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同性カップルやトランスジェンダーの方々が子どもを持つ選択をするのは、日本では決して容易なこととは言えません。
どのように子供を持つかという手段の課題もさることながら、生殖医療を用いたアプローチについても法整備は依然として不十分で、その前提となる倫理的な議論も十分に進んでいない状況です。
しかし、パートナーと共に子育てを望む同性カップルや、自分の遺伝子を持つ子どもを望むトランスジェンダーの方々は確実に存在します。
生殖医療の技術は日々、進化を続けており、海外では既に多くの選択肢が提供されています。
そこで今回、アメリカで日本人向けに生殖医療のコンサルティングを手掛けるAt Home Sono, Inc.の渡邊勇希(Youki Watanabe) さん、渡邊彬(Akira Watanabe) さんにお話を伺いました。


生殖医療とは何か?
生殖医療は、体外受精や顕微授精といった技術を用いて、主に不妊治療を行う医療分野全般を指します。
もともとは男女間の夫婦を想定して、自然妊娠が難しい方の妊娠・出産をサポートする一般不妊治療が主流でしたが、医療技術の発展により、現在では「妊娠を成立させるためにヒト卵子と精子、あるいは胚を取り扱うことを含むすべての治療あるいは方法(日本産婦人科医会)」を行う生殖補助医療(assisted reproductive technology:ART)を含む広い概念となっています。
中でも高度生殖医療と呼ばれる治療には、体外受精(IVF)、顕微授精(ICSI)、第三者の協力を得る卵子提供、精子提供、代理母出産などがあります。治療方法は年々進化を続け、世界中で多くの方の妊娠・出産の希望を叶えています。
特に日本は出産の高齢化を背景とした生殖医療大国で、日本産婦人科医会の2021年の調査では、年間の実施件数は498,140件(体外受精、顕微授精、凍結融解胚を含む)となっていて、国際生殖補助医療監視委員会(ICMART)の2019年のデータによると、米国の18万件を超え、中国の112万件に次ぐ世界2位の実施件数となっています。
引用:ICMART-world-report_2019_preliminary
同性カップルやTG当事者が子供を持つ手段としての生殖医療
同性カップルやトランスジェンダー当事者にとっても、子供を持つ手段として、生殖医療は有望な方法といえる一方で、日本では子供を持つことを望む当事者に対して、十分な門戸が開かれているとはいいがたい状況です。
一口に同性カップルやトランスジェンダー当事者と言っても、パートナー関係において、置かれている状況は大きく違います。
女性カップルの場合
女性カップルであれば、精子ドナーの協力を得て、どちらかのパートナーが妊娠・出産することが可能ですが、産科婦人科学会の規定により、いわゆる精子バンクを利用するには夫が無精子症等でなければならず、利用は困難です。精子提供を目的としたマッチングサイトなどもありますが、医療の提供とは異なる性質のものが多く、また、親子関係における法的な問題も解消されません。
男性カップルの場合
男性カップルの場合は、卵子ドナーだけではなく、代理母の協力を得る必要があります。ですが、2003年4月に日本産科婦人科学会は会告で「代理懐胎の実施は認められない。対価の授受の有無を問わず、本会会員が代理懐胎を望むもののために生殖補助医療を実施したり、その実施に関与してはならない。また代理懐胎の斡旋を行ってはならない。」としており、日本では事実上代理母出産は不可能となっています。
トランスジェンダーの場合
トランスジェンダー当事者の方の場合、戸籍上の性別を変更しようとするには、生殖能力をなくす手術を受ける必要がありました。これは2023年の最高裁判決により違憲とされましたが、「他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること」とするの外観要件は判断されておらず、「現に結婚していないこと、未成年の子がいないこと」を求めていることからも、トランス後に自身の子供を持つということについて、問題が棚上げされている状態です。
これについて、性別適合手術(SRS)の前に卵子や精子を保存しておくことで、将来的に子供を持つ選択肢を残すことができますが、前述のとおり日本での代理母出産は不可能であることから、国内での実施は困難といえます。
提供:At Home Sono様資料より
一方で、アメリカの医療機関では、LGBT当事者への理解も深く、偏見なく治療を受けることができ、特に代理母出産においては、依頼者と代理母の権利が法的に保護され、明確な契約のもとで治療が進められます。
医療機関による徹底した健康管理体制も整備されており、誰もが安心して治療に取り組める環境が整っているのです。
これを日本に住む人が利用する方法はないのでしょうか。インタビューしてみました。
