どうも、空衣です。FtMパンセクシュアルです。
自宅で過ごす時間が多くなるなかで、映画を観る機会が増えた方もいるのではないでしょうか。今回はLGBTsにまつわる映画のなかでも、とくにレズビアンが共感できるかもしれない映画を一挙にご紹介していきます。

初めに
IRISでは、あらゆるマイノリティが暮らしやすくなることを目指すという意味から「LGBTs」と表記していますが、今回は一般的な「LGBT」について解説するため、表記が混在しております。

LGBTお部屋探し

レズビアン映画の注意点

LGBTsメインの映画といっても、当事者目線ではモヤモヤする場面もあるかもしれません。というのも、「同性愛」と「同性愛行為」、「同性愛者」はそれぞれ別なのに、区別なくまとめられていることが多々あるからです。ノンケ(ストレート)の人が一度同性とキスしたからといって、その人のアイデンティティが、急に同性愛者になるというわけではありません。

そのため、今回は「必ずしも登場人物がレズビアンとは限らないが、このシーンやこの登場人物はオススメ!」といった部分も含めてご紹介していきます。

もはや定番?レズビアン映画

キャロル

01
2015年 アメリカ
ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラ主演で、映像の1つ1つが美しく好評な作品です。視線や爪の繊細な動きが、内面を映し出しているようで魅了されます。

キッズ・オールライト

キッズ・オールライト
2010年 アメリカ
レズビアンカップルが子ども2人を育てていたところ、子供たちが自分たちの精子提供者(父親)を探し始めて起こる出来事をコメディタッチで描いています。各々の立場で対立したりすれ違ったり、ハラハラする展開も多いです。

アンダー・ハー・マウス

アンダー・ハー・マウス
2016年 カナダ
主演は、イケメンで美女なトップモデルとして活躍する、スウェーデン出身のエリカ・リンダー。
カナダ映画では初めて、女性スタッフだけで描いた作品というだけあって、ストーリー展開のなかでも「男性が女性2人の恋路を邪魔しない」というのは見どころのひとつです。

燃ゆる女の肖像

燃ゆる女の肖像
2019年 フランス
画家のマリアンヌ(ノエミ・メルラン)は、伯爵夫人の娘エロイーズ(アデル・エネル)の肖像画を描くことに。最初はエロイーズに拒まれるのですが、2人は次第に意気投合し、キャンバスを挟んで主体的に「観る」「観られる」ことを選びます。映画自体が絵画のようです。
実はセリーヌ・シアマ監督とエロイーズ役のアデルは、元恋人同士です。

アデル、ブルーは熱い色

アデル、ブルーは熱い色
2013年 フランス
出会いから別れまで、ブルーが印象的な作品。約3時間にもわたる長編映画で、愛が育まれていく前半と、もはや縮まらないほど距離が開いてしまう後半は全く違った印象です。

主演の2人(レア・セドゥとアデル・エグザルコプロス)の濃厚な絡みが多いため、日本では「R18+」指定されています。男性の監督によって、このようにセンセーショナルな性行為描写をされることに抵抗を感じるレズビアン・バイセクシュアル女性も中にはいるかと思います。

歴史を感じるレズビアン映画

ロニートとエスティ 彼女たちの選択

2017年 アメリカ
映画「ロニートとエスティ 彼女たちの選択」は、2017年に公開されたアイルランド・アメリカ合衆国・イギリスのドラマ映画です。監督はセバスティアン・レリオで、主演はレイチェル・ワイズとレイチェル・マクアダムスがつとめました。物語は、厳格なユダヤ・コミュニティで育った2人の女性の許されざる愛を描いており、イギリスの女性作家ナオミ・オルダーマンの自伝的デビュー作をもとにしています。

制服の処女

制服の処女

1931年 フランス・ドイツ
この時代から女性同性愛の描写があったことに驚きです。女性教師と女子生徒の関係性を描きます。なんと映画出演が初めての人ばかりを集めて撮ったそうです。

