ミスジェンダリングという言葉をご存じでしょうか。ミスジェンダリングというのは、本人が自認する性とは異なる接し方をしてしまうことを言います。

本記事ではミスジェンダリングについて詳しく解説していきます。ミスジェンダリングを知りたい方、参考にご覧ください。

ミスジェンダリングとは?

ミスジェンダリングとは

ミスジェンダリングとは、本人が自認する性とは異なる接し方をすることを言います。

たとえば、相手の方が「自分は男性」だと自認している人に対して、他人が女性として接するのは、本人のジェンダーアイデンティティを否定していることに繋がります。これが、ミスジェンダリングです。

”ミス”はミステイク(mistake)の意味を持ちます。本人の性の自認と違う扱いを、他人が勝手な判断でしてはいけないということです。不当な扱いをすることは、その人が持つ意思や人格を否定することにもつながります。

性自認について知っておきたい

ミスジェンダリングを知るうえで重要になるのは、自認する性という言葉の意味です。性自認ということが多く、セクシュアリティを知る上で重要な考え方です。

他にも、身体的な特徴から客観的に判断できる身体的性。どんな人を好きになるか、性愛の対象を表す性的指向。自分自身がどのような性を表現したいのかを示す、性表現(表現したい性)なども、一人ひとりが持つセクシュアリティを知る上では欠かせない考え方です。

ミスジェンダリングにおいては、とくに性自認について理解を深める必要があります。人によっては、身体的性と性自認が一致しない場合(トランスジェンダーなど)もあり、そうしたときにミスジェンダリングが起こりやすいと考えられます。

無意識にした判断が差別を生む

ミスジェンダリングについて理解したところで、「自分は相手が持つ性のことを否定したりしていない。」と思った人もいるかもしれません。

もちろん、意図的に差別につながるようなミスジェンダリングをしないというのは重要なことです。しかし、なかには無意識のうちに相手の性を判断してしまい、ミスジェンダリングにつながっているということもあるのです。

日本においては、「くん」や「ちゃん」など性別で分けて使うような呼び方があります。勿論、呼ばれた本人が不快な思いをすることがなければ良いのですが、これもミスジェンダリングにつながりかねないものです。

見た目や身長、服装、声のトーンなどで無意識に性別を判断し「〇〇ちゃん」「〇〇くん」と呼んでいることはないでしょうか。呼ばれた本人の性自認が異なっていれば、無意識であっても、ミスジェンダリングにつながることを知っておくことが大切です。

書類や戸籍上の性別は、本人の認識と違う場合も

本人が認識している性や、表現している性が、戸籍の性別と異なっていることがあることも知っておく必要があります。きっとこの記事を読んでくださっている人の多くは、そのことを理解していると思うのですが、ミスジェンダリングを起こさないためにも重要なポイントです。

日本においては、戸籍上の性別を変えるにはさまざまな手続きや条件があります。わかりやすい基準として成人(20歳以上)している必要があります。

他にも、身体的性と性自認が異なるトランスジェンダーのなかにも、性別適合手術を望んでいなかったり、戸籍上の性別を変えること自体を重要視していない人もいます。

性のあり方は人それぞれで、必ずしも戸籍上で示される性別と、本人の性自認が一致しているとは限らないことを改めて理解しておきましょう。

ミスジェンダリングしないための配慮とは

ミスジェンダリングしないための配慮とは

では、自分がミスジェンダリングをして、相手を傷つけないためにはどのような配慮が必要なのでしょうか。

本人が話したがらないプライベートな内容は聞かない

普段生活しているなかで、自身のことを話したがらないために、相手のことをよく知らずに接したり、話をしたり、仕事をしたりしなくてはいけない機会があると思います。

そうした状況のなかで、「相手のことを知らないのに、ミスジェンダリングの対策なんてできるはずがない。」と思うのではなく、「本人が話したがらない内容は深く聞かずに接する。」というのも一つの方法です。

関係が深くなって、新しく知ることも増えるかもしれませんが、その時の状況に合わせて、接することが大切です。

相手がどのように接してほしいかを話してくれたときには、それに対応すれば良いのです。

また、もし相手に不快な思いを与えてしまうようなミスジェンダリングが起きた場合には、素直に謝ることも大切です。お互いのコミュニケーションのなかでよい接し方を探れると良いですね。

勝手な思い込みをしないために、まず聞く

先ほどと真逆のことを言ってしまうのですが、わからない場合にははっきりと聞いてみるというのも一つの方法です。

どんな名前で読んでほしいのか、どんなふうに接してほしいと考えているかなど、聞いてみないとわからないこともたくさんあります。

相手との関係性のなかで、深く聞かないのも一つですが、気になること、相手についてわからないことを聞くことも大切です。

さらに、わからないときには性別を固定するような言葉を使うのではなく、中性的な言い回しを使うことも大切です。たとえば「ちゃん」「くん」ではなく、性別に限らず使える「さん」にするなどです。

ミスジェンダリングの実例

ミスジェンダリングの実例

TwitterやYoutubeなどで検索をかけるとミスジェンダリングの実例を見つけることができますので一部紹介させていただきます。

  • トランス女性は女性ではない(Twitter)
  • いい加減目を覚ませ男で生まれりゃ男なんだよ(Twitter)
  • トランス女性のYoutuberのコメントに「女性にしか見えない」「女の私よりも可愛い」

Twitterに関しては「トランスジェンダー女性は女性ではない」といった投稿がちらほらとありました。Youtubeでは無意識なミスジェンダリングが起きていることが度々ありました。

【まとめ】ミスジェンダリングとは?

【まとめ】ミスジェンダリングとは?

 

今回は、ミスジェンダリングについてお伝えしてきました。ミスジェンダリングの意味やその内容について、また相手と接する際にはどのようなことに配慮すれば良いかについて少しでもご理解いただけたでしょうか。

言葉のチョイスを変えてみるなど、今日からでも少しずつ意識して、変えられることもあります。ぜひ実践してみてください。

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