今回は、LGBTの頭文字「T」を示す「トランスジェンダー」の中でも、トランスジェンダーの男性について詳しく解説していきます。縮めて「トランス男性」と表記されることもあります。

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トランスジェンダーとは?

初めにトランスジェンダーとは、どういった人を指すのでしょうか。メディアでは「身体の性」と「心の性」が違う人、と報じられることがありますが、もう少し詳しくご説明します。

定義でいうと、「生まれた時に割り振られた性別」と、「自身の認識する性別」が異なる人たちを、トランスジェンダーと言います。なお後者の、性別に対する自己認識のことを、「性自認」や「性同一性」、あるいは英語のまま「ジェンダーアイデンティティ(gender identity)」ということがありますが、どれも同じ意味です。

「生まれた時に割り振られた性別」と、「自身の認識する性別」が同じ人たちは、シスジェンダーと言われ、人口の99%以上を占める多数派です。
一方、「生まれた時に割り振られた性別」では生きられない、どうやら違うらしい、と実感する人たちがトランスジェンダーに該当します。トランスジェンダーの人たちは、人口の0.4〜0.8%ほどいるとされています。

トランスジェンダーだと気づく瞬間は、人により様々です。とはいえ、幼少期に周囲からの扱われ方が自分の想定とはズレていることや、第二次性徴期に自分の身体の形状に違和感を抱くことで、自分がトランスジェンダーだと自覚する人が多いようです。

トランス男性、トランス女性、ノンバイナリー

一言でトランスジェンダーといっても、その置かれている性別の状況は様々です。

トランスジェンダーの男性(トランス男性)とは、女性として生まれ自身を男性として認識しているトランスジェンダーのことです。生まれた時に割り振られた性別が「女性」であり、その後「男性」としての自己認識を深めたり、身体的な治療をしてより男性的な状態に近づけていくことが多いので、「女性から男性へ」という意味で「FtM(Female to Male)」と言われることもあります。この記事では、トランス男性について詳しく説明していきます。

 逆に、トランスジェンダーの女性(トランス女性)とは、男性として生まれ自身を女性として認識しているトランスジェンダーのことです。生まれた時に割り振られた性別が「男性」であり、その後「女性」としての自己認識を深めたり、身体的な治療をしてより女性的な状態に近づけていくことが多いので、「男性から女性へ」という意味で「MtF(Male to Female)」と言われることもあります。

また、生まれた時に割り振られた性別が男女いずれかであるに関わらず、「自分の性別は男でも女でもない」「自分に性別はない」「自分は男でも女でもある」などと性別二元論に沿わない実感をもつ人のことを、ノンバイナリーと言います。

かつて使われた診断名「性同一性障害」

これまでトランスジェンダーの人が医師を頼って医学的な治療を望む場合には、医学的用語として「性同一性障害(Gender Identity Disorder)」という診断名が使われてきました。つまりトランスジェンダーの人の中でも、診断を受けた人のみが「性同一性障害」の患者として扱われることがあったのです。

ただし性同一性障害という位置付けは、精神疾患の範疇であり、トランスジェンダーの当事者の感覚とは相容れない、侮辱的なニュアンスを含みます。もはや「性同一性障害」という名称は使われなくなり、「性別違和」や「性別不合」という名称に変わっているので覚えておいてください。

オススメの本 → 周司あきら、高井ゆと里『トランスジェンダー入門』(集英社新書)

女性から男性へ!トランスジェンダー男性(FtM)とは?

トランスジェンダー男性(FtM)について詳しく解説していきます。

トランス男性は、生まれた時に医師から「この子は女の子です」と判定され、「女」として身分証に登録されました。しかし、成長してジェンダーアイデンティティ(性別にまつわる自己認識)が確立していくと、「自分は男のはずなのに、なぜか女扱いされている」と気づくわけです。

例えば、仲の良い男友達と同じ遊びをしていると、トランスの男の子だけ「あなたは女の子なのだから」とやりたいことを取り上げられる、といった経験をすることが多いです。自分が男性の一員に含まれていない、むしろ女性の一員として扱われているということに違和感が生じます。

