世界中を探しても、知らない人はほとんどいないのではないか、と思えるほど絶大的に人気で知名度の高い「ディズニー」。日本に住んでいる人であれば、ディズニーランドなどに行ったことがある人も多いでしょうし、人生のなかで、必ず何か作品は触れてきたのではないでしょうか。

近年では、その「ディズニー」が制作する作品のなかにも、多様性が見られるようになってきました。LGBTsだと思われるキャラクターが登場したり、そうした設定をもとにストーリーが作られるようになったりしているのです。

今回は、ディズニーが制作する作品に登場するキャラクターや、ディズニーランドでの園内放送の変化について調べてみました。

短編アニメ『Out』(アウト)では同性愛者を主人公に

昨年、ディズニーが配信したアニメーション『Out』(邦題は『殻を破る』)は、ディズニー史上初めて同性愛者が主人公の作品です。この作品は約10分程度の短編アニメーション作品ですが、ディズニーがLGBTsのキャラクターを主人公に据えるのは初めてのことで、話題となりました。

本作は、監督、脚本を務めたスティーブン・クレイ・ハンターさんの経験や、考え方が反映された作品となっており、本作のはじめに「BASED ON A TRUE STORY」(実話に基づく物語)といった文言も登場しています。

物語の内容も簡単に紹介しておきます。主人公のグレッグには同性のパートナーがいますが、両親にパートナーの存在を明かすことができずにいました。自身がゲイであることを明かせずにいたようです。

しかしあることをきっかけに、グレッグの両親がパートナーと一緒にいる部屋に訪れることになります。はっきりと告白できずにいたのですが、そこである不思議な力が働いて、グレッグを後押しすることになります。

LGBTs当事者が、多様性を訴えるような作品をつくったことが、ディズニーの数ある作品の歴史のなかで、とても重要な位置づけであると考えられています。この作品は、ディズニーが展開する動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」で視聴可能です。

他の作品のLGBTsに関する描写は

この『Out』以外の作品でも、主人公ではないものの、LGBTsと思われるキャラクターが登場する作品があったりと、少しずつディズニーの作品のなかでも多様性が生まれつつあると考えられています。

たとえば、2019年に公開された『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』では、シリーズ初の同性同士のキスシーンが登場しました。注目していなければ見逃してしまうような場面でしたが、みんなが歓喜につつまれるなか、同性のカップルがキスしている場面があります。

そもそも2019年に完結したスターウォーズのエピソード9を含むエピソード7〜9の3部作では、主要キャストに黒人俳優を起用したり、アジア系俳優を登場させたりと、LGBTs以外の観点でも多様性を重視した作りになっていました。

超大作といえるシリーズの、しかも最終章と位置づけされた作品でこうした描写を含んだのは、時代の変化を汲み取った結果とも言えそうですが、ディズニー作品の大きな変化をもたらすきっかけになったのではないでしょうか。

他にも、アニメーション作品『2分の1の魔法』(2020年公開)でもレズビアンの警察官のキャラクター、スペクターが登場します。さらには、パートナーの連れ子の娘とはうまく人間関係を築けていないなどリアルな一面も描かれています。

ディズニーの園内放送にも変化が?

ディズニーの園内放送にも変化が?

ディズニーが贈る数々の作品のなかでもLGBTsに関する描写が増えていたり、多様性を重視した物語、キャラクター構成になっていることはわかっていただけたかと思います。

ディズニーは作品だけでなくディズニーランドの園内放送にも変化があるといいます。

ディズニーの園内アナウンスといえば、「Ladies and Gentleman, Boys and Girls」が耳慣れた文言ですよね。このワードを真似するタレントもいるほど、みんなが聞いて理解できるディズニーの園内放送です。

しかし、昨今の状況を鑑みて「Hello, Everyone」に変更すると発表しました。この呼びかけは、今年の3月下旬から順次パーク内で使用されているようです。変更した理由については「すべてのゲストのみなさまに気持ちよく過ごしてもらうため」とのことで、時代の変化を踏まえて先の文言を廃止しています。

これまでの文言で慣れ親しんできた人もいるかもしれませんが、よりナチュラルな文言に変更になったということで、これもディズニーの変化といえそうです。

ディズニーの前衛的な変化の一方で

ディズニーの前衛的な変化の一方で

ここまで紹介したように、ディズニーが数多くの変化を受け入れ実行し、世界に発信している一方で、LGBTsに関する描写などが、一部同性愛を禁止している国で割愛されてりまうといった出来事もあります。

世界の国々を見渡すと、同性愛を認めていないどころか、法律上違法だとしている国も現在少なからず存在します。その一例としてシンガポールを始めとしたアジアの一部の国や、アラブ首長国連邦などの中東の一部の国などです。

こうした国では、ディズニーが作品のなかで時代に合わせた変化を見せようとも、同性愛などを違法としている国の中で作品が上映、配信される際には該当のシーンは削除されてしまうことも少なくありません。法律上違法でなくても、作品で描かれる描写を厳しく検閲している国があるのもまた現状です。

かといって、ディズニーがこうした歩みを止めることは考えにくいでしょう。世界が誇るテーマパークを持ち、子どもから大人まで年齢や時代に関係なく、多くの人に影響を与えた作品を数多く輩出したディズニーは、これからも世界や時代の変化に合った内容で、作品を届けてくれるのではないでしょうか。

LGBTsのキャラクターや、そうした描写はまだまだ一部に過ぎません。ディズニーとしても新たな取り組みを始めたばかりなのかもしれません。今後も新作やディズニーの動向が見逃せませんね。

チェック → LGBTとは簡単にいってなに?日本のLGBT事情が分かる記事のまとめ

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◎この記事を書いた人・・・藤枝あおい
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