初めまして、HIVポジティブのタッシーです。

皆さんはHIVとAIDSの違いをどのくらい知ってますか?AIDSと聞いてどのようなイメージをお持ちですか?
「自分は大丈夫」とか「自分は関係ない」と思っている方も多いかと思います。現に私自身もHIV+になるまで、自分は平気だと思い込んでいました。
そして、HIVとAIDSの関係性も理解していませんでした。

医療的な知識は有りませんが、そんな私がこの1年に体験して感じた事などを綴っていきたいと思います。

HIVが発覚したきっかけは精密検査

まず簡単にHIV(Human Immunodeficiency Virus)とは日本語で「ヒト免疫不全ウイルス」と表記されます。そしてAIDS(Acquired Immunodeficiency Syndrome)は日本語では「後天性免疫不全症候群」と表記します、このHIVとAIDSの関係性はHIVウイルスが体内に入ることによってヒトの免疫を不全にしていきます。
免疫が不全になることで、様々な病気が発症しその状態をAIDSといいます。

HIVである事がわかったのは、他の病気の治療をする為に精密検査を受けたことがきっかけでした。
その検査を受けた数日後に病院から連絡があり、診察予定日より前に「来院してほしい」と告げられます。その時は「癌や何か大きな病気なのかもしれない」と頭をよぎり、不安になりました。

告知を受けてHIVとAIDSの違いを理解した

翌日に病院に行くと、「HIVの疑いがある」と告知されました。
そして本検査を受ける為に感染症科を受診するように促され、それを聞いた私は「AIDSになってしまったんだ……あぁ〜」と憂鬱な気持ちになっていました。

そのときの私は『HIV=AIDS』と思っていたのです。自分はゲイであり、HIVやAIDSに関しても多少は知っていたのですが、正確な知識は持っていませんでした。

そのまま院内の感染症科に向かいました。当然ですが、その時は茫然自失としていて何も考えることができませんでした。
感染症科を受診し、先生からHIVに関して詳しく説明され、初めて『HIV=AIDS』ではないと認識しました。

HIV感染発覚から身体障がい者手帳の認定を受けるまで

後日、感染症科の先生から、前回の検査はHIVに関しては予備検査であると説明をされ、今度はHIVの本検査を実施すると言われ説明を受けました。
結果が出るまでに1週間ほどかかるので、検査が終わったら今日はそのまま帰っていいと告げられます。そして次の予約をして病院を後にしました。

HIVの検査には予備検査(スクリーニング検査)と本検査(確認検査)があります。予備検査は本当は陰性なのに陽性と判断される『擬陽性』が低い確率で起こります。
保健所などで無料で行っているHIV検査はこの予備検査に当たるもので、これ一回では完全にHIV陽性とは判断されません。
そのため、先述の先生も「HIVの疑いがある」という表現をし、その後の確認検査を促された形になります。
参考:HIV抗体検査について

その帰り道、私はスマホなどでHIVについて調べ尽くしました。
絶え間ない不安に苛まれ、この事を誰に相談すればいいのか判らないまま、検査結果が分かる1週間が過ぎました。

そして本検査の結果を聞きに病院へ向かい、改めてHIV陽性であることを知らされます。そこでは『今後しなければいけない事』と『してはいけない事』などを詳しく教わりました。

HIVは国が指定する感染症で、2回の本検査を実施して2回ともHIVの陽性反応があれば身体障がい者手帳取得の手続きをして、認定を受ければ治療費の大部分は免除されるとの事でした。
認定を受ける準備をするようにと案内され、院内のソーシャルワーカーのところに向かいました。

歩きながら「いつ感染したの?誰から?」という考えが頭を巡っていました。いつ感染したかは検査では判りません。
実は少し前までは、多少の性的接触がありました。ただ自分はいわゆるアナルセックスをほとんどしたことがなく、オーラルセックスばかりだったので感染するとは考えていませんでした。
しかしそれなりに不特定多数の人との関係はありましたので、誰から感染したのかを特定することはできませんでした。

私はその後、連絡を取れる人には検査を受けるようにお願いをし、「もし、うつしていたら申し訳ない」と謝罪をしました。幸い連絡を取れた人は全員感染していませんでした。そして今後の自分の生活について考え始めました。

1ヶ月後に2回目の検査結果が出てから申請をし、身体障がい者手帳の認定を受けることができました。それは世の中がコロナという未知のウイルスで混乱が始まった時期でした。

HIV陽性をカミングアウトすること

私は周囲にゲイであることは既にカミングアウトしていましたが、また別のカミングアウトをする必要に迫られました。
HIVに感染して障がい者になった事を友達などにどう話すか?

実はあまり悩みませんでした。コロナウイルスが蔓延し、友達とも中々会えない状況だったのですが、こんな時に会う友達はそれなりに深い話ができる仲だったからです。

みんなHIVとAIDSの違いを知らない

自分自身がそうだったので、『HIV=AIDS』と認識されるかもしれないと思い、カミングアウトの始まりはいつもその違いについて説明していました。
大体の反応は「へー、そうなんだ!知らなかった!で、大丈夫なの?」というものでした。やはり自分同様、ほとんどの人はHIVとAIDSの違いを知りません。

まず「HIVはAIDSではなく、発症したらAIDSだ」と違いを説明。
次に「そうなんだ。それで、大丈夫なの?」という反応が返ってくる。

このやり取りを1年の間に何度も繰り返しました。
あまりにもみんな同じ反応なので、スマホにでも録音しておいて、まずこれ聞いてみてと言いたくなりました。

ゲイとそうではない人の理解度に違いはあるか

HIVやAIDSに関して知識がある方も多少はいて、逆に色々と教えて貰うこともありました。
HIVの治療薬や性行為に関してなど、学ぶことがたくさんあります。
いまは色んな情報が簡単に手に入る世の中ですが、興味がない事は全く知らないという事もあるんだなと実感しました。

いろんな人にカミングアウトする中で感じたのは、ゲイでもそうでない人でもHIVやAIDSに関しての理解度はあまり変わらないということです。
自分もHIVにならなければ真剣に考える事がなかったと思います。そんな私ですが、できるだけ前向きにHIVと付き合っていきたいと思っています。

また、治療に関してもシェアしたいと考えています。
余談ですが、感染症科の先生がタイプなので病院に行くことも少し楽しんでます。少しでもポジティブに。

——————-
◎この記事を書いた人・・・タッシー

首都圏のお部屋探しはIRISへ