LGBTsを表現する象徴的なものとして、レインボーフラッグがあります。虹のような色味をしていますが、虹を表現しているわけではありません。虹は7色ですが、レインボーフラッグは赤、オレンジ、黄色、みどり、青、紫の6色です。
しかしそれとは別にレズビアンを象徴するフラッグがあることをご存知でしょうか。今回はLGBTsフラッグについて知ったうえで、この中のレズビアンフラッグについても紹介します。
初めに |
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IRISでは、すべてのセクシュアリティやジェンダー、人種、国籍、民族、職業、家族構成の人々が自分らしく生きられる社会を実現したいという思いを込めて「LGBTs」と表現しています。 |
そもそもフラッグってなに?目的は?
英語では「Flag」と表記し、フラグと読むことも多いです。一般的には旗を意味しますが、レインボーフラッグやレズビアンフラッグとして使うとき、それは単に旗であるというより、それぞれLGBTsやレズビアンを象徴した存在であるといえます。
セクシュアルマイノリティを象徴するフラッグとして1番知られているのがレインボーフラッグです。企業や団体がLGBTsフレンドリーであることを示すために使用したり、ハイブランドでもこの6色を使った商品展開があったりとよく知られているのではないでしょうか。
そもそもこのフラッグの歴史を振り返ってみると、1970年代後半のアメリカで、ゲイだと公表していた政治家のハーヴェイ・ミルクが、自身もゲイのアーティスト、ギルバート・ベイカーにフラッグの制作を依頼したことに始まります。そこでできたのが、8色展開のレインボーフラッグです。それぞれ、
- ピンクはセクシュアリティ
- 赤は生命
- オレンジは癒し
- 黄色は太陽
- 緑は自然
- ターコイズは芸術
- 青は調和
- 紫は精神
を示すものとして表現されました。
これがレインボーフラッグのはじまりです。しかし、あらゆる場所でわかりやすく使用でき、大量生産できるようピンクとターコイズの2色を除いて6色とするのが主流になっています。
一番使われているレズビアンフラッグ
ではレズビアンフラッグとはどのようなものがあるのでしょうか。どこか団体が決めているわけではないので、「公式フラッグ」といったものがあるわけではないのですが、一番使われているのは赤やピンク、さらに中央には白を配したフラッグです。
この旗は「リップスティック・レズビアン」と言われ、フラッグの左下に口紅マークがついていることがほとんどです。しかし女性らしさを必要以上に表現していると言われ、男性らしい・ボーイッシュなレズビアンを排除しているとする意見もあります。
2022年最新のレズビアンフラッグ
最新のフラッグには男性らしい女性をも含めて表現しているほか、男性、女性に捕らわれない人、トランスジェンダーも表現する旗になっています。
一番古いレズビアンフラッグ
レズビアンフラッグは過去に何種類かあり、変化してきた経緯があります。一番古いとされるレズビアンフラッグは、1999年に完成されたもので、紫の旗に、黒い逆三角形、さらに中央には白くかたどられた斧と、現在最も使われているレズビアンフラッグとは似ても似つかないようなものでした。
この不気味にも思えるフラッグにも意味があります。第二次世界大戦のとき、ナチスがレズビアンの女性に対して強制的につけていた目印なのだそうです。
レズビアンフラッグに紫が多く使われる理由
レズビアンのフラッグには紫が多様されることが多くあります。
紫はヴァイオレット(スミレ)に由来しているとされています。レズビアン同士の合図としてスミレの花を用いてきたことからです。 つまりレズビアンを象徴する色として紫が使われることが多いということですね。
その他のLGBTsのフラッグ
実は、レズビアン以外にも、そのほかのセクシュアリティを表現するフラッグはさまざまにあります。それぞれどんな絵柄でどんな色使いなのか見ていきましょう。
ゲイ
ゲイのフラッグは、上からダークブラウン、オレンジ、イエロー、淡い茶色、ホワイト、グレー、ブラックの7色からできています。
左上にクマの足跡があるのも特徴のひとつです。ベア=クマとは、ゲイ用語のひとつであり、体毛やひげの濃い熊系の男性のことを表現することからフラッグにもあしらわれています。
バイセクシュアル
マゼンタ(ピンク)、ラベンダー、ブルーの3色で構成されているバイセクシュアルのフラッグはラベンダー部分だけ少し細めの横縞模様になっています。
活動家マイケル・ペイジが作ったものとされ、バイセクシュアルの人同士がつながっていると感じられるような象徴としてフラッグが作成されました。
マゼンタは同性に惹かれるという意味があり、ブルーは異性に惹かれる、ラベンダーはどちらの性にも惹かれるという意味が込められています。
トランスジェンダー
2000年にアメリカ、アリゾナ州で行われたプライドパレードのときに完成したライトブルー、ピンク、ホワイト、ピンク、ライトブルーの3色5段で作られる縞模様のフラッグがトランスジェンダーの象徴です。
ライトブルーは男性(男の子)、ピンクは女性(女の子)を示しており、ホワイトは身体的性が男性・女性の中間か、どちらとも一致しないインターセックスを象徴しているほか、自分が思う性へ変わろうとするという意味が込められています。
クィア
ジェンダークィアの使用するフラッグは、ラベンダー、ホワイト、グリーンの3色が縞模様になっていて、どこかの国旗のようにも見える均等な配列です。
ラベンダーは両性を象徴し、ホワイトは性別のアイデンティティを、グリーンは男女どちらでもないことを示すノンバイナリーを象徴しています。
ノンバイナリー
ジェンダークィアにも同じことが言えますが、ノンバイナリーのジェンダーを持っている人は時期や時間、その人の成長の過程によって変化することがあります。
ノンバイナリーとは、自分の性自認が男性、女性どちらにも当てはまらない、当てはめようとしない人のことをいい、第三の性とも呼ばれています。女性に生まれたけれど、性自認は男性のときもあれば、女性のときもある、といった感じです。
そんなノンバイナリーを象徴するフラッグは、イエロー、ホワイト、ラベンダー、ブラックの4色展開です。
イエローは性別二元制以外のジェンダーを表現する色として使用されており、ホワイトはすべてのジェンダーの象徴、紫が男女と女性の組み合わせであるジェンダーの象徴、ブラックはアジェンダー(性別がない人、性自認がない人)の象徴する色とされています。
【まとめ】変わりゆくシンボル
ここまで紹介したように、レインボーフラッグ以外にも、それぞれのセクシュアリティを表現するフラッグがたくさんあることがわかりました。
しかし、フラッグは時代や社会的な背景を踏まえて変化していくものです。旗やそのデザインに込められた思いは更新されていきます。
鮮やかでカラフルな旗が多いように、多様な性のあり方についても考えるきっかけになると良いですね。