At Home Sonoの由来と事業を立ち上げたきっかけ
At Home Sonoは米国カリフォルニア州で生殖医療のコンサルティングを行う会社です。渡邊彬さんにそもそも会社を作ったきっかけを伺いました。
「最初はですね、不妊治療センターに通うことが難しい、仕事を休まなきゃいけないっていうような方に、お家に行って超音波検査をしてあげようという思いで会社を作ったんです。」
不妊治療には定期的な通院が必要ですが、仕事との両立に悩む人は少なくありません。そこで2022年、自宅での超音波検査サービスを始めることを決意されたそうです。社名の"At Home"には自宅での検査という意味が、"Sono"には超音波検査を表すSonographyの意味が込められています。
彬さんの元には、アメリカで不妊治療を希望する際に「どの病院で、どんな治療を受ければいいのかわからない」という相談が増えていったそうです。特に渡米前の方や、アメリカに来たばかりの駐在員の方々からの問い合わせが多かったといいます。
そこで当時ロサンゼルスの現地新聞に「日本語で全部サービスできます」という広告を掲載したところ、仕事が間に合わなくなるほどの反響があったとのこと。アメリカの不妊治療に関する情報を求める声、そして日本語で相談できる医療サービスを求める声の大きさは、彬さんの予想を超えるものだったそうです。
現在は利用者のニーズに合わせてサービスを拡大。超音波検査サービスだけではなく、ニーズに応じた最適な生殖医療の提案と、病院などの医療へのアクセスを提供し、出産まで日本語で伴走するコンサルティングサービスを展開されています。
アメリカ在住のLGBT当事者にとっての生殖医療
生殖医療の利用状況について、アメリカのLGBT当事者の現状はどのようなものなのでしょうか。具体的なお話を聞いてみました。
「例えば、男性のカップルが来院して、普通に初診を受けて、普通に治療に入る、男女のカップルと同じような流れですよ。何を利用しても別に偏見はないと感じます。」
アメリカでは性的指向による差別なく医療サービスを受けられる環境が整っているとのことで、クリニック選びから、実際の治療、そして出産まで、きめ細かいサポート体制が整備されているのが特徴なのだといいます。
アメリカ(合衆国)では、代理母出産に関する連邦法は存在していません。そのため、州法によって定められており、現在は50州のうち48州で合法的に代理母出産を行うことができます。その中で、制度が充実しているのがカリフォルニア州だといいます。
カリフォルニア州では、代理母を通じて生まれた子どもについて、一定の要件を満たしていれば、契約者を実親、生まれてきた子を実子として出生証明書に記載できます。
「家族を持ちたいという思いは誰もが同じ。その願いを叶えるお手伝いができればと思います。」
医療スタッフの理解も深く、プライバシーにも十分な配慮がなされている。家族のあり方が多様化する中で、生殖医療の現場でも受け入れが進んでいるのだといいます。実際に治療を受けるカップルも増えており、代理母出産や配偶子提供など、様々な選択肢を活用しながら、家族形成を実現しているようです。
日本のLGBT当事者がアメリカで生殖医療を受けるためには
では、日本のLGBT当事者がアメリカで代理母出産や体外受精、卵子や精子の凍結などの生殖医療を受けたいときは、どうなのだろうか。
「何を実現したいのかによって提供可能なサービスが異なります。精子や卵子のドナーを利用するのか、すぐに子供が欲しいのか、将来的に子供を持つ可能性を残しておきたいのか、など利用者様のニーズは様々です。」
「選択によって費用感も大きく変わりますし、本当に必要なサービスを受けてもらうためにも、我々はカウンセリングを重視しています。適切なプランニングを行うためにも、初回は無料にしているので、まずはオンラインでご相談していただければと思います。」
実際に子供を持つまでの流れ
At Home Sonoでは、妊娠・出産までの道のりを3つのステージに分けてサポートしているそうです。
提供:At Home Sono様資料より
1.初回相談とプランニング
「お客様の状況やご希望を最初にしっかりとお伺いします」と彬さん。まずは無料相談から始まり、アメリカでの治療に関する基本的な情報提供が行われるそうです。
「我々は利用者様の判断をゆがめたりしないために、クリニックから紹介料をもらうビジネスはしていません。アテンドを行っている会社の多くが7,000~8,000ドル程度の仲介料を得ていて、これが間接的に利用者負担となるので、結果的にコストが高くなってしまいます。」
初回相談では、治療にかかる費用の概算や、利用可能な治療法について詳しい説明が行われます。利用者の状況に応じて、卵子ドナーや代理母の必要性なども検討。治療までの具体的なプランを一緒に考えていきます。
2.治療開始