周囲からずっと女性として扱われている状況の中で、自分が男性であると自覚するには相当の時間がかかることもあります。人によって、「自分がトランスジェンダーであり、男性である」と気づく時期には差があるのです。

トランス男性は、身体的には一般に「女性」としてみなされる状態から人生が始まります。より男性的に見えるように身体を変えて性別の違和感を減らしたい、と望む人も多いです。例えば、服装や髪型を変えたり、歩き方を大きくしたり、表情の使い方を変えたり、男性ホルモン注射をしたり、胸をとったり、筋肉を鍛えたり、陰茎をつけたりして、身体の状況を変えていくことができます。

ただしトランスジェンダーだからといって、必ずしも身体的な性別移行を行うわけではありません。本人からしたら、「シスジェンダーの男性とは違う」身体的特徴や、周囲との扱われ方だったとしても、それが生まれつきの自分なので変える必要はない、と考える人もいます。

また、性別の状況と、性的指向には直接的な関連性はありません。トランス男性だからといって、「男性ということなら、女性を好きになる」と決めつけることはできないのです。トランス男性の中にも、男性に惹かれるゲイや、性的関心が他者に向かないAセクシュアル(無性愛者)の人などもいます。

トランスジェンダー男性(FtM)とレズビアン(女性同性愛者)の違いとは

トランスジェンダーの人は、同性愛者と混合されることもあります。トランス男性の場合、「女性として生まれ育って、女性に惹かれるということはレズビアンだろうか?」と自他ともに間違えやすいかもしれません。

実際にトランス男性の中には、かつてレズビアンのアイデンティティーを持っていたり、レズビアンのコミュニティで生活していた、という人が少なからずいます。レズビアンの俗語には「ボーイッシュなレズビアン」を意味する「ボイ」や、英語圏では「ダイク」「ブッチ」などという言葉もあるくらいなので、その分、トランス男性が「ボーイッシュなレズビアン」の範疇に収まっている可能性もあります。

しかし、トランス男性は性自認が男性であり、男性として女性を好きになっています。その感覚はシスジェンダーのヘテロセクシュアル(異性愛者)男性と近いものでしょう。

一方で、レズビアンは性自認が女性であり、女性として女性を好きになっています。レズビアンの人はトランス男性のように「男性として生きていきたい、自分は男性だ」と思っているわけではありません。なので、同じように女性に性的指向が向いていたとしても、トランス男性とレズビアンは別なのです。

前提として、トランス男性だからといって性的指向が女性に向くとは限りません。男性が全員、女性を好きになるわけではないのと同じことです。最初からレズビアンとは無縁だと考えるトランス男性もいます。

トランスジェンダー男性(FtM)の医学的な性別移行

トランスジェンダー男性が「女性」から「男性」とされる状態へ性別を移行しようとする際に、どのような医療があるのでしょうか。「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」に沿って、ご紹介します。

どこまでの治療を望むかは、個人によって違います。ホルモン投与と手術は基本的に不可逆(元に戻らない)ですので、自分に必要かどうかよく考えて、選択してください。

1.診断を受ける

ガイドラインに沿って治療を進めていく場合は、最初に医師による診察が必要となります。医師という第三者の許可が必要になる時代遅れな制度ですが、現状ではジェンダークリニックに通って「性別違和」や「性別不合」の診断書をもらってから希望する治療に進むことになります。筆者の場合、半年間ほどジェンダークリニックに通い、幼少期からの自分史を語る必要がありました。

なかには、診断書がなくても治療を受けられるクリニックもありますが、その場合にも血液検査などを欠かさず、自身の健康管理には気をつけるようにしましょう。

2.男性ホルモンの投与

トランス男性にとって最初の治療は、ホルモン投与か胸オペから行われることが多いです。トランスジェンダーの治療というと、下半身の手術を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、生殖腺をとるとホルモンバランスが崩れてしまうため、いきなり生殖腺の摘出を行うことはまずありません。男性化を促すテストステロンを投与して、体内のホルモンバランスを男性にありがちな状態に変えていくことが、下半身の手術より先に推奨されます。

ホルモン投与は注射で、肩かお尻に打つことが最も多いです。頻度は2、3週間に1度で、ジェンダークリニック・婦人科・泌尿器科などで打ってもらうことが多いです。他にも、パッチ(シール)や塗り薬や錠剤などでホルモン投与をすることもあります。

