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LGBTsのリアルを知る。当事者がおすすめするクィア映画7選

LGBTs

LGBTsという言葉を聞くようになったとはいえ、十分な認識が浸透しているとは言い難い。その1つの要因として、メディアの発信があげられます。動画、映画、記事、広告など、我々が日常を過ごすなかで、無意識にメディアと触れ合う機会はたくさんありますが、それらの発信する情報が適切ではないとどうなるのでしょうか。

LGBTsが語られるようになった今こそ、適切な情報が与えられるべきではないでしょうか。少しでも多くの人が“リアルな”クィアについて知ることを願って、今回は当事者である筆者が個人的におすすめするクィア映画を7つご紹介します。

クィア当事者の経験を描いた作品

ボーイズ・ドント・クライ

1993年にアメリカネブラスカ州で起きた強姦、殺害事件を基にした映画です。ブランドン・ティーナは、その事件で殺害された実在の人物です。彼は男性として生きるものの、身体的に女性であるという隠していた事実を暴かれてしまいます。昨日まで順調であるかのように思えていた、恋愛や友人関係が一転してしまうのです。目を背けなくなるようなシーンが含まれていますが、ヘイトクライムやトランスジェンダーにまつわる問題というものは今でも多く存在します。表で語られてこなかった現実を、可視化させるきっかけになる一作でしょう。

原題: Boys Don’t Cry
製作年: 1999年
製作国: アメリカ
上映時間: 119分
監督: キンバリー・ピアーズ
ジャンル: ドラマ、伝記
受賞: 第72回アカデミー賞、第57回ゴールデングローブ賞、第5回放送映画批評家協会賞

トムボーイ

新しい街に引っ越してきた10歳のロールは、自分のことをミカエルと名乗り友達と過ごします。新たに出会ったリザという少女は、ミカエルのことを少年だと思うが……。徐々にお互いの距離が縮まるごとに、新学期が近づいてきます。そして、ミカエルとして生きることを知る周りの反応にも変化が現れます。監督の意図なのか、あえてミカエルの性別を示していないことも、性別という概念に捉われた社会で重要な描写なのではないのでしょうか。

原題: TOMBOY
製作年: 2021年
製作国: フランス
上映時間: 82分
監督: セリーヌ・シアマ
ジャンル:ドラマ
受賞: ー

クィア女性二人を描いた作品

お嬢さん

舞台は1930年代、日本統治下の韓国。詐欺師の藤原伯爵は、財産目的で令嬢である秀子と結婚し精神病院に入れようという計画を立てます。スッキは計画に加担する形でメイドとして働くものの、徐々に二人の距離が縮まっていき……。さまざまなシーンで男性の支配下にいる二人の様子が描かれていますが、耐えながらも拘束から逃れるための計画を密かに練る女性同士の連帯が印象的でした。終盤は早いテンポで進んでいき、見ている側も空間の一部になるようなドキドキ感を味わえること間違いありません。

原題: 아가씨
製作年: 2016年
製作国: 韓国
上映時間: 145分
監督: パク・チャヌク
ジャンル: サスペンス、スリラー
受賞: ロサンゼルス映画批評家協会賞、オースティン映画批評家協会賞

エリサ&マルセラ

20世紀初頭、スペインで初めて同性婚を果たした女性二人の実話に基づく物語です。当時、スペインでは同性婚が認められていなかっため、登場人物のエリサとマルセラは恋に落ちつつも、二人の関係を隠しながら過ごします。ですが、ある日街の住人が二人の仲を疑い始めます。疑いをかけられながらも愛を信じ、何があっても二人で生きていくことを誓います。モノクロで表現することで、今以上に同性愛に対する偏見や差別が多い時代がよりリアルに投影されているように感じます。

