IOC(国際オリンピック委員会)は16日に、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの選手などについて、国際競技団体が大会への参加資格を作る上で参考となる、新たな指針を発表しました。

IOCでは、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの選手や、男性ホルモンであるテストステロンの値か高い女子選手の国際大会への参加資格について、およそ2年かけて250人を超えるアスリートや人権問題の専門家などと議論を重ねてきました。

IOCの新たな指標

新たな指標では『差別が無いこと』『公平であること』『証拠に基づいたアプローチであること』など10の項目について考え方がまとめられており、『参加資格は選手の性のアイデンティティーや物理的な性の多様性にとって、構造的に大会から排除されることがないように、公平性を持って作らなければならない』としています。

最近のオリンピック・パラリンピックでの動向

2021年に行われたオリンピック東京大会では、ニュージーランドのローレル・ハッバード選手が性別適当手術を受けたトランスジェンダー選手として出場しました。トランスジェンダーの選手がオリンピックに出場したのは初めてのことになります。

一方、ロンドン大会とリオデジャネイロ大会の女子陸上800m金メダリストのキャスター・セメンヤ選手は、テストステロンの値が先天的に高く、薬の服用などで一定の値まで下げなければ、400mから1マイルの種目で国際大会に出場できない世界陸連の規定により、東京大会に出場することはできませんでした。

参考記事:

IOC トランスジェンダーなど 国際大会への参加資格の新指針(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211117/k10013350941000.html