突然ですが、皆さんは自分自身の感情について、「あの人が気になる」「あの人には他の人には感じない感情を感じる」、「みんな好きだけど誰かに特別な感情を抱いたことがない」などなど、自分が他人に感じる感情の種類について理解していますか?

例えば、「相手のことが好きで、一緒にいたいと思う」気持ちを恋愛感情とすると、友達に抱く好きと恋人に感じる好きはどう違うのでしょうか?

今回はそもそも恋愛感情とはなにか、と恋愛感情のいくつかの種類について解説していきます。

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恋愛感情とはどんな感情??

まず、恋愛感情とは一般的に「恋をしたときに芽生える感情」のことを言います。

一緒にいてドキドキする

気になる人と一緒にいると、心臓が速く鼓動し、彼のさりげない仕草や行動にキュンと胸が高鳴ることがあれば、おそらく恋愛感情が芽生えている可能性が高いです。

恋をすると、その人を意識し、特別な関係になりたいと思うようになります。友達や家族には感じない、特有のドキドキやときめきを感じるなら、それはおそらく相手に恋愛感情を抱いている兆候と言えるでしょう。

感情が揺さぶられる

相手から突然冷たくされると、心が傷ついたり、相手が他の人と話しているだけで嫉妬を感じることがあります。恋愛がからむと、感情がより複雑に揺れ動くことがあります。

もし、些細なことで感情が揺れる相手がいる場合、おそらくその人に恋愛感情を抱いている可能性が高いです。感情が揺れ動く中で、自分だけを大切にしてほしいとか、嫌われたくないという気持ちが表れる場合、相手に対する恋愛感情があると考えても良いでしょう。

恋愛感情の種類

アロマンティック(Aromantic)

まず、混同しない様に頭文字の「A」は後に続く単語の否定的な意味で付与されています。恋愛感情(=romantic)が無いという日本語の意味になります。

アロマンティック(エイロマンティック)とは、「他人に恋愛感情を抱かない」セクシュアリティのことです。ここまで恋愛感情の種類についてお話ししてきましたが、そもそも他人に恋愛感情を抱かないという人もいるので、大事にしたいという気持ちは同じでも、そこに恋愛的感情(ドキドキや相手に触れたい、嫉妬など)がない、もしくは少ない場合もあることを知っておくとよいでしょう。

また、アロマンティックの特徴として、恋愛指向は他人に向かないが、性的指向は他人に向く場合があるということです。恋愛指向と性的指向は別物ですので、「恋愛感情を抱かない=性的欲求もない」ということではありません。

アセクシュアル(Asexual)

アセクシュアル(エイセクシュアル・無性愛・Aセクシュアル)は、「他者に対して性的欲求を抱くことが少ない、または全く抱くことがない」セクシュアリティのことです。

これまで、恋人関係になってもその特定の誰かと性的接触をしたいと思ったことがないという場合は、これに当てはまる可能性があります。

ヘテロロマンティック(Heteroromantic)

ヘテロロマンティックは、「異性に恋愛感情は抱くが、性的感情は抱かない」セクシュアリティのことです。

混同されがちな言葉として、ヘテロセクシュアルがありますがこれは「異性に対し恋愛感情と性的な感情の両方を抱く」セクシュアリティのことで、もっともマジョリティ(「ストレート」と表現することもあります)とされるセクシュアリティです。

ただ、ここで問題なのは何を持って「異性」とするのかという部分です。例えば、身体的性が男性同士でも、片方の人の性自認が女性であり、自分とは異なる性に恋愛感情を抱いている場合などもヘテロセクシュアルと言えます。

ここでは男性だから女性に恋愛感情や性的感情を抱くという単純な見方だけでなく、個々人の認識をもう一歩深く知る必要があるかもしれません。

古代ギリシャ人が認識していた愛情の種類

古代ギリシャ人が認識していた愛情の種類
愛と聞くと、恋人同士の関係性を強くイメージしがちですが、実際のところ家族や友人、先輩後輩、同僚などでも愛は存在します。

古代ギリシャ時代から、愛には8つもの種類があるとされてきました。そして、それらは現在の私たちの愛の形にも共通する概念があるそうです。古代ギリシャの愛の概念を知ることで、恋愛感情の種類についてより深く理解するきっかけになるかもしれません。

  1. エロス(情欲的な愛)
  2. フィリア(深い友情)
  3. ルダス(遊びとゲームの愛)
  4. アガペー(無性の愛)
  5. プラグマ(永続的な愛)
  6. フィラウティア(自己愛)
  7. ストルゲー(家族愛)
  8. マニア(偏執的な愛)

それぞれの詳細を見ていきましょう。

1.エロス(情欲的な愛)

エロスは性的でロマンチック、激しく燃え上がるような愛の形であり、パートナーに夢中になるとエロスを感じ、肉体的・感情的に強いつながりを持つようになります。言い方を変えれば、コントロールを失う可能性があり、当時、エロスは「危険なタイプの愛」と考えられていました。

