何事も始まりがあれば終わりがあるように、ずっと続くと思っていた同棲生活が終了してしまうこともあります。今回の記事では、とても重いテーマである「同性カップルの同棲解消」について解説します。同性婚ができない日本において、同性カップルが同棲をすることはとても大きな意味を持ちます。せっかく始めた同棲生活が思い描いた通りにはいかず、同棲生活を解消しようかと悩んでしまうこともあるかもしれません。しかし、勢いで決めてしまっては後悔が残ってしまいますので慎重に検討したいところです。

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同性カップルの同棲解消の理由

同性カップルが同棲を解消する5つの理由を解説します。

同性カップルの同棲解消の理由①|ライフスタイルの不一致

ライフスタイルがあまりにも不一致だと、同棲生活が終わってしまうことがあります。例えば一方の仕事はカレンダー通り平日が出勤日で、朝9時から5時までが勤務時間。もう一方の仕事が不定休の夜勤中心といった場合、家の中でお互いが顔を合わせる時間が極端に少なくなってしまいます。そうした場合、「なんで同棲してるんだっけ?」と感じ、冷めていってしまうことがあります。

休日の過ごし方などの趣味趣向が合わない場合も解消の理由になりえます。一方は休日に外でアクティブに過ごしたいという希望を持っていて、もう一方は静かに部屋でドラマや映画を観て過ごしたいというカップルの場合、うまく両者の希望をすりあわせられないと関係が冷え込んでいき、最終的には同棲解消にまでいたってしまうことがあります。

同性カップルの同棲解消の理由②|価値観の不一致

価値観の違いはとても大きな問題で、簡単に解決することが難しいものです。同棲するとささいな価値観の違いが重なって、関係が冷めてしまうことがあります。例えば1つのベッドで寝ているカップルで1人は朝風呂派で夜はシャワーすら浴びないスタイル、もう1人は最低限ベッドに入る前に身体は洗って欲しいと考えている場合、就寝のたびにどんどんストレスがたまっていってしまいます。

他にも洗濯物の洗い方、干し方、畳み方、掃除やゴミ捨ての頻度、家事の負担割合などで折り合いがつかず、考えのすれ違いから冷めてしまったという話もあります。日常生活を共に過ごすと、あらゆる細かい点まで目についてしまうため注意が必要です。

 

同性カップルの同棲解消の理由③|転職や転勤

転職や転勤でどうしても遠方に引っ越す必要がある場合、同棲生活は必然的に解消となってしまいます。遠距離恋愛ができるかできないかによって、その後の2人の関係が継続できるか変わってきます。



同性カップルの同棲解消の理由④|恋人同士でなくなった

同棲生活は、本来好きな人といられる時間を増やせるという目的から始める方が多いと思います。しかし、四六時中一緒にいると恋人感覚、特別な人という感覚が薄らいできて冷めてしまうということがあります。最終的には恋人というよりは同居人や家族のように感じてきて、同棲生活を終了したという知人が数人います。同性カップルには、意外とこうした事例があるようです。結婚ができない同性カップルは、同棲解消のハードルが低いことも関係しているかもしれません。

 

同性カップルの同棲解消の理由⑤|同性の人との同棲を隠しきれない

LGBTという言葉が頻繁に使われるようにはなりましたが、まだまだ日本社会には、LGBTに対する無知や偏見があふれています。家族や友人、会社の上司や同僚に対して、自身がLGBT当事者であることを隠している人はとても多いはずです。そうしたLGBT当事者は、住居についての話題が出た際に、同性パートナーと暮らしていることを隠し続けなければなりません。1人暮らしを装うのか、友人とのルームシェアを装うのかといった選択肢はありますが、いずれにしろ嘘をつき続けることになります。そうした偽り続ける重圧に耐えかねてしまった時、同棲生活は解消されてしまいます。

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同棲解消後のお部屋について

同性カップルの同棲生活が解消されてしまうさまざまな理由を解説しました。同棲解消後にお部屋をどうするかについて、以下のようにパターンがあります。

  1. 一方が残る

  2. 2人とも出ていく

  3. そのまま同居を続ける

 

同棲解消後のお部屋について①|一方が残る

どちらかの所有する物件だった場合、関係終了後も一方が残って住み続けることができます。賃貸物件でも1人で家賃を支払う余裕がある場合、気に入った物件であればそのままそのお部屋に住み続けることもあります。この場合、一方の人だけが出ていくことになります。

