「同性同士のお部屋探しは難しい」という認識が世間に広まりつつある中でも、未だに同性カップルが契約を断られるケースがあります。そこで、IRISでは定期的にユーザーインタビューを行い、そのリアルな体験談を発信しています。

 

今回は、IRISがお部屋探しをお手伝いした女性カップルを取材しました。

お二人は出産をきっかけに、2023年秋から中野区での同棲を考え、物件探しを始めました。

 

しかし、とある不動産での内見では、同性同士であることを理由に入居を断られたと言います。

 

そんな状況下でLGBTsフレンドリーな不動産を探していたところIRISにたどり着き、同年11月頃お問い合わせ、12月に新居に入居しました。

 

この記事では、初めての物件探しで直面した困難を紹介します。IRISのサービスがどのように生活を変えたかも見どころですので、ぜひ最後までご一読ください。

 

※御本人のご意向に従い、本名やお顔は控えさせていただきます 。

※お二人の新居にお邪魔し、取材を敢行しました。

 

同性カップルやトランスジェンダーなどLGBTs当事者の部屋探しの課題

同性パートナーの賃貸のお部屋探しや住宅購入、トランスジェンダーの方のお部屋探しには様々な課題が存在します。IRISではこれまでにも何度も当事者を取り巻く課題を発信し、メディアやセミナー・イベントに登壇し、マスメディアなども通じて啓発を続けてきましたが、改めてLGBTs当事者が住宅市場における課題についてどのようなものがあるかおさらいしてみましょう。

 

下記は、LGBTs当事者が直面するよくあるお部屋探しの課題の一部です。

 

✔「2人入居可能」の解釈が業者によって異なり、法律上の夫婦や男女カップルしか入居できない。

✔ポータルサイトで「LGBTsフレンドリー」と書かれている物件でも審査に通らない。

✔フレンドリーをうたっているのに、いざ行くと居心地の悪い思いをさせられる不動産会社が存在する。

✔自分のジェンダーを説明するのが億劫でお部屋探しをあきらめてしまう。

✔同性パートナーで住宅ローンを組もうとしても書類が複雑でたくさん費用もかかる。

 

こういった課題には根拠があり、それはデータにも現れています。例えば、「2人入居可能」物件は、夫婦や親子など、いわゆる「家族での入居」が想定されている場合が多くあります。一方、同性カップルの同棲は「2人入居」の枠組みに含めてもらえず、不動産会社などの解釈などにより「ルームシェア」として扱われることがあります。

「ルームシェア」は入居する人の関係性を問わず、複数人が一つの賃貸物件に入居することを指すことが多く、入居者間の関係性を客観的に判断することが難しいことから、「ルームシェア」を許可している物件は決して多くありません。

この定義に当てはめたとき、同性カップルが問題なく借りられると想定される物件は、男女カップルと比べて「7倍以上の開き」がありました。(IRISが不動産ポータルサイトを対象に2023年6月に行った調査)

 

  • ホームズ(東京都内全域)の「二人入居可能」物件数 / ホームズ(東京都内全域)の「ルームシェア可能」物件数 ≒ 7.16倍
  • SUUMO(23区内)の「二人入居可」物件数 / SUUMO(23区内)の「ルームシェア相談」物件数 ≒ 7.13倍
  • SUUMO(全国)の「二人入居可」物件数 / SUUMO(全国)の「ルームシェア相談」物件数 ≒ 7.60倍

このような実態を背景に、お客様が直面した困難はどのようなものだったのでしょうか。

2023年秋頃から、出産をきっかけに部屋探しをスタート

▲左:Aさん、右:Bさん

―――まず、お部屋探しを始めた理由と時期について教えて下さい。

Aさん:お部屋探しを始めたのは、2023年の夏ごろです。その時点で、パートナー(Bさん)が妊娠していて、年が明けたら子供が生まれることが分かっていました。出産をきっかけに、本格的に同棲することを考えはじめました。

―――IRISに相談にいらっしゃる前の不動産で、”負の体験”をしたと伺っています。では、最初に相談した不動産に問い合わせするところから内見までのお話を伺いたいです。

Aさん:最初はネットで中野区の物件を色々調べていました。中野区を選んだ理由は、パートナーシップを認める地域であると期待していたことと、実家が近くて子育てに便利だからです。中野区の賃貸物件を扱う不動産屋さんを見つけて、営業担当と何度かやり取りしました。ただ、私は普段はセクシュアリティをオープンにしていないため、同性カップルでの同棲とは言えず、「パートナーと住みたい」という柔らかい表現で伝えました。

Bさん:物件を選ぶ際はLGBTsフレンドリーの基準よりも、「新生児OKですか?」ということを不動産屋さんに聞いて、OKが出た物件を中心に探しました。

―――不動産の営業さんへは、二人の関係をいつどのように伝えたのですか?

