どうも、空衣です。FtMでパンセクシュアルです。
先日、運転免許証を取得してきました。とくに運転する予定はありませんが、必要だと感じる場面があったからです。
トランスジェンダーの人々の間では運転免許証取得が一種のハードルとして設けられているように思います。その理由と、免許取得までの過程についてお話しします。

トランスジェンダーが身分証明書で困ること

トランスジェンダーの中には、身分証明書の性別記載が性自認と異なる場合や、外見とかけ離れているので本人なのに「どちら様ですか」「ご本人様を連れてきてください」と言われて証明書として役に立たない場合があります。
私の場合はFtMで、普段男性として判断されていますが、戸籍変更はしていません。そのためパスポートは「F」で、保険証の裏面には「戸籍上の性別は女」と記載されています。

※保険証は、改名したタイミングで表面の記載「女」が消えて「裏面参照」となり、裏面の備考欄に「戸籍上の性別は女」と書かれている状態になりました。どうやら自治体によってその書き方も異なるようです。はっきり「性同一性障害(がい)のため」と記される場合もあります。

身分証明書なのに身分証明ができない、という事態を回避するために、トランスジェンダーの人が性別記載のない運転免許証を取ることがあります。

トランスジェンダーだから運転免許証が必要だと実感

これは私事ですが、今まで運転免許証を持っていませんでした。なぜ免許を取得する気になったかといいますと、車を運転したかったわけではありません。先日の事ですが、しばらく気にしていなかった“問題”が浮上したからなのです。

バイトの面接時に身分証確認する際、性別欄でトランスジェンダーだとバレてしまったのです。……といっても性別で怪しまれたというわけではなく、5年間の間で5箇所も居住地が変わっていたため、現住地確認する時のついでに保険証裏面の性別の但し書きも読まれてしまったようです。
自分でも性別のことをすっかり忘れていたので、面接官に指摘されて初めて詰めの甘さを実感させられました。一度トランスジェンダーだと知られると、その後も“特別扱い”を被るリスクがあります。男女で仕事内容の異なる現場だとなおさらです。不要な場面で性別の話題が出てくるのが面倒くさいと感じ、ようやく免許を取ることにしました。
欲しいのは身分証確認に便利な「運転免許証」だけだったので、一番取得しやすい原付(原動機付自転車)の免許を取ることにしました。

トランスジェンダーが運転免許証を取得するまで

ここからは原付免許の取得についてお話していきます。

原付免許取得の手順

原付免許取得のためには、いくつかの手順があります。
運転免許センターへ必要な書類を提出し、試験と講習を受けるのです。

・受験資格は、16歳以上であること
・必要な書類を集める
・運転免許試験(筆記テスト)に合格する
・原付講習を受講する

身分証明書としての運転免許証が欲しいのに、その運転免許証を得るためには他の身分証明書の用意が必要でした……。マイナンバー記載のない住民票と、マイナンバーカード、健康保険証、パスポート等から1点求められました。
原付免許取得そのものにかかった費用は8,050円でしたが、その他に住民票の発行代と、交通費もかかりました。

試験勉強は必要

原付の場合、運転免許試験は30分程度です。「原付は1日で取得できてカンタンだ」と言われますが、勉強しないと受かるのは難しいです。自動車と並んで車道を走るのですから、交通法の知識は必要になります。カンタンと言われている割には意外にも半数近くの受験者が合格できないそうです。
私は3週間前からネット上で「ゲンチャレ!」を少しずつ解いていました。さらに動画で実際の動きを見て参考にしました。問題集は買わなかったです。
「ゲンチャレ!」

運転免許試験を受けたわずか1時間後には合否がわかり、そのまま合格者だけ原付講習に進むことができます。なので、実質筆記テストと講習と発行手続きが1日で完了する場合もあります。なお講習の申し込みが混み合っている場合は、翌日や1週間後・2週間後まで先延ばしになるかと思います。ちなみに3月頃は高校生が卒業して運転免許センターに集まってくる時期らしく、なかなかの混み具合でした。

免許証の写真撮影

筆記試験と講習の両方が終了すると、すぐさま免許証に使用する写真撮影へ進みました。なんの前振りもなかったのでびっくりしました。ここで撮られる写真はパス度が高い(=認識されたい性別に見える)ものでないと、せっかくの性別欄記載なしの身分証としての役割を果たしてくれませんから、大事な撮影です。
なので外見的にパス度に自信のない方は、最初から身なりも気をつけて行ったほうがいいです。

以上、トランスジェンダーが運転免許証取得する理由と過程についてでした。
運転に興味のない人にとっては厄介ですが、身分証として必要な場合は取っておいて損はないかと思います。

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◎この記事を書いた人・・・空衣
1996年、神奈川県生まれ。性別も住処も旅してきました。

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