lgbtsフレンドリーな賃貸経営で成功する方法
LGBTsフレンドリーという言葉が日本でも使われ、だいぶ聞きなじみのある言葉になってきました。
今では多くの組織や会社がLGBTsフレンドリーを掲げるようになり、研修、企業、人材、不動産、美容、ホテル、民泊など本当に様々なサービスが展開されています。

その大きな波は、賃貸やシェアハウスのオーナー様のもとにも訪れています。

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1.そもそもLGBTsフレンドリーとはなんなのか
2.賃貸経営における『LGBTsフレンドリー』とは
3.こんなLGBTsフレンドリーな賃貸物件はうまくいかない
 3-1.賃貸におけるLGBTsフレンドリーは、タダで得られる付加価値だと思っている
 3-2.そもそもLGBTsに対する理解がない
 3-3.LGBTsフレンドリーなら相場より高くて良いと思っている
4.本当に意味のあるLGBTsフレンドリーな賃貸物件づくり
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そもそもLGBTsフレンドリーとはなんなのか

LGBTsフレンドリーという言葉は、英語圏では『ゲイフレンドリー』と言った方が一般的です。
このゲイフレンドリーという言葉の辞書的な意味はどうなっているでしょうか。Wikipediaを見てみましょう。

この言葉は20世紀末の北米において、ゲイの人権向上における段階的な推進と、職場や学校におけるLGBTの人々の擁護政策の受容化における過程の副産物として生まれた。商業における明確な購買層としてゲイ・レズビアンを認知する意味にも使われる。

出典:ゲイフレンドリー – Wikipedia

つまり、「LGBTsの方々に寛容である」という社会貢献的な意味合いと、「マーケティング的に活用する」という二つの意味を持つ言葉であることが分かります。
ただし、企業が『LGBTsフレンドリー』を掲げるときは、完全にひとつの意味に偏っているというケースはまれで、どちらの意味も持っていることが一般的です。

賃貸経営における『LGBTsフレンドリー』とは

では、話を戻して賃貸経営やシェアハウスにおけるLGBTsフレンドリーとは、いったいなんなのでしょうか。

日本におけるLGBTsの方の生きにくさは、米国等と必ずしも同じ状況とは言えません。
むしろ、社会から居ないことにされ、存在を無視され、時には奇異な存在として嘲笑の対象にされてきたと言った方が的確でしょう。

そのような存在に対して、一部の人は”関わらない”という選択をします。
これが不動産業界におけるLGBTsの問題で、賃貸やシェアハウスでLGBTsということを明かさなければならない状況になったとき、しばしば入居できないことがあります。

このような問題を知ったとき、社会課題に敏感なオーナー様はこう考えます。
「じゃあ、その人達が入居できる家を提供してあげたら、うちの空室も埋まるし、みんな幸せじゃない?」
当社への最初のお問い合わせのほとんどが、この段階でのご相談です。

その心がけは大変に素晴らしいことだと思います。
しかし、LGBTsフレンドリーと言う看板を掲げれば、すぐさま空室が埋まるわけではありません。

こんなLGBTsフレンドリーな賃貸物件はうまくいかない

我々もいろいろなオーナー様からご相談をいただきます。
ほとんどの方が、LGBTsの方々が住みやすい世の中を作っていきたいという熱い気持ちでお声がけくださっています。
ただ、残念ながら一部そうでないオーナー様もいらっしゃいます。

ここでは我々の体験の中で、あまりうまくいかなかったケースをあげてみたいと思います。

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賃貸におけるLGBTsフレンドリーは、タダで得られる付加価値だと思っている

LGBTsフレンドリーと標榜するのはたしかに無料でできます。
仲介会社にお願いして、SUUMO上でチェックを一つ入れてもらえばLGBTsフレンドリー物件として登録することもできます。

