【実録】外国人Aさんに起こった賃貸トラブル、その意外な理由とは?

こんにちは。不動産好き・引っ越し好き・インテリア好き、ライフスタイルアドバイザーのミカです。

今回は、日本語学校で外国人留学生や外国人労働者に日本語を教えている友人から聞いた、とある外国人Aさんが賃貸トラブルの主人公になってしまったエピソードをご紹介します。

世の中にはルールを守らない人っていますよね。お部屋の貸し借りのような場面でも様々なご迷惑さんがいるのも確かです。しかし今回のこのエピソードは、文化の違いから起きてしまった、誰も悪くない、ある悲しい出来事なのでした。

 

某アジアの国からやってきた、とってもシャイな外国人女性

Aさんは日本で働いて、そのお給料の多くを家族に送金する真面目で優しい女性。友人曰く、日本語学校の成績もトップクラスだったそうです。

一般的に外国人に限らず、賃貸トラブルは大きく次の2つに分けられますが、Aさんはそのどちらも考えにくいタイプの方です。

  • マナー問題(騒音、ゴミ捨てルールなど)
  • 契約問題(家賃滞納、住民が増えていた、勝手に又貸しや民泊を行なっていた)

私も一度Aさんに会ったことがあるのですが、とてもシャイで瞳がキラキラしていたことが印象的な方でした。

接客の仕事をする中で「お客様の方言が分からず、日本語学校卒業後も先生に相談している」、「日本語は難しいけれど仕事は楽しい」と言っていました。

若いAさんは兄弟も多く、家族の中でも優秀な彼女が家族のために一人日本で頑張っていたのです。

生活は倹約に努めていて、趣味は読書と料理。
時々ホームシックになるけれど、週末には母国の料理をたっぷり作ってリフレッシュすると話してくれました。曰く、「節約にもなるし最高の趣味」だそうです。

Aさんはとても真面目でしっかり者の若者。一般的なご迷惑さんとは縁遠い方だったのです。

 

猛暑の夏、賃貸物件で起こっていた異臭トラブル!

猛暑が続く夏のある日、Aさんが住む賃貸アパートで毎週末に発生する異臭に関する苦情が寄せられるようになりました。

共用部分に掲示があったのですが、Aさんは少し香水がキツイ人がいるけれどそこまで気になったことはなく、自身に心当たりもなかったため、特に気に留めず日常生活を送っていました。

その数ヶ月後、なんとAさんの元にニオイに関する通知が届きました。

そう、異臭トラブルの主人公は、実はこの外国人Aさんだったのです。そして私はAさんと会ったときも、まさにこの「トラブルの原因」の話題をしていました。

ここまでお読みいただいた方でお気付きの方はいらっしゃるでしょうか…?
なんとこのニオイの原因は、ホームシックを紛らわすため、そして節約のために毎週末Aさんが行う「料理」だったのです。

以前Aさんとお話ししたとき、彼女の祖国ではスパイスが効いた辛い料理が多く、そのスパイスが日本では手に入りにくいことや、Aさんにとって日本の食事は辛さが物足りないことなどを教えてくれていました。

そんな彼女が毎週末に行っていた料理のニオイ。日本で日常的に嗅いだことのない多種多様なスパイスが、近所の人にとっては異臭と感じられてしまったのでしょう。

さらにAさんの部屋のキッチンの換気口が共用通路側にあったことが、問題を大きくしてしまったようです。
結果、近所の人にとっては「馴染みのない刺激臭が毎週末、共用廊下に充満する」という状況が生まれてしまっていたのですね。

これはこの賃貸物件の構造の問題もあったとは思いますが、何よりも「嗅いだことのない、何のニオイか分からない」ことへの戸惑いは察することができます。
海外で日本人が料理をするときに、納豆や醤油に馴染みのない人にとっては「臭い」と感じられてしまう、というのもよくある話。

「食文化の違い」と言ってしまえばそれまでですが、生活する環境でお互いにストレスを生んでしまうこともあると思います。

今回の出来事を受けて、Aさんは自分が人に迷惑をかけてしまったことにショックを受けてしまいましたが、週末に大量の料理をすることをやめることで、トラブルは解決となりました。

 

真面目な外国人Aさんの賃貸トラブルから思うこと

今回の異臭トラブルは貸している側と借りている側それぞれがお互いに、ニオイの許容範囲を知っていたら防ぐことができたかもしれません。
もしくは、お互いの食文化の違いについて知る機会があったならば、そしてきちんと伝える機会があったならば、大きなトラブルになることはなかったでしょう。

国土交通省HP「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン(賃貸人、仲介業者・管理会社の方へ)」に「入居の約束チェックシート」という物があります。「ゴミ捨て」や「騒音」など11の基本的な約束事項が記載されているのですが、この中に「ニオイ」に関する項目はありません。

そして一つ気になるのは、とても抽象的な「部屋は綺麗に」という項目があることです。個人の感覚に由来する表現で、行き違いが生まれる要因になりやすいと思います。

会社員時代、私は外国にルーツを持つ人や文化の違う人と一緒に働いてきました。その中で、ちょっとやり過ぎかな?と思うくらい「要望や指示は細かく具体的に」伝えることの重要性を痛感しました。

「日本は単一民族の国」と言われることがありますが、実はそんなことはありません。
様々なルーツを持つ人が生まれ育ち、また海外から留学や仕事で移住した人が多く住む日本。当然、文化やニオイに対する意識も違ってくるでしょう。

また、同じ文化で育ったとしても、特にニオイに関しては個人個人で好みや敏感さ、苦手なものが大きく違う、ということはよくありますよね。

もしもこの記事を読んでくださっている大家さんや仲介業者さんがいらっしゃったら、今回のような悲しいトラブルを減らす第一歩として、ニオイに関する文化の違いについても知っていただけると嬉しいです。

株式会社IRIS(アイリス)では、様々なお客様の事情に寄り添ったお部屋探しのアドバイスをさせていただいております。

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◎この記事を書いた人・・・ミカ
引っ越し11回、不動産購入3回、人より少し不動産経験値高めな人生を送ってきた。
スーパーアライとしてIRISのライフスタイル記事を担当している。

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