Aさん:内見当日に最寄り駅から物件に向かう途中で伝えました。私たち二人だけなら「友人」と申請すれば審査に通るかもしれないですが、子供が生まれることは隠しきれないと感じたので、不動産には正直に同性パートナーと一緒に住んで子供が生まれることを伝えることにしました。

しかし、その時の担当者の反応は予想外にも、「同性でも入居できる物件だと思いますよ」という感じで非常に肯定的でした。

Bさん:その反応を見て、私たちはすごく期待したんだよね。もし内見してよかったらそのまま申し込みして、審査も通るだろうって。そういう背景もあって、同性カップルだから審査に不利になるという懸念はなくて、むしろ子供がOKかっていう方が心配だったんです。

―――営業担当者の感触はよかったんですね。そのあと、実際にそこの物件を申し込みをするまでに起こったエピソードをお伺いしたいです。

Aさん:実際に内見に行ってみてその物件をとても気に入り、申し込みをしようとすぐに決めました。申込書の手続きにサインをする必要があったので、一旦不動産の事務所に行きました。しかし、そこで予期せぬ事態が起きました...。

営業担当の上司らしき人が現れて、雰囲気が一変。その上司らしき人は、営業担当に何か指示を出しているようでした。その後、営業担当が戻ってきて「やはり、同性同士のカップル入居は難しいかも」と報告を受けました。

その担当者も焦りながら20件くらい他の物件を探してくれましたが、条件に合う物件が見つからず、最終的には断念してその日は帰ることにしました。

Bさん:多分ルームシェア可能な物件を中心に探してくれたんですが、築年数が古すぎたり、アクセスが悪かったりと希望の条件に合う物件がなかったので、振り出しに戻って新しく不動産を探すことにしました。

【IRISとの出会い】同性同士であることを最初から開示できる安心感

―――IRISにご相談いただいたのは、2023年11月頃でしたね。次の不動産を探す際にどのように情報収集されましたか?そして、どのようにIRISを見つけましたか?

Aさん:次に不動産を探す際には、LGBTsフレンドリーな不動産がいいなと考えて情報収集をすることにしました。その中で、IRISというサービスがあることを思い出しました。偶然、友人がIRISで働いていたので、IRISはLGBTsコミュニティに特化したお部屋探しサポートを提供していることを知っていました。すぐにその友人に連絡を取って、IRISの営業担当を紹介してほしい、と相談をすることにしました。

―――IRISの営業担当と実際にコンタクトしてみて、第一印象はどうでしたか?

Aさん:最初は電話面談を約20分しました。とても優しかったです。口調も柔らかい印象で、「おつらかったですね」という感じで寄り添って話を聞いてくれました。なんだか気づいたら、相談電話みたいになってました(笑)。こちらの希望条件などを伝えた後、「ちょっと探してみますね」と言ってくれました。まず、その対応がとても印象的でした。

Bさん:内覧後に期待を裏切られた経験があったから、その時は正直もう期待しないでおこうねって感じだったのですが、寄り添ってくれた対応がすごくよかったよね。

特に、IRISさんはLGBTsフレンドリーだし、最初からなんの心配もなしに同性同士であることやセクシュアリティを開示できる安心感はあった。

Aさん:分かる分かる。私は今までクローズドで生きてきて、その上で子供が一緒に住むってなると、お部屋探しのハードルも格段と上がるだろうと弱気になってたのもあって...。営業担当の方の寄り添った対応にすごく救われました。

―――そのなかで内見まではどういう感じで進んでいったんですか?

Aさん:IRISさんからいくつか物件を提案してもらいましたが、結局内見に行ったのはここだけ(実際にIRIS経由で契約したお部屋)。

他の紹介してくれた物件もいいところで、提案された物件の精度が高かったように感じます。

 

Bさん:内見当日〜契約までは、営業担当・Mさんが対応してくださいました。

実際に内見をしてみると、新築だし、収納も広い。ウォークインクローゼットもあって、赤ちゃんのものとかもしまえるなって思って、他の物件を見ずに申し込みをする流れになりました。

 

Aさん:Mさんのファインプレーのおかげで、内見して2週間で引っ越しがきまったので非常にスムーズでした!