しかし、どうやってLGBTsフレンドリーを実現するのか曖昧なままそれを掲げても何も効果はありません。

「審査において優遇される制度があるのか」
「住みやすさに配慮して、部屋の導線を工夫したか」
「シェアハウスならば、他の入居者に対して十分な理解が得られる環境を作れているか」
「あらゆるセクシュアリティやジェンダーの方が住みやすい環境にできたか」

LGBTsの方に対して、本当に心を砕かれているオーナー様の物件は、空室率も低く、長期間の入居となる場合が多いのです。
一方、中身のないLGBTsフレンドリーはあらぬ誤解を生み、最悪SNS等で炎上してしまうリスクもあります。

お部屋に入居するのはLGBTsという概念などではなく、血の通ったひとりの人間です。安易に考えず、きちんと向き合う必要があります。

そもそもLGBTsに対する理解がない

「おかまやレズの方であっても私は差別したりしませんよ!」
あるオーナー様が自信満々に仰られた言葉です。おもわずズッコケてしまいそうな発言ですが実話です。

当社はLGBTに限らず、全てのマイノリティに理解を求めるため、意図的にLGBTsという表現を使っています。
オーナー様に社会学者になれと言っているわけではありませんが、最低限L/G/B/Tの意味くらいは理解した上でフレンドリーを標榜して欲しいと願っています。

こういう方が実際にLGBTsの方と対峙したときどういう発言をしてしまうか、想像するだけで胃が痛くなります(笑)
当社は入居者の方やオーナー様向けに学習コンテンツを提供しています。

オーナー様のお気持ちは大変嬉しいので、どうかその志をもってアライとなっていただければ幸いです。

LGBTsフレンドリーなら相場より高くて良いと思っている

これは、ありがちですが一番良くないケースです。
賃貸物件にしろ、シェアハウスにしろ、全く債務無しに経営されているオーナー様は少数派です。
借り入れした金額によっては、ネットキャッシュを生むために、やむを得ず高めの賃料を設定しなければならない場合もあります。

しかし、LGBTsフレンドリーなら高値でも空室が埋まると考えているとしたら、残念ながら見立てが甘いと言わざるを得ません。
この行動はつまり、LGBTsの方を「マーケティング的に活用」をしようとしているのに、「よく知らないが、困っているだろうから高くても住むだろう」と思い込んでいるということです。

「マーケティング的に活用」するのは別に悪いことではありませんが、残念ながらLGBTsの方も納得感のない賃料の物件に住もうとは思いません。
物件選択の幅に制限はあったとしても、選択の余地が全くないと言うほど困っている方はそれほど多くないのです。まずそのことを理解する必要があります。

不動産経営は頭・金・労力を総動員して行う事業投資です。購入時点で既に”失敗している投資”をLGBTsフレンドリーで挽回することは、当然ながらできません。
個人的な意見ですが、この思考パターンに陥る方は、銀行融資を受けているのに自らが事業主であるという意識が希薄で、不動産そのものに対しても不勉強である場合が多いような気がします。
また、確証があって始めたコンセプトでもないので、うまくいかないとある日突然LGBTsフレンドリーであることをやめてしまいます。

非常にきつい書き方をしましたが、いい加減な『なんちゃってLGBTsフレンドリー』に振り回される入居者の方はたまったものではないので、あえて包み隠さず指摘しました。

本当に意味のあるLGBTsフレンドリーな賃貸物件づくり

時間をかけて素晴らしく快適なLGBTsフレンドリー物件を造られたオーナー様、お金はかけられないが審査上の優遇を付けて空室を埋められたオーナー様など、失敗事例と同じように、当社は多くの成功事例も持っております。

付加価値としてLGBTsフレンドリーな賃貸物件、シェアハウスを経営したいオーナー様は、是非一度弊社にお問い合わせください。
オーナー様の本気に当社も伴走いたします。

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◎この記事を書いた人・・・石野大地
IRISの創業メンバーの一人、よく「何者なの?」「生態が謎」と言われるが、本人が一番分かっていない。
実年齢よりだいぶ老けて見える。

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