また、イギリスCOSRTの公認性心理・リレーションシップセラピストのケイト・マッケンジー氏は「エロスは、肉体的に直結するとも言える愛の形であり、関係性にも寄るが、続くのはせいぜい6ヶ月〜2年ほどだろう」と述べています。つまり、エロスは必ずしも長続きするものではないようです。

2.フィリア(深い友情)

フィリアとは、友人同士の愛を意味します。マッケンジー氏によると、「フィリアは、対等な関係や精神的なつながりを持つ人々の間に成立し、困難な時期を共有した人々の間にも芽生える愛の形です。最初にフィリアを論じたのは、古代ギリシャの哲学者、プラトンであり、ここから“プラトニックの愛”という概念が誕生した」と述べています。

この“プラトニックな愛”は、愛に肉体的な魅力は不要だという彼の信念に基づいて提唱されたそうです。文明が変わっても愛の形が大きく変わらず私たちに残っていることがわかりますね。

3.ルダス(遊びとゲームの愛)

ルダスは、「遊びやゲーム感覚の愛や、好意に近いタイプの愛」のことを指します。

関係が始まってすぐに身体的接触を持ったり、相手をじらすような態度を取ったりする傾向があるそうです。つまり、とても直感的でありつつ相手を試すような不安定さのある愛なのだと思います。

また、友人同士、子供同士でじゃれ合う様な好意もルダスに当てはまるようです。

4.アガペー(無償の愛)

アガペーはキリスト教の概念でもあり、無条件で献身的な他者への愛と、神から人間への愛を意味します。

精神的な愛の一種で、深い共感を伴い他者を受け入れ許容し、信頼するのがアガペーなのです。

アガペーの持つ慈愛と犠牲の精神は、特にキリスト教において「最上級の愛の形」とされています。親から子への愛に例えるとわかりやすいでしょう。

5.プラグマ(永続的な愛)

プラグマは、「長続きする愛」のことを指します。この愛の形には、忍耐と寛容だけでなく、それまでの過ごした年月の中で、重ねてきた妥協や歩みよりも関係し、まさに長年連れ添ったカップルの関係性ですね。

「困難を耐え抜き、時間をかけて成熟した愛のことであり、それゆえ意味をもつのです。重要なのは単純に恋をすることというよりも、愛を維持すること」とマッケンジー氏は述べています。

どんなカップルでも、愛し合う関係を長続きさせることは並大抵のことではないと思います。2人の価値観を長い時間をかけて大事に大切に育てていくような関係性が浮かびます。

6.フィラウティア(自己愛)

フィラウティアは、「自分自身への愛や思いやりであり、自分自身を愛せるということは、すなわち、他人も愛することもできる」と、古代ギリシャの人々は信じていたそうです。

7.ストルゲー(家族愛)

ストルゲーは、親子や兄弟の家族間で見られる愛の形のことです。お互いへの信頼感や安心感、支え合う気持ちなどを指し、家族同然に付き合いのある友人への愛も含まれるそうです。

また、それだけでなく、国への愛国心など、自分が所属するものへ抱く忠誠心もストルゲーの愛になるそうです。

8.マニア(偏執的な愛)

マニアとは、「嫉妬や偏執的な愛」のことです。

具体的には、共依存の関係から生まれる愛や、自分を癒したり満たしたりしてくれる他者への愛であり、一方通行の場合が多い様です。

8つの中で唯一、健全な愛とはされておらず、心を蝕む関係と考えられています。

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これは恋愛感情?わからないときのの判断方法

とは言え、まだ経験がない段階で自分が感じている感情が、恋愛感情なのかどうか判断するのはとても難しいですよね。そんな時の判断方法をいくつか紹介します。また、第三者に話してみて判断してもらうのも良い方法でしょう。

相手にドキドキするかどうか

これは恋愛感情なのか?と迷ったときは、まず「相手に対してドキドキするか」を考えてみましょう。

その人と目があったり距離が近くなった時や、その人のことを考えると嬉しくなるなど、瞬間的に湧き上がる気持ちが芽生えるかどうか試してみて下さい。

ラインなどのメッセージの返信が待ち遠しい

ラインやメッセージの返信が来ていないか、来ていたら嬉しいしすぐにでも返したい、でもすぐに返したらうざいと思われないか、でも来なかったら来なかったで、返事が待ちきれず再度メッセージを送りたくなってしまうほど、相手からの連絡が待ち遠しくて仕方ない場合は、高い確率で恋愛感情があります。

相手に触れたいと思うかどうか

個人的には、これが大きな違いなのではないかと思います。同性同士、特に女性同士は友達でも距離が近い傾向があるので、上記のドキドキするかという点で言うと、友達や同僚にドキドキする瞬間がある人も多いのでは?と思います。

そういう時は一旦冷静になって、あるいは少し距離をとってみて、自分から「触れたい」「スキンシップをとりたい」と思うのであれば、それは恋愛感情かもしれません。

「この人」でなければダメかどうか

優しい言葉をかけてくれたり、自分の話を聞いてくれたりする人に対して、

「この人のこと好きかも」と思うこと、ありますよね。そういうことをきっかけに始まる恋愛感情ももちろんありあますが、もし話を聞いてくれる相手がその人じゃなくても良いのだとしたら、それはその人に優しさに甘えているだけで恋愛感情ではないかもしれません。

