こんにちは!ライターのミオカです。
近年、「テストステロン」という男性ホルモンの様々な効用が注目されています。
男性だけに関係のあるホルモンと思われがちですが、日々を元気に過ごしたい女性や、身体的な変化を望んでいるトランスジェンダー男性(FtM)にとっても、大切なホルモンです。
この記事では、テストステロンに関する基本的な知識に加えて、体内のテストステロン値を増やす方法を紹介します。
そもそも「テストステロン」とは何か?
人間の体内には、約100種類の「ホルモン」という化学物質が存在しています。
「ホルモン」という語は、ギリシア語の「刺激するもの」という言葉から来ており、その名の通り、各種の臓器に働きかけて体の機能をコントロールしています。
テストステロンは数あるホルモンのうちの1つであり、いわゆる「男性らしい」体を作るために機能することから、一般的に「男性ホルモン」と呼ばれています。
男性の場合、体内のテストステロンはほとんどが精巣(睾丸)で作られ、一部が副腎から作られています。
女性の体内(卵巣、脂肪、副腎)でも作られていますが、男性と比べて産生量はかなり少ないです(男性の約5%)。
とはいえ、ホルモンはごく少量でも人体に大きな影響を与えるため、女性にとっても決して無視できない存在です。
<参考リンク> テストステロン(男性ホルモン)について
テストステロンの主な働き
テストステロンの働きとして一般的によく知られているのは、「髭や体毛を生やす」「声を低くする」「皮脂の分泌を活発にする」といった、男性の第二次性徴に関わる働きではないでしょうか。
実はそれ以外にも、テストステロンには様々な働きがあります。
1.骨や筋肉を発達させる
骨や筋肉を大きくして、筋肉質な体のラインを作ります。
2.血の巡りを良くする
造血作用を促し、動脈硬化の原因となる炎症を抑制します。
3.内臓脂肪をつきにくくする
脂肪細胞を小さく保ち、内臓脂肪をつきにくくします。
中年男性が太りやすい要因の1つとして、加齢によるテストステロンの減少が考えられます。
4.男性の性機能を活発にする
精子の形成を促します。また脳内物質であるドーパミンの分泌を促し、勃起機能や性欲を高めます。
5.思考を前向きにする
「やる気」「好奇心」「冒険心」といったポジティブな思考を促します。
6.責任感やリーダーシップを高める
よくテストステロンは「横暴さ」や「闘争心」と結びつけられることがありますが、実は両者の因果関係は明らかにされていません。
むしろ近年では、縄張り意識や仲間意識のように、テストステロンが人間の社会性にもたらす影響が注目されるようになってきています。
7.認知機能を改善する
近年の研究から、テストステロンにはミトコンドリアを活性化させ、判断力や記憶力にも影響を与えるということが分かっています。
いかがでしょうか。
ちなみに男性の更年期障害(LOH症候群)は、加齢とともにテストステロンが急激に減ることによって引き起こされるそうです。
具体的な症状としては、「睡眠障害」「ED」「抑うつ状態」「イライラ」「疲労感」「耳鳴り」「関節や筋肉の痛み」といった症状が挙げられます。体内でテストステロンの働きが衰えることで、まさしく「元気のない」状態になってしまうのです。
テストステロンを増やすことによるメリット
テストステロンの主な働きについてはすでに紹介した通りですが、その内容から、体内のテストステロン値を高く保つことのメリットも想像いただけるでしょう。
テストステロン値を高く保つことには、肉体面・精神面・社会面の3つの観点からメリットがあります。
1.肉体面
骨、筋肉、血液といった、体の根幹をなすパーツを健康に保つことができます。
また、内臓脂肪がつきにくくなることで、糖尿病や高血圧といった病気を防ぎやすくなります。
特に男性の場合、テストステロンの減少を抑えることによって、体に起こりうるさまざまな不調を防ぐことができます。
2. 精神面
現代社会を生き抜く上で大切な「前向きなメンタリティ」を維持することができます。好奇心や冒険心が高まれば、積極的に何かに取り組んだり、自分の可能性を広げていったりすることができます。
テストステロン値が常に高いと「リスクを取る」思考に傾きやすくなりますが、これも見方によってはメリットと考えられるでしょう。
3.社会面
人は、自分に自信がないときには、他人や周囲のことまで配慮することはできません。テストステロンがもたらす「自信」や「前向きな思考」によって、心の中に余裕が生まれ、建設的な人間関係を築いていくことができます。
テストステロンは、人生のさまざまな局面でポジティブなサイクルを回していくための潤滑油のような存在であると言えるでしょう。
テストステロンを増やす方法
体内で産生されるテストステロンの量は、性別だけでなく、個人の体質やライフスタイルによって大きく異なります。
男性の場合、20代においてテストロン値が最も高く、加齢とともに減少していきますが、高齢になっても20代と変わらないレベルのテストロン値を保っている人もいるそうです。
元々の体質(遺伝的要素)は自分の意志で変えることはできませんが、ちょっとした工夫や努力によって、体内のテストステロンを分泌量を増やしたり、すでに分泌されたテストステロンの減少を抑えることは可能です。
