どうも、空衣です。トランスジェンダー男性(FtM)で、パンセクシュアルです。
今やSNSは暮らしと深く結びついています。その中でもトランスジェンダー当事者がTwitterを使うときのメリットとデメリットについてお話しします。
トランスジェンダーがTwitterを使うメリット
Twitterはトランスジェンダーにとって貴重な情報交換の場!
トランスジェンダーの人は、人口の0.5〜0.7%と言われます。性別違和のないシスジェンダーの人が大多数とされ、トランスジェンダーの人は数が少ないです。
参考: 『はじめてのトランスジェンダー』より「Q3 トランスジェンダーはどれくらいの割合で存在しますか」
そのため情報を知りたいと思っても、普段他のトランスジェンダー当事者がどう過ごしているのか知るのは、難しいかと思います。そんなときTwitterが非常に役立ちます。
しかもTwitterの良いところは、リアルタイムで情報交換できるところです。たとえば、以下のような疑問を投げかけて他の当事者からの意見を聞くことができます。
- 家族にどうカミングアウトすればいいのか
- 改名するための手順は?
- 手術はどの病院でするか、術式はどうするか
- 術後どれくらい休みをとるべきか
- コロナ禍でタイへの渡航状況はどうか
- 手術後の確定申告のやり方は?
- ホルモンバランスの乱れによるトラブル
- トランスジェンダーならではの恋人との悩み
- 精子提供による子育ての仕方
私がTwitterを始めたきっかけも、男性ホルモン投与を始めて不安が募っていた頃でした。周囲にカミングアウトしているわけでもなく、誰とも変化を比べられない状況で、自分の身に起こるホルモンの変化に戸惑うことが多く、ネット上で情報共有できるのはとてもありがたかったです。
トランスジェンダーの友人や恋人ができるかも
日常生活では、LGBTsの数は少なく可視化されていないため、トランスジェンダー同士であってもなかなか気づきません。Twitterではプロフィールや発言を通してすでにお互いの境遇を知った上で、トランスジェンダーの人々と知り合う機会が得られます。
リプライやDMで話が進んでから会う約束ができるので、実際に会ってみると初対面でも初対面ではないような親近感があって、なおかつトランスジェンダーであることを相手に隠す必要もなく快適です。
トランス男性(FtM)の私が、トランス女性(MtF)である彼女と付き合うきっかけになったのも、Twitterでした。
トランスジェンダーがTwitterを使うデメリット
トランスジェンダーへの差別発言がある
全然知らない人から失礼な発言を受けたり、見たくもないのに差別的な言動が目に入ってしまうこともあるかと思います。
とくに日本では2018年、お茶の水大学が日本の女子大として初めて「戸籍が男性のトランス女性であっても入学できるようする」と発表したあたりから、無理解な人々がトランスジェンダーに対して差別的な内容を呟く機会が増えました。実際のところ、戸籍を女性に変更済のトランス女性であればすでに女子大に入学資格はあったわけですし、男性として生活を歩み出す前のトランス男性が女子大に通っているケースもあります。「性の多様性」はすでに女子大のなかにもあったわけです。それなのに、トランスジェンダー(とくにトランス女性)が他の女性の安全を脅かすかのようなデマが溢れ、見るに堪えない状況になりました。
もしTwitter上でそうしたトランスヘイトを見かけたら、自衛のためにブロック機能を使って相手のTweetを見ないようにしたり、「Tweetを報告する」機能を使ってヘイトスピーチを違反として報告することもできます。自分の安全を守ってTwitterを活用したいところです。
また当事者のなかにも、同族嫌悪や、仲間うちで比較するような文化が見えることがあります。“当事者”だからといって、全員と分かり合えるわけがないのは当たり前の話です。自分を見失わないようにしましょう。
アウティングや身バレのリスクがある
Twitterを使うなかで怖いのは、インターネットで一旦全世界に公開されたものが完全には消せずにデジタルタトゥーとして残るリスクがあることや、知られたくない相手にまで身バレしてしまうことです。
とくにトランスジェンダーである場合、Twitterで写真や実名を公開すると、埋没して(トランスジェンダーだと知られずに)生きていくことが困難になります。自らカミングアウトしたわけでもないのに、「Twitterで見たけど、実はトランスジェンダーなの?」と勝手に探られたくはありません。もし今後ずっとトランスジェンダーだとオープンにして生きていくと決めているのでもない限り、個人情報を公開する範囲はよく考えたほうがよいかもしれません。
【まとめ】トランスジェンダーがTwitterを使うメリットとデメリット
トランスジェンダーの人々が仲間を見つけるには、Twitterが非常に役立ちます。もし20年ほど前に同じ境遇の人に会おうとしたら、ごく限られたコミュニティを探し当てる必要がありましたが、今は違います。家族や友人など身近な人に理解してもらえない場合でも、Twitterで出会ったトランスジェンダーの人々が居場所になってくれることがあります。とくに「今まさに悩んでいること」「今喜びを共有したいこと」へのリアクションがすぐ来る可能性があるのは嬉しいものです。
一方で、人に流されないよう注意する必要もあります。トランスジェンダーの人々の救いとなる情報が手に入りやすくなりましたが、理解のない発言が目に入る機会も増えてしまいました。トランスジェンダーの人へのミスジェンダリング(意図的に性別を間違って取り扱うこと)や、トランスジェンダーを犯罪者のように見なす差別があったり、個人を攻撃するような許されない差別に対しては、身を守ることを考えましょう。
Twitterを活用して、生活が少し豊かになるような使い方をできると良いと思います!