原題: Elisa y Marcela
製作年: 2019年
製作国: スペイン
上映時間: 113分
監督: イザベル・コイシェ
ジャンル: 恋愛
受賞: ー

クィア×社会を描いた作品

マーシャ・P・ジョンソンの生と死

歴史に名を残す伝説のトランスジェンダー、マーシャ・P・ジョンソンの人生を追った映画です。彼女はLGBTs当事者が非難されていた1960年代に当事者のために活動し続けた人物であり、人々に優しさを与える存在でもありました。ですが、ある日突然姿を消します。残されたのは川で死んだとの情報のみ。死の真相を解明すべく、活動家ビクトリア・クルスが立ち上がります。

原題: The Death and Life of Marsha P. Johnson
製作年: 2017年
製作国: アメリカ
上映時間: 105分
監督: デイヴィッド・フランス
ジャンル: ドキュメンタリー
受賞: ー

トランスジェンダーとハリウッド: 過去、現在、そして

メディアにおけるトランスジェンダーの描かれ方についての作品です。実際の映画シーンを交えつつ、ハリウッドで活躍していた当事者俳優が経験した苦難や差別、映画関係者の声をピックアップしています。今でも存在するような当事者を笑いのネタにするような扱われ方や偏見、考えられないような差別まで、さまざまな現実が淡々と描写されています。これらの問題を今一度立ち止まって考えさせられる映画です。

原題: Disclosure: Trans Lives on Screen
製作年: 2020年
製作国: アメリカ
上映時間: 107分
監督: サム・フェダー
ジャンル: ドキュメンタリー
受賞: ー

チェチェンへようこそーゲイの粛清ー

『マーシャ・P・ジョンソンの生と死』の監督による映画です。舞台はロシアの支配下に置かれたチェチェン共和国。そこで行われているゲイ狩りの一部を映し出した作品です。多くの同性愛者が拷問され、最悪の場合死に至ることも。そんな残酷な現実から逃れるため、家族や仕事を手放し国を出る人もいるのです。被害者の身元特定を不可能とするため、フェイスダブル技術を使ったドキュメンタリー映画です。LGBTQに関する問題と向き合うべきなのは、当事者だけなのか。より多くの人にこの問題を目で見てほしいです。

原題: Welcome to Chechnya: The Gay Purge
製作年: 2020年
製作国: アメリカ
上映時間: 107分
監督: デヴィッド・フランス
ジャンル: ドキュメンタリー
受賞: ー

【まとめ】LGBTsのリアルを知る。当事者がおすすめするクィア映画7選

映画業界では、LGBTsコミュニティについて描いた作品が数多く世に出ていますが、依然としてステレオタイプや差別に加担し得る表現は残っています。長年、ほとんどの映画は異性愛者向けのストーリーが中心となってつくられてきました。そして映画製作に関わる人の多くが、シスジェンダー(出生時に割り当てられた性別と性自認が同じ人)の男性であり異性愛者でした。つまり、LGBTs含むセクシュアルマイノリティを総じていう「クィア」当事者の意見は反映されなかったのです。さらにいうとLGBTsがテーマとなる作品のなかでも、当事者の目に触れられないまま製作が進んでしまうという事実があります。結果、リアルなクィアの存在は世の中に浸透せず、マジョリティがイメージするクィアの像のみが作品として世に放たれ、拡大されていくのです。

過去の過ちを消すことはできませんが、これからどのように行動していくかが鍵となっていくことでしょう。現代を生きる私たちにとって、メディアは大きな存在です。膨大な情報の中から、適切な情報を取捨選択する能力が重要となります。大多数の意見が「正」として認識されがちですが、本当にそうでしょうか。今日まで同性婚が法制化されないこと、LGBTsにまつわる多くの偏見。それも大多数が思っていることだからとかたづけることはできません。何が本当の情報であるかを確かめるためには、例えば映画でいうと、当事者の目で確認された作品かどうか、当事者によるクチコミはどうかなど、自分で確認することが大事になってくるかもしれません。

この記事を書いたのは

Honoka Yamasaki

ライター、ダンサー、purple millennium運営。 Instagram:@honoka_yamasaki

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