こんにちは!2000年生まれのアライ、inoです!

今回は、性別を「男性」か「女性」のどちらかに分類するという社会規範の1つ、性別二元論(性別二元制、ジェンダー・バイナリ)について詳しく、そして分かりやすく解説していきます。性別二元論(性別二元制)について詳しく知りたい方、お役立てください。

LGBTお部屋探し

性別二元論(性別二元制)とは性別を男か女のどちらかに分類するという社会規範

性別二元論(性別二元制・ジェンダー・バイナリ)とは、「男」と「女」のいずれかのジェンダーに人類が属しているという社会規範のことです。性別二元論(性別二元制)上では「男」と「女」以外の性別は存在していません。

しかし、実際にはインターセックスなど男性と女性の身体的な特徴を持って生まれてきた方や、精神的な面で男性でも女性でも無いという方が存在します。にも関わらず、社会生活では男か女のどちらか一方に分類されてしまいます。これが性別二元論(性別二元制)です。

性別二元論(性別二元制)の歴史

性別二元論(性別二元制)に関する歴史を紹介します。内容は、海外サイトLinked inのA brief history of the gender binaryを翻訳、参考にしています。

古代ギリシャ時代

性別二元論(性別二元制)の最古の例の1つは古代ギリシャに見られます。古代ギリシャでは男性性が価値を持ち、女性性はしばしば軽視されました。女性は感情的で従順、弱いと見なされ、男性は論理的で活動的、強力とされました。

ルネサンス時代に女性性が芸術や文学で称賛された例外を除き、この性別観は西洋史の大部分にわたって続きました。

非二元的な性別の歴史

メソポタミアの古代文書には、男性でも女性でもない人々の存在が記されています。これには、宦官、子供を持てないまたは持つことを許されない女性、女性として生活する男性、両性具有者、同性愛者などが含まれます。

世界中のあらゆる文化で、2つ以上の性別を持つ歴史を見つけることができます。

植民地時代

カトリック教会は、特に植民地時代に性別二元論(性別二元制)の確立に大きな役割を果たしました。中世において、教会は男性と女性が社会において別々で明確な役割を持つという厳格な二元的な性別観を推進しました。

啓蒙時代

啓蒙時代には、性別二元論(性別二元制)がさらに定着しました。この時代、性別は生物学的性別によって決定される固定不変の特性と見なされました。

19世紀には、「性愛」という新しい概念が登場し、個人の性的欲望や行動に基づいて分類され、性別と性的指向に基づく厳格な規範と期待が生まれました。

20世紀

20世紀には、フェミニズムやクィア運動の台頭により、性別二元論(性別二元制)に対するいくつかの挑戦がありました。これらの運動は、長い間社会を支配してきた父権的な権力構造や、性別と性的指向が固定不変であるという考えに挑戦しました。

現代

今日、性別二元論(性別二元制)は多くの社会に深く根付いているにもかかわらず、性の多様性に対する認識と受容が高まっています。

トランスジェンダーやノンバイナリーの個人は依然として差別と疎外に直面しており、伝統的な性別の役割と期待はメディア、教育、社会規範を通じて強化され続けています。

関連記事:

LGBTお部屋探し

性別二元論(性別二元制)は異性愛を中心としておりセクシュアルマイノリティへの差別に繋がる

インターセックス当事者の橋本秀雄さんは以下のように性を10個の項目に分けて説明しています。

  1. 性染色体の構成と性の遺伝情報(X染色体とY染色体の組み合わせ)
  2. 性腺の発生(卵巣、精巣、卵精巣、線状性腺に分化しているかどうか)
  3. 内性器の発生(子宮に分化しているか? 前立腺に分化しているか?)
  4. 外性器の発生(陰唇やクリトリスに分化しているか? 陰嚢やペニスに分化しているか?)
  5. 尿道口の発生
  6. 医師が判定する性(女性か、インターセックスか、男性か)
  7. 戸籍の性別
  8. 二次性徴(月経が発現するか? 勃起して射精するか? どちらもないか?)
  9. 社会規範としてのアイデンティティ(性自認、社会的地位、男らしさ/女らしさなど)
  10. 性的指向

実際にはこれら10個の項目が一致しない場合もありますが、性別二元論(性別二元制)の中ではこの10個の項目が全て一致していることが当然視されています。

例えば男性であれば染色体の構成がXY、明確に男性的な身体的特徴を持っており男性としての生殖機能を持っている、戸籍が男性で、性自認も男性、そして男性らしさを持って社会生活を営んでいることが当然なのです。そして性別二元論(性別二元制)のもとでは、これらの項目が一致しない場合には社会的に排除されたり、不可視化されてしまうことがあります。