患者の状況や希望に合わせて、最適な医療機関を提案。ここで、紹介料をもらわない中立性が強みになると言います。
「男性同士のカップルのケースが得意な医師、女性同士のカップルのケースが豊富な医師、トランス治療中の生殖機能への影響やリスクに詳しい医師など、利用者様に合った先生をご紹介できる状態でご案内します。」
例えば男性カップルの場合、代理母出産の実績が豊富なクリニックを優先的に紹介するといいます。治療計画は、仕事や生活スタイルに合わせて柔軟に調整。渡米のタイミングから、具体的な治療スケジュールまで、きめ細かくサポートしているとのことです。
3.妊娠・出産まで
「妊娠して終わりということはなく、無事出産されてご卒業という形になるまでの全てをフォローアップさせていただきます。」
「とくに代理母出産を選択した場合、代理母とのマッチングから出産までの長期的なサポートが重要となります。」
医療機関との連絡調整はもちろん、代理母との関係づくりもサポートし、出産後の手続きまで、一貫したサポート体制を整えているそうです。
費用
医療費用は治療内容や選択するオプションによって大きく異なります。具体的な費用の内訳と支払い方法について、具体的な内容がなかなか情報として出回っていない中、実際の費用を詳しく解説してもらいました。
クリニックでの基本治療費用
「クリニックの費用は3万~3万6000ドくらいが国際パッケージです。」アメリカの医療機関では、海外から治療に来る患者向けに、検査や治療をパッケージ化して提供しているといいます。
この金額には基本的な治療に必要な全ての費用が含まれています。ただ、稀に追加で検査や投薬が必要となると判断がされた場合には、最終的な費用が変動する可能性があります。
アメリカ在住の場合は、一部医療保険でカバーされる範囲もありますが、日本から治療を受ける場合はほとんどが自己負担となる可能性が大きいようで、決して安価とは言えません。
しかし、治療の選択肢の広さや成功率の高さを考えると、アメリカでの治療を選択する人は少なくないそうです。
「具体的な費用は、治療内容や患者の状態によって個別に見積もりを作成する形になります。」
代理母出産にかかる費用
代理母出産を選択する場合は、より大きな費用が必要となると彬さん。代理母は報酬を得る代わりに出産を行っています。そのため、代理母に報酬を支払う必要があり、相場としては14万~16万ドル程度になるそうです。
費用が高額になっている背景には、代理母出産の安全性を高めるための方針変更があるようです。以前は代理母に複数の胚を同時に移植することもあったようですが、現在は安全性の観点から、一度に移植する胚の数を制限するようになったそうです。
代理母への報酬だけではなく、妊娠・出産に関わる医療費、法的手続きの費用なども含むと「だいたい合計で15万ドル前後」になるようです。
ただし、複数のタイミングに分かれて支払うことになるので、一括で15万ドルを支払うわけではないようです。
支払い方法について
高額な医療費への対応として、様々な支払い方法が検討されています。「基本的には皆様現金で支払われてる」が、近年はローンを活用した分割払いの選択肢もあるようです。ただし、金利は経済状況によって「結構変わってきます」とのこと。
支払い方法の選択は、為替レートの変動なども考慮しながら、慎重に検討する必要があります。医療費は患者にとって大きな負担となるため、計画的な資金準備が重要です。また、支払い時期や方法については、事前に医療機関としっかりと相談することをお勧めしているそうです。
At Home Sonoが提供しているサービス
これだけの金額を聞くと現実感がないような気がしてしまいますが、そもそも代理母出産だけが選択肢ではない可能性もあるため、自分がどの医療サービスを利用するかはまず相談してもらうことが重要と彬さんは語ります。
「At Home Sonoでは、利用者のニーズやステージに合わせて3つのプランを展開しています。それぞれのプランには特徴的なサポート内容が含まれ、治療段階に応じて選択できるようになっています。」
提供:At Home Sono様資料より
1週間体験プラン
1週間で300ドルのこのプランでは、基本的なコンサルティングとオンラインでの相談が可能です。コンサルティング実施日から1週間、不妊治療に関する質問に回答するという内容です。
「実際の治療を受けた方からは、日本では諦めていた治療が受けられて良かったという声をたくさんいただいています」と彬さん。まずは気軽に相談したい方向けのプランとして、アメリカでの治療に関する基本的な情報提供や、個別の状況に応じたアドバイスを行っているそうです。初回の無料相談のあと、継続して受けられる医療サービスの詳細を知りたい方や、実際の費用の概算を知りたい方にもおすすめのプランです。
ガイドプラン
2,000ドルのガイドプランは、本格的な治療開始を考えている方向けのプランとなっています。米国家庭弁護士との30分相談が可能で、代理母出産に関する法的な疑問点や、親権に関する質問など、専門的な相談ができる。ただし、メールでの問い合わせは含まれていません。
