「彼女がほしいけどつくり方がわからない」
「レズビアンにとって出会いの場がない」

筆者の周りにいるレズビアンの知人から、このような悩みを多く聞きます。日本では“少数派”とされるLGBTsですが、11人に1人と意外と少なくない『統計』も結果として出ています。

しかし、マイノリティへの十分な理解が得られなかったり、偏見が存在するなかで、自分がLGBTs当事者であることを人に伝えられない人も多くいます。“あえて”カミングアウトしなければならない環境で、当事者であることをいわなければ、異性愛者とみなされてしまう。そんな社会で、多くの当事者が「出会いにくい」と口を揃えていいます。

しかし、筆者個人の経験からもいえることは、「まったく出会えないわけではない」ということです。私の場合、過去の恋人とは思いもよらぬ場所で出会い、付き合うこととなりました。

普段過ごしていくなかで、身の回りや近い存在の人がレズビアンだったなんて話しもよく聞きます。今回は、まだまだLGBTsが浸透しない社会で、「レズビアンの出会いの場はどこにあるのか」というお話しをします。

レズビアンに自然な出会いはあるのか

女性同士の恋愛が題材の、『アデル、ブルーは熱い色』では、主人公のアデルが街でたまたますれ違ったエマという女性に一目惚れするところから出会いが始まり、『アンダー・ハー・マウス』では、クラブで目が合った瞬間から始まる2人の禁断の恋について描かれ、リアルでこんな偶然な出会いがあるのだろうか…と疑問に思うことも不思議ではありません。

筆者のお気に入りの作品『お嬢さん』では、貴族と令嬢の間で徐々に育まれる愛が堪能的に描かれ、そもそもそんなシチュエーションが現代では稀ですし、雇う側と雇われ側という関係性からも、このような恋愛が実現するとは正直なところ到底思えません。

映画の世界のような恋愛が起こることは少ないとしても、筆者個人の経験と、さまざまなレズビアン当事者の出会いを聞いていくなかで、レズビアンの出会いは人それぞれであることが確信できました。私自身、過去にお付き合いをした人たちはすべて違った出会いをしていて、みなさんがイメージするレズビアンの出会い方とは少し異なるかもしれません。

レズビアンに限らず、ゲイ、バイセクシュアルなどの性的マイノリティの出会いというものは、映画のようなフィクション的なシチュエーションより、より現実的で確実なLGBTs専用の出会い系アプリなどを想像する人が多いでしょう。ですが、恋愛はしたいけど、出会いの場に足を運ぶのは億劫だったり、オンラインでの恋人探しをすることに不安を感じるという意見は多く聞きます。

彼女との意外な出会い

私自身、付き合っていた彼女とアプリがきっかけで知り合ったという点は共通しているのですが、レズビアン向けアプリでもなく、出会い目的のものでもありませんでした。

学生時代、英語の勉強に励んでいた私は、言語交換アプリでさまざまな英語ネイティブの人たちとテキストや電話機能を使って会話していました。そこで出会った一人の女性が、初めて付き合う同性の恋人となったのです。最初は言語交換目的で会話をしていくうちに、徐々に仲良くなり、実際に会うようになりました。そこで、初めて相手がレズビアンであることを知り、交際がスタートしました。

稀なパターンではあるかもしれませんが、たとえ出会い目的の場でなくても、意外とレズビアン当事者は身近に存在していることも考えられるのです。

当事者から聞いたレズビアンの出会い方

筆者個人の出会いの経験は、あまり参考にはならないかもしれません…。ですが、現代では人それぞれの違った出会い方があり、予期せぬ場面できっかけが生まれる可能性もあるのです。ここでは、筆者のレズビアン知人から聞いた、レズビアンの出会いをご紹介します。

界隈つながり

レズビアンだけでなく、ゲイやバイセクシュアルなど、同性の恋人をもつ人のなかで圧倒的に多いのが、同じ界隈(かいわい)からの出会いです。

特にレズビアンのコミュニティは、長い歴史のあるゲイコミュニティと比べると狭いもので、何度か二丁目に足を運ぶと顔馴染みのある人も増えてきます。このように、一人レズビアンの友達ができることで、そこから徐々にレズビアンの友達が増えていくことも一つの傾向としてあげられます。

また、友達がいなくても二丁目やイベントに行ってみることで、そこから知り合いの幅がぐんっと広がります。筆者の知人にも、別の場所で知り合ったレズビアンの友達とつながっていたり、SNS上で共通の友達がいたりと、予期せぬところで関わりがあることは、珍しくありません。

また、共通の友達同士が付き合ったり、紹介でデートにいくことなどもあり、世間でいう「友達の紹介」に当てはまるような出会い方もあるのです。

二丁目に行く

先ほど出てきた話しに「二丁目」があげられましたが、新宿に位置する二丁目は、多くのLGBTs当事者が集う場所として有名です。二丁目は、普段出会うレズビアン当事者の数よりも格段と多く、「同じ境遇の人と出会いたい」「レズビアンの友達がほしい」「彼女がほしい」など、さまざまな目的で訪れる人がいます。

『過去の記事』で紹介したとおり、カラオケをしながらワイワイ楽しめるGOLD FINGERや、隠れ家風のおむすびBAR 八 『はち』、踊れて飲める艶桜など、女性向けバーが多数展開されています。

ほかにも、レズビアンだけでなく男性やノンケ(異性愛者)のいるミックスバーやクラブも盛り上がっていて楽しいです。ドラァグクイーンショーやDJイベントを多数開催しているKing Tokyo、とにかく踊りたい人向けのArty Fartyなど。彼女がほしいという人でも、まずは自分らしくいられるような、自分に合った雰囲気やスタイルのお店を見つけることをおすすめします!

アプリで出会う

昔はレズビアン向けのオンラインの場が掲示板など、閉鎖的な空間しかありませんでしたが、今ではたくさんのレズビアン向けアプリが登場しています。

また、アプリ上では相手が何を探しているかが明確にされていることもあり、共通の目的の人と出会う確率が一段とUPします。オンライン上での出会いに抵抗を感じる人も多いですが、最近ではセクシュアリティにかかわらず、アプリがきっかけで交際をスタートする人も増加傾向としてありますし、コロナ禍で外に出歩きたくない人のためにも需要が高まってきています。

また、セキュリティ面では個人情報の提出義務や、通報機能など、なるべくユーザーが安心して使えるような工夫がなされています。最近日本に上陸した女性セクマイ向けアプリHERでは、カジュアルな関係、友達、恋人探し、まだ定まっていないなど、アプリ使用における目的が選択できたり、自分のセクシュアリティ、ジェンダーなども幅広く設定できます。

オンライン上での出会いのよさは、リアルに会う前に相手のことを知れたり、実際に会うかどうかを決められたりするので、よりフォーカスした出会いが期待できます。

【まとめ】彼女をつくりたいのに出会いがない…当事者が語る!レズビアンの恋愛事情について

最近では、オフラインだけでなく、アプリやSNSなどのオンライン上での出会いが主流となりつつあります。日本では、まだまだLGBTsが十分に浸透していない現状ですが、徐々にマイノリティに向けたサービスが増えてきて、それと同時に認知の幅も広がってきているように感じます。

レズビアンであることをクローゼットにする(隠す)のも、オープンにするのも個人の自由。クローゼットにしている人でも恋愛する選択が与えられるべきです。出会いの場や機会など、マイノリティにとって選択肢が増える社会が近づくといいですね。