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トランスジェンダーの性別変更に「未成年の子なし要件」が合憲なんてありえない!

トランスジェンダー

どうも、空衣です。トランス男性(FtM)でパンセクシュアルです。

現在日本では、トランスジェンダーの人々が戸籍上の「女性」または「男性」という性別を、もう一方の性別へ変更することが可能です。

しかし、日本の法律で性別変更をするのは容易ではありません。トランスジェンダーの人々が出生時とは異なる、自身のジェンダー・アイデンティティや実生活にそった性別に変更するには、性同一性障害特例法(2003年成立、2004年施行)に沿って性別変更することが求められます。

トランスジェンダー当事者が戸籍の性別変更するには

トランスジェンダーの人が戸籍上の性別を変更するには、以下の要件を全て満たしていることが必須です。

  1. 2人以上の医師により,性同一性障害であることが診断されていること
  2. 20歳以上であること(2022年4月の成人年齢変更に伴い、18歳以上に変更)
  3. 現に婚姻をしていないこと
  4. 現に未成年の子がいないこと
  5. 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
  6. 他の性別の性器の部分に近似する外観を備えていること

裁判所 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_23/index.html

性別に違和を抱えている人々が、そうではないシスジェンダーの人々と同様に日常生活を送るには、戸籍の変更1つをとってもあまりにも高いハードルがあるわけです。

なお、2008年までは「現に子がいないこと」という要件で、子どもがいるとその親は一生戸籍変更が叶わないという内容でした。「未成年の」と加わったことで一応緩和されたわけですが、そもそも子どもと親の関係性を前提に、トランスジェンダー個人を捉えようとするのは「あるべき家族はコレだ」と規定されているようなものです。

なぜ他人である医師の診断が必要なのか?

なぜ結婚していたら性別変更が許されないのか?(同性婚が認められたら解消されるはずなので、つまりはなぜ同性婚が認可されないのか?)

なぜトランスジェンダーという特定の背景を持つ人にだけ、手術をすることが法律上求められるのか?

など、疑問点があります。これまでも性別変更要件に対して裁判が起こされてきました。

トランスジェンダーの性別変更に子なし要件があるのはおかしい!

202111月末、トランスジェンダー当事者が性別変更を望む際に「未成年の子どもがいないこと」を要件としている性同一性障害特例法の規定が最高裁で「合憲」であると判断されました。これは現状維持で構わない、ということを示します。

トランスジェンダー当事者のみならず、彼らと恋人や家族である人々や、生殖の在り方を国家が管理するのはおかしいと考える人々からは当然、反発の声が上がりました。以前から「子なし要件」をなくすべき、という声があったにも関わらず、なんとも残念な判決でした。

なぜ、子どもがいると、その親であるトランスジェンダーの人が自分の性別に合った戸籍に変更することが禁じられるのでしょうか。
「親の性別が変わると、子どもが混乱する」といった曖昧な理由が挙げられていますが、実際のところ戸籍の性別を変更する前に親の日常生活におけるジェンダーのあり方は移り変わっていることがほとんどです。
子どもが成人に達するまで戸籍の性別変更ができないと、「戸籍が見かけと違う」状態が生じ、逆にアウティング(本人の了解なく性的指向や性同一性、戸籍情報などの秘密が暴露されること)に繋がりやすくなります。「現に未成年の子がいないこと」、通称「子なし要件」は理不尽な要件だといえます。

子なし要件が合憲なんてありえないデモ

最高裁の判決を受けて、202112月には「子なし要件が合憲なんてありえないデモ」が実施され、私も参加してきました。これはトランスジェンダーの人々に対する理不尽な戸籍変更要件を合憲とする現状に、異議を唱えるデモです。トランスジェンダーの人々にとってもちろん大切な話なのですが、実はそれだけではありません。いったい何が問題なのでしょうか。

トランスジェンダーの戸籍変更要件にまつわる裁判とだけ聞くと、トランスジェンダー本人でもなくトランスジェンダーのパートナーがいるわけでもない人からしたら、関係のない話だと思われるかもしれません。しかし、もっと大きな問題をはらんでいます。

国によって、誰が子どもを持っていいか・育てていいかを決められているという現状があります。戸籍変更の子なし要件はトランスジェンダーへの人権侵害、というだけではないのです。

「トランスジェンダーの人は子どもを産み育てるべきではない」という子なし要件の規範は、他の境遇の人々にも当てはめられてきました。例えば「障害のある人は子どもを産むべきではない」「同性愛者は子どもを育てるべきではない」といった差別と地続きの問題です。

そのように国家が個人の人権を選別し、制限している状況を変えていくためにも、トランスジェンダーの人々の戸籍変更要件はいま一度考えられていくべきです。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
上記の問題に関心を持ってくださったら幸いです。

この記事を書いたのは

空衣

1996年、神奈川県生まれ。居住地にこだわりがなく女子寮にいたこともありますが、現在は男性の境遇で生活しています。カレー好きで、世界一辛いカレーを完食したことも。

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