どうも、空衣です。FtMでパンセクシュアルです。
今回は、オススメ漫画『不可解なぼくのすべてを』をご紹介します。登場人物は、Xジェンダー、MtF、ゲイ、レズビアンなど様々です。

Xジェンダーが登場!『不可解なぼくのすべてを』はどんな漫画?

『不可解なぼくのすべてを』は、COMIC MeDuにて連載されていた漫画です。2021年5月末に最終となる5巻が発売予定。作者は、粉山カタさん。
当初の構想とは大きく変更があったそうですが、多様なセクシュアリティを日常に取り込んだ漫画となり、絵柄がかわいらしくてとても読みやすいです。
不可解なぼくのすべてを|COMIC MeDu (こみっくめづ)

舞台は男の娘カフェ

物語の舞台は、Questionという男の娘カフェ。一般的に「男の娘」とは、女性にしか見えないような外見をした男の子を指します。女装した若い男性を指す場合もあります。
男の娘カフェと一口にいっても、Questionで働くメイドたちは、男性として生活しながら息抜きで女装する人から、本気で女の子でありたいと思っている人まで、それぞれ別の理由があることがわかります。

※私(FtM)の立場からすると、作中に登場する男の娘カフェのようなコミュニティの逆バージョンはほとんどないので、新鮮な気持ちで読みました。逆の状況というと、レズビアン、男装する女性、FtX、FtMが一同に集う場所ということです。

漫画『不可解なぼくのすべてを』の主人公はXジェンダー

次に『不可解なぼくのすべてを』の登場人物を紹介していきます。
以下、ネタバレも含みますのでご注意ください!

もぐも:女子制服を着て学校に通う高校生。男性でも女性でもない、Xジェンダー。1巻では「自分と同じ性別って感覚がよくわかんないの」「女の子になりたいんじゃなくて男の子から遠ざかりたい」と書かれています。クラスメートの哲に紹介されたバイト先が「男の娘カフェ」だと知ると、自分は男の子ではないから働けない、と拒否反応を示しました。

哲:姉(元は兄のつもりでしたが、トランスジェンダー女性でした)の経営する男の娘カフェに、もぐもを勧誘します。男女の付き合いにならないことに葛藤を抱いていましたが、やがてもぐもと恋人同士に。

めい:男の娘カフェで働く、トランスジェンダーの女の子(MtF)。最初は自分のことを男性として受け止めようとするあまり、「男の娘」の名称にこだわってQuestionで働いていました。メイクや女性用下着などに挑戦していきます。

鈴:かわいい服を着るのが趣味で、男の娘カフェで働いています。彼氏とラブラブですが、男同士で付き合っていると知られないよう、恋バナをできるのはカフェのメンバーだけ。

てんちゃん:コスプレが趣味で、男の娘カフェの衣装も手作りしています。普段は勤勉な男子高校生。

琴音:レズビアンの女の子。もぐもの幼馴染で、男性は苦手なようです。もぐもには女の子のようであってほしいと願っていましたが、3巻で「ぼくを女の子の代わりにするのもうやめて」と本人に告げられました。

さくら:もぐもの妹。実家は「男は男らしく、女は女らしく」という厳しい家庭であるにもかかわらず、もぐもが女の子らしい格好を好んだため、家族仲が悪くなりました。その影響で、もぐもが実家を出てからも、さくらまで髪の毛をショートにしたりサッカー部に入ったりといわゆる“男の子らしい”趣味をすることは父親に厳しく咎められていました。

Xジェンダーの不可解さとは

主人公のもぐもはXジェンダーです。けれども、Xジェンダーであることをすぐには理解してもらえないことが多いです。「身体は男性だけど、男の子でありたくない」と告げると、「では女の子になりたいの?心は女性なの?」と男女どちらかで解釈されがちだからです。

もぐもは自身のことを、女の子だと思っていませんし、女の子になりたいというわけでもありません。だからレズビアンである琴音に好意を寄せられたとしても、自分は女の子ではないから、女性が好きな琴音のそばにずっといることはできない、という結論になるのです。
哲ともぐもは互いに惹かれ合い、付き合い始めます。2人の関係性は、ゲイではないし、かといって男女のカップルでもありません。もぐもがXジェンダーゆえ、関係性を簡単に説明できるような言葉はありませんでした。

男女のどちらなのか?と突きつけられる場面が多いわけですが、物語で関わっていく人たちはもぐもがXジェンダーであると知って「性別関係なく好きになった」「もぐもはもぐも」「(カミングアウトされて)しっくりきた」「んで、そのゲーム何?」などの反応を示しています。

漫画『不可解なぼくのすべてを』がオススメの理由

まず粉山カタ先生の絵柄がかわいらしく、漫画として読みやすいのでオススメです。

物語ではどの登場人物もよく考えて、時に悩んだり苦しんだり、反省しながら進んでいきます。これだけ似て非なる立場のキャラクターがいる中で、誰も傷つけないように描いていくことは、当たり前のようでいてとても大変なことだと思います。

Xジェンダーの感覚がわからないけれど知っていきたいと思っている人にも、ぜひ読んでほしい作品です。

以上、『不可解なぼくのすべてを』をご紹介しました。最終巻も楽しみです。

◎この記事を書いた人・・・空衣
1996年、神奈川県生まれ。性別も住処も旅してきました。

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