恋人に対しての恋愛感情の有無をチェックする方法

恋人に対しての恋愛感情の有無をチェックする方法
付き合いが長くなると、上述した8つの恋愛感情の中で、変化していく時期が必ずあると思います。それが苦しみを生む場合もありますが、うまく変化を受け入れられていければ2人の関係はより良いものになっていくでしょう。

そんな過渡期に自分の気持ちがわからなくなった時は、以下のことを試してみてください。

恋人が他の人と会っていたり付き合っているところを想像してみる

そんなことを考えることもないくらい安定した関係であれば言うことはないですが、一度考えてみると自分の気持ちを再確認することができるはずです。

不安になったり、悲しいと思えるのであれば恋愛感情があるはずですし、怒りや嫉妬が強いのであれば、偏執的な愛や共依存のような関係になってきてしまっているかもしれません。

もしくは、相手が幸せなのであればそれでいいとまで思えるのであれば、無性の愛の域に達しているのかもしれません。

自分を変えてでも相手を大事にしたいかどうか考えてみる

2人の人間が一緒にいると、必ずと言っていいほど平行線で埋まらない価値観の差が出てくると思います。相手を変えようとしても、大抵はうまくいかないことも多いでしょう。

もしその時うまくいったとしても、相手ばかりに求めるのは不公平です。自分の価値観を少し曲げてでも相手と一緒にいる道を選ぶのか、相手のためには自分を変えられないのか、一度冷静に自分を振りかってみることも大切かもしれません。

一緒に叶えていきたい目標を考えてみる

これから一緒に叶えていきたい目標ややりたいことがあるか考えてみましょう。ただ一緒にいらればいいという関係性もあると思いますが、変化が激しい世の中で何か困難があった時、2人の目指すものが近しいものであれば、その困難も協力して乗り越えていける可能性が高くなるはずです。

もし、関係が行き詰まっている人がいたら是非一度考えてみてほしいです。深い関係になってもいい相手なのか迷っている人も1つの判断基準になると思います。

恋と愛の違いって何?

恋は通常、感情の初期段階を指し、新しい関係や出会いの時期に強く感じられます。この段階では、魅力や情熱が強調され、相手に対する欲望やロマンスが高まります。恋愛は相手の外見や性的な要素に強く惹かれることがあります。また、一時的で感情が急激に高まり、興奮的な要素がある一方で、時間が経過すると感情が安定し、恋の情熱が鈍化することがあります。

一方、愛は関係が進化し成熟する段階で発展する感情です。愛は安定感情であり、長期間にわたって持続的です。これは、相手に対する深い感情や結びつきを示し、相手の内面や性格、共感、信頼に焦点を当てます。愛は無償の感情であり、相手の幸福や利益を考え、自己中心的ではない傾向があります。愛は感情が成熟し、深まる過程を経て発展するため、関係が持続的で長期的に続く場合に特に重要です。

簡単に言えば、恋は感情の初期段階であり、一時的で興奮的な要素が強調され、外見や情熱に焦点を当てます。愛は長期的で持続的な感情であり、深い結びつき、共感、無償の愛情を表します。どちらも人間関係において重要な要素であり、恋から愛への移行は個人によって異なります。

恋が愛へ変わるプロセス

恋が愛へ変わるプロセスは個人や関係によって異なりますが、次のようなステップや要因が関与します。

1.相互の理解と深化

恋愛の初期段階では、魅力や情熱が中心で、相手に対する感情が比較的表面的です。しかし、時間が経過し、相手との関係が深化するにつれて、お互いの性格や価値観、趣味などについてより深い理解が生まれます。

この相互の理解こそ、愛情が芽生える基盤となります。

2.共有した経験

長い期間を一緒に過ごすことで、共有した経験が愛情を育てます。共に困難や喜びを乗り越え、共感や絆が強まります。共有した思い出や経験は、愛情を深めてくれます。

3.信頼と安心感

長期間にわたって相手と過ごすことで、お互いの信頼が築かれ、安心感が生まれます。相手に対する信頼は愛情を育て、感情が安定化します。信頼がある関係では、お互いが自分自身でいることができ、感情が深まりやすくなります。

4.協力と支え

愛情深い関係では、お互いが協力し合い、支え合うことが一般的です。困難な時期や挑戦に直面しても、お互いが支え合うことで愛情が強まります。

5.無償の愛情

恋愛はしばしば自己中心的な要素を含みますが、愛情は無償のものです。愛は相手の幸福を重要視し、自分自身の幸福よりも相手の幸福を優先する傾向があります。この無償の愛情が感情を深めます。

6.時間と努力

最も重要なのは、時間と努力です。恋から愛への変化は、関係を築く過程で時間がかかることが多く、お互いが関係を維持し、育てるために努力を惜しまなければなりません。

まとめ

恋愛感情の種類について解説してきましたが、こんなにもたくさんの愛の形があることを再認識しました。皆さんは、どの恋愛感情があてはまりましたか?

今の恋人との関係に悩んでいる人や、関係を進展させていきたい大事な人がいる方の参考になれば嬉しいです。