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【2022年4月最新】日本のトランスジェンダー映画作品一覧【9作品】

トランスジェンダー

どうも、トランス男性の空衣です。今回は、昨今増えてきつつある日本のトランスジェンダー映画をまとめました。

性別に違和を抱えるトランスジェンダーの人物は、これまで小説やドラマの中で描かれることはありました。しかしまとまった物語として、一本の映画になる機会は少なかったように思います。

日本ではどんなトランスジェンダー映画があるのか、どのようにトランスジェンダーが描かれてきたのか、これからどうなっていくのか。やや辛辣なコメントも交えていますが、ぜひ最後までお読みください!

初めに
IRISでは、すべてのセクシュアリティやジェンダー、人種、国籍、民族、職業、家族構成の人々が自分らしく生きられる社会を実現したいという思いを込めて「LGBTs」と表現しています。

日本のトランスジェンダー映画作品一覧

彼らが本気で編むときは、

公開年 2017年
監督 荻上直子
出演 生田斗真
桐谷健太
柿原りんか
上映時間 127分
公式サイト https://www.j-storm.co.jp/s/js/discography/JABA-5186_01?ima=0000

生田斗真さんがトランス女性のリンコを演じました。母親に育児放棄されたトモを、トモの叔父マキオと、その恋人のリンコが引き取って育てることになります。小学生のトモ自身もLGBTsをなんとなくキモチ悪いと思っていたり、逆にリンコと一緒に暮らしていることで、クラス内で「変態家族」といじめられたりします。そんなトモがリンコとマキオとの共同生活で変化していく様子が伺えます。

実際にトランス女性と交際している筆者からすれば、リンコの描き方には正直違和感のある描写もありました。

まだ幼いトモに説明するためとはいえ、トランスジェンダーの人物が「胸はEカップ」とか「チンコは取った」という類のセリフで、そんなに詳細に身体を説明する機会はないのではないか、と思うからです。

リンコの場合は幸運なことに、中学生時代から母親が「この子は本当は女の子なんだ」と理解して、協力していました。だから別段、女性として社会的に生活をすることに慣れていないわけではないはずです。

にもかかわらず「おどおどしたマイノリティ」としてトランス女性のリンコが描かれているのはリアリティに欠けているなという印象でした。

トモのクラスメートには、おそらくゲイである男の子も登場します。彼もまた、母親から「普通にしなさい」という抑圧を受け、苦しんでいました。

「普通」を強いる世間に一矢報いる映画だといえます。

ミッドナイトスワン

公開年 2020年
監督 内田英治
出演 草彅剛
服部樹咲
上映時間 124分
公式サイト https://midnightswan-movie.com/

本作では草薙剛さんがトランス女性の凪沙を演じ、親から虐待されていた一果の母親になろうと願う物語です。

凪沙のようにニューハーフショークラブで働くトランス女性は珍しいわけではないです。トランスジェンダーの雇用が不安定な時代・地域では、限られた選択肢の一つでもありました。

ただ、性別適合手術への幻想があまりに高いことや、フェミニンな表現をトランス女性に与えすぎる点は、ちょっと古いように感じました。

トランスジェンダーの手術は、本人にとって生きやすさをもたらす側面も多くあります。たしかに手術が上手くいくかはわかりませんし、肉体的にも金銭的にも苦労はあります。

少ないとはいえ、術後に体調を崩すケースもあるでしょう。それでも、手術しない生活の方がよっぽど苦しい、という切実な想いを抱えているトランスジェンダー当事者もいて、手術がポジティブな経験になることもあるわけです。

悲劇に終わらないトランスジェンダーの物語がもっと増えていってほしいものです。

片袖の魚

公開年 2021年
監督 東海林毅
出演 イシヅカユウ
黒住尚生
広畑りか
上映時間 34分
公式サイト https://redfish.jp/

トランスジェンダーの役者を日本で初めて公募して、トランス女性のひかり役をトランス女性当事者であるイシヅカユウさんが演じた34分の短編です。

ストーリーは、会社員として働くひかりが仕事で故郷に向かうことになり、高校時代に好きだった男性に久しぶりに連絡をとる、という話です。

女性の姿で現れたひかりに、かつての男友達たちはどんな反応を示すのでしょうか。結論からいうと、「酷い」展開が待ち受けているわけですが、そこでへこたれて終わりにならないのが本作の魅力です。

トランス女性の仲間が励ます、というバーのあたたかい描写に、実際に勇気づけられる当事者もいることでしょう。

フタリノセカイ

公開年 2022年
監督 飯塚花笑
出演 片山友希
坂東龍汰
松永拓野
上映時間 83分
公式サイト https://futarinosekai.com/

 

トランス男性の真也とシス女性のユイの恋愛模様を、自身もトランス男性である飯塚花笑監督が描きました。

トランス男性は従来、国内外で女性の役者が演じることが多く、「トランス男性って女性のことなんでしょう?」とミスジェンダリング(性別を意図的に間違えること)の原因になっていました。

本作では男性の坂東龍汰さんがトランス男性を演じるという点で、より自然にトランス男性が演じられているように見えます。

保育園に勤めるユイは子どもが好きで、子どもや家庭を持ちたいと考えていました。しかし相手がトランス男性の場合、想定通りにはいきません。

2人は一度は別れますが、数年後にまた引き寄せられるように家族の在り方を模索していきます。

作中では真也の心理描写が少なく、それにより却って、治療や恋愛に葛藤するトランスジェンダーゆえの苛立ちや焦りが引き立っているようでした。

日本のトランスジェンダー映画ドキュメンタリー編

ハイヒール革命!