噂の二人

1
1961年 アメリカ
親友オードリー・ヘプバーンに、シャリー・マクレーンが恋しているという、切ない映画です。といっても同性愛だとわかる明確なアプローチは避けられている印象で、見る人によっては解釈が異なるかもしれません。この時代のアメリカでは同性愛に対して寛容ではありませんでした。主人公の2人は女学校を経営する身で、立場的にもますます許されるものではありませんでした。そして、生徒によって2人が同性愛関係だとバラされて暮らしが壊れていく、というストーリーとなっています。
昨今のLGBTsエンパワーメントな作風よりも、辛いけれど偏見が根強い時代の作風の方が共感して受け止められる、という方にはオススメできる作品です。

エリサ&マルセラ

エリサマルセラ
2019年 スペイン
スペイン初の同性婚を描いたモノクロ映画です。結婚するためなら愛し合っている女性の1人が男装して“男性”として結婚しまう、という驚きの展開。結婚するうえで「同性愛ではないから」と主張するのですが、“異性装”や“両性具有”と言い訳することの方が、単に女性2人で同性婚することよりも許されうることだったのか、と当時の背景を考えてしまいます。

女王陛下のお気に入り

女王陛下のお気に入り
2018年 アイルランド・アメリカ・イギリス
英国のアン女王をオリビア・コールマンが演じ、エマ・ストーンとレイチェル・ワイズが女王の寵愛を奪い合う女性2人を演じる宮廷ドラマです。愛しすぎてそばにいられない関係もあれば、愛していないからこそそばに居られる関係もあるのかもしれません。王室の豪華な衣装には目を奪われます。

シークレットラブ: 65年後のカミングアウト

シークレット・ラブ
2020年 アメリカ
72年連れ添った、2人の女性テリーとパットを映すNetflixドキュメンタリー。法的な結婚が不可能で偏見ばかりだった時代は、「恋人」「彼女」とは言えずに、「親友」「いとこ」などとごまかしてきたそうです。周囲にバレないよう、手紙の名前すら残せなかったといいます。
しかし長く耐え忍んで、ようやく愛する「妻」同士になれました。

日本にもあります。レズビアン邦画

カランコエの花

2018年 日本

「カランコエの花」は、2018年に公開された中川駿監督の日本映画です。物語は、高校2年生のクラスで「LGBTについて」という授業が行われ、そのきっかけでクラス内にLGBT当事者がいるのではないかという噂が広まり、思春期ならではの心の葛藤を抱えた生徒たちの姿を描いた短編作品です。この映画では、LGBT当事者だけでなく、周囲の人々の戸惑いも描かれ、多くの共感を呼び起こしました。中川監督は、この作品を通じて自身の「潜在的な差別意識」に気付くきっかけとなったと述べ、LGBTに関する問題について考えさせられる作品として高く評価されています。さらに、この作品は多くの映画祭で受賞し、LGBTに関する問題を取り上げた注目すべき作品となりました。

カケラ

カケラ
2009年 日本
安藤モモ子の初監督作品。彼氏との関係に疑問を抱く女子大生ハル(満島ひかり)は、カフェでミステリアスな女性リコ(中村映里子)に声をかけられます。リコはメディカル・アーティストで、人が使える身体の一部、指や胸などを製作しています。「柔らかくていい匂いのする女性が好き」で、男性との関係性を引きずるハルにアプローチ。

女性の性欲というと軽んじられる風潮がありますが、居酒屋でリコが「私だってハルちゃんを抱きたいよ」と泣くシーンは、抑圧されてきた感情が存分に現れていました。
一方で、流されてばかりのハルがどう思っているのか気になりました。

リップヴァンウィンクルの花嫁

リップヴァンウィンクルの花嫁

2016年 日本
女性2人にスポットライトが当たるまでが長く、少しじれったいかもしれません。七海(黒木華)は派遣教師としてうまくいかず、SNSで出会った男性との結婚生活も悲惨な結末を迎えます。後半は打って変わって、破天荒な真白(Cocco)と出会い、繊細で激しく、先行きの読めない展開が続いていきます。岩井俊二監督作品。

西北西

西北西

2018年 日本
レズビアンのケイ(韓英恵)は恋人のアイ(山内優花)とうまくいっていない中、イランからの留学生でイスラム教徒のナイマ(サヘル・ローズ)と出会います。嫉妬深いアイが、ナイマのことをケイの浮気相手かと疑って早稲田大学のキャンパスで叱責するシーンが印象的でした。

