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空衣

トランスジェンダーの人が改名するには

トランスジェンダーの人が改名するには
どうも、空衣です。FtMパンセクシュアルです。

今回は、日々の生活や公的手続きで大きな役割を果たす「名前」についてお話しします。名前はそれだけで性別を表現する役目を果たすことがあり、とりわけ外的環境との不一致に悩んでいる(悩んできた)トランスジェンダーの人たちの大多数がぶつかる問題といえます。

トランスジェンダーが改名する理由

不思議なことですが、名前は性別を判断する道具となっていることがあります。名前で男性か女性か判断されてしまったり、どちらともいえない“中性名”の方だと困惑されることもあります。特にトランスジェンダーの人にとっては名前が与える影響は非常に大きいです。名前によって性別を間違われたり、外見や生活スタイルとズレを感じることが生じて、生活がままならない要因となりえます。

例えばFtM(トランスジェンダー男性)の場合、
・「女性名+ちゃん」で呼ばれることが苦痛である
・外見は男性なのに、女性名なので相手が困惑する
・公的手続きで「ご本人様ですか?」と逐一確認される

などの問題があります。

このような問題から、トランスジェンダーの人の一部は「性自認に合わせた呼称を当たり前に使う」という目的だけではなく、円滑な生活を送っていくために改名を行うわけです。中には、元から中性的な名前で、改名の必要性がないから、出生時の名前のままという人もいます。

ちなみに筆者は、「少し年上のジャニーズ」に気に入った名前の人がいて、音をそのままいただきました。漢字は名字とバランスのよいものを選んでいます。両親に決めてもらうという人もいますが、筆者は自分で決めて通称名として使い始めてから事後報告しました。

トランスジェンダーが使う通称名とは?

さて、公に改名するには2つのパターンがあります。

  • 戸籍上の名前を変えること
  • 学校や職場などで自分の呼び名を変えること

戸籍上の名前を変えるには、一定の手続きが必要となります。
7. 戸籍上の氏名や性別の変更などに関する審判 | 裁判所によると「名字(姓)」と「名前(名)」で変更に必要な要件が異なることが書かれています。
ただ、トランスジェンダーの人が改名を考えるとき、姓ではなく名を中心にとらえることが多いと思いますので、ここでは名の変更だけに言及しようと思います。

「名前(名)」を変更しようとするとき、「正当な事由」がなければ名を変更することはできません。「正当な事由」とは

「名の変更をしないとその人の社会生活において支障を来す場合をいい,単なる個人的趣味,感情,信仰上の希望等のみでは足りないとされて」
いるようです。

具体的にどのような場合をいうのかというと、

1.奇妙な名である。
2.むずかしくて正確に読まれない。
3.同姓同名者がいて不便である。
4.異性とまぎらわしい。
5.外国人とまぎらわしい。
6.神宮・僧侶となった(やめた)。
7.通称として永年使用した。
というような理由が「正当な事由」と認められるようです。
【完全版】苗字・名前の改名手続きの流れ|変更許可のポイントは?

「通称として長らく使用する」という方法は効果があり、改名予定の名前を事前に「通称名」として一定期間使ってから、戸籍上の名前(本名)の変更手続きへと至ると、スムーズに改名することができます。
戸籍上の名前を変えるには、フライングして実生活で使ってみて、こうやって名前を変えても適応していけますよ、とアピールする必要があると言い換えることもできるかもしれません。

もちろん戸籍上の改名が必ずしも必要ではなく、「学校や職場でだけ望んでいる名前で呼ばれればよい」という場合は、その現場に通称名を伝えるだけで大丈夫です。担任や社長に伝えるだけでいいのか、性同一性障害の診断書が必要なのか、全体へカミングアウトした方がいいのか、などの対応はその場所によって違うでしょう。

性同一性障害の人が改名して戸籍変更するまで

トランスジェンダーの人が戸籍上の名の変更を行う場合は、どのような手続きを踏むのか、以下にまとめていきたいと思います。
※実体験に基づいて記載してるので、必ずしもすべてのケースに当てはまるとは言い切れません。

トランスジェンダーとは出生時に割り当てられたジェンダーと実感したジェンダーが異なる人を指しますが、戸籍変更する際には医師の「性同一性障害(GID)診断書」を提出する必要があります。「自分がトランスジェンダーであるらしい」と感じるだけでなく、「性同一性障害である」という第三者(医師2名)からの診断を受けてようやく、家庭裁判所へ改名手続きができるわけです。

ちなみに現在の「性同一性障害(Gender Identity Disorder)」という呼び方は、アメリカ精神医学会における疾患概念の変更に伴い、今後医学分野を中心に「性別違和(Gender Dysphoria)」へと変わる予定です。また、WHOが性同一性障害を「精神障害」の分類から除外したことを受けて、それ以外の場では「性別不合(Gender Incongruence)」といった呼称へと置き換わっていくことが予想されます(2020年5月現在)。
出展:性別違和・性別不合へ―性同一性障害から何が変わったか | 針間 克己【著】

ただし、日本での「性同一性障害診断書」に代わる呼称がどちらになるのかは、現時点では明確な方針は示されていません。

必要な書類

  • ・申立書……家庭裁判所HPから印刷できます
  • ・申立人の戸籍謄本……発行から3ヶ月以内
  • ・収入印紙、郵便切手
  • ・性同一性障害の診断書
  • ・通称名を使用していることがわかる書類

最後の“通称名を使用していることがわかる書類”は、「日常生活でどれほど通称名を使い慣れていて、改名の必要があるか」を示す証拠となるものです。公共料金の明細、手紙、成績表、名刺、契約書、郵便物などが有効です。一年分くらいあるといいですね。
筆者の場合は、大学の卒業証書を通称名で発行しておいたのがかなり強力だったのか、最速で改名できたと思います。

どれくらいの期間がかかる?

通称名の使用実績を残すのに通常数ヶ月~一年ほどかかりますが、家庭裁判所に改名用の書類を提出したらあとは待つだけです。待つ期間は地域によってバラバラです。二週間の人もいれば、一ヶ月以上かかる人もいるようです。

改名後にするべきこと

晴れて名前が変わったという通知が届いたら、あらゆる公的書類の名前も変えましょう。

  • ・住民票の変更と取得
  • ・保険証
  • ・マイナンバーカード
  • ・免許証
  • ・パスポート
  • ・銀行
  • ・クレジットカード
  • ・生命保険や携帯会社
など

ここまば来ればいよいよ改名完了です。是非皆さんも積極的に改名してみてください!とお勧めできるほどには簡単ではなく、手続きで何箇所も回るのも大変ですよね。
そのため、改名のタイミングをSRS(性別適合手術)を終えてからにして、戸籍の性別もセットで変える人もいます。
改名だけなら治療の状況にかかわらずできるので、先に名前だけ変えてしまうか(名前は改名して男性っぽいのに、性別欄は女性のまま!という状況があり得るのです)、今後SRSの予定もあるなら性別も同時に変えるか、二通りあります。
生活しやすいよう自分にとってベストなタイミングで改名するのが良いですね。

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◎この記事を書いた人・・・空衣
1996年、神奈川県生まれ。初勤務で男性として扱われたため、大急ぎで改名をして辻褄を合わせた人。

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