セクシュアルマイノリティの場合は、これらの項目が全て一致することありません。その為、性別二元論(性別二元制)は異性愛中心主義が要請するものであって、セクシュアルマイノリティへの差別に結びついていると言われています。(参考:Wikipedia性別二元制

性別二元論(性別二元制)が適用されている場所や実際のケース

続いて、性別二元論(性別二元制)が適用されている場所についてお伝えしていきます。

トイレ

多目的トイレやジェンダーレスなトイレが最近は少しずつ登場していますが、まだまだ一般のトイレは「男」「女」の2つで分けられているところが多いです。

明確に区切りがあるためどちらかに行かなければなりませんが、どちらに行ったらいいのか分からず困ってしまう方も存在しています。

自分の性自認は女性だけど生まれたときの性別は男性だった場合、男性用のトイレに入らなければいけないのでしょうか。しかし、その場合は自分の女性という心を無視していることになり、トイレを利用する際にその人がストレスを抱えてしまいます。

また、Xジェンダーと言って自分が男性でも女性でもない性自認を持っている方もいます。

その方からしたら、男性・女性のどちらかに自分をカテゴライズしなければいけないことは、強い精神的苦痛を抱えることになるでしょう。

そんな方のためにも、ジェンダーに関わらず入ることができるトイレを増やしていくべきですが、まだまだ道のりは長いのが現状です。

一方で、LGBTsフレンドリーな企業や団体のトイレはジェンダーフリーな場合もあります。どのトイレも個室にすること、生理用ナプキンはどのトイレにも常備しておくなど様々な配慮が見られています。

スポーツ

オリンピックが主ですが、スポーツをする際も性別二元論(性別二元制)が適用されています。男子サッカーや女子サッカーなど、スポーツの名前の頭に「男子」「女子」とつくものがほとんどです。

性別の区別なくスポーツができる環境はまだまだ整っておらず、男性でも女性でもない性自認の方が参加しづらい環境になってしまっています。

ちなみに2021年開催の東京オリンピックでは、初めてトランスジェンダーを公表している選手が大会に出場しました。ウエイトリフティング女子87キロ超級に出場しましたが、残念ながら結果を残すことはできませんでした。

しかし、生まれたときと違う性別でもオリンピックに出場できるという事実は、トランスジェンダーの方にとってはかなり大きな希望になったのではないでしょうか。

これからのオリンピックでトランスジェンダーの方がより活躍できることを祈るとともに、男性でも女性でもない性自認の方のオリンピック参加も可能になるよう課題を解消していく必要があるのではないかと思います。

学校

すべての学校ではないですが、日本には「男子校」「女子校」が存在しています。その名の通り「男子」「女子」のみが入学を許されている学校ですが、ここにも性別二元論(性別二元制)が適用されています。

行きたい学校があるのに性別を理由に入れない…性自認と身体的性別が異なるがために入学を拒否されてしまう…など、性別二元論(性別二元制)が適用されていることで不自由を抱えている学生も間違いなく存在しています。

また学校のカリキュラムによっては男子と女子で授業の内容が違う場合もあるようです。ある共学高校に通っていた知人の話では、男子は柔道か剣道のどちらかを選択して、夏場は絶対にプールの授業があり、女子はダンスをしなければいけないという決まりがあったそうです。

Xジェンダーから見た性別二元論(性別二元制)

当社IRISにはセクシュアルマイノリティの方が多く働いており、Xジェンダーの視点から見た性別二元論(性別二元制)を教えていただきました。Xジェンダーというのは心の性別が中性だったり、無性だったり、入れ替わったりするセクシュアリティのことです。

「Xジェンダー的には無理矢理、男性を強要されてるようで生きづらかった」

IRISメンバーであるXジェンダーのしょうへいさんは、幼い頃から自分自身が男性であるという認識が無かったそうで、そのような状態の中「男の子なんだから泣かない」「男の子なんだから強くなりなさい」と言われることにとても違和感を感じたそうです。自分自身は男と感じてないのに、男であるように強要されている感じだったそうです。

学生になると男女で水着の形が違ったり、男子は力仕事を頼まれるようになったりしてより明確に男女で役割が異なってきて、この世界には男か女の2択しかなくて、そのどっちにもなりきれない自分には居場所がないと言っていました。だから、男子とか女子にとらわれずにもう少し自由に生きられたら良いのになと思っているそうです。

関連記事:

まとめ:性別二元論(性別二元制)は課題がたくさんある

性別二元論(性別二元制)は、批判や課題が多くある考え方です。性別自体にはっきりとした境目が存在しているわけではありません。

グラデーションのように様々な性別が存在しているという事実が広まり、性別二元論(性別二元制)の考え方が適用されている環境が変わるといいですね。