そのために、日常に取り入れることのできる方法を以下に紹介します。
1.筋力トレーニングを行う
テストステロンを増やすには、筋力を強化するウエイトトレーニングが有効とされています。中でも、太ももや胸などの大きい筋肉や、複数の筋肉を使う種目(コンパウンド種目)を行うのが効果的です。
ただし、長時間(約1時間以上)にわたって体に負荷をかけると、ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌が優位になってしまい、テストステロンの産生が抑えられてしまいます。
有酸素運動にもテストステロン値をあげる効果がありますが、やはり長時間にわたって負荷をかけすぎないことが大切です。ジョギングの場合、全速力の半分くらいのペースで40分くらいが望ましいです。
2.糖質・脂質・タンパク質をバランスよく十分に摂る
テストステロンは脂質(コレステロール)を材料にして作られ、さらに、分泌される過程において糖質を必要とします。したがって過度に脂質を避けたり、やみくもに糖質を制限したりすることは、テストステロンの分泌を抑制してしまうことになります。
3.テストステロンの分泌を促す食材を摂取する
テストステロンの分泌を促す効果を持つ、次のような食材も積極的に取り入れてみましょう。
- ビタミンDを含む食品:卵、ツナ、サーモン、牛肉など
- 亜鉛を含む食品:牡蠣、赤身の肉など
- アリシンを含む食品:ニンニク、玉ねぎ、ニラなど
- カルニチンを含む食品:羊肉、牛肉、鶏レバーなど
4.日光浴をする
ビタミンDは、食事から摂取するほかに、日光浴(紫外線を浴びること)によって体内に生成可能です。必要な時間は、季節や地域によって異なりますが、長くて数十分程度と考えて良いでしょう。
ガラス越しの室内では紫外線がカットされてしまうため、屋外へ出て日光を浴びることが望ましいです。外へ出て軽い散歩を行えば、手軽な有酸素運動を兼ねることもできます。
<参考リンク>ビタミンD生成に日光は重要?日光浴やセロトニンについて解説!
5.十分な睡眠をとる
睡眠不足はストレスホルモンを増やし、テストステロンの分泌を抑制してしまいます。十分な睡眠を取ることによって、やる気や前向きな思考を保ちやすくなり、日中のさまざまなパーフォマンスによい影響をもたらします。
6.ストレスを抑える
ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌は、テストステロンの分泌と相関関係にあり、片方の分泌が優位になっている時には、もう片方の分泌が抑えられてしまいます。
ストレスにはそれ自体に役割があり、ストレスを完全になくすことは現実的ではありません。とはいえ、自分の心身が慢性的なストレス、過度なストレスに晒されていないか、日々の生活を見直すことが大切です。
7.「勝利の快感」を味わう
テストステロンは、競争に勝ったり、達成感を味わったりすることでも分泌されます。「勝利の快感」からテストステロンが分泌されると、さらに積極的な行動につながり、ポジティブな連鎖が生まれます(心理学的には「ウィナーズ・エフェクト」と呼ばれます)。
手軽な方法としては、仕事や家事の中で「小さな目標を設定し、それを達成する」というゲーム感覚のプロセスを取り入れると良いでしょう。
8.姿勢を意識する
「胸を張る」「頭の後ろで手を組む」「腰に手を当てて仁王立ちする」といった、
「力強さ」を示すような姿勢(ハイパワー・ポーズ)を取るだけでも、テストステロンの値が上昇することが分かっています。
「ここぞ」という場面や気合を入れたい時に、試してみてください。
9.ホルモン補充療法をおこなう
「体外からホルモンを摂取する」というと、何となく危険なイメージがあるでしょうか。
日本ではまだあまり一般的ではありませんが、特にアメリカでは、男性向けのテストステロン補充療法の効果が広く認知されているそうです。
ホルモンの補充療法は、声を低くしたい、髭を生やしたい、といった体の性別移行を望むトランスジェンダー男性(FTM)に対しても広く行われています。
テストステロンを増やす方法のまとめ
テストステロンは、私たちが充実した日々を送るために重要なホルモンです。
体内のテストステロン値を下げさせないためには、「バランスのよい食事をして、適度に運動をして、十分に睡眠を取る」という健康的な生活を送ることが、第一となります。
生活のバランスを見直した上で、紹介したような様々な対策を取り入れてみてください。
「そもそも自分のテストステロン値がどれくらいなのか気になる」という場合、まずはメンズヘルス系のクリニックや、泌尿器科などで検査してもらうのも良いかもしれません。
バイタリティに満ちた生活を送るために、あなたもテストステロンを意識してみませんか?
<参考文献>
『LOH症候群』堀江 重郎
『ホルモン力が人生を変える』堀江 重郎
『「男性医学の父」が教える 最強の体調管理 テストステロンがすべてを解決する!』熊本 悦明
『筋トレが最強のソリューションである マッチョ社長が教える究極の悩み解決法』テストステロン
『〈パワーポーズ〉が最高の自分を創る』エイミー・カディ