 

同棲解消後のお部屋について②|2人ともでていく

2人ともでていき、それぞれ別の物件に引越すことになります。

1人で住むには広すぎたり、家賃が高すぎる、もしくは思い出が残っている家を出て環境を変えたいといったケースが考えられます。

 

同棲解消後のお部屋について③|そのまま同居を続ける

恋愛関係解消後も同居を続ける人たちも一定数います。新しい物件に引越していくにもまとまったお金が必要となるため、経済的な理由から同居生活を続けている場合もあれば、カップルではなくルームシェア的な感覚で同居を続けるという人たちもいます。

 

同棲を解消するときにする必要があること

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同棲生活を解消するにはどういった手続きが必要になるのでしょうか。

引っ越し先の確保

まず、何はともあれ新しく住む住居を探さなければなりません。

新規で探す場合には、物件探しから内見、審査、契約、引越しという順序になり、ある程度の時間がかかってしまいます。引越し業者を使う場合には、複数社へ見積もりを取ると安くできる可能性があります。

契約解除の手続き

電気水道ガス電話インターネット回線といった契約を全て解除する必要があります。最近では、インターネット上で解除手続きが済む会社も多くなってきています。住民票、運転免許証、銀行やクレジットカード、携帯電話会社などの住所変更手続きも必要です。郵便局への転居届は、引越し日より余裕をもって手続きしておくと確実に転送されるため安心です。

共有物の分配

共同で使用していた家具家電、生活用品類をどのように分配するか決める必要があります。酷な話ですがペットを飼っている場合には、どちらが引き取るか決めなければなりません。ペットは物と違って分けることも、お金で解決することも難しいため非常に難航する問題となります。

 

恋人関係解消でも円満な別れなら同居人として住むのもあり

筆者の知り合いにも何組かいるのですが、恋人関係でなくなったものの同居人として2人で暮らし続けるというパターンもかなりあります。お互いに同居人という間柄で良いのであれば、次回の契約更新日まで、どちらかが引っ越したいと感じるまで、もしくはどちらかに次の恋人ができるまで一緒に住み続けることは、選択肢としては有りなのかもしれません。

お部屋探しはどれくらいの時間がかかるのか

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物件を探し始めてから内見、審査、契約、引越しまでに一般的には1ヶ月半から2ヶ月ほど見積もるべきとされています。また金銭面として、新しいお部屋への入居に際して初期費用として家賃4〜5ヶ月分程を見積もっておく必要があります。

 

同性パートナーシップ制度を利用している場合には?

同性パートナーシップ制度を利用している場合、パートナーシップ関係を解消する手続きが必要になります。例えば、東京都パートナーシップ宣誓制度の場合、第3号様式(東京都パートナーシップ宣誓制度に係る変更届)という書類を提出します。別れた人とのパートナーシップ制度を停止しないと、新たに別の人とパートナーシップ制度を利用することができなくなってしまいます。せっかく全国各地に広がってきた同性パートナーシップ制度の運用に悪影響を与えないためにも、必ず手続きをするようにしましょう。

 

参考:東京都パートナーシップ宣誓制度利用の手引き(13頁)

 

一度の同棲失敗で、もう同棲には向かないとは思わない方が良い

同棲解消という大きな経験をした人は、「自分は同棲には向かないのかもしれない」と落ち込んでしまったり、自信を失ってしまうかもしれません。しかし、同棲は2人でするため、2人の相性がとても大きく関係します。初回の同棲が上手くいかなかっただけで、また別の機会に同棲をする場合にはうまくいく可能性が十分あります。一度の同棲解消だけで「自分は同棲には向いていないのだ」と思い込んでしまうのは、将来の可能性を潰してしまいかねません。今回はうまくいかなかったけれども、次回はうまくいくかもしれない可能性があることを忘れないでいただければ幸いです。

まとめ

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同性カップルが同棲を解消する5つの理由と、同棲解消後の選択肢、同棲解消時の手続きなどを解説しました。積極的に考えたくないテーマではありますが、円滑な同棲生活を送る上でも、同棲解消に至る理由は知っておいて損はないのかもしれません。繰り返しになりますが、一度、同棲を解消したとしても、次の同棲生活はうまくいく可能性があります。同棲生活から解消までの経験をプラスに活かすこともできますし、悲観的になりすぎないでいただきたいです。