「ノンバイナリー」というセクシュアリティについてご存知でしょうか。身体的性に限らず、自身の性自認や表現したい性を「男性」、「女性」とした枠組みで捉えることのないセクシュアリティのことです。

6月下旬、歌手の宇多田ヒカルさんが自身のインスタグラムで「ノンバイナリー」であることを公表したこともあり、最近初めて耳にしたという方もいらっしゃるかもしません。

今回は、「ノンバイナリー」というセクシュアリティについてお伝えするとともに、他の似たセクシュアリティとの違いも学んでみたいと思います。

ノンバイナリーとは?

まずは、ノンバイナリーというセクシュアリティについて学んでみたいと思います。その前に、セクシュアリティを構成する大きな4つの分類についてお話し、そのうえでノンバイナリーというセクシュアリティについて詳しく考えてみたいと思います。

はじめに知っておきたいセクシュアリティについて

セクシュアリティには、大きく分けて4つの要素があります。

その人自身のからだの性を表す「身体的性」、自分自身がどのように自分の性を認識しているかを表す「性自認」、恋愛や性愛の対象となる性を表す「性的指向」、さらに身体的性や性自認に限らず、自分がどのような性を表現したいかを表す「性表現(表現したい性)」の4つです。

今では、数多くのセクシュアリティが知られています。たとえばゲイやレズビアン、バイセクシュアルは「性的指向」について表したセクシュアリティで、トランスジェンダーは「身体的性」と「性自認」についてのセクシュアリティです。

このように、1つひとつのセクシュアリティが、4つのどの要素に関わっているかは、それぞれのセクシュアリティによって異なります。これを踏まえて、「ノンバイナリー」というセクシュアリティについて紐解いていきましょう。

「ノンバイナリー」とは

「ノンバイナリー」とは、「身体的性」に限らず、自身を「男性」や「女性」といった枠組みに当てはめようとしない、または当てはめることができないと感じている人についてのセクシュアリティです。

バイナリー(binary)とは、「「男性」と「女性」の二択で生物的性を分類しようとする」見解のことを言うジェンダーバイナリーから来ており、この男女二元論にとらわれない考え方が「ノンバイナリー(non-binary)」なのです。

さらに、この「ノンバイナリー」は、上記で紹介した4つの要素のなかで「性自認」と「性表現」についてのセクシュアリティです。

一例ですが「「身体的性」は「女性」であり、「性自認」や表現したい性が「女性」のときもあれば、「男性」のときもあると感じる」人などがいます。「男性」「女性」といった2つの性の枠組みに当てはめることなく、性別を固定しない立場の人たちを表しているセクシュアリティということです。

「ノンバイナリー」を公表している有名人

日本や世界で、「ノンバイナリー」を公表している有名人もいます。

宇多田ヒカルさん

歌手の宇多田ヒカルさんは、LGBTs関連のイベントが多数開催される「プライド月間」である今年の6月に自身のインスタグラムで「わたしは「ノンバイナリー」。だからハッピープライド・マンス」と明かしました。

宇多田さんは「ノンバイナリー」という言葉をこの数年で知り、自身が当てはまると感じたのは最近のことだといいます。

サム・スミスさん

歌手で、世界中で活躍しているサム・スミスさんは、2019年に自身が「ノンバイナリー」であると話しました。自分を示す代名詞は、「He’(彼)」や「She(彼女)」ではなく「They」という三人称であると明かしています。

宇多田さんを含め、世界的歌手ふたりのカミングアウトが、「ノンバイナリー」という言葉やその意味を広めることに大きな影響を与えたことは間違いないでしょう。

「ノンバイナリー」に似たセクシュアリティは他にもある

ノンバイナリーに似たセクシュアリティ

「ノンバイナリー」は、性自認や性表現において、男性女性の枠組みに当てはめないセクシュアリティのことだとお伝えしましたが、「ノンバイナリー」に似たセクシュアリティもいくつかあります。

「ノンバイナリー」との違いも含めて、まとめてここで学んでみましょう。

Xジェンダー

Xジェンダーとは、身体的性に関係することなく、「男性」にも「女性」にも当てはまらないセクシュアリティのことです。

「ノンバイナリー」との大きな違いは、Xジェンダーは「性自認」について表すセクシュアリティであるということです。先程もお伝えしたように、「ノンバイナリー」は「性自認」だけでなく、「性表現」についても「男性」、「女性」といった枠に当てはめないセクシュアリティです。

Xジェンダーのなかには、「性自認」が流動的であったり、男性でも女性でもあると感じていたり、あるいはどちらでもないと感じていたり、「男性」、「女性」の中間であると感じている人もいて、ひとことでXジェンダーといっても、感じ方はさまざまです。

クエスチョニング

クエスチョニングとは、「性自認」と「性的指向」について示したセクシュアリティで、これらが定まっていない人や、意図的に定めていない人のことを表します。

決まっていない、決められないという人や、変化の途中にいる人、ひとつに決められないという人などがいます。自分自身を「男性」、「女性」とも決定していないという点では、「ノンバイナリー」と似ています。

【枠に当てはめない】ことも1つのセクシュアリティであると知って

ノンバイナリー

「ノンバイナリー」というセクシュアリティについて、少しでも知っていただけたでしょうか。「男性」、「女性」といった2つの性にとらわれず、流動的であったり、その両方を感じている人についてのセクシュアリティです。

もちろん、自身を「男性」である、「女性」であると明確に認識している人もいるでしょうし、その認識が曖昧であったり、日や時間、場所によって変わるという人もいるでしょう。認識は人それぞれ、さまざまだということです。

それぞれの「性自認」や「性表現」について、曖昧で流動的であることを悩んでいたり、疑問に思っていたりするのなら、枠に当てはめないノンバイナリーというセクシュアリティもあるということをぜひ知ってみてください。

チェック → Xジェンダー当事者によるXジェンダーがもっと分かる記事のまとめ

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◎この記事を書いた人・・・藤枝あおい
ほそぼそとライターとして活動中です。休日は1日中家で寝ていたい派。引っ越しの予定はないものの、ぐっすり眠れそうな物件情報と間取りは頻繁にチェックしています!

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