかなければならないのが、2020年にトランスジェンダーであることを公表し、エリオット・ペイジとして改名した事実があるということです。今回紹介する「ゲイケーション」は、トランスジェンダー公表以前の作品であり、作品当時はレズビアンであると話していました。

本作は、アメリカ、ブラジル、ジャマイカのほか日本にも訪れ、各国のLGBTs事情を知るドキュメンタリーとなっています。

なかなか知ることのできない国ごとのLGBTsに関する事情や、それらの事情が国民性、伝統、宗教などと深く絡み合っている様子を知ることができる学びの多い作品になっています。

特に、日本を訪れているというのも見どころのひとつです。当時のエレンさんが「腐女子」文化に触れ違和感を抱く様子や、恋愛模様、性的指向にリアリティがないことに対して疑問を持つところは観ていて興味深いです。
現在のエリオット・ペイジさんについても調べながら観るとより理解しやすく、楽しめる作品だと思います。

Hulu推し!な人もたくさん見られるLGBTs作品

今回は5作品の紹介でしたが、他にもLGBTsをテーマにした作品は多数あります。上記の作品をきっかけに派生して見るのも良いのではないでしょうか。

NteflixよりはLGBTsに関連した作品の数は少ない印象ですが、Huluオリジナルのドキュメンタリーは一見の価値ありです。さらに、実話を元にした作品も多く、セクシュアルマイノリティについて理解のなかった時代に起きていた事実は、その中での変革など新しく知ること、学べることもたくさんあります。

今回紹介した作品をきっかけにドラマや映画、ドキュメンタリーでなにか学びがあれば嬉しいです。