LGBTs

空衣

FtMの本音。トランスジェンダーで辛かったことをお話しします

どうも、空衣です。FtM(トランス男性)でパンセクシュアルです。
今回は、私がトランスジェンダーで辛かったことを思い出してみました。

トランスジェンダーは「LGBTs」の「T」に該当します。ただし「LGBTs」と総括したなかでもその苦悩はさまざまですし、もちろん個人差もあります。
現状がどうなっているのか、1エピソードとして共有していきます。

自分もトランスジェンダーかも?という方は、「あるある」と共感していただいて、少しだけスッキリしていただけたら幸いです。辛いときは辛いと自覚することも大切だと思うからです。

トランスジェンダーだと気づくまで時間がかかった

まず何が辛いかというと、自分が何者かわからないことでした。周囲の友人たちとどうにかやっていけているけれど、ふとしたときに話が噛み合わなかったり、喜怒哀楽がズレていたりしました。

こうしたすれ違いも今だからこそ気づけたことで、当時は違和感があったとしても「まあこんなものだろうか…」と感情をうやむやにしていました。私は周囲とのズレに蓋をするタイプだったので、自分自身がトランスジェンダーだと気づくのが遅かったのかもしれません。

トランスジェンダーという概念を知らない

トランスジェンダーだと認識するのに、『金八先生』の性同一性障害エピソード(上戸彩さんがFtMの中学生を演じました)で自分もそうだと気づいたとか、はるな愛さんのテレビ登場で自覚したという人もいます。しかし私にとっては、あくまでテレビはテレビの話で、現実にあり得る話としてトランスジェンダーを捉えていませんでした。

またFtMの場合は、メディアに登場するトランスジェンダーといえばMtFの方が多く感じ、「男性から女性に変われる」と思えても、その逆で「女性から男性に変われる」とは想定外だったというパターンもあります。

まさか「身体と性自認で性別がちがう」という状況があると思っていませんでした。しかも、自分がその少数派に該当すると知るのは奇妙な感覚でした。

同性愛者かも?と思う

トランスジェンダーの中でも異性愛者の方が多いです。しかし性別の認識が生誕時のままだと、MtFの場合は「男性の身体で男性が好きだからゲイかも?」、FtMの場合は「女性の身体で女性が好きだからレズビアンかも?」と同性愛者と混合することがあります

そのため、トランスジェンダーだと知るより先に同性愛者の存在を知ると、同性愛者かと間違うこともあるのです。もちろん初めから性的指向ではなく、自分自身の性別がおかしいと気づけていたら話は早いのですが、まず「性別がちがう」という発想に辿り着かない人もいます。

私の場合は両性愛者(バイセクシュアル)としてひとまず落ち着いて、トランスジェンダーだと受け入れるのはさらに先のことでした。

トランスジェンダーはお金がかかって辛い

環境を自身の性別に合わせ直すのはやはり大変です。

情報や衣服のためにお金をかける

本やネット記事などの情報収集のためにお金を払ったり、当事者コミュニティに出向くので、交通費がかかったりしました。東京在住だった頃は、新宿2丁目にも通っていました。

自分の望む性別で生きようとすれば、それまでの衣服を一新する必要もあります。FtMの場合はまず趣味というよりも、男性らしく見せるために筋トレをする人も多いです。

一生ホルモン注射をし続けるつもり

身体治療を開始したら、少なくとも私は死ぬまで継続するつもりでした。その分継続的にお金がかかります。現在はホルモン注射代で、ひと月2000円弱かかっています。

性同一性障害の診断書を入手するにもお金がかかりました。診断書がなくてもホルモン注射を打てる場合はありますが、診断書があった方がどこかに引っ越すことになっても、融通が効きやすいというメリットがあります。

手術費を貯めなければならない

手術を希望する場合は、とにかくお金を貯めなければ話が始まりません。
私は胸オペをする際、交通費や宿泊代など含めて80万円相当かかりました。SRS(性別適合手術)は未定ですが、いざする気になったときのために貯めておこうと考えています。

関連記事コロナ禍の今、タイに行けないFtMの国内治療費はいくらかかる?

手術希望のトランスジェンダーの場合は、貯金をがんばっているわけですが、かといって何のために貯金をしているのかは他の人に話しづらいです。
私も、ただただ他の人が自由に出費しているのを、指をくわえて見ているだけという時期がありました。だから人付き合いにイライラしてしまうことも充分あり得ます。

トランスジェンダーだと人間関係につまずくことも

生まれてきたときから引き受けてきた性別を変えるとなると、周囲の人々にも影響が及びます。
逆に現在望みの性別で生活できていたとしても、「過去はそうではなかった」と知られることで都合が悪くなることもあります。
性別というものは外部に晒されるものなので(第一印象で「あの人は男?女?」と区別する文化が当たり前にあるのではないでしょうか)、自分ひとりの意思では解決できないのが辛いところです。

仲の良かった人と別れるハメになった

私のことを女性として認識して仲良くしていた人とは、男性化していく過程で別れました。今は後悔はありません。しかしもしトランスジェンダーでなければ、失っていなかった関係性だったことでしょう。「キモチ悪い」と言われたこともあります。

私としては変わったつもりがなくても、相手からしたら「裏切られていた」というような感覚を抱くこともあります。それでも自分の人生を生きていくためには仕方がないことです。

親と話したくなかった

親からは「女の子らしくしなさい」「なんで妹みたいにちゃんと女の子らしくできないの」といった言葉を言われ続け育ってきました。もちろん不快でした。それゆえあまり親と深い話をする機会がないまま、実家を出て一人暮らしをして、勝手に改名をしました。

トランスジェンダーの人でも家庭環境が良好で、改名時の名前をもう一度親につけてもらったという人もいます。私からすればすごいことだなと思います。あまり親と会話した記憶がないので、もはや他人事で、羨ましいと感じることが素直に思えないくらいです。

トランスジェンダーで不便なこと

改名以前の資格やキャリアが消えてしまう

私の場合は男性らしい名前へ改名しました。それ以前は別の名前でした。
なので、資格の証明や実績を求められたとしても、提出できる資料がありません。

幸い、最終学歴にあたる大学は改名後の名前と同じ「通称名」で卒業証書をもらっていたので、それは本当に良かったと思います。裁判所へ提出する改名のための資料として、卒業証書はとても有効だったようです。

関連記事【実体験】トランスジェンダーの私が改名手続きをした体験

男女どちらの関わり方も学ぶ

これは慣れだと思いますが、女性だけの空間と男性だけの空間にいるときでは、なんとなくコミュニケーションに差を感じます。どちらにも適合しようと努力する必要がありました。

以上、FtMの私がトランスジェンダーで辛かったことでした。
今のところは、過去形で語れるくらいに幸せになれたかなと思います。

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◎この記事を書いた人・・・空衣
1996年、神奈川県生まれ。居住地にこだわりがなく女子寮にいたこともありますが、現在は男性の境遇で生活しています。カレー好きで、世界一辛いカレーを完食したことも。

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