IRIS営業担当者のサポートが、期待を超えた対応だった

 

―――お二人の間ではMさんは”スーパーヒーロー”だと話しているそうですが、どんな感動エピソードがあったんですか?

 

Aさん:一番のエピソードは、審査がスムーズに進むように管理会社と交渉をしてくれたことです。具体的には、内見を終えてここに申し込みたいという意志が決まった時点で、「パートナーシップの申請は今進行中ですが、まだ完了はしていません」と管理会社に話してくれていました。実は私たちは内見前までは、パートナーシップを取るつもりはなかったんです。でも、審査の観点ではパートナーシップを結んでいたほうが有利だということを、Mさんが教えてくれたんです。

 

Bさん:私たちが申し込んだ物件は、結婚前提とするカップルのみが入居可という条件だったんです。そんななかで、審査がポジティブに働くならと思い、「じゃあすぐパートナーシップの申請をしましょう」と私たちも即座に行動しました。物件の申し込みした日の夜に、私はコンビニでパートナーシップの申請をするためにセブンイレブンに行って、戸籍謄本と住民票を発行して...(笑)。

 

Aさん:男女間のカップルでも、ただ付き合っているだけだと別れるリスクがあるけれど、同性カップルはパートナーシップを結んでいればある一定の説得力があるから通りやすくなるのかな?と感じましたね。

 

―――そのスピーディさと行動力はすごいです!

 

Bさん:パートナーシップを結ぶことが家を借りる条件なら、「結びます!」という感じで。他の人に申し込まれるかもしれないという焦りもあって、手続きを急ぎました。

 

Aさん:Mさんもそこまでやってくれて、ここの家も逃したくないという気持ちもあったから即行動しましたね。Mさんの一言があったから、審査が通ったんだと感謝しています。



―――その後、契約のやり取りで印象的だったことはありますか?

 

Aさん:審査の結果が出るまでの間、Mさんは状況報告を逐一してくれていました。審査が通ったときも「審査が通りました!」とすぐに電話をくれて、一緒に喜んでくれました。その後、契約の手続きの際には管理会社に窓口が変わりました。その時もMさんは「言いづらいことや不安なことがあれば、私を介してくださいね」という配慮をしてくれました。

 

Bさん:普通はそこで管理会社にバトンタッチするものなのに、Mさんの配慮はトータルで素晴らしいフォローでしたね。

 

Aさん:やっぱり私たちにとって、IRISのMさんはスーパーヒーローです!

 

まず最初にIRISにいくべき。友人にも広めていきたい

 

―――お部屋探しを通して感じた気づきなどあれば教えて下さい。

 

Bさん:LGBTs当事者は1人で借りる場合は問題ないけれど、突然2人になると犯罪者のように扱われることがあります。もし同性カップルであることを言わなければ普通に扱われるのに、言った瞬間に変わってしまうことがあります。私は比較的オープンに生きてきましたが、今回のお部屋探し(最初の不動産)で初めて差別や偏見を感じました。

 

Aさん:私は特にクローゼットで生きてきたので、不動産の契約時には毎回常に不安がつきまとうんです。例えば、どのタイミングで二人の関係を言おうか、アウティングされないかなど。

 

Bさん:あとは、自治体がパートナーシップを認めている場合でも、大家さんに直接「パートナーシップっていうのがあるんです」と説明したケースもある。区がパートナーシップを導入している場合は、その情報をすべての不動産や福祉施設などに共有して欲しいです。民間企業と行政・自治体との情報共有が必要です。先進的にその問題に取り組んでいると期待していたのに、LGBTsフレンドリーだと謳っている街でも、本当に住みやすいかでいうとギャップがあるケースがあることが課題だと感じています。

 

―――最後に、IRISを利用した感想をお聞かせください。

Aさん:友達には絶対に紹介したいと思います。こんなにストレスなく、カミングアウトの構えを取らずに自然体で事情を伝えつつ進められるから、とても安心感がありました。二人の関係性に嘘をつかなくていいのが素晴らしいです。

 

Bさん:IRISのスタッフ全員が当事者やアライなので、利用する側はやっぱり安心感がありますよね。他の不動産で負の体験をする前に、最初からIRISの存在を知っておくと良いなと思うので、まわりにも是非おすすめしたいと思います。