ナイマはレズビアンという存在に抵抗を感じながらも、理解しようと努めます。ケイの方もイラン人の文化を知ろうとし、互いに寄り添っていきます。どちらも最初は偏見があるというところに、リアルさを感じました。

彼女

彼女
2021年 日本
女性2人の逃避行。高校時代から片思いしていた相手・七恵(さとうほなみ)が夫からDVを受けていると知り、レズビアンのレイ(水原希子)は思い切った行動をとります。なんと七恵の夫を殺害して、2人で逃亡することに。

ところでレズビアンの性行為の描き方ですが、当事者がそれほど挿入する物を必要としているだろうかと、私は疑問に思いました。LGBTお部屋探し

君は永遠にそいつらより若い

君は永遠にそいつらより若い
2021年 日本
就職前の怠惰な大学生活をおくるホリガイ(佐久間由衣)は、不思議な雰囲気の後輩イノギ(奈緒)と出会います。序盤は軽やかですが、社会の暗い側面にもじっくりと向き合っていきます。

こういう展開もあり?レズビアン向け映画

バウンド

1996年 アメリカ
「バウンド」は、1996年に公開されたアメリカ映画で、犯罪とサスペンスが交錯する作品です。この映画は、マフィアの金を奪って逃走を試みる2人の女性の物語を描いています。監督はリリー・ウォシャウスキーとラナ・ウォシャウスキー姉妹で、彼らは後に「マトリックス」シリーズなどで知られることとなる、初めて手がけた作品です。映画は、緊張感のあるストーリーと巧妙な演出が高く評価され、クライムサスペンス映画として一層の注目を集めました。

 

マルホランド・ドライブ

マルホランド・ドライブ

2001年 アメリカ
カルトの帝王ことデヴィッド・リンチ監督による、摩訶不思議な構成。
1人は大女優で、もう1人は稼げない脇役女優だったとしても、2人の女性は愛し合えるのでしょうか。ナオミ・ワッツとローラ・ハリングが演じました。

アトミック・ブロンド

アトミック・ブロンド

2017年 アメリカ
極秘ミッションを受けた勇ましいスパイのロレーン・ブロートン役を、シャーリーズ・セロンが務めたアクション映画。登場人物はレズビアンというわけではなく、むしろ敵の情報収集のため利用しようと女性同士で接近するのですが、次第に女性2人の間に情が芽生えていくかのようなシーンがあります。もっと観たかったです。

私の少女

私の少女
2015年 韓国
レズビアンであることを理由に左遷されてきた警察署署長のヨンナム(ペ・ドゥナ)は、継父から暴力を受けていた14歳の少女ドヒ(キム・セロン)を保護し、やがて2人が親密な関係になっていくという話。「署長と保護された子ども」という立場を無視して恋愛関係になっていく様に、個人的には”対等なラブロマンス”として観ることが難しいという感想を持ちましたが、一見の価値はあると思います。

ある女流作家の罪と罰

ある女流作家の罪と罰

2018年 アメリカ
孤独で売れない作家のリー・イスラエル(メリッサ・マッカーシー)は、センセーショナルな手紙を捏造して販売するという、詐欺ビジネスに手を出してしまいます。レズビアンの卑屈な中年女性が主役というのも珍しいですが、他の登場人物もキャラがおもしろいです。

Netflix話題のレズビアン映画

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー

2019年 アメリカ
成績優秀な優等生を自負するエイミー(ケイトリン・デヴァー)とモリー(ビーニー・フェルドスタイン)は大の仲良し。けれども遊んでばかりいたクラスメイトも優秀な進路を歩むと知り、自信喪失。最後の卒業パーティーくらい青春を謳歌しようと意を決して乗り込みます。エイミーはレズビアンで、片想い中の相手とどうなるのか注目です。

ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから


2020年 アメリカ
成績優秀なエリー・チュウ(リア・ルイス)は、ある日アメフト部に属する男子からラブレターの代筆を頼まれます。しかし、エリーもまたそのお相手の美少女が好きで……という展開です。ナショナリティーとセクシュアリティに切り込んだ、Netflix話題の作品です。

