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日本におけるLGBTsの人権問題と課題

LGBTs

本来、すべての人が性別、国籍、人種など関係なく守られるべき人権。法律によって守られることで、個人に保障されるさまざまな権利があるのですが、この権利を認められないないことで、声をあげることさえも叶わないということがあります。今では当たり前に18歳以上の男女に平等に選挙権が与えられますが、1945年以前は女性に選挙権はありませんでした。このように、性別による社会的障壁はかつての日本にもありました。今では考えられないことだと思う人もいるかもしれません。

しかし、今でも属性により個人の権利が認められないことは珍しくありません。特に、日本におけるLGBTsに関する取り組みは遅く、当事者の人権が十分に確保されていない現状にあります。そこで、詳しくLGBTsの人権問題と今後の課題をみていきましょう。

LGBTsの人権問題に関する日本の現状

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーを含むLGBTsは、社会では「セクシュアルマイノリティ」と位置付けられています。マイノリティとは、少数派を表すほかに、社会的弱者という意味も含まれています。マイノリティという言葉が、弱者ではなく少数派に、もしくは少数派という概念すらもなくなる時代はくるのでしょうか。日本の現状をみていきましょう。

法律

日本で同性婚が認められていないことは、しばしば問題視されています。そして、G7のうち唯一同性婚が認められていない国としても取り上げられています。同性パートナーシップ制度が全国の自治体で導入されてきたり、つい最近では、東京都の小池百合子知事が、今年中に東京都に制度を導入する意向を示したりなど、先にすすみつつあります。しかし、すべての面で婚姻と同等の扱いではない点では、まだまだ不十分であると実感させられます。また、議員の「LGBTsは生産性がない」といった問題発言が浮き彫りになるなど、国の法律を変える重要な役割を担う人たちでさえも、正しい認識をもっていないことも明らかになりました。このことから、根本的な部分から意識を変えていく必要があるのだと感じます。

学校、子ども、教育

筆者も学生時代に、中性的な男性を「オカマ」と揶揄したり、レズビアンカップルを見て嘲笑ったりするシーンを見たことがあります。これは、多くの人が出会ったことのあるシーンかもしれません。思考力や判断力の備わらない子どもでも、「男のくせに」のような言葉を使うことは、環境や社会が性別によって、あるべき姿を分けているからであると思います。たとえば、幼少期から女の子はピンク、男の子はブルーと決められていたり、遊び方も性別によって分けられていたりしたように感じます。男の子が女の子に混ざって、ままごとで遊んでいるだけで、親にやめさせられたという話も聞いたことがあります。

このように、大人が理解を示さないことで子どもの考え方にも影響を及ぼします。差別的な発言や偏見を受けることは、子どもでも違和感を抱きます。これにより自尊心を傷つけられるだけでなく、自分自身の存在を否定してしまう人や、最悪の場合は自死に至ることもあるのです。そうならないためにも、まずは「自分の子どもや大切な人が当事者だったら」と自分ごととして考えることが求められます。

仕事

就職活動や職場でも、LGBTsであることで嫌な経験をした当事者がいます。筆者の個人的な話になりますが、過去の就活で同性愛者であることを告白したことで、個人的な恋愛について根掘り葉掘り質問された経験があります。その結果、会社については何も知ることができなかったという経験があります。また、面接官からは「LGBTsの人と知り合ってみたかったんだよね」と興味の対象として見られました。個人的には、LGBTsに関して知りたいと思ってくれるのは、その人に「知るきっかけができた」と考えると嬉しいことですが、「珍しい生き物」として見られることはあまり心地良いことではありませんでした。

また、コロナによりリモートワークが主流となった職場で、カミングアウトしていない当事者が懸念している問題もあります。同性と同棲している当事者が、ビデオミーティングなどでお互いの存在を隠さなければならないことや、アウティングの危険性も考えられます。リモートワークに限らず、職場ではトランスジェンダーに配慮したトイレや、服装の規定など、さまざまな点で課題が残ります。

家族や友達

LGBTs当事者のなかには、家族や友達にカミングアウトしたくてもできない人が多くいます。特に、マイノリティに対する考え方にギャップがある両親には、理解してくれないと諦めてしまったり、カミングアウトできたとしても縁を切られてしまうかもしれないという恐れを抱いたりすることもあります。これは、友人や職場の人に対してでもいえることで、カミングアウトしたいという意向を叶えられたとしても、ハッピーエンドに終わるとはいえないのです。

研究によると、アメリカのLGBTsは異性愛者よりもホームレスになる可能性が120%高いとの報告がされました。日本でも、LGBTsの生活困窮について取り上げられることは少ないものの、住まいを失い、ホームレス状態となる人の相談は少なくないのです。LGBTsへの正しい認識が広がることも必要ですが、同時に当事者への支援も増えていくことが求められるでしょう。

LGBTsに関する課題

これまでに述べてきただけでも、さまざまな面でLGBTsに関する問題が生じていることがわかります。それぞれの問題を減らしていくには、課題を一緒に考えていく必要があります。

教育のアプローチ方法

今では「インクルーシブ教育」という言葉があるなど、多様性を尊重する教育も浸透してきました。障害の有無、肌の色の違い、個々の認識するセクシュアリティやジェンダーなど、一人ひとりが違うことを受け入れる教育が必要です。最近になってやっと、ノンバイナリーやXジェンダーなどの言葉が広まり、男女の枠だけではくさまざまな性があることを知った人もいるでしょう。このように、現代になって浸透してきた概念を、積極的に学校という場で話す機会が増えることを望んでいます。今やネットが普及し、簡単に情報を獲得できる時代となりました。デジタルに強い子供にだからこそ、性教育について発信しているYouTubeの動画や、LGBTsについて描かれた映画作品を勧めてみるなど、子どもが興味を示しやすい方法でアプローチをしてみるのも一つの手段かもしれません。

法律の改正

LGBTsに関する、最低限の法律はあるべきだと思います。法律がないということは、もし差別や偏見があったとしても、それが「してはいけないことである」と言い切れない場面もでてきてしまいます。それは、LGBTs当事者に人権がないこと言うのと同義であると考えます。また、当事者にとって声を上げづらいといった状況が生まれてしまいます。同性婚が法制化されないことは、子どもへの相続や親権の問題にもつながります。

「伝統的な家族のあり方を存続させる」という意見も聞きます。しかし、今までがそうだったからと、法律の改正を避けているという側面はないでしょうか。諸外国では時代に合わせて、法律や個人の認識がアップデートされています。多様性という言葉を政治の場で使う場面は増えましたが、それならば、さらに法整備について議論されるべきだと思います。

LGBTsはマイノリティと呼ばれ少数派として認識されていますが、日本におけるLGBTs当事者の数は左利きの人の数に匹敵するともいわれています。左利きの人に対して、対応が変わったり偏見をもたないのと同じように、LGBTsも特別なことはないのです。さまざまな違いが尊重される未来にするためにも、個人として、今からできることを実践していきましょう。

この記事を書いたのは

Honoka Yamasaki

ライター、ダンサー、purple millennium運営。 Instagram:@honoka_yamasaki

IRIS(アイリス)は主にレズビアンやゲイ、トランスジェンダー、バイなどLGBTs(LGBT)当事者を対象として、お部屋探し、物件購入などの不動産仲介を行うLGBTs(LGBT)フレンドリーな不動産会社です。
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