--男性ホルモンを服用すると、次のような効果が出やすいです。

  •  生理が止まる
  • 陰核(クリトリス)が大きくなる
  •  性欲が強くなる
  •  筋肉がつきやすくなる
  • 声が低くなる
  • 喉仏が出る
  • 血管が浮き出る
  • 体毛が増え、1本1本が太くなる
  • 毛髪は減りやすい
  • 体臭が変わる
  • 顔の輪郭が角ばってくる
  • 肌の色が濃くなる
  • 体温が高くなる

成人後に身長が伸びることは基本的にありませんが、筋肉がついたり、輪郭が変わったりすることで、見た目にもわかりやすい変化が現れます。

トランスジェンダーのホルモン投与は、思春期さながらの変化を人工的に起こしている、と考えてもらうとわかりやすいです。食欲が増したり、ホルモンバランスの乱れでイライラしたり、メンタルの状態が悪化する場合もあります。

リスクとして、以下のようなことが起こる可能性があります。(参考:女性医療クリニックLUNA トランスジェンダー外来

  • 肝機能異常
  • 高血圧・糖尿病・体重増加
  • 多血症・血栓症
  • 倦怠感・不安・抑うつ・不眠症・眠気
  • 肌荒れ・皮疹
  • 多毛・頭髪減少
  • 不正出血
  • 卵巣機能低下・不妊症
  • アレルギー

3.乳腺摘出術/乳房切除術(胸オペ)

胸オペとは、女性的に膨らんでいた乳腺を取ったり、乳房を切除したりする手術です。胸のサイズによって術式は異なります。日帰りで手術可能と言われますが、手術日は病院の近くに宿泊したり、その後も1ヶ月ほど安静にしておくのがオススメです。

胸オペをするまではバインダー(ナベシャツ)で胸を潰していて、夏場はとても暑い、というトランス男性もいます。胸オペをして胸の膨らみがなくなることで、メンズ服が着やすくなったり、男性としてパス(望む性別でみなされる)しやすくなったりするため、トランス男性のQOL(生活の質)向上に直結しやすいです。

ちなみに胸オペは、男性ホルモン投与をしていなくても受けることができます。また、トランス男性として診断されていなくても、ノンバイナリー(Xジェンダーと言われることもあります)の人で胸をとる手術が必要だという人も、胸オペを受けることが可能です。ただし、病院によっては「男か女か」という男女二元論に縛られていて、ノンバイナリーの人が治療を必要としていることを理解してくれないところも残念ながらあります。

4.子宮・卵巣摘出

内外性器を外科的に変更する手術を、「性別適合手術」と言います。トランス男性の場合、子宮と卵巣を取ったり、陰茎を新たに形成したりする手術のことです。
子宮・卵巣摘出のやり方には、腟式手術・腹腔鏡手術・開腹手術があります。臓器を摘出するために、どこを切るのか、あるいは切らないのかが異なります。男性ホルモン投与だけの場合は生理が復活する可能性がありますが、子宮・卵巣摘出をすると生理は来なくなり、完全に生殖機能がなくなります。
卵巣を摘出すると、日本の特例法(性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律)に則って、戸籍上の性別を「女」から「男」に変更できます。なお、戸籍変更要件には、「現に婚姻していないこと」「未成年の子どもがいないこと」など他にも要件があり、全てをクリアしていなければなりません。

5.陰茎形成術

トランス男性のなかには、子どもの頃「大きくなったらペニスが生えてくると思っていた」と語る人もいます。陰茎形成術そのものは、戸籍を「男」に変更するために必須ではありませんし、手術するうえでリスクも大きいですが、それでもペニスが必要だと考えるトランス男性は少なからずいます。

ペニスを形成するには、大きく分けて2パターンの手術があります。
1つ目は男性ホルモン投与をして大きくなったクリトリスを活用して、ペニスのようにする方法(陰核陰茎形成術、ミニペニス形成)であり、2つ目は腕や太ももからペニス上の筒をつくって、股間にくっつける方法(陰茎形成術)です。