フィアー・ストリート

フィアー・ストリートPart1
2021年 アメリカ
Netflixオリジナル作品の三部作。恋愛メインではなく、ホラー映画の主人公がレズビアンという、画期的なシリーズです。「Part 1:1994」ではショッピングモールでのバトル、「Part 2:1978」ではキャンプ場が舞台、「Part3:1666」では魔女狩りがテーマです。それぞれ時代背景の異なるホラーなので、どの作品が好みか分かれるかと思います。

パーフェクション

 2018年 アメリカ
「パーフェクション」は、2018年に公開されたアメリカのサスペンス・スリラー映画です。この作品は、音楽学校で才能あるチェロ奏者たちの競争と嫉妬を描いています。物語は、主人公シャーロットが音楽学校の元生徒であるエリザベスと出会い、彼女の人生に大きな影響を与える出来事が起こることから始まります。映画は、予期せぬ展開や心理的な緊張感、そしてレズビアン関係に焦点を当てた要素で知られています。

この作品は、視聴者を驚かせる展開や緊迫感のあるシーンが多く、特にレズビアン関係に焦点を当てた映画として注目を集めました。Netflixで配信され、視聴者から高い評価を受けています。

公開希望のレズビアン映画

ビビアンの旅立ち

1985年 アメリカ
レズビアン映画の金字塔ともいえる本作、未だ日本での劇場公開はありません。
1980年代以降フェミニズム(女性運動)の影響で、自立する女性像が描かれるようになってきました。
離婚手続きのためにある宿を利用した女性ビビアンに、宿のオーナーの娘は惹かれます。悲劇だけで終わらせずに、これからが始まりなのだという展開を見せます。

アリーケの詩(うた)

2011年 アメリカ
原題は“Pariah(パライア)”で、社会ののけ者、最下層といった意味合いです。日本では知名度が低いですが、サンダンスやトロントなどの映画祭で話題になったレズビアン映画。

ディー・リース監督の自伝のようだとも言われる本作、主人公アリーケは黒人でレズビアンの高校生です。アリーケはレズビアンの友達と遊んだり、ボーイッシュな格好をしたりしていました。しかし厳格なクリスチャンである母親は、女性らしい服装を強要し、教会の女の子と仲良くするよう強いてきます。

ユンヒへ

2022年 韓国
2022年1月7日、日本でも公開決定しました。
舞台は、雪積もる北海道です。韓国と日本に住む中年女性2人の手紙の往復によって話は進みます。親子関係にもほっこりする作品。

Go!Go!チアーズ

1999年 アメリカ
主人公のミーガンは、彼氏ありの優等生でアメフト部に所属し、どこから見ても普通の女子高生でした。しかし、あることをきっかけに“同性愛矯正キャンプ”送りになってしまいます。しかし、ミーガンはそこで出会った少女と恋に落ちることに。自分のレズビアニズムを確立するまでのストーリーが細部にわたって書かれており、キッチュでカラフルな色使いも見てて飽きません。

 

おまけ レズビアンの登場するテレビドラマ

佐藤家の朝食、鈴木家の夕食

2013年 日本 BSジャパン
2人の母親と暮らす男子高校生(山崎賢人)の家。彼らのご近所に2人の父親と暮らす少女(小林涼子)が引っ越してきました。お互いに「変な家族だったね」と感想を言いつつも、交流を深めていきます。
興味深かったのが、レズビアンカップルの子供のつくり方についてです。「女性1人目の卵子を体外受精させて、それを女性2人目の胎内に受け継ぐことで出産した」という説明が作中にあります。

女子的生活

2018年 日本 NHKドラマ
志尊淳がファッション会社のOL・ミキを演じたことで話題に。ミキは同僚と充実した「女子的生活」を送っていました。しかしある日、かつて同級生だった後藤(町田啓太)が無一文で家に転がり込んできます。後藤は女性の姿であるミキを見て驚きますが、やがてトランスジェンダーでレズビアンだという現状を知って、ミキの合コンに協力することを条件に、家に住まわせてもらうことになります。原作とは若干設定が異なります。

以上、レズビアン映画のご紹介でした。気になる作品はありましたか?

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