公開年 2016年
監督 古波津陽
出演 真境名ナツキ
上映時間 73分
公式サイト http://highheels.espace-sarou.com/

ニューハーフタレントとして活躍する真境名(まじきな)ナツキさんの半生を描いた、ドキュメンタリーとドラマの2部構成作品です。

性別違和があり、早くも10代から行動に移したというのはなかば羨ましいくらいです。

性別が、ない! インターセックス漫画家のクィアな日々

公開年 2018年
監督 渡辺正悟
出演 新井祥
うさきこう
上映時間 106分
公式サイト https://seibetsu-movie.com/

インターセックスとは、「身体が一般に想定されている男性・女性のどちらにも当てはまらない部分がある状態」を指します。医学的には、「性分化疾患」と呼ばれることがあります。

インターセックスの中にははっきり男性か女性を自認する人が多いわけですが、インターセックスで、なおかつトランスジェンダーの人もいます。新井祥さんは自身の性別を「中性」として捉えたうえで、コミックエッセイを描いています。

ぼくが性別「ゼロ」に戻るとき 空と木の実の9年間

公開年 2020年
監督 常井美幸
出演 小林空雅
上映時間 84分
公式サイト https://konomi.work/

女の子として扱われ、セーラー服を着るのが嫌で登校拒否。

14歳から男子生徒として学校に通いはじめ、16歳から男性ホルモン投与を開始します。小林空雅さんの経歴を聞けば、早期治療できたトランス男性(FtM)のように見えることでしょう。

しかし、女でなければ男なのか?そんな2択で解決するとは限りませんでした。性別にモヤモヤする人に観てほしい一作です。

息子のままで、女子になる。

公開年 2021年
監督 杉岡太樹
出演 サリー楓
西原さつき
はるな愛
上映時間 105分
公式サイト https://www.youdecide.jp/

2022年の現在、Netflixで視聴可能です。英題は“You decide.”

トランスジェンダーの人は、どんな職業なのか?気になる人も多いと思います。

性別移行のために、やりたい仕事や小さい頃からの夢を諦める人もいるなか、「女性として生きていくこと」と「建築家になること」のどちらも叶えてきたサリー楓さんの努力は並々ならぬものだったと思います。

I Am Here –私たちはともに生きている–

公開年 2020年
監督 浅沼智也
出演 愛光 青木未央 和泉有紀 乾菜月
尾崎日菜子 おすぎ純子 瞬 杉山文野
虎井まさ衛 中川美悠 畑野とまと 平尾春華
三橋順子 ミムラ 宮田りりぃ 山本蘭
上映時間 60分
公式サイト https://iamhere-trans.jp/

戸籍の性別変更が可能になった「性同一性障害特例法」制定(2003年成立、2004年施行)に関わった人から、最近テレビで見かける人まで、勢揃いです。ふだん圧倒的に数はマイノリティなわけですから、こうして生きているトランスジェンダーの人々の姿が見えるのはありがたいです。

話を聞くと、「性同一性障害特例法」の背景には様々な人の思いや葛藤があったことがわかります。特に問題として語られているのは、通称「子なし要件」です。

トランスジェンダーの人々が戸籍性別を「男/女」からもう一方の性別に変更するには、「未成年の子どもがいないこと」が必須です。子どもという他者の存在があることで、親であるトランスジェンダー当事者の人権侵害が正当化されている要件で、もはや「子殺し要件」ではないか、と当時から批判のあった内容だとわかります。今なお、子なし要件をなくすように裁判やデモ(参考:トランスジェンダーの性別変更に「未成年の子なし要件」)が行われています。

しかしながら特例法ができる頃は、「自民党の一部が意見を聞き入れてくれている今を逃したら、戸籍変更は当分叶わなくなってしまうのではないか」という断腸の思いがあったこともわかります。

日本のトランスジェンダー映画、今後は?

トランスジェンダー当事者が演じてほしい

「トランスジェンダーである」ことはトランス当事者にとって、いわば当たり前のことです。「難しい役どころ」ではありません。しかしトランスジェンダーについて知らないシスジェンダーの役者が演じる場合、「努力してトランスジェンダーらしく見せる」だけで終わってしまう危惧があります。

ここでトランス当事者が演じる場合は、「トランスジェンダーであること」が役作りの中心ではなくなるので、それ以外の役作りに専念できるという利点があります。その分、物語に広がりが持たせやすいことが期待できます。

また、映画業界がシスジェンダーでヘテロセクシュアル(異性愛者)の男性を中心に培われてきたなかで、そこから阻害されてきたトランスジェンダーの雇用を守るためにも必要な取り組みです。

前提として、トランスジェンダーの役者も過ごしやすい環境づくりや、製作陣にトランスジェンダー当事者やアライ(LGBTsを理解・支援する人)がいられる場所であれるよう、労働環境から改善されていくことが大切ではないでしょうか。

トランス男性やノンバリナリーの物語も観たい

ご紹介した記事のなかでもわかるように、数少ない「トランスジェンダー映画」の中では、トランス女性のステレオタイプな描写が見受けられます。

トランス女性の多様性はもとより、そもそもトランス男性やノンバイナリーの登場人物は姿が見えてきません。フィクションで描かれないということは、現実において存在を無視されることと紙一重です。

また、ただ「マジョリティに分かりやすく説明してあげる」物語だけでなく、トランスジェンダーの視点が真摯に活かされていくことは、性別のあり様に新しい視点を提供しうる可能性があります。

だから映画の中でトランスジェンダーが描かれていく未来を、筆者は観たいです。

この記事を書いたのは

空衣

1996年、神奈川県生まれ。居住地にこだわりがなく女子寮にいたこともありますが、現在は男性の境遇で生活しています。カレー好きで、世界一辛いカレーを完食したことも。

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