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治療を受けられる病院

治療をするには、個別に病院にあたってみることもできますが、GID(性同一性障害)認定医のいる病院を探すのが早いです。

【GID学会認定医一覧】http://www.okayama-u.ac.jp/user/jsgid/ninteiiitiran.html

ちなみにトランスジェンダーの口コミでは、

などの名前を聞くことが多い印象です。

「性同一性障害/性別違和/性別不合」といった医学的な診断を得るには、診断できる精神科やジェンダークリニックを頼る必要があります。診断書は、改名や戸籍上の性別変更を申し出るときに必要です。

なおホルモン治療を希望する場合、一般の婦人科や泌尿器科で受けられる場合もあります。ホルモン治療はトランスジェンダーではない人々(シスジェンダー)に対しても、更年期障害を改善するために使われることがあるので、相談すれば取り扱ってくれるかもしれません。とくに地方では、トランスジェンダーに特化した病院がほとんどないので、身近な婦人科や泌尿器科にかけ合って、ホルモンを投与できると助かるわけです。ただし、あくまでもホルモン投与ができるだけなので、トランスジェンダー特有の相談や手術に関してはやはりトランスジェンダー医療を行っている病院に相談した方が良いでしょう。

参考 → FTMのためのホルモン注射の打てるクリニック情報(くうたの男人生日記)

女性から男性に変わると、どんな社会的変化がある?

女性として生かされていた状況から、男性になるとどんな変化があるのでしょうか。すぐ実感しやすい変化としては、女性と親しくコミュニケーションする機会が減り、男性同士の馴れ合いに溶け込むようになる、ということが挙げられます。

トランス男性に対して、「女性差別を受けなくて済む分、生きやすくなるのでは?」という声が聞かれることがありますが、単純にそう言えるわけではないかもしれません。結局のところ、社会がシスジェンダー中心にできているので、トランスジェンダー特有の困難は被るからです。「男性」になったからといって、急に身体が大きくなるわけでも、給料が上がるわけでもありません。

トランス男性は、男性としては精子(生殖能力)を持たず、戸籍を変更していなければ「女性」のままなので、家族形成が妨げられることもあります。身体的な性別違和が解消されたとしても、今度は社会的な抑圧や制度の不具合に直面することがあるのです。

しかし、筆者の個人的な実感としては、「男として生きられるようになって楽になったな」と感じる機会が多いです。

トランスジェンダー男性(FtM)の有名人やYoutuber

トランスジェンダー男性(FtM)の有名人や活動家、Youtuberを紹介していきます。

虎井まさ衛(とらいまさえ)さん

虎井さんはアメリカで陰茎形成術まで終えた後、1990年代半ばから『FTM日本』というミニコミ誌を作成していました。それは日本各地のトランス男性が情報を手に入れるきっかけとなりました。

2001年から2002年にかけて放映された『3年B組金八先生』では、上戸彩さんがトランス男性役を演じ、「性同一性障害」が日本で知られることとなりました。その際に虎井さんの本も参考にされたようです。

虎井さんは戸籍上の性別を変更できるように、必死に働きかけたうちの1人です。

著書  → 『女から男になったワタシ』(青弓社) / 『ある性転換者の記録』(青弓社) /  『男の戸籍をください』(毎日新聞社)  / 『性同一性障害って何?』(緑風出版)など

杉山文野(すぎやまふみの)さん

フェンシング元日本代表で、現在は東京レインボープライド共同代表理事を務めています。大学卒業後にバックパッカー生活を送ったり、外食産業で働いたりした後、LGBT(性的マイノリティ)のために活動する機会が増えました。

プライベートでは、女性パートナーと、ゲイの友人と共に、子育てをしています。

著書 → 『ダブルハッピネス』(講談社) / 『元女子高生、パパになる』(文藝春秋)など

藥師実芳(やくしみか)さん

藥師さんはLGBTに関する研修や、LGBT就労支援をしています。大学在学中に作った団体を元に、NPO・特定非営利活動方人事ReBit(リビット)を設営しました。

ReBitはLGBTの調査を行い、LGBTの直面する問題を明らかにしています。例えば2022年に公開された調査では「10代LGBTQの48%が自殺念慮、14%が自殺未遂を過去1年で経験」といった実態が報告されています。