「代理母やドナーを使用される場合など、法律や規定に不安を感じる方もいらっしゃいます」
また、クリニックの紹介から治療費の見積もり、治療スケジュールの調整まで、治療開始に向けた具体的なサポートを提供してもらえるそうです。卵子・精子ドナー会社の紹介も含まれており、治療に向けた準備を包括的にサポートする内容となっており、コンサルティング実施日から30日間、メールでの問い合わせにも対応可能です。
フルサポートプラン
最も充実した5,500ドルのフルサポートプランでは、治療に関するあらゆるサポートを提供し、1サイクルの治療が終わるまで、継続的にサポートする内容となっています。
クリニックとのコミュニケーション通訳は、治療内容の説明から同意書の確認まで全面的にサポート。お薬の購入代行や注射サポートなど、治療中の細かなケアも含まれているそうです。さらに代理母エージェンシーの紹介から、代理母出産までの継続的なサポートも実施。次のステップの提案や、治療計画の見直しなども随時行う内容となっています。
卵子・胚凍結を目的とする場合は各プラン50%オフという特典もあり、将来の選択肢を残したい方へも対応している。メールでの問い合わせも可能で、治療完了までしっかりとサポートする体制を整えています。
法的な手続き・課題
ちなみに、日本に戸籍のある同性カップルの方や、戸籍上夫婦となっている異性カップルであっても、アメリカで生殖医療を受けたとき、特定の手続きを経なければ、生まれてきた子供と法律上の親子となることはできない可能性があります。
同性カップルの場合
男性同士の同性カップルの場合は、カップルの一方が精子提供者となって、代理母出産により子を産んだ場合、日本で親子関係を認めてもらおうとしたとき、日本の法律では(※)出産した女性が実母となってしまいます。
そのため、まず代理母となった方から親権を放棄してもらう必要があります。そして、精子提供者とならなかったカップルのもう一方については、そのままでは当然に親権は発生しませんので、日本の家庭裁判所の許可を得て、普通養子縁組を結ぶ必要があります。これらができれば、同性カップルの2人と生まれた子に親子関係が生じることができます。
女性同士のカップルで母体がカップルのうちの一方である場合も同様で、精子提供者となった方から親権を放棄してもらい、カップルのもう一方が日本で普通養子縁組を結ぶことで、同じように親子関係を生じることができます。
しかし、どちらのパターンにおいても、代理母や精子提供者に親権を放棄してもらうには、日本・出産国いずれの国でも法的手続きが必要になります。
そのため、提出すべき書類も多岐にわたる可能性が高く、親権の放棄については国や州によって法律が異なるので、日本と出産国いずれの国の弁護士とも事前に相談して準備を進めることが必要となります。
その点、At Home Sonoでは、米国の家庭弁護士と相談が含まれているプランもありますので、検討いただくと良いと思います。
戸籍上夫婦である異性カップルの場合
戸籍上夫婦である異性カップルの場合、法的な婚姻関係があれば裁判所によって特別養子縁組が認められる場合があります。
過去の判例では、最高裁判決で代理母出産によって生まれた子を母体でない人の実子として認めることはできないとしています。しかし、ウクライナで代理母出産したケースでは、静岡家庭裁判所浜松支部は実の親子関係について言及していない一方で、特別養子縁組を認める判断をしています。
※夫婦や親子の関係などの個人の身分に関する法律は、原則として、どこの国の法律に準拠して審理を行うかを最初に裁判管轄権のある国の裁判所が決定します。
ただし、上記のいずれでもないパターンについては、まだ日本の法制度としてコンセンサスを得られているものがないため、事前の準備をしてから渡航や治療の開始を検討する必要がありそうです。
まとめ
勇希さんはインタビューの中で「生殖医療は、人生の大きな選択の一つです。特にアメリカでの治療となると、費用面や法的な問題など、さまざまな不安があると思います」と仰っていました。At Home Sonoでは、まずは無料相談から始めることができ、アメリカでの治療に関する疑問や不安について相談可能です。
体験プラン(300ドル)から本格的なフルサポートプラン(5,500ドル)まで、状況に応じて柔軟に選べるプラン設計も特徴的で、「日本の晩婚化・少子化問題解決の糸口、そしてお子様を持ちたい方々が安心して寄り添えるパートナーでありたい」という思いで、きめ細かいサポートを提供しています。
国境を越えた医療には、さまざまな課題が伴います。しかし、アメリカの先進的な医療技術と、At Home Sonoの手厚いサポート体制があれば、新しい家族の形を実現する可能性は広がるでしょう。まずは無料相談で、自分に合った選択肢を探してみてはいかがでしょうか。