公的機関によるLGBTの実態調査は未だ乏しいため、とても参考になります。

遠藤まめたさん

10代後半より LGBTの子ども・若者支援に取り組んでいます。一般社団法人にじーずの代表です。

著書 → 『オレは絶対にワタシじゃない 』(はるか書房) / 『教師だから知っておきたいLGBT入門』(ほんの森出版)

モリタジュンタロウさん

YouTubeを長くやっており、トランス男性のリアルを発信しています。性別移行前にアップしていた動画も、消去されていない限り見ることができます。

チャンネル → https://youtube.com/@MoritaJuntarou

トランス男性とシス女性や、シス女性のレズビアン同士でも使える、挿入しないセックストイnopoleの開発・販売も手がけています。

木本奏太(きもとかなた)さん

「かなたいむ。」というYouTubeチャンネルをやっています。トランスジェンダーであることだけでなく、日常生活や、コーダ(親は耳が聞こえないが、木本さん自身は聴者)の話もしています。

著書 → 『元女子、現男子。 』(KADOKAWA)

ミュータントウェーブ

日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ)の元選手であるトランス男性3人組、おーちゃん、あさひ、まさでYouTube配信をしています。

トランスジェンダーの男性というと、「男らしくしたいの?」あるいは「元女子だから、女らしいの?」と一括りにされてしまうことがあります。そんななか、ミュータントウェーブは個々の経験も大事にして発信していきたいと考えているようです。

チャンネル → https://youtube.com/@mutantwave3

ルー・サリヴァン(Lou Sullivan)さん

続いて、日本以外で活躍しているトランス男性を紹介します。

ルー・サリヴァンさんはアメリカの作家であり、活動家です。ゲイでもあり、「トランスジェンダーであることと、性的指向は別」ということが広く知られるようになったキッカケの人物です。

トランス男性にとって最初の組織ともいわれる「FTMインターナショナル」を設立して活動し、トランス男性の仲間からの評価も高いです。性器の手術を受けた際にHIV陽性だと判明し、1991年に亡くなりました。

ジェイク・ザイラス(Jake Zyrus)さん

フィリピンの歌手です。家計を助けるため歌のアマチュアコンテストに出場していたそうですが、やがて世界中でその歌声が注目されるようになりました。

男性ホルモン投与を経て、現在はより深く低い声で歌っています。

著書 → 『歌姫(シャリース)の仮面を脱いだ僕(ジェイク)』(柘植書房新社)

エリオット・ペイジ(Elliot Page)さん

カナダの俳優で、1997年より活動しています。レズビアンとしてカミングアウトした後、2020年にトランスジェンダーの男性として再びカミングアウトしました。

映画 JUNO / ジュノ
インセプション
X-MEN:ファイナルエディション
著書 Pageboy

【まとめ】女性から男性(FtM)へ!トランスジェンダー男性とは?

トランスジェンダーの男性は、出生時に女性とされたけれど、自身を男性として認識している人のことです。

身体的な治療をしているか、社会的にどうみなされているか、は一律ではありません。シスジェンダー男性のようにすっかり男性として生活しているトランス男性もいれば、シスジェンダー女性のように扱われつづけているトランス男性もいます。

性別移行をするには、たくさんの時間とお金がかかります。「自分は女ではなく、男だ」と自覚できたからといって、すぐに生活全般が男性として望ましい状態になれるわけではなく、少しずつ「男性」として存在できる場所を増やしていく必要があります。

例えば、ぱっと見で男性としてパスできれば、メンズ服売り場に馴染みやすいですし、公共の男性用トイレを利用しやすくなります。しかし外見が変わっても、カミングアウトしていない家族の前では、以前のまま女性として扱われつづけることもあります。個々の場面での葛藤を経ながら、トランス男性は男性としての自己を確立していくのです。

トランスジェンダーの男性は、シスジェンダーの男性とは異なる成長過程をもった男性である、といえます。

おすすめの本 トランス男性による トランスジェンダー男性学(周司あきら)
おすすめの映画 マティアス(Clara Stern 監督)
フタリノセカイ(飯塚花笑 監督)

お